廃墟に響く残響   作:ブルーな雛菊

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「」実際に言葉にしたもの
()心の中の呟き
『』オペレートシステムの警告や看板案内などの補足


day1 自身の事は説明できない。何故なら私は自分自身ではないのでね

■■■■■  16:21

■■■■■■■■■   ■■■■■

「気が付いた?体調は大丈夫?」

「里親が見つかるまで君を保護することになった。短い間だがよろしく頼む。」

「君の新しい家族が決まった。ここからは離れることになるが君の事は忘れない。胸を張って生きなさい。」

 

病院のような白い部屋で看護婦が話しかける。子供達が集められた施設で院長と思われる人物が微笑みかける。そして景色は変わっていく。まるで走馬灯、とりとめのない夢の様にも感じる。

 

「よう、お前が新入りか?」

 

無機質な鉄の扉の向こうには、自身よりも少し背が高いくらいの、そばかすのある男の子が立っていた。その背後には、ベットに腰掛ける年下に見える少女が一人、銃を分解清掃している青年が一人。2段ベットが両サイドに1つづつ、奥にシンプルな机が1つあるだけの殺風景な部屋だった。

 

「・・・・・」

 

病院で目覚め、孤児院。そして、気づいたらこの場所に私は居る。

 

「よう、新入り。戸惑うことも多いだろうが時期に慣れる。」

 

差し出される手を取り、握手を交わす。人差し指や親指の腹が堅くゴツゴツしていると少女はぼんやりと思う。

 

「俺はチャーリー、ベットに座ってるのがリマ、奥に居るのがビクターだ。よろしくな、エコー」

 

自身に向けてエコーと呼んだ少年を不審に思う。

 

「エコー?私の名前は「あんたの名前や生い立ちは興味はない。ここに来た時点で今までの記録は全て抹消されてるんだ。あんたの名前、あんたの家族構成、好きな食べ物、初恋の相手・・・全て抹消されてる!お前はゴーストなんだ。」」

 

「自分を憐れむのはやめろ。ここに居る皆が同じようなもんさ。親に捨てられた者。テロに巻き込まれ両親も失ったもの。何も知らず粉を運ばされ口封じの為に刈り取らる運命だった者。理由はそれぞれだが、訓練が終了すれば少なくてもマシな生活が保障されている。」

 

「ただ、それまで間お互い名無しじゃ困るだろう?だからメンバーはファネティックコードで呼び合うようにしてるんだ。・・・悪い事だけじゃないさ。ここの奴らはルームメイトであり戦友だ。いざとなったら俺がお前を守ってやるよ!」

 

 

…夢を見ていた。懐かしく、切ない()()()()()()()()()()()()この夢が何を意味してるのかは分からない。

ただ、思い出さないといけない。でなければ…私は、私自身では無いままなのだから。

 

 

 

SEPTEMBER19 10:00 (day1

合衆国 コロラド州 ウィラメッテ上空

 

【挿絵表示】

 

 

『こちらHQ(司令部)残り5分で降下地点に侵入する。』

 

機内の両サイドに備え付けられた、パイプフレームと布張りの簡易的な椅子。その一つに座り、瞳を閉じ無線を清聴する少女が一人。時刻は午前10時。太陽はとっくに天に上がり、数少ない窓から薄暗い機内を照らしている。椅子の座り心地は論外。両サイドのエンジンからの騒音は、会話を聞き取るにも困難になる程のもの。床にはパレット搬入用のローラーやレールが設置されており、気づかず踏んでしまえば転倒は避けられない。人員の運送など二の次に設計された軍用輸送機、快適さなど一欠けらも存在していなかった。本部からの無線を皮切りに、少女は装備の最終確認を行い始める。

 

「情報を更新した。衛星写真から現在、該当区域には合衆国の特殊作戦部隊が展開している事が確認されている。部隊の詳細は現時点では不明。」

 

(現地の展開している部隊との連携は難しいか・・・)

 

互いに同じ国に所属する特殊部隊であるのは確かだとは思うが、少女が所属する機関はさらに特殊なものだった。Strategic Homeland Division。通称SHD、又はデヴィジョンと呼ばれる組織。…創設者が未来に起こるりえるウイルス兵器の被害を懸念し、作り上げた秘密機関である。政府も、その存在を認識しておらず、あらかじめ用意したシナリオ()を使って現地に紛れ込むという手段を使っているが、今回は使えそうもないという事だ。

 

(非認識組織・・・当たり前だ。でなければ私達がここに居るわけがない。)

 

ウイルスが蔓延してインフラどころかライフラインすら崩壊した世界、警察や軍すらも完全に沈黙した状況になって初めて予備軍として治安回復の為に活動を開始する組織。考えられる敵勢力は、暴徒、反政府組織、そして国力が低下したことを良い事に進行する他国軍。()()()()少数でも対抗できるように作り上げられた部隊。最新鋭の武装を使いこなし、どこの組織にも属さない、そして()()()()()()()()()()()終焉(カタストロフィー)に対応できるような精鋭の中の精鋭。

元々は、軍部や執行機関に所属していない民間人を徹底して鍛え上げ、エージェントにすることを目標にしていた。だが、都合よくそれらに該当するような人物がいるわけもなく、機関は方針を変更せざるおえなかった。自らの組織が兵士を作り上げることに・・訓練を重ねても老いからは逃げられない、より兵士としての寿命が長い人物を・・・つまり、才能のある子供達を対象に部隊を編成したのだ。とても正気の沙汰とは思えない。

 

「作戦区の回線や通信基地は破壊されている。強力なジャミングもされており現地での本部との通信は出来ない。当然だが、アイザック(人工知能)による支援は出来ないと思え。」

「詳細は不明だが、昨日からウィラメッテで暴動が起こっていると情報が入っている。君の任務は、単独で町に侵入し暴動首謀者、又は不正を働いた政府関係者を捕捉し速やかに暴動を鎮圧することだ。敵対勢力との交戦判断は各自の判断に委ねる。この()()はSHDのシステムがダウンし、敵勢力に主導権を奪われたという最悪の状況を仮定した貴重なデータとなる。」

 

ブザーと共に機体後部のドロップゲートが解放され、冷たい空気が流れ込む。

 

「情報提供者に接触し現在の状況を確認しろ。・・・エコー聞こえているのか?」

「・・・・此方エコー。確認した。」

 

「復帰直後だ。軽い任務だが気を抜かず速やかに遂行せよ。」

「了解。out(通信終了)        

 

目が覚めたら病室、以前の記憶はなく、思い出せるのは断片的なものばかり。それでも、戦闘や任務関連の技術は体が覚えてる。

 

(そして私は駆り出される・・)

 

スマートウォッチで時刻を確認する。既にジャミング区域に入ったようで、文字盤下のバックライトが通常時のオレンジ色からオフライン起動状態を示す赤色に切り替わっていた。時刻は10:05。装備を装着し、高度一万メートルを飛行する輸送機から少女は飛び立つ。侵入を悟られない為の高高度降下。息を吐くたびに、酸素マスクのスクリーンを一瞬曇らせる。氷点下40度。時速300kmメートルでのヘイロー降下。過酷な条件下ではそこに居るだけでも体力を消耗する。眼前には博物館にある、町のジオラマのようなミニチュアの世界・・・その実、とても広大な大地が広がっていた。そして、高度が下がる度に徐々に拡大されていくジオラマ。 

 

(暴徒の鎮圧に軍が動いているのも変な話。流石に対空砲までは用意はしていないでしょ・・・)

 

疑問はある。手始めに通信手段を断ち外部から隔離する。部隊を展開し町を包囲。暴徒の鎮圧としては手段がおかしい。敵勢力の支配地域への侵攻作戦と言った方がまだ納得できる。そしてSHDの司令部も、まるで特殊作戦の様な物物しさでヘイロー降下を潜入手段として選択した。

 

(何にせよ、すぐに分かる事か・・・)

 

ベリーフライ(俯せの体勢)で降下速度を落とし落下傘を展開する。強烈な減速。閑散とした街中へ降り立った。

地に足がつくと同時に小走り、落下傘を解除して暴徒や執行部隊に目撃される前に建物の影に身を潜める。

 

「此方、エコー。作戦区域に侵入した。これより記録を開始する。」

 

任務完了後、本部がエージェントの行動を確認するための記録を開始すると共に、あらかじめ携帯端末に保存していたこの町の地図を、コンタクトレンズ型のディスプレイに同期させ、反映させる。

 

(エージェントが支援を断たれた際の最大負荷試験。まったく、面倒な役回りを任されたものだわ。それとも・・・)

 

防寒着を脱ぎ捨てながら心の中で悪態をつく。勿論、既に記録を始めているので決して口には出さない。

 

『インテリジェントシステム・コンピュータ―始動。・・・ネットワークに接続不可。機能が限定されます。』

 

無機質な電子音。SHDのトレードマークとも言える、オレンジのバックライトが目立つスマートウォッチと端末。現在通信が制限されている為、エージェントの使用できる機能の大半が失われている状態だ。AIの行動予測やルート自動設定、電子ロック解析解除などは使用不可。通信が回復しなければこの町からの脱出手段も自力で用意しなければならない。

 

『指定の場所に隠れ、装備を確認してください。』

 

緊急時のオフライン起動。オンライン時に調整したデータが、携帯する端末にバックアップが出来ていない為、再度調整が必要だった。ため息と共に指示に従う。

 

『武器のテスト開始。指定した目標を狙撃してください。メインウェポン「スキップ!」受け付けました。サブウェポンのテストを行います。指定した目標を狙撃してください。』

 

取り出したグロックG19X。初弾を薬室に装填し、コンタクトレンズ(モニター)に標的が表示された瞬間、ほぼノールックで9mm弾を叩き込む。約2kgのトリガーブル、そして反動。排莢された薬莢が壁に当たり、軽い金属音を奏でながら地面へと落下する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『サブウェポン、異常ありません。音響センサーアクティブ。地図の同期完了。初期設定を終了します。』

 

(セットアップが必要とはいえ・・・敵地の真ん中で貴重な弾薬を使用しないといけないって・・・)

 

銃に装填されてる弾が16発、17発の弾倉が3つ。メイン武器となる筈の小銃も持ち込みは却下された。

 

(最大負荷試験ね・・・訓練は実戦の様に、実戦は訓練の様にとは言うけども、ほぼ丸腰で戦地に送り込むなんてね・・上層部は私を殺したいのかしら?)

 

銃声を響かせてしまった為、すぐにその場を移動する。途中で乗り捨てられた放置された警察車両が目に入った。

 

(中には誰も居ない。トランクが空いてたから武器を取り出した後、現地に向かった?暴動よね?暴徒どころか人気すらない。)

 

誰も居ない車両。足元には12ゲージと思われるショットシェルの残骸、そして水溜まりには・・・

 

(アセロラジュース!・・・なわけはないか・・・)

「戦闘の痕跡を発見。ECHO(立体映像記録)は周囲の電子機器が不足している為再生不可。引き続き探索を行う。」

 

エージェントは災害が起こった後に急行する。その際に、現場で何があったかを把握するのに使用するのがECHOだ。周囲に電子機器が多い場所で、それぞれの機器が記録した情報をかき集め、統合し、立体映像として再生を行う技術だ。ドライブレコーダー、スマートフォン、PCやオーディオ機器。電子機器が増える近代では最適な追尾手段になるであろう最新技術だった。

 

(もっとも、こんな田舎町じゃ使える場所は限られてそうだけど・・・)

 

逃亡者が痕跡を消そうとしても、周囲の機器に記録されるために完全に抹消するのは困難なのだが、そもそも周りに電子機器が存在しないのであれば論外なのである。血の色のついた水溜まりから視点を戻す。光沢のある車の車体には自身の姿が映っている。カーキ色のジーンズに黒のシャツ、首元にはネックレスの様に下げた金の鈴。戦闘着というよりは普段着に近いスタイルだ。これにチェストリグやタクティカルベストを着こめばPMC(民間軍事企業)の出来上がり。

 

(無いものねだりね。)

 

さらに視点を上げると、黒髪ロングのガラス玉の様な澄んだ目をした少女が映っている。見慣れているはずの自身の顔。しかし、どこか自身の姿とは思えない不思議な心境になる。

 

『付近に動体を検知』

 

音響センサーが周辺状況を探知、モニターに反映されたことで彼女の思考は中断された。センサーを頼りに音源へ向かう。たどり着いたのは路地裏から出た先のコンビニエンスストア。耳をすませば確かに物音が聞こえてくる。

 

hello(よう、間抜け)?誰かいる?」

 

いきなり随分な暴言だが、仕方のないことだ。散乱した店内、雑貨を陳列している棚はなぎ倒され、ワインは棚から落ちて床をぬらしている。例えるなら震災後の店の様な状態。こんな状況で店員でもない人間が床に座り込んで、()()()食べているとしたら、それは暴動に紛れ無関係な人間から物資を略奪する暴徒でしかない。

 

(どうせ正義を語り、自身のストレスのはけ口を探しているのでしょ?反吐が出る)

(いいえ、まだ確認したわけではないから決めつけは良くないわね。丁寧に聞いて可能ならば暴徒に紛れ込みましょう・・)

 

座り込む2人の男に声をかけ慎重に距離を詰めるエコー。

 

聞こえてる?(よく聞け、糞共)私、この町に来たばかりで・・・さっさと首謀者の場所を教えろ、蛆虫(皆の所に案内してもらいたいの)

 

声に反応して立ち上がる市民。振り向き、ヨロヨロとエコーに近づいてくる。腕から出血した跡。口はだらしなく下がり、歯茎から出血してるのか白い歯が赤く染まっているようにも見える。

 

(おまけに白目向いてない!?薬物でもやってるの?)

「あ~~・・・落ち着いて!さっきの事は私が悪かったわ!ごめんなさい!話し合いましょ!?話せばわかるって!!」

 

素早い掌返し。しかし、エコーの願いを却下するように歩みを止めない男達。

 

「やめて!近寄らないで!私に酷いことするんでしょ!!エロ同人の様に!エロ同人の様に!!」

 

後ずさる少女、遂には肩を掴まれる。服越しに力が加わり、少女の顔が苦痛に歪む。

 

(丸腰の相手・・・銃を出せば逆に刺激してしまうかもしれない。店の外にも暴徒が居るとしたら銃声が響くのは得策とは言えない。)

 

人間、相手の脅威度で対応が変わってくる。例えば傘を振り回している少年なら微笑みと共に放置するだろう、しかし包丁を振り回す男が相手なら?もし自分が銃で相手を無力化(殺害)したのを目撃されたら話し合いなど出来るわけがなく、姿を見つけ次第、暴徒全員で殺しにかかってくる未来が予想できた。かと言っても、このままなされるがままっていうのも不味いことになる。

 

少女の目がスゥっと細められる。

足元に転がる330mlの小ぶりなビール瓶を蹴り上げる。大口を開いてエコーを引き寄せようとする男。空中で回転する瓶をキャッチして、男の口の中へと叩き込む。衝撃で拘束が緩まった一瞬、すかさず身を低くし振りほどく。そのまま回転し、バックスピンキックを相手の顎に見舞う。瓶が割れ、赤の混じった内容物が宙を舞う。追撃で胴体に一撃。後ろに控えてた男ごと吹き飛ばす。

 

(まるでボーリングのピンね。そもそも、その場で耐えようとした感じではなかったけど。)

 

例えるなら脱力。まるでマネキンを殴り飛ばしたような感覚に疑問を覚える。

 

(さて、挨拶は済ませた。力量差は明確。普通なら逃げるけど・・・そうはならないでしょ?)

 

一瞬の間に行われた蹂躙ともいえる暴力。まるで舞うように繰り出された2連撃は、周囲の物体を利用したことで殺傷力が高められていた。エコーの確信を裏付けるようにうめき声と共に立ち上がろうとする男達。先ほどの先頭の男の顔を確認して行動の方針を変える事を決めた。

 

(顎は砕け、歯は吹き飛んでいる。口の中は瓶の破片で血だらけ。正気なら痛みでのたうち回り、取り巻きも戦意喪失するには十分な恐怖を与えた。それでも向かってくるって事は、薬物で痛覚を抑えてるのか・・・そんな状態では正常な判断は出来ないのは致し方ないか。)

 

このまま暴徒を放置するのも危険、無力化するしかないと判断する。

再び歩み寄る2人の男に対して、少女の方からも歩みを進める。まるで散歩に行くかのような自然体で・・・・

 

商品棚が仕切りがわりになっている、お世辞にも広いとは言えない通路。顎が砕けた男とその後ろには同じように白目をむいて向かってくる暴徒。相手との距離が2mを切ったところでエコーは立ち止まり、商品棚からワインのボトルを手に取る。片足を引き、体を横向きに、ブレードスタンス(半身)を取り戦闘に備える。

先ほどと同じように手を伸ばす男。機関の教導陣の様に、隙が無く鋭い動きとは対極の鈍く緩慢な動き。迫る魔の手を当たり前のように払いのけ、トンとその場でステップ。至近距離での左右へのフェイントを入れた回り込み。男が背後に佇む少女の存在に気付く前に、ワインボトルが後頭部に振り落とされる。映画や演劇で使用される小道具の瓶とは違い、派手に割れることなく鈍い音と肉を潰す手ごたえが瓶を持つ手に伝わる。そのまま振り向き、背後の男に瓶を投げつける。転倒する音を背中で聞き届け、再び先頭の男に向き直る。後頭部を打撃したにも関わらず既に体勢を整えた姿が目に入り思わず舌打ち。

3()()()となる同じ攻撃。伸ばされる手。避けれる攻撃だが、少女からは完全に戦う気力がなくなってる様に感じられた。捉えられるエコー腕。そのまま引き寄せるような力が加わった。

 

「引き寄せてどうするの?顎が動かないくせに噛みつくつもり?」

 

再び商品棚に手を伸ばし、掴み取ったボールペン。袋に入ったままのそれ(ペン)をそのまま男の掴む腕に突き立てる。腕の中心から顔を出す血の付いたオブジェ(ペン)、そのまま外側に捻じりこみ、物理的に拘束を解除する。握力が強い?痛みを感じない?なにそれ、おいしいの?ゾンビ映画に真っ向から喧嘩を売るような暴挙を少女は涼しい顔で行っている。人の動作は骨を支柱にして筋肉が伸縮することで行われている。では、動作に必要な筋肉が切断されたら?(支柱)が折れた状態で掴むという動作が出来るとでも?当たり前の事、当たり前の結果。

拘束が外れた少女は男の足を払う。脱力してるせいか簡単に宙を舞う男、肩を掴み地面に叩きつけた。尚もうつ伏せでもがく男に足を乗せ立ち上がれないように押さえつけ、ナイフを抜き放つ。バタつく男のベルトを切断し、それを抜き取り首を締め上げる。いくら薬物をキメてようが、防弾チョッキを着こんでようが関係ない。脳に酸素が届かなければ意識を失い死亡する。首の角度を調整し頸動脈と椎骨動脈を締め上げ酸素の供給を断つ。10秒程度のわずかな抵抗、暴徒の片割れが立ち上がり歩み寄ってくるが、その間に決着はつく。力の入っていた腕が脱力したようにパタリと床に落ちる。同時に汚物の香りが意識を失った男の下半身から漂い始める。

 

エコーが締め落としてる間にも接近していた暴徒の片割れ、距離は1.3m。少女はマウントポジションで締め上げてた状態。つまり、立ち上がってもいない不利な状況。しかし、エコーの顔に焦りはない。前転からの倒立すると共に暴徒の首を両足で挟み込む。そのままコークスクリューをするように体を素早く捻じり、回転。男の頭を両足で固定したまま床に叩きつける。当然この程度では意識が落ちない事も把握済み。少女は暴徒の襟を掴み、そのままコンビニの冷蔵庫へと引きずっていく・・・

冷気が逃げないように閉ざされたガラスの扉を開ける。中には飲料水などが陳列されているが、構うことなく男の頭部を叩きつけ、力任せに扉を閉める。

 

一度、二度・・・「まだ足りない?」三度・・・「御代わりは?」四度・・・「例は要らない!」五度・・・

 

動いてない事を確認してエコーはコンビニから立ち去った。入り口でふと振り返る。入店した時よりも散乱した店内。なぎ倒された棚。まるでゴリラとボクシングでもしたのか?と思えるようなダメージを受けた(かろうじて)息のある男が2人。

 

「こんな事になるなら・・・銃を使っても大して変わらなかったかもね。」

持ち帰った行動記録から、この惨状をどうにかカットできないか悩む少女であった。




登場人物
エコー:実名不明、黒髪ロング、青い澄んだ瞳をしている少女。年齢は12歳程度に見える。SHD訓練生であり優れた戦闘力を持つ。任務中に負傷しており、病院で目覚める前の記憶が喪失している。と属性過多(笑)チート覚醒イベント?元々チート枠です!

SHD指揮官;戦闘地帯にハンドガンだけ持たせて兵士を投入する鬼

SHD;Strategic Homeland Division。壊滅的な打撃を受けた合衆国を立て直すために結成された組織。政府や民間企業からも認知されていない、完全に秘密結社の様な機関。資金源は不明だが、コンタクトレンズ型のモニターや自己修復防弾チョッキ、自立AI搭載のガンタレットや攻撃ドローン。アイザックと呼ばれる戦術行動支援AIなどリアルの世界でも実現できていないのではないか?と思われる最新兵器のの実用化に成功している。
基礎訓練に合わせて特殊装備、車両、航空機の操縦など教え込んでたらエージェントが完成する頃にはその者は定年退職することになるだろう、という理由で現在は素質のある子供達を引き取り徹底して鍛え上げてる。原作と違ってブラック企業!

アイザック;戦術行動支援AI。本体のスーパーコンピューターは司令部の地下で稼働している。電子キーの開錠、建物の設計図をデータバンクからロードして空気ダクト等普通は見落とすようなルート案内も可能、周囲の監視カメラにアクセスして敵の接近を感知するなど非常に優秀。オフラインではecho解析とマッピング機能くらいしか使えない。

暴徒その1;見せしめがてらに痛めつけられた可哀そうな人「くっ!(いっその事)殺せ!!」

暴徒その2;「銃にする?それとも、わ・た・し?」で少女を選んでしまった?可哀そうな犠牲者。その1を無力化する際にエコーは興冷めしており、おかげで比較的軽症ですんだ。

その2に使った技;ヘッドシザースホイップ=コルバタと呼ばれる投げ技?見た目が結構派手!

その1に使った締めおとし:脳へ流れる動脈を絞めて脳への酸素を物理的に断つ。2本ある動脈のうち1本は奥にあるため、ぶっちゃけベルトでは厳しいけどもフィクションということで!
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