廃墟に響く残響   作:ブルーな雛菊

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一応、MAP入れときます?

【挿絵表示】



day1 返事はなかった。おかしなことではない。

SEPTEMBER19 12:15 (day1

合衆国 コロラド州 ウィラメッテ ショッピングモール前 (エコー

 

「状況報告。町の住人に接触。しかし重度の薬物使用と思われる状態で、会話は不可能。非常に攻撃的な反応を示しており、放置はその他の市民への被害を拡大させると判断し、無力化を行った。動きは緩慢だが、痛覚は遮断されているようで異常な耐久力があるように感じられる。問題なのは・・・」

 

眼前に広がる巨大なショッピングモールと駐車場。埋めつくすような市民の群れを、モール近くのビルの屋上から見下ろしながらため息と共に報告を続ける。

 

「街の住人の過半数が同じような症状を示している。引き続き情報提供者の捜索を行う。」

 

老若男女問わず同じような症状を発症している以上、ただの暴動や薬物依存者による破壊行為とは思えない。原因は不明だが未知のウイルスの空気感染、汚染された食物摂取などの脅威があると考えて行動した方がよさそうだ。軽いバックパックから簡易的なマスクを取り出し装着する。

 

(無いよりかましか‥すでに手遅れかもしれないけど。)

 

更に軽くなったバック。中には開錠用のTEC Torch(テックトーチ)とそのカートリッジが2つだけ。

 

(町の住人全員と敵対するような状況でハンドガン67発とナイフ1本でどうしろっていうんですか!?)

 

泣き言を漏らしても始まらない・・・正常な市民が籠城している可能性の高いモールへと重い腰を持ち上げるのであった。

 

 

SEPTEMBER19 12:05 (day1

ウィラメッテ ショッピングモール 守衛室 (フランク

 

屋上の扉を開け、階段を下りる。目の前には待合室に置いてあるような簡易的な長椅子、モールで使用する備品が保管されている棚、階段を挟むようにある4つの部屋。迷子の子供を一時的に預かるには丁度いい大きさだが驚くほど殺風景。奥には装置室と、モール内の監視カメラの映像が見れるモニター室。

 

「ここはエントランスプラザの守衛室か・・・」

 

掲示板に張り付けられたモールの地図を確認し、現在地を把握。

勿論、写真を撮っておくのも忘れない。ショッピングが目的ではないが、建物の構造を把握しておくのは重要な事だと戦場でフランクは学んでいた。

守衛室からエントランスへの長い廊下。普段、客の目に入るところではない為か、飾り気のないコンクリートの続く様は無機質に感じられる。自身の足音だけが反響している。

まるで自分しかいないようにも感じられる静寂。耐えきれずにフランクは座り込み、手にしていたアタッシュケースの中から無骨な鉄の塊(リボルバー)を取り出す。ハンドガンとしては大型。重い、故に常に携帯するには向かない。丈夫、故に強力な弾薬が使用できる。構造が単純、故にトラブルが少なく命を預けられる。長年愛用してきた相棒に44口径弾を込める。たったそれだけのことで前に進む勇気を貰える。廊下の終点、重々しい鉄の扉。この先にはエントランスが広がっているはずだ。

 

(かすかに人の声が聞こえる・・・果たして、鬼が出るか蛇が出るか・・・)

 

相棒を握りしめフランクは扉を開けた。

 

「おい!そいつをこっちに持ってきてくれ!」

 

地図を見て把握していたが、扉の向こうは2階の廊下。中央部分は吹き抜けになっていて1階の様子が伺える。近くには1階への階段。店舗にはシャッターが下ろされており中に入ることは出来そうにもない。下の階から聞こえる人の声。目を向けると、入り口にベンチ椅子、植木鉢を集めて簡易的なバリケードを作ってる市民達の姿が目に入った。

階段を下りながら周囲に目を向ける。バリケードを設置してる男達。警備員の制服を着た者も混じっており、守衛室に誰も居ない理由を今となって知る。一階の奥には女性や負傷した者。嗚咽と神に祈る声。

 

(戦場とかわりないな・・・)

 

手に持った銃を収めて、代わりに人々にカメラのシャッターを切っていく。

 

「おい!ウロウロするな。」

「私のワンちゃん知りません?マドンナちゃんの居ない生活なんて私耐えられないわ!マドンナちゃん!どこ行ったの!?」

 

(本当に・・・どこも変わらない。)

 

家族()を探そうと手当たり次第に尋ねる老婆。邪魔だと弾き飛ばす中年男性。

その中で他とは違う雰囲気の女性が目に映った。冷静、そして()()()()()()()()()()()静観。たったそれだけだが長年の感が何かあるとフランクに訴えかけていた。

 

「おい!女ばっかり眺めている場合か!そんなにゾンビに食われたいか?」

 

先ほどの中年が視界を遮った。

 

「ゾンビだって?」

「見りゃわかるだろう。あんたら報道者や政府関係者は頑なに()()()なんて口にしないだろうがな!」

 

「流石に映画じゃあるまいs「あんたらの都合なんて知ったこっちゃないんだよ!正式名称が決定するのはいつだ?俺達が全員死に絶えた後か?それまで『あれ』とか『奴ら』とか呼ぶのか?いいか、必要なのは何が(脅威)どれ程存在しているかなんだ。分かりやすい例えがあるのになぜ使わない!?いいか、あれはゾンビだ!」」

 

「・・・・何が起こっている?」

「判らんよ。昨日から増え続けている・・・」

 

ガラス製の2重扉。その先には鉄製のシャッターが下ろされているが、残念ながら既に最後の扉までゾンビに侵入されている状態だった。

 

「もう外はゾンビだらけさ。心配するな!ゾンビ共は馬鹿でトロくさい。ここなら安全だ。さあ、あんたも手伝うんだ!バリケードになりそうなものを持ってきてくれ!」

「あそこにマドンナちゃんが居るの!!」

 

突然バリケードを崩し始める老婆。

フランクの目に扉の()()()()居るプードルの姿が見えた。事の重大さに気づき入り口に走り出す中年。

 

「誰か!その婆さんを止めろ!!」

 

老婆とは思えない力で警備員は弾かれた。倒れる警備員に躓き、倒れる中年。

 

(っ!!間に合わない)

フランクはカメラから手を放し、かわりに銃を抜き撃鉄を起こす。銃口の先には老婆。シングルアクションではトリガーが軽い、かつ15mくらいの近距離、外す事はない。

 

(・・・・・・)

しかし、フランクの銃が音を奏でることはなかった・・

 

扉のロックが解除され、なだれ込むゾンビ。倒れた中年達に群がり、彼らの姿を隠す。断末魔、生きながら貪り食われる恐怖と痛みから、この世の物とは思えない声が中年の口からもれている。

 

「奥に!!奥に走るんだ!!」

 

誰かが叫んだ。その場の全員が必至て入り口から遠ざかる。

装置の作動。走るフランクの目に廊下のシャッターが下りていくのが映った。

 

「開けろ!糞ジジイ!今すぐ開けろ!!」

「どけ!道を開けろ!」

 

シャッターの前にたどり着いたフランク。周りには同じように締め出された生存者達の姿が見える。そして、降ろされた鉄格子の向こうには。

 

「誰が開けるものか!お前らと居るよりはよっぽどマシだ!」

 

老いた男性が操作盤の前で喚く姿が目に映る。

 

「爺さん、時間が無い。今すぐここで選べ!格子を上げるか。俺に撃たれるか。」

「・・・いいや。お前には撃てないね。儂を撃ったとしてもこの格子は開かない!」

 

銃を構えるフランクをあざ笑うように老人の姿が遠ざかっていく・・・

 

「イヤ・・・生きながら食われるなんて嫌!!誰か!誰か助けて!!」

パニックになった市民の声がゾンビを引き寄せる悪循環

 

負傷して逃げ遅れた市民の断末魔がフランクの背中に伝わる。振り返らなくても分かる。

(徐々に近づいてきている・・・銃の弾は18発。到底ホールに入ったゾンビを殲滅するなんて不可能だ)

 

あくまで護身用。威力がある分、過剰な弾薬は必要ないと高を括ったのが裏目に出た。

フランクとしては取材のつもりが、自ら戦闘に加わらなければ生き残れない状況に歯噛みする。

 

「何してる!2階だ!こっちにこい!」

 

黒人の呼ぶ声に市民達は上を見上げる。守衛室の扉は鉄製。立て籠もるには頼もしい限りだが・・

 

「冗談だろ?この中を突っ切れってか?」

 

2階への階段は入り口付近にある。つまり、ゾンビ達の群れをかき分けて階段までたどり着かなきゃいけないという事だ。

 

「選択肢はない・・・動ける者は手を貸せ!ここで死ぬか。それとも、戦うかだ!武器になるものを取れ!」

 

辺りにあるもの?モールに訪れた客の休憩用の木製ベンチ、ゴミ箱、観葉植物の入った植木鉢、店舗の前に設置された宣伝用の黒板。とても()()とは言えない物ばかり。

 

「こんな物で一体何ができるって言うのよ!?」

「だったらお前に何ができる?素手で戦うか?それともゾンビの餌になって時間を稼ぐか?どちらでも構わないぞ?」

 

黒板を持ち上げ、床に叩きつけ、破壊する。

 

「それが嫌なら()()しかないんだ。全員は助からない・・・だが、一人でも生き延びれれば、助からなかった命にも初めて()()が与えられるんだ。俺だって犬死は嫌だぜ?だから・・・()()()()()()()()

 

先ほどまで泣き叫んでいた女性に手渡される()()。看板を解体した産物、武器と言うには心もとないただの木片。だが、ロビーに居る者たちの心を動かすには十分だった。何も言わずに身近な武器を手に取っていく・・・

 

「なあ、あんたは報道者か?」

「ああ、フリーランスってやつだ。」

「いい写真を撮ってくれよ?」

 

先ほど女性を怒鳴りつけた男性が泣きながら笑う。

 

「俺の名はトッドだ。勇敢に戦ったと載せてくれ。」

トッドは近くにあった木製のベンチを抱え上げる。意図を察した男性が1人、ベンチに手を添える。

「・・・・アランだ。妻の名はキャシー・・・」

激しい憎しみの籠った目をした男性・・・そう、フランクの目には写った・・・

 

「ブライアンだ。銃で正面の数を減らす。弾は装填されてる分しかない、あとは神に祈ろう。」

「マーク・・・側面を守る。」

 

片手にバット、片手にゴミ箱の蓋を盾がわりに持ったマークと名乗る青年。

フランクは彼等の姿をレンズに納め、震える手でカメラのシャッターをきった。

 

「さあ、逝こうか。立ち止まるな。」

 

ブライアンの散弾銃が火を噴き市民達の突撃が始まる。時間にして5分もなかったかもしれない。だが、フランクにとってはとても長く感じられた。

銃弾を頭部に受け、血飛沫をあげて倒れこむゾンビ。ベンチを破城槌の様に携え、ゾンビの群れの中に飛び込むトッドとアラン。そして、無防備になった彼らの側面をカバーするように、迫りくるゾンビにバットを振りかざすマーク。完全にゾンビを殺す必要はない。ただ、生存者が通り抜ける時間さえ稼げればいいのだ。

ゾンビを跳ね飛ばしながら進む破城槌(ベンチ)。彼らを守る為にフランクもリボルバーの引き金を引く。

 

散弾銃の奏でる銃声にリボルバーの演奏が混じる。ホールに響く反響音。

至近距離での銃撃。1人目の眉間に銃弾が突き刺さり、後頭部に大穴を開けるだけではとどまらず、2人目に着弾する。

 

(1発・・・)

 

跳ね上がる様な反動を肘を支点に吸収し、再度標準を合わせる。

 

「こっちは弾切れだ!」

(2発・・・)

 

散弾銃の弾切れを知らせるブライアン、彼が担当していた正面をカバーするように銃撃を開始する。

 

「構うな!進め!」

「ブライアン!トッドの代わりにベンチに付け!!!」

 

()()()()()()()ゾンビ。だが、彼らは決して()()()わけではない。ベンチを持つ2人がゾンビの頭上を通過する瞬間に運悪く覚醒し、トッドの足首を食いちぎる。マークが駆け寄ろうとするが、それを静止するトッド。彼はもう、走ることは出来ない。彼を助けるための弾丸を消費すれば、その間に今も尚、接近しているゾンビ達に最前線で停止しているベンチ組が襲われ、ラインが崩壊する。

 

(3、4、5)

ブライアンがベンチに回り込むのを援護するためにゾンビの頭を吹き飛ばす。

ベンチに手をかけ持ち上げるブライアンとアラン。

 

「・・・・・・」

 

「俺を無駄死にさせる気か!進めえええええ!!」

生きたまま(はらわた)を貪られるトッドを置き去りに、ベンチが再び動き始める。

 

(6・・・・)

「リロード!!」

 

シリンダーとヨークアーム部分にある2つのラッチを押し込み、シリンダーをスイングアウト。銃を上に向け、エジェクターロッドを押し込み、薬室に熱膨張で張り付いた薬莢を強制的に排莢。すぐさま下に向け、装填しやすい位置へと銃を誘導する。床にばら撒かれる薬莢の音。フランクはポケットに手を突っ込みスピードストリップ(リボルバー用クリップ)を取り出し装填を開始する。縦に保持された弾丸をシリンダーに2発ずつ装填、スピードローダーの様に6発いっぺんに装填することは出来ないが、1発づつ方向を合わせて装填していくよりも圧倒的に早い上に場所を取らない。

 

リロードは無防備になる。その為、当然フランクも安全を確認して装填していた。

(ベンチは今も尚、突き進んでいる・・・もうすぐホールか)

 

先行している者達は、数刻もしないうちに今まで進んでいた通路から入り口のホールに到着する。当然、開けた場所では回り込まれる可能性が増え、マークだけでは対処できなくなるのは明確だった。装填を終わらせシリンダーを定位置に戻す。前線へと復帰しようとした瞬間、フランクの耳に植物の葉が擦れる音を拾う。

通路を隔てるように中央に設置された観葉植物と広告板。その死角からゾンビが飛び出してきたと気づくのは、フランクが地面へ押し倒された後だった。手から滑り落ち、廊下を伝い壁へと当たる銃の音。目の前には圧し掛かるゾンビ。まるで長時間、氷点下の屋外に裸で放り出された者様に、ガチガチと目の前で嚙み合わされる歯。

 

(助けは・・・無理だな。)

 

生き残った数少ない市民は前衛に遅れないように、必死にその後を付いていった。遅れた者の命の保証などない。

 

(当然だな。俺がトッドを見殺しにしたように・・・)

 

前衛が弾いた敵、再び立ち上がるゾンビ達をその命をもってその場に留めるのだ。

 

(自分でなくてもいい・・・全滅でなければ、俺の死は無駄にはならない。)

 

 

「諦めるのは早いんじゃない?戦って!()()()()()

「何で戻ってきた・・・ありがとう。」

 

前衛に付いていった筈の女性がフランクの元に駆けつけて来た。その手には、まるで何かの物を解体した残骸の様な見覚えのある血の付いた()()

 

「ダナよ。ダナ・シムス。貴方の力が必要よ!」

 

かつてトッドが怒鳴った女性。彼女は自らの意志で戦うことを選んだのだろう。床に倒れたままのフランクに差し出される手。

 

 

 

だが、その手を取る機会は永久に失われた。彼女を攫うように横から現れたゾンビ。タナを押し倒しそのまま首筋を引き千切る。自身の隣で血だまりが広がる。フランクに向けられた彼女の瞳。瞳孔が広がっていく・・・・

 

「・・・・・・・」

「巫山戯るな!巫山戯るな!巫山戯るな!巫山戯るな!!!

 

リボルバーを拾い上げ、何度も何度も引き金を引く。銃声が鳴りやんだ後も、何度も撃鉄が撃針を叩く音が響く。

 

「フランク!!!」

 

前線のメンバーの声で我に返る。

ベンチは階段()()まで到達していた。

何度も何度も破城槌(ベンチ)の担い手を変えながら・・・

走り寄ったフランクの目に、まるでクッキーに集まるアリの様に少ない生存者に群がるゾンビ達の姿が写る。

 

「もう一つの階段から2階に上がれ」

 

入り口付近、両サイドにある2つの2階への階段。生存者に群がった結果、人気のないもう一つの階段が出来上がったのだ。

 

「マッド・・・あんたはどうするんだ?()()()()()()

 

フランクは、階段の踊り場からゾンビの群れ越しに、最後の1人となった生存者に問う。

 

「違うね。()()()()()。」

彼は穏やかな顔でそう答えた。

 

 

 

 

SEPTEMBER19 12:12(day1

ウィラメッテ ショッピングモール 守衛室 (フランク

 

「他の奴らは?」

「…………ホールに居た者は全滅した。」

「そうか……」

 

先程、2階に居た黒人の問いかけに答える。

守衛室には黒人、老いた警備員、スーツを着た女性

 

「侵入してきた以上、こうするしかあるまい……」

 

警備員が鉄の扉を溶接して物理的にふさいでいく様をぼんやりと眺めるしかなかった。

 

 

 

「あんた!モールに戻るのか?自殺行為だ!」

「まだ、やるべきことが残ってる」

 

装置室の空調ダクト付近で声が聞こえる。

 

「運命から逃げるな!戦え!」

「進め!!」

「俺達の勝ちだ。」

 

(まだ、俺にもやり残したことがある・・・)

 

装置室に入ると既に警備員の姿しかなく、話していた黒人は地獄(モール)へ戻ったようだった。

 

「あんたもかい、ご察しの通り。このダクトを通ればパラダイスプラザの屋上に出る事が出来る。だが、おすすめはしないね。」

「承知の上だ。」

「あんた報道者だろ?そんなにスクープが欲しいのか?」

 

「・・・・この写真をどう思う?」

 

カメラの液晶にフランクが撮影した写真が写る。バリケードを作る男達、シャッターを下ろし自身だけ助かった老人、ゴミ箱の蓋やベンチ、角材で武装して笑う市民達。

 

「いい写真ね。」

話し声に気づいたのか、警備室にいた金髪スーツの女性が写真をのぞき込んでいた。

 

「いい写真?いい写真だと?」

(あんたらには悲鳴は聞こえない。決死の覚悟で血路を開いた者達の意思など分かりはしないだろう?)

「写真は有りのままを記す。だが、俺の望んだ結果とは限らない。」

 

(理解してもらう必要などない)

「俺は逃げない。ただ、それだけだ。望んだ未来を撮りに行くのさ。」

 

 

 

 

SEPTEMBER19 12:40 (day1

ウィラメッテ ショッピングモール 地下駐車場入り口 

 

『付近に再生可能なECHOを検知・・・・解析中・・・・解析完了。再生を実行します。』

 

 

 

「あかんな・・・・モールへの入り口は全部塞がれているみたいや。」

「でも、それはモール内が安全だって事よね。」

「せやな。」

 

ショッピングモールの入り口を一通り車で周回し、モール内部に入れないか視察し終えたところだった。結果はお手上げ。すべての入り口にゾンビ達が群がっており、たとえバリケードがなくとも突破するのは困難と思える。

 

「物理的にバリケードを作られてると、流石に無理に突破するわけにもいかないよね・・・」

 

車で突っ込めば話は早いのだが、せっかくの安全地帯を自身の手で壊すのは愚の骨頂だと思えた。

 

「ならば、電子キーでロックされてる扉はどうや?エマちゃん?」

 

シエラが良いもの見つけたと言わんばかりの笑顔でさした先には、モールへの地下駐車場の入り口が見える。降ろされたシャッターは丈夫そうで乗用車の突撃程度ではびくともしないように思えたが、壁際にはカードキーを認証するための端末が用意されていた。

 

「解除することは可能。だけど、シャッターを上げて再び降ろすまでゾンビ達を入れないようにするするのは無理そう。」

「うんうん。流石エマちゃんやで~!それだけ出来れば十分や!」

 

車を入り口から少し離れたところに停めてエンジンを切るシエラ。

 

「そんじゃ、エマちゃんはここに隠れてて。うちがウスノロ達を引き付けるさかい。居なくなったら先にモールに入るんやで~」

「それじゃ貴方はどうするのよ!?私は一人じゃ行かないからね!!」

「こんな時にわがまま言う子は”め!”やで~心配しなさんな。うちだけなら別のルートからモールに入れる。」

 

シエラの顔からは確かな自信が伺えた。先ほどモールの周辺を車で回った時に何か所か目ぼしい侵入ルートを見つけたようだった。

 

「お荷物で悪かったわね!」

「はいはい。クレームはモール内に入ってからゆっくり聞くわ~もうすぐ日が暮れる。その前に安全を確保しときたいやろ?」

「・・・・私には貴女しかいない・・・必ず!必ず来るのよ!!」

 

本当は離れたくない。だけど、これしか方法は残されていなかった。

 

「エマちゃん、エマちゃん~うちを誰だと思ってるんや~?」

 

いつも通りの姿の友人。いつも通りの言葉。

 

「うちは軍人の孫やで?必ず戻ってくる!モールで会おうな!」

「・・・・ええ。モール内で。」

 

エマが物陰に隠れたのを見届け車のエンジンをかけるシエラ。そして、けたたましく鳴り響くクラクション。

音に吸い寄せられるように車に吸い寄せられていくゾンビ達を置き去りに発進する車。

 

「ありがとう・・・・」

 

PCを入り口の端末に繋ぎアクセスを開始する。回転灯と金属音が鳴り響きシャッターは上昇し始める。エマは隙間に体をすり込ませ、再びシャッターを下ろすように入力しなおす。

うめき声が近づく。完全に再び封鎖できたのを確認したエマは、地下のスロープを下りきった場所で身を隠し息を潜めた。

 

日が落ちて辺りは闇。駐車場の蛍光灯は薄暗く、閉鎖的な地下に流れる空気は心なしか重く感じられた。

昼間の曇天は遂には雨となり、大地に降り注ぐ。スロープを伝って流れてくる赤黒い川・・・・

 

いつもの友人の姿、いつも通りの言葉。なのに、何故だろう・・・涙が止まらない。

 

 

『再生を終了します。』

 

電子キー端末や、付近の車。そして少女の持つ高性能端末の残した残滓からECHOを復元した。

浮かび上がる立体映像は、友人の為に命を懸けた友人の姿と一人ですすり泣く少女の姿が映しだされていた。

 

(だけど、これではシャッターが破壊されている説明にはならない。)

 

現在のエコーの前には破壊されたシャッター。そしてモール内から外へと突き刺さるトラックが鎮座している。少女達の努力も虚しくゾンビ達を()()()侵入させたようにも思えた。

 

「生存者と思われる者のECHOを検知、モール内の探索を行う。・・・何者かがこの暴動を拡大させている可能性有り。現時点では特定は出来ない。」

 

ゾンビ達の巣窟とも思える地下。エコーは音もなく進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マドンナちゃん:犬

マドンナちゃん大好きお婆ちゃん;「貴方は犬の為に命を懸けれますか?」(→YES or はい)

頭の薄い中年;みんなのリーダー。

エントランスに居る市民:棒立ちで殺されるよりも一生懸命頑張ってみました!

シャッター爺さん:原作とは違うけど、多分この爺さんならやる!

フランクリボルバー:残り6発

ゾンビ:この回からはエコー以外の生存者はゾンビと言うようになります。

黒人;みんな大好きブラッドさん!自己紹介までは黒人呼びだけど少々我慢して!

スーツ女;ジェシー。その胸部は豊満だった・・・

生き残った警備員;いつもの無線のあの人。プレイ中に何回コイツニ殺されそうになったか・・・

地下駐車場:一日目、現在の時点で入り口が破壊されてゾンビ達が侵入してきてる!マドンナちゃんが居なくても侵入を防ぐことは出来なかった。

エコー:本部との無線は使えない状況。一人言を言ってるのは現在の行動記録を録画中の為。口には出さないけど悪態つきまくってる!

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