知り合いの絵師さんからエマ&シエラのイラストが届きました~感謝!
1話目、【不思議の国にはどうやって行くの】に追加します!(*´ω`*)
――戦争は変わった―――
「戦場において一番の脅威は地雷だ。」
とあるジャーナリストが口にした言葉だ。
踏み込んだ者を老若男女問わず、無差別に殺傷する兵器……
かつて、敵の侵入を防ぐために設置されたソレは終戦後も顕在し、自国の護るべき者達の命を刈り取る。
負の遺産。
故に彼は脅威とよんだ……。
事実、その言葉は各国に知れ渡り戦争の傷痕を考えさせてくれる機会になった。
……遠い遠い昔の話である。
時代は変わった……。
正規軍同士が塹壕を作り、正面から殴り会う時代は過ぎ去った。
戦争は変わった……。
歩兵携帯式多目的ミサイルの発達と共にゲリラ戦が主流となり、標的となる者も時代と共に変わっていく……
敵の兵士だけではなく政治家、救命士、民間人……より簡単に、相手に打撃を与える事の出来る者へ。
勿論、その中に報道陣も含まれている。
かつて地雷が脅威と溢した人物は、人が人を殺し会う状況下でも、まだ恵まれていたのだとフランクは自嘲の笑みを溢す。
(今となっては何でもアリだ。)
死は万人に対して平等に訪れる。
その言葉を体現するような現代の戦争、そしてこの街の現状をフランクはこう述べる。
「ここは地獄だ。」
自身に言い聞かせる様な独り言。しかし、その言葉は妙に腑に落ちた。
SEPTEMBER19 15:30(day1
パラダイスプラザ フランク
「ちょっと、ちょっと!其所のアンタ!邪魔なんだよね ソコ!」
「見て分かんないかなー写真撮ってるんだよ。こっちはね!」
「御大層なカメラぶら下げてるのにそんなことも分からねえんだからな。」
通りかかった店内からフランクに掛けられる声。
もっとも、苦情と言うよりは、ただの言い掛かりの様なものなのだが……
「ふーん オタクもプロってわけね。はいはい、そーなんだー」
「あのさ、プロって意味分かってる?実力ないと名乗っちゃいけないんだぜ?」
「俺はフランクだ、撮影の邪魔をして悪かったな。もう行くよ。「ヘイヘイ!待ちなよ!」」
「折角だ。俺がプロの仕事ってヤツを見せてやるよ。そうだ!それが良い!我ながらナイスアイデアだ!」
一方的な会話から始まった講習会。
40分前の事である。今も尚、貴重な時間を消費して講習は続いているのだが。
改めてプロを名乗る男性を観察してみる……
年齢は20歳半ば。中肉中背。
半袖、半ズボン。動きやすさを重視した服装の上に、赤色の目立つ色のベスト。背中には三脚を装着したカメラを背負い、胸元には主に移動しながらの撮影で使用するメインカメラがぶら下がっている。
腕にはジャーナリストを現す色の付いた腕章、ベストには[ケント]と刻まれているネームプレート。
絵に描いたようなカメラ小僧。
「素早く場所を確保して。フォーカス、絞りを調整!こうだ!」
フラッシュの光で一瞬、ゾンビ達の顔が照らされる。
「ほう・・・」
自身をプロと豪語するだけあってカメラマンとしては優秀な技量はある様だった。
ただ・・・あくまで平時に限っての話だ。
カメラのファインダーを覗けば当然、視界は制限され死角がうまれる。
長々と同じ場所に留まれば、ゾンビによる包囲網は次第に狭くなっていく・・・彼らの動きは緩慢だが、単体で
背後を守ってくれる護衛もいない。長時間、
ケントの講義を聞き流し傍観に徹していたが、2階で
適切な距離を保っての撮影。だが、そのバランスが崩れれば当然、それは致命的なものにるだろう。
2階から1階に設けられた見せかけの水路に落下するゾンビ。盛大な水飛沫と音を立てる
その間に包囲網は縮まり、遂には最前列のゾンビの手がケントへと届く。
「たしか、実力が無ければプロを名乗るな。じゃなかったか?」
一階のベンチ横、誰かが飲み残し放置されたコーラの瓶を掴み取り暴投。
直撃し、弾かれるゾンビ。
死が間近にあると時の流れが遅くなると聞くがきっと彼の目にはこの瞬間がスローモーションに見えてる事だろう。
「どうした?
何が起こっているか分からず呆然としているケントを突き飛ばしゾンビから距離をとる。何も無力化しないと生き残れない状況ではない。
弾薬も限られた状況ならばこそ無駄な戦闘は行わない。
倒れこみフランクを見上げるケントに告げる。
「背中に背負った三脚。手振れを排除し夜間撮影をするには必須となる事だろう。」
「己の身分を示す腕章。これも必要となる時もある・・・・だが、この町において
使わない機材を持ち歩くのは体力を消耗し、自身の行動を阻害する。
報道者を示す腕章。民間人への攻撃は陸戦協定でも禁止されているが、あくまでただのルールブックの様なもので強制力なんてものはありはしない。
情報を持ち帰られれば不利益になる者も存在し、当然誤射を偽り排除する者もいる。
身を守る為の物が自身の安全を脅かす物になる事があるのだ。
護衛を雇う?防弾ベストを着用する?そんな物、自身が【鴨がネギを背負ってきた】と相手に言ってるようなものだ。
危害を加えようとする者にとって、軍事施設を攻撃するよりも容易なターゲットでしかない。
「どこから聞いたか分からないが、実態とかけ離れたあり方、武勇伝を参考にして行動するのはやめろ。」
「いいか、目的を忘れるな。大事なのはスクープを撮る事ではない。生きて帰る事だ。」
戦争は変わった。仲間以外に配慮する時代ではなくなった。
国民を守る筈の兵士が市民
敵兵士は自軍の損失を避ける為に
正義なんてものはなく、守るべきルールなんてものもとっくの昔に張りぼてと化している。
「泥に
周囲の環境に溶け込み、背景と化す。その点に関してケントの服装は全てにおいて適していないと思えた。
何せ、相手となる者は
「だが、見事な撮影だった・・・いいセンスだ。」
彼の撮った写真を確認しなくてもわかる。構図、ピント、ブレもなくいい写真が撮れていることなのだろう。
「良い・・・・センス・・・。なぁ、フランキー!もう一度だ!もう一度俺の写真を見てくれ。3日後の12:00にここで待ち合わせだ!」
「・・・・ああ」
「フランキー。絶対だぞ!・・・また会おう!」
「ああ、生きていればな。」
ーーー16:40(day1ーーー エコー
巨大なショッピングモールの地下駐車場。
その構造は客の駐車場というよりは業者が各店舗へ物品を搬入するための造りに近いと感じる。
転々と地下倉庫が存在し、大型貨物用のエレベーターが存在する。車両用の通路は長細く倉庫近くに駐車スペースがある程度。
照明はあるものの薄暗く心もとない。
そこに大量の感染者と思われる人々が侵入し始めているのだ。今でこそすり抜ける事が出来るが、時間が経過するごとに状況は悪化するのは目に見えている。
じきに地下は感染者で溢れかえり、施錠されていない扉からモール内に侵入していく事だろう。
(地上への扉を全部施錠して回るのは現実的ではないし・・・)
既に侵入を許してしまった以上、この場を死守するよりも一区画、安全地帯を確保して生存者を保護して回るのが無難かもしれない。
地下から地上へ。階段を上り薄暗い廊下を進む。
モールへと続くであろう扉のノブに手をかけてた時に違和感に気づく。
(誰かが応戦してる・・・?)
扉を隔てた先で響く銃声。生存者。
銃を構え、開いたドアからホールの様子を伺う。
一瞬だけ身を出し死角に脅威が存在しないことを確認し突入を開始する。
これが部隊だったのならどんなに楽な事なのだろう。
突入するにあたって脅威を見逃せば、すなわち死を意味する。
互いの索敵範囲をカバー出来る味方がいない以上、全てのクリアリングを一人で行わなければならない。
(感染者の姿は見えない…ならば、交戦しているのは生存者同士ということなの?)
地下と一変して
テーブルと椅子、積み上げられたワイン樽。飲食店が並ぶ景色からここがフードコートだと理解する。
銃撃戦が行われていると分かった上で、中央通路を堂々と通過するなんて愚行を行うつもりはない。
壁沿いのレストランに静かに忍び込み、周囲の様子を伺う。
エコーの潜むレストラン。中央の通路がその先のフードコートを分断するような配置だ。フードコートは木製の合板で作られたウェスタン風のセット、中央のテーブルと椅子が並ぶコーナーを囲うように壁沿いに飲食店が設置されている。
見たところ人影は見当たらないが、弾倉を入れ直す金属音がまだ戦闘が終わっていないことを物語っている。
壁を背に身を屈め、自身の存在感を消し、息を潜める。
背中に感じるコンクリートの感触。
(通路を挟んでフードコート側と隣のレストランで撃ち合っているようね。)
相手の場所に予想をつける。
問題はどちらが、何の理由で撃ち合ってるかのなのだが……
正面のフードコートから再び響く銃声。
応戦するかのように隣の店舗からも銃声が響く。
タイミング悪く中庭のドアが開く。
乱入者は銃撃戦の真っただ中という現状に慌てた声を出して隣のレストランへ逃げ込んでいった。
(場所は予想通り。正面、武装はsmg……いや、PDW?)
「アンタの相棒に頼まれて来たんだ」
「ジェシーか!?」
「のんびり話し合ってる時間はない、銃は使えるか?」
「ああ、人を撃ったことはないがね。」
隣の店舗から聞こえる声。
先程の銃撃の際に逃げ込んだ人。
どうやら運悪く居合わせた民間人ではなく、応戦している人物の仲間という事なのだろう。
「俺が援護するから出来るだけ相手に近づいてくれ「近づいた後はどうするんだ?」」
「奴を撃つのが一番いい。だが、無理なら奴に撃たせないように弾をばら撒いてくれ。」
フードコートから隣の店舗に撃ち込まれる弾丸。
ウエスタンセットの2階の窓から覗く相手の姿を補足する。
「銃声が止んだら俺が援護する。カウント後にあそこまで走れ。」
「3」
「2」
「1!今だ!」
銃声の合間を縫って黒人が銃をぶっぱなし、カメラとハンドガンを手にした勇敢な白人がフードコートに突撃。
「・・・・で?私はどちらを味方しましょうか?」
断片的な情報で判断するのは危険だが、方や
方やハンドガン一つ片手に応戦する2人組。
当然、戦力の低い方を応援をしたくなるものだ。
(問題はPDWね・・・)
突入し回り込む・・・そこまでは悪くない。
その後が問題なのだ。
相手が手にした武器はPDWと呼ばれる銃。アサルトライフルと
何よりボディーアーマーを抜く程の貫通力を有している。
そもそも、一般的な9mmでさえ木製の角材を数枚貫通し、鉄製のフライパンでさえ抜く事が出来るのだ。
そこらのテーブルを盾にしようとしても貫通性を重視したPDWの弾丸は簡単に貫くだろう。
(
小口径だから非力、相手を負傷させて救護に人数割かせるのが目的と解釈する人もいるがそれは仕留め損ねた結果だけ見て言ったのだろう。
5.7×28mm弾は剛体に対してライフル並の貫通力がある上、人体に着弾した場合は体内で弾頭が乱回転しダメージを与える。
負傷させるのが目的どころか従来の弾薬よりも殺意が高い。
(私が傍観すれば間違いなく彼はハチの巣ね・・・)
(手伝わなければの話しですがね)と、グロックを構えフードコートの襲撃者に狙いを定め、トリガーを引き絞る。
(どちらが原因かなんてわからないけど、そもそも胡散臭すぎるんですよ。)
(突然起こった暴動で、まるでコレが起こるのがわかってる様に・・・一般では手に入れることが難しいPDWを持ち出していること自体!)
銃の威力や貫通力は想像よりも高い、盾代わりに出来る遮蔽物が無いのは襲撃者にも同様なのだ。
襲撃者が負けじと制圧射撃を
(あちらはちゃんと隠れてるから大丈夫でしょ)
「ブラット!
「フランク!受けとれ!」
2人組みが連携して掩護射撃を行い徐々に追い込んでいく。
(一回の射撃。指切りの間隔が長くなっていってるわね。)
狙いを定めてくる
防弾ベストに伝わる衝撃、弾丸の風切り音、そして顔を掠めて横の柱が弾け飛ぶ。
例え防弾ベストを着ていても、命の危機を感じるには十分な状況だ。
襲撃者の一回の制圧射撃に使用する弾数が多くなっている事に気付いているのは何人いるのだろう?
恐らく、エコーを除いてこの場に居る者全てが気づいちゃいない。・・・引き金を引いている当の本人でさえも。
「訓練は実戦のように……実戦は訓練の様に……。此処に来るには貴方は少し、早すぎたようね。」
クスリと笑う少女。
人は戦闘に入ると心拍数は上昇、血管は収縮、瞳孔は拡大、興奮状態となる。つまり、身体も
聴覚抑制、近視野喪失、手の震え、認知処理能力低下などだ。
(射撃訓練と実戦は別物よ。ゲームとは違う。)
過度なストレス、心拍数の異常な上昇により銃声は聞こえず、防弾ベストに伝わる衝撃で攻撃された事を知る。
まるでトイレットペーパーの芯を覗き込んだ位の視野で、懸命に相手の動きを把握しようとするが見失い、震える手で、リロードしにくい銃の弾倉を入れ換える。それが今の彼の現状だろう。
「ほら・・・私が視界に入っているのにその姿にも気づきはしない。」
認知処理能力の低下、トンネルビィジョン。2人と戦っている・・・その思い込みはここでは致命的なミスとなる。
目に映るものでさえ見落としてしまう。
半ばパニックに陥っているであろう襲撃者とは対照的に余裕すら見せているエコー。
まるで消化試合をするように襲撃者が要るであろう場所に素早く2回、淡々とトリガーを引く。
姿を見たわけでもないのに放たれた弾丸は壁を抜け、正確に彼の胸に突き刺さる。
襲撃者の取り落とした銃が落下し床を叩く。
エコー視界のすみにフードコートの屋根の上を走り去る男の姿が見えた。
「それで、さっきの彼は知り合い?」
「君は……?」
「貴方達が撃ち合ってたから…隠れていた、ただの通りすがりです。……で、どういう状況なんですか?巻き込まれたのですから、少しぐらい説明してもらいたいところなのですが。」
「何で撃ってきたかは俺にも分からんよ。」
「ヤツは?」
「逃げたようだ。」
ホールの天井に設けられた点検口。巻き上げられたロープの端が目にはいった。
(脱出用のロープを用意しているなんてね。さっきの男性は尋問対象にリスト入りだわ)
「自己紹介がまだだったな。ブラットだ。」
「俺はフランク。ジャーナリストだ。」
「エコーよ。気がついたらこの状況で何があったのか知りたいのだけど。」
「悪いが何も言えない。………フランク、お前もだ。ジェシーが何と言ったか知らないが、これ以上協力してもらう必要はない。スクープはゾンビだけにしておけ。」
「そうか、お宅の相棒はこの写真の爺さんが気になってた様だけど?」
カメラの液晶に写っている写真を覗き込むエコー。
何の変哲のない頑固そうな高齢の男性が写っているだけだった。
この場面で交渉材料に持ち出すと言うことはつまり……
「この写真は何処で!?」
食いつくブラットに(お前から情報を提示しろ)と顎でさすフランク。
「わかったよ!お前はクソったれでイヤらしい、やり手の覗き見パパラッチだ。俺とジェシーはDHSのエージェントだ。確かにその爺さんを探している。」
「国家安全保証省!?つまりテロ絡みか!」
(もしテロリストが絡んでいるのなら十中八九、さっきのヤツでしょうね。少なくてもこの町の現状に関する情報は持ってそう。)
「お前の番だフランク、爺さんは何処だ?」
「エントランスプラザ。正面玄関の近くだ。」
「なぁ、同行取材は許可して貰えるのか?」
「勝手にしろ。」
「それじゃ、行きましょうか。」
「アンタもついてくるのか!?お嬢さんにはちょっと刺激が強すぎると思うぞ?」
「此処で放置する方が人としてどうかと思うわよ?大丈夫、足は引っ張らない。」
先程の襲撃者が落としたP90を拾い上げて残弾を確認。
(……残り12発。撃ちすぎよど素人。バースト機能でもつけて貰った方がいいんじゃない?)
黙々と声を出さずにフランク達の後ろをついていく少女。
時刻は17時。日は傾き始めていた。
フランクさん・・・原作ではゾンビが居ようがお構いなしにカーニバルする感じのイメージですが、今作では体験した戦場+序章の惨劇の影響でクールな歴戦の兵士(戦場カメラマン)みたいな感じに!?
ブラットさん・・・みんな大好きスキンヘッドのおじさん!ジャーナリストが苦手(今現在
エコー・・・身分を明かすのが面倒ですので迷い込んだ少女に擬態。銃撃戦では完全に気配を消しているのでエコーの支援があった時も
・・・ブラット(フランク・・案外役に立つな)
・・・フランク(ナイス援護だ!ブラット)とかお互いに思っている。(気づいていない
此処まで余裕のある戦いをしているが「私が強いんではない、お前達が弱いのだ」と言える。
P90・・・PDW。コンパクトと言ったがあれは嘘だ。小銃よりも若干短いくらい。バレル長がある為命中率は良好とのこと。弾倉交換が従来の物とは異なるので慣れが必要とのこと。つまり・・・攻めすぎた設計の為売れなかった不遇の銃(笑
貫通性能・・・意外かもしれないけども大半抜けるよ!隠れる場所は気を付けよう!車の扉を盾に??それ死んじゃうよ!
今回の戦場・・・前回のMAPを参照 フードコート F102(エコー) F103(ブラット+フランク) F101(襲撃者)となっています。
バースト機能…一回トリガーを引くと連続で決められた弾数が発射される仕組み。撃ってる最中でも再度トリガーを引けばカウントがリセットされるためマシンガンの様に連射することも可能。元々、パニックになった新兵が弾倉が空になるまで撃ち続けるのを防ぐためのもの。