キングとおじ様   作:Cz75

1 / 4
初めましてCz75と申します。
ウマ娘の二次創作は初めてなので初投稿です。


第一話

「ごめんなさい」

 彼女はそういって、俺の元から去った。

 あの日から彼女に再会していない。

 アメリカは探し切ったし、両親にも確認した。

 それでもアメリカにはいなかったのだ。

 彼女を見つけたのは日本から輸入したファッション雑誌からだった。

 そこには彼女のデザインした服と彼女が写っていた。

 

 深夜 自宅

 

 ピンポンとインターホンが鳴る音で目を覚ました。

 炬燵に入っていて目の前にはおせちと日本酒が並んでいる。

「一人正月で酒飲んで寝てたか」

 当然のことながら見知った我が家であり外は豪雨である。

 ピンポンとインターホンは来客を告げている。

 そこでふと妙だと思った。

 何故なら来客の予定はないし、失礼な客はこの山奥の家には来ない。

 しつこくインターホンは鳴り続ける。

 すこし、イラッとしてきた。

「ったく」

 仕方なく、立ち上がりインターホンに出る。

「どちら様」

 といってインターホンの子機に映るウマ娘の姿を見て時が止まった。

『やっと出た!いいから入れなさいよ。こっちは雨でずぶぬれなんだから!』

 そのウマ娘は彼女にそっくりだったからだ。

『君の名前は?』

 そういいながら、ひどくゆっくりともどかしく子機を操作してロックを解除した。

 とりあえず話を聞こう。

 なぜここに来たのか…

 

 

 数十分後

 

 

「あったかいもんだ」

 先ほどのウマ娘キングヘイローの前に温めた甘酒を置く

「ありがとう」

 シャワーを浴びて、着替えたキングヘイローは甘酒を手に取ってチロチロと舐めるように飲む

「で、キングヘイロー。君の正体は名前から察することはできるが、ここに来た事が分からない」

「そうよね。お願いがあるの」

「お願い?」

「ええ、私を一流のウマ娘にしてほしいの」

 覚悟を決めた目で俺を見ながら彼女はそういった。

「んん?」

 正直首を傾げるような頼み事だった。

 そもそも一流なんていうものは大概曖昧なものだし、

 彼女が進むであろうトレセン学園ならば十分に一流といえるのではないだろうか?

「言っている意味が分からないのかしら?」

「具体的には何をもって一流だと?中央のトレセン学園でデビューできれば十分に一流だろうに」

「それは…」

「君の母親に認められたいと言うことか」

「トレセン学園に入学させてもらえないのよ」

 うつむきながら彼女は話し始めた。

 いわく

 「あなたには才能はない」

 「トレセン学園にはあなたぐらいのレベルの子はゴロゴロしている」と

「成程な、それで喧嘩してここに来たということはトレセン学園に入学したいのか?」

「違うわ、私は一流になりたいの!誰もが一流のウマ娘だと、

 このキングヘイローがあの人が生んだ一流のウマ娘だと認めさせたいのよ」

「だったらキングヘイロー、君は何をもって一流だという事をしっかり決めるべきだ」

「何をもって?」

「例えばクラシック三冠なら一流だろう、だがアイドルになって成功したウマ娘だって一流だ」

「それはそうだけれど!」

「あと、なぜ俺を頼ったんだ。親父さんは?」

「知らないわよ!お母様は教えてくれなかったわ」

「それに俺に何の利益がある?」

「それは…私のトレーナーになって私の得た賞金があるわ」

 確かにトレーナーとして契約しレースに勝てば賞金が出る。

 手に入った賞金の幾何はトレーナーの元に入る。

「金なんぞ困らないほどには持っている。それに稼ぐ手段は十二分にある」

 少し間を貯めて続けた。

「俺に対して君は何を提示できるんだ?」

 

 

 

 私はその言葉に何も言い返せなかった。

 確かに何も私は持っていないのだ。

 おかあ様と正月早々喧嘩して、持つもの持たずにこの人の元に転がり込んだ。

 この人を知ったのだって偶然に過ぎない。

 おかあ様の手帳からするりと落ちた写真に書かれていた住所をもとにここに来たのだ。

 写真もおかあ様が優勝杯とユリが刺繍されたストールを着てあの人に抱き着いている。

 抱き着かれてる人もまんざらでもない感じだった。

 きっとこの人もおかあ様もお互いの事を愛しているのだろう。

 だからこそ、この人に賭けたのだ。

 なら、提示できるものがあるかもしれないのだ。

 いや、ある!

「おかあ様のプライベートアドレスでどうかしら?」

「なぜそれが俺に提示できるものだと思う?」

「だって、あなたおかあ様に連絡できてないのでしょ」

「なぜ、そう思う?」

「この写真が証拠よ」

 そういって隠し持っていた写真を見せた。

「ケンタッキーオークスの時の写真か、随分と懐かしいものを」

「あなたはおかあ様を愛しているのでしょ?」

「そうだな」

「きっと、おかあ様もあなたの事は好きよ。この写真を持っているもの」

「そうだといいな」

「あなたとおかあ様が連絡取れなかったのはきっと会社の人が止めてたからよ」

「だから、私があなたとおかあ様の仲を取り持ってあげる。これが私が提示できるもの」

「なるほど、確かに魅力的だ。だがいいのか」

「なにが?」

「取り持ってもらえるのはいいが、いいのか?君の父親になる可能性がとてつもなく高いんだが」

 意地の悪い笑みで私の提示にこの人はそう答えた。

「いいわよ。おかあ様は幸せになるんだから」 

「まったく、君というやつは完敗だ。それだけの覚悟と報酬を提示したんだNOとは言えないな」

 そういって手を差し出した。

「契約だキングヘイロー、君を一流、いや超一流のウマ娘にして見せよう」

 私は差し出された手を掴み、おじ様こと早乙女勇とアスリートの世界に飛び込むのだった。




感想や誤字報告は原稿料だと思って書いていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。