君と歩く道   作:汐響

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夢を見るセイウンスカイの話です。
少し曇り始めます。


3、明日も貴方と夢を見れたら

ずっと貴方と夢を見れたら

 

 

「トレーナーさん、私、実はウマ娘じゃなかったんですよ」

日の当たらない暗いトレーナー室。私はトレーナーさんに迫っていた。

きっと。いや、違う。絶対に、トレーナーさんは知っていた。だから私も伝えられた。その証拠に、私の正体を教えても、近づいても、彼は一向に怖がらない。

逃げないと分かっていながら、逃げない様に、冷たい手で身体をしっかり抱きしめた。

少し背伸びもしたりして。トレーナーさんの首筋に、軽く唇を添える。

「ねぇ、トレーナーさん。私と、永遠の時間、歩んでくれますか?」

いつもは恥ずかしくて言えなかった告白の言葉も、今なら流れるように口から出てきた。

トレーナーさんは優しく首を縦に振って、私の事を抱き返してくれた。

「ありがとうございます。……死なないように、優しくしますから」

開けた私の口の中には、鋭く長い牙がある。

「……トレーナーさん」

まるで、彼を殺してしまうから、その前に全部伝えておくとでも言うみたいに。もう一度彼を呼んで、

「大好きです」

そう伝えた。

もう、太陽も何も要らない。トレーナーさんと、いつまでも一緒に居られれば、それで良い。

大丈夫。失敗しない。

そう思いながら、私の牙を、彼の首に突き立てた。

 

「……ん」

目を覚ましたのは、夕日が降り注ぐトレーナー室。私はソファーの上で眠っていたらしい。

隣には、私を片手で抱き寄せたまま眠っている、トレーナーさん。

(あぁ、夢か)

先程まで見ていた景色が、夢だと気付き落胆する。

(私なら、きっと……)

失敗しなかった。そんなことを考える。

横を向くと、安らかな寝顔のトレーナーさんが見えた。お昼寝好きのセイちゃんには分かる。

トレーナーさんは、深い眠りについている。

きっと今なら、多少揺れたりしても、起きないだろう。

気付いた時には、トレーナーさんを押し倒すようにして、彼の首に、顔を近づけていた。

夢の中でやった様に、言葉を連ねる。

「ねぇ、トレーナーさん……」

夢の中では出た言葉は、出なかった。

気を取り直して、首に牙を突き立てようとしてみる。

牙は、無かった。

「……はぁ」

結局、彼の首に当たったのは、私のため息だけ。

(……トレーナーさん)

倒れ込んで、自分の身体を横に戻す。

(夢の中なら、セイちゃん、失敗しませんから)

熱を持った左手で、トレーナーさんの首に触れた。噛まれた跡は、無かった。

(だから、ずっと私と夢の中で)

これが“逃げ”なのは、分かっている。

それでも、失敗しない自分になりたくて、夢を見たくて。

もう一度、貴方の腕に収まって、目を瞑った。

(……また、私と夢を見てください)

明日も明後日も、こうやって。

ずっと貴方と夢を見れたら良いのに。

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