○月○日
今日から日記をつけることにする。
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えーゴホン、まずはご報告を。
ついさっき前世の記憶を取り戻したわけだが、なんと今世の俺は美少女だった。
勝ち組ヒャッホォー!美少女になりたいって言ってた友達見てますか?
死んだら天国でした、てへ!
まあ、異世界ではないのは残念だけどね、この容姿なら現代で生き残るのも容易いだろう。
選り取り見取りだなぁゲヘヘ――――――――――そういや俺女だったわ、萎えた。
まあとにかく、俺は超絶美少女に生まれ変わったっていう話ね。
もしかしたらスカウトされてアイドルになってたり……それはないか。
いやありえるな。
幼いながらにして垣間見える美貌、これはクレオパトラもびっくり(錯乱)
小野妹子も楊貴妃も惚けるレベルだね(狂気)
……いつアイドルにスカウトされてもいいように鍛えとくか!
とりあえず、な!
べべべ別にアイドルになってちやほやされたいとかそういう欲にまみれた野望とかないし!
わたし清楚だし!
○月×日
昨日に続いて今日もだが、ご報告がある。
悲報、俺氏美少女なのにチンチンついてた。
いやね、なんか股間に付いてるなーとは思ってたんだよ。
でも元男の俺からすりゃ確認しようにも相当な勇気がいるわけで、見るに見れなかったわけ。
トイレのときに緊張しながらパンツを下ろしてみたら、こんにちは。
生き別れの息子との奇跡の再会、お父さんはそのときこう言ったという――――会いたかったけど会いたくなかった、と。
ふたなりなのかと疑ったけど、その路線はなさそうかな。
スマホで確認したからね……ははっ(乾いた笑い)
まさかの男の娘だったことが発覚したわけだけど……どうする?
マミーとパピーにアイドル目指すって言っちゃったからなぁ。
むしろ男のアイドル目指してみるか。
この世界にジャ○ーズってあんのか分からないが、女の子みたいな男って色々と人気出そうだ。
……普通に男の娘アイドル目指すか?
うん、そうしよ。
絶対そっちの方が注目度も高いだろうし、女性ファンに加えて男性ファンも増えそうだしね。
目指せ男の娘アイドル!そしていつか美少女と結婚してやる!
○月×日
まずはアイドルになるために、必要な課題を自分なりに考えてみた。
①かわいいからって気を抜いてはいけない。毎日、美容には意識して生活しようネ!
②歌って踊れるのがアイドルだ。歌唱力の向上と、ダンスもキレッキレにならないとネ!
③芸能界で生き残るにはコミュ力は必須。リーディングエアとトーキングスキルを鍛えようネ!
④強烈な個性を持つ芸能人の中で埋もれないような特徴的な個性を持とうネ!
以上四つが、俺が考え得るアイドルになるために必要なこと四選だ。
明日から一項目ずつ進めていくことにする。
え?今日からじゃないのかって?
明日から頑張るんじゃない、今日、今日だけを頑張るんだぜ?
俺はもう頑張った、だからいいんだよ。
○月△日
俺の容姿だが、前に言った通り美少女である。
詳しく説明すると、肩まで伸びたボーイッシュ風な白髪で、背は同年代の男子に比べたらかなり低い。
星型っていうか……花形?のような模様が映る灰色の瞳が特徴的だ。
どうやらこの世界の髪の色は親に由来しないようで、お前どこ出身?っていう髪色でも別段不思議がられることはない。
まあ白髪は珍しい方なので怪奇の視線がそこそこキツイが。
といった感じで容姿についてはオールパーフェクトだろう。
なので重要なのはこの見た目をどれだけ保てるか、それか更なる高みを目指せるか、という点だ。
ます怪我は絶対にしない、掠り傷でも残ってしまったら大ダメージである(アイドル的に)
あと、今は性別の識別が不安定な時期なので成長するにつれ男っぽくなっていくかもしれないことも視野に入れておかなければならない。
そして一番気をつけるべきは美容だろう。
子どもの頃からずっと洗顔し続けて美容に気をつけてたら、大人になったら絶対得するだろうしね。
俺の肌はまだまだ輝けるのだ!
①についてはこれで終わり、早速洗顔して寝まーす。
○月□日
歌はまあ、とりあえず歌いまくるしかない。
テレビでは俺と同じような年齢の女の子が『ピーマン体操』っていう歌を歌ってたし、俺も負けていてはいられないね。
こんなふざけた歌がオリコン一位を獲れるのなら俺だって頑張ればできるはずだ。
毎日カラオケに通えるわけじゃないので、自分の部屋で歌い続けることしかできないが。
にしてもこの娘めっちゃ可愛いな……『十秒で泣ける天才子役』だっけか、性癖にインインインコォース!
やっぱり美少女しか勝たん、はっきり分かんだね
踊りについても、踊り続ける他ない。
スマホで上手い人の踊りを見様見真似で模擬し、一人寂しく踊り続ける。
身体能力クソザコな俺(今日判明した)ではすぐに息が上がってしまったが、それでも俺は踊り続けけた。
なぜって?
かわいい男の娘が急にキレッキレのダンス踊ったら、超かっこいいだろうが(自己満)
○月☆日
コミュ力。
恐らくだがこれが俺のアイドル人生において最も巨大な弊害になるだろう。
スマホを開いてみたが、典型的な家族しか登録されていないボッチLI○Eだった。
うーんこれはマズイ。
俺は地元の幼稚園に通っているのだが、そこでも俺に話しかけるような勇気ある童はいなかった。日本男児だろ、勇気出せよ(ブー↑メ↓ラ↓ン↓)
もしかしなくても前世を思い出す以前の俺はボッチを極めていたようで何よりである。
前世から何も学んでないよね、って自分で呆れたのは秘密だ。
だがこれはかなりマズイぞ……あの無尽蔵のエネルギーで駆け回る彼らに俺が入り込めるわけがない。
しかたなく俺はコミュ力を鍛えるのは小学校からと決め、広場の片隅でひっそりダンスの練習をしていましたとさ。
友達……欲しいなぁ……(涙目)
○月#日
強烈な個性とは、いかに視聴者又は共演者に強い印象を残せるかということである。
そこで俺は、まず『男の娘キャラ』で食っていくために第一人称を『ボク』に変更することにする。
別に『俺』って言ってるキャラもいないわけではないが、俺―――――じゃなくてボクは『ボクっ娘』みたいでなんか好きなのだ。
そして、その『男の娘キャラ』を更に飛躍するためには女性の仕草を完璧に再現することは必須である。
例えば、歩くときとかもガニ股は論外ね。
座る時も胡坐をかいちゃダメだし、食事でも女らしく食べなければいけない。
見本はボクのマミーだ。
この子にしてこの親ありって感じで、マミーも漏れなく超美人。
大和撫子を体現した容姿なのでボクの好みのタイプだね。
その仕草は息子であるボクから見ても魅力的。
うん、ジャストミートだわ。
そんなわけでボクの個性は『男の娘キャラ』に決まった。
もちろんこの上に属性を盛り付けていくことになるが、ひとまずは、といったところだ。
っしゃあー!明日から頑張るぞー!
☆ ☆ ☆ ☽
×月○日
前世の記憶を取り戻してから、もう二か月も経った。
努力の成果か肌もモチモチになってきたし、歌も踊りもマシにはなってきたと思う。
コミュ力はまあ何も言うことはないが、『男の娘キャラ』についてはかなり進歩したと感じている。
この前までチンチンぶらぶらさせて走り回ってた男子達が、ボクの前ではやけに自分の自慢ばっかしてくるのだ。
よく見る『好きな子にかまってもらおうとする男子』である。
これにはボクもにっこり。
日々の成果が報われた気がして嬉しかったね。
女の子もボクに話しかけてくれるようになったし、良い事つくしである
そして!
明日はなんと――――――――――渋谷に行くのである!
そう、電脳都市有数の街、渋谷に!
これはもうアレだね、スカウトを狙わなきゃ駄目だね。
よっしゃー!マミー、ボクにとびっきりにイカした服を着させてくれ!
え、七五三の着物を買いにいくだけ?
バカ!ボクには人生がかかってんだよ、こんなチャンスを逃して堪るか!
待っててね、スカウトの皆さん!
×月△日
子役になってみないかと知らない男性に言われた。
思ってたんと違う。
あと撮影明日あるけど来る?って言われた。
急すぎてワロタ。
オリ主
本名は
身体能力はクソザコナメクジだったが、めげずにダンスの練習をしている。
それを見て母は「ダンサーになりたいのかしら?」と笑顔で見守っている。
お母さん、アナタの息子さんは男の娘アイドルになってチヤホヤされたいだけらしいです。