今回のお話は、奏以外にも出す予定をしていたオリキャラの話です。多分これ以降出番は少ないです
「かな、ちょっといいか?」
「ん?おお、その声はもしや、我が友李徴ではないか」
「だーれが虎だ」
手に持ってるノートを頭に置いてきた男は
その為か奏の両親とも仲が良く、無茶をしたら家族に
「それでは、虎を
「虎のくだりはいいんだっつーの」
「おおぅ、押しつけないでよ」
ノートを顔に押し付けるように渡され、後退りながらも手に取って見ると、奏の使っていたノートだった。
「そういえばミカに貸してたっけ?忘れてた忘れてた」
「それで俺より成績良いのが腹立つわ………とりあえず、ノートサンキューな」
「うむ、良きにはからえ」
「何様だよ」
「殿様じゃ、ほっほっほっ」
「3回死んで2回生き返れ」
「それ1回足りなくないっ!? 」
「うっせい。それと、あー…………」
歯切れが悪く、どこか気が向かないかのように顔を逸らす。その様子に首を傾げ、どうしたの?と聞くと、帝は頭を掻きながら目線を合わせる。
「………親御さんから伝言。気が向いたらでいいから、顔を見せに来いだとさ」
告げられた言葉に、一瞬息を呑んで固まる。何故帝が言いにくそうにしていたのかを察し、自分でも困ったような笑みを浮かべているのが分かった。
「うん………気が向いたら、ね」
煮え切らない返事をすると、帝はそっかと言うだけだった。さっきとは違い、気まずい空気が流れる。すると、帝は奏の頭に手を置き、おもむろに髪をクシャクシャにしてきた。
「ちょっ!?なにするのっ!? 」
「いや、何となく。うっわ、酷い髪型になってるぞ」
「ミカがしたんだよっ!?あーもうめちゃくちゃだよ!ユウちゃんか東郷さんにクシ借りてこよー! 」
「うっせい。行くならさっさと行ってこい」
「なんだよもうー!バーカバーカ! 」
「悪口のレパートリーが幼稚すぎだろ」
手で行った行ったと振り払うと、奏はぶつくさ言いながら2人の元へと向かった。帝はその背中を見送り、目を細めて小さく呟く。
「………辛気臭い顔なんて、お前には似合わないんだよバーカ」
─────
昼休み。ユウちゃんと東郷さんは勇者部の活動でいないため、久しぶりに1人の時間となった。流石に教室でぼっち飯は寂しいと思い、同じくぼっち飯をしていたミカの所へと襲撃する。
「へい大将、やってる? 」
「居酒屋か」
「まあまあ。お互いぼっち飯だし、たまには一緒にどう? 」
「いや、俺はソシャゲのスタミナ消費しながら食うから1人なだけだからな? 」
「うっわお行儀悪っ」
「うっせい」
などと言いつつ、机のスペースを空けてくれる。このツンデレめと思いながらも口にせず、前の席の人から許可を貰い、椅子に座る。
「ところでミカよ」
「食べながら喋るのも行儀悪くね? 」
「細かい事はいいんだよ。それより、今回は追加キャラであるミカの話なんだけど、本人的にはどう思う? 」
「そうだな。まずメタ発言をやめろと思う」
「ボク的には『もはや原作関係無くない?』と思ったけど、そこを突っ込むのは野暮だと考え直したんだよね。そもそも予定してたし」
「話を広げなくていいからな? 」
「確かに急な登場な上に、久しぶりの更新。ついてこれる人も限られてくる。ただボクは言いたい。やったんですよ、必死に。その結果がこれな───あいたぁ! 」
「それ以上は言わせねーよ」
デコピンにより台詞を遮られ、
だから、奏は11連ガチャの項目を連続タップしたのだった。
「ちょおまっ、かな、おまっ!何してんだぁ!!? 」
「引かないで後悔するより、引いて後悔した方がいい!でも1番は、引いて後悔しない事だ!!だからボクは引いたっ!! 」
「このっ、おまっ、バーロー!それはお前のデータでやれ!!俺の2ヶ月分の石返せ!返せよっ!! 」
「
胸ぐらを掴んで揺らしてくるため呂律が回らず、帝は急な出来事に語彙力が飛んでいる。そんな状況でも、無情にガチャは回っていく。
「
「マジでっ!!? 」
手を離され、2人して画面に食い入るように見届ける。演出が終わり、引いたキャラはビックアップされているものだった。その結果に信じられないという表情の帝に対し、凄いドヤ顔を見せつける。
「ふっふっふっ………さあ、褒めたまえ。称えたまえ。感謝に涙したまえ。これが施しの英雄である、秋月 奏の力である」
「これで爆死だったら全力でプララヤってたけど、特別免除してやる。むしろ感謝しろ」
「なんでさ!?せっかく当てたのに!? 」
「お前自分のデータで爆死しまくってんの知ってんだからなっ!?そんな運が悪い奴に引かせたくないわ! 」
「言ったな!?運ゲー最弱と自負してるけど、言ってはいけない事を言ったなっ!?よろしい、ならばクリークだ! 」
「情勢的に使いづらいネタはやめろ」
ごもっともな意見に、流石に使うネタを間違えたと反省する。すまんかった。
「コホン。それより、何で勝負する?今度の小テストとか? 」
「それお前の得意教科だからやらんわ。そうだな………」
考える素振りをしつつ、帝はこちらを見つめてくる。そして何か閃いたのか、口の端を僅かに釣り上げた。あっ、見たら分かるぅ!これ絶対馬鹿な事考えてるやつや!
帝からの提案を聞き、その内容に呆れながらも承諾した。時間は放課後、場所は公園で行うことになった。
「それで今一度聞くけど、何でボク達は大量のお手玉を持ってるの? 」
「勝負内容に使うからだろ? 」
ルールは実にシンプル。投げる側と避ける側に分かれ、お手玉を相手に当てた数を競うだけのものだ。お手玉なのは当たっても比較的痛くないためだ。
「何でそんなドラゴン○ールの修行みたいな内容にしたの? 」
「俺の反射神経も鍛えられるしで一石二鳥だから」
家庭部所属である帝の言葉に、スーッと目を閉じる。絶対鍛える必要ないよね?跳ね返った油でも避けるの?やっぱり馬鹿だ。まともっぽいけど、やっぱり馬鹿だ。
「おい、今馬鹿にしただろ? 」
「してないでーす。それよりも、ボクが勝ったらご飯作ってよ。材料費そっち持ちで」
「唐突だな。なら罰ゲーム有りでやるか。俺が負けたらお前に飯を作る。勝ったら………まあ、思いついたら言うわ」
「よし、タダ飯ゲットだぜっ! 」
「既に勝った気でいやがるコイツ……」
「本当にこの距離でいいの?流石に近くない? 」
「大丈夫だ。いいから思いっきり投げてこい」
「試しに1つ投げるけど、考え直してもいいから、ねっ! 」
そう言って全力で投げると、放たれたお手玉は帝の眼前まで迫る。予想外の速度だったのか驚愕の表情を浮かべるも、紙一重で避けられてしまう。
「………ちょっとタンマ。やっぱりもう少し離れてやってくれ」
「悟飯ちゃん大丈夫だべ? 」
「誰が悟飯だ。いや悟飯みたいになりたいけどさ」
「ミカじゃ無理だと思うよ」
「うっせい」
距離を離し、仕切り直しする。流石に男の子というだけあるのか、連続で投げたり纏めて投げたりしても、同じく紙一重で避けられまくってしまう。
このままでは勝てる可能性は低い。そう感じ、投げる手を1度止める。
「かな?どうしたんだ? 」
「………ねえミカ。ボクも悟飯のようになっていいかな?」
「は? 」
「ボクも、悟飯みたいに金髪になりたいんだよ」
「はっはっはっ。なってもいいけど、そいつはかなにはちょっとまだ無理………って、言わせんなバーロー」
「ノリツッコミありがとうからのじゃんけん死ねぇっ!! 」
「不意打ちフラガ○ックは卑怯だろうがっ!! 」
全てのお手玉を同時に投げ切り、無事数発のヒットを確保した。ありがとう悟飯。ありがとうバ○ットさん。
感謝の意を込めてガッツポーズを取り、攻守を交替する。
「もはや勝ったも当然ですね。風呂行ってくる」
「………」
「スルーは悲しいからつっこんでくれない? 」
嘆きの言葉は届いてないようで、帝は何か作戦でも考えてるのか、お手玉をじっと見つめていた。
「ミカ?どうしたの?いくら悩んでも、
「もし投げられたら野球の道に進んでるわ。それより、とっとと始めよう」
「よしきた。さあ、どんと来なさい!」
「ああ。それと、俺が勝ったらデートするって事でよろしく」
「…………………ふえっ? 」
告げれた内容に、情けない声を出して固まる。理解が追いついておらず、追いついた所で、動揺のあまり顔が熱くなり、あたふたと慌てふためく。
「じゃあスタートで」
「えっ、あっ、ちょっ、待っ、ぎゃああああっ!! 」
当然その隙を逃す訳もなく、大量のお手玉が襲ってくる。回避する余裕もなく、結果は帝の勝利となった。
「ノ、ノーカンノーカン!この勝負は未確定!成立していないっ!不成立っ!ノーカウントっ!ノーカウントっ!ノーカウントなんだぁー! 」
「それ結局破滅してね? 」
「だ、だって!始める前に相手の動揺させるのは卑怯じゃない!? 」
「お前が言えた義理じゃないだろ。それに、俺は勝った際の内容を言っただけだし」
「だ、だとしても。デ、デデデ、デートって………」
気恥しさに呂律が回っておらず、視線も泳ぎまくっている。いやでも、急に言われたら動揺するって。誰だってビックリするって。
「それはまあ冗談として、詳しく言うなら飯作ってやるから買い物に付き合え、半額負担しろって事だ」
「…………ボクが動揺した姿を見て楽しかったかーーっ!? 」
「いやー、面白いもん見れたわ」
お手玉をひたすら帝に投げつけるも、荷物入れとして持ってきたダンボールで片付けついでに防がれる。
「満足したか?それで、何かリクエストあるか? 」
「……………じゃあ唐揚げ」
「あいよ。唐揚げメインとなると、他に何作るかなー………」
献立を考えながら、むくれつつも片付けをしている奏を横目で見る。
「状況的に、あながち間違ってもないんだけどな」
その手の耐性が0の幼なじみに、小さく溜め息を吐く。片付けを終え、2人で買い物を済ませたあとは、家で唐揚げを沢山揚げたのだった。