秋月 奏は勇者でない   作:結城 颯

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 暖かくなってきたこの頃、花粉が飛ぶこの頃、お久しぶりです。投稿遅くて申し訳ないです………不定期更新だからユルシテ…ユルシテ……

 今回のお話は、奏以外にも出す予定をしていたオリキャラの話です。多分これ以降出番は少ないです


9.帝もビックリ!!奏の爆発パワー!

「かな、ちょっといいか?」

 

「ん?おお、その声はもしや、我が友李徴ではないか」

 

「だーれが虎だ」

 

 手に持ってるノートを頭に置いてきた男は望月(もちづき) (みかど)。小学生からの友達で、よく奏の行動に振り回されてきた保護者的人物だ。

 その為か奏の両親とも仲が良く、無茶をしたら家族に連絡(みっこく)されるようになっている。解せぬ。

 

「それでは、虎を屏風(びょうぶ)から追い出してください。すぐに縛ってご覧にいれます」

 

「虎のくだりはいいんだっつーの」

 

「おおぅ、押しつけないでよ」

 

 ノートを顔に押し付けるように渡され、後退りながらも手に取って見ると、奏の使っていたノートだった。

 

「そういえばミカに貸してたっけ?忘れてた忘れてた」

 

「それで俺より成績良いのが腹立つわ………とりあえず、ノートサンキューな」

 

「うむ、良きにはからえ」

 

「何様だよ」

 

「殿様じゃ、ほっほっほっ」

 

「3回死んで2回生き返れ」

 

「それ1回足りなくないっ!? 」

 

「うっせい。それと、あー…………」

 

 歯切れが悪く、どこか気が向かないかのように顔を逸らす。その様子に首を傾げ、どうしたの?と聞くと、帝は頭を掻きながら目線を合わせる。

 

「………親御さんから伝言。気が向いたらでいいから、顔を見せに来いだとさ」

 

 告げられた言葉に、一瞬息を呑んで固まる。何故帝が言いにくそうにしていたのかを察し、自分でも困ったような笑みを浮かべているのが分かった。

 

「うん………気が向いたら、ね」

 

 煮え切らない返事をすると、帝はそっかと言うだけだった。さっきとは違い、気まずい空気が流れる。すると、帝は奏の頭に手を置き、おもむろに髪をクシャクシャにしてきた。

 

「ちょっ!?なにするのっ!? 」

 

「いや、何となく。うっわ、酷い髪型になってるぞ」

 

「ミカがしたんだよっ!?あーもうめちゃくちゃだよ!ユウちゃんか東郷さんにクシ借りてこよー! 」

 

「うっせい。行くならさっさと行ってこい」

 

「なんだよもうー!バーカバーカ! 」

 

「悪口のレパートリーが幼稚すぎだろ」

 

 手で行った行ったと振り払うと、奏はぶつくさ言いながら2人の元へと向かった。帝はその背中を見送り、目を細めて小さく呟く。

 

「………辛気臭い顔なんて、お前には似合わないんだよバーカ」

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 昼休み。ユウちゃんと東郷さんは勇者部の活動でいないため、久しぶりに1人の時間となった。流石に教室でぼっち飯は寂しいと思い、同じくぼっち飯をしていたミカの所へと襲撃する。

 

「へい大将、やってる? 」

 

「居酒屋か」

 

「まあまあ。お互いぼっち飯だし、たまには一緒にどう? 」

 

「いや、俺はソシャゲのスタミナ消費しながら食うから1人なだけだからな? 」

 

「うっわお行儀悪っ」

 

「うっせい」

 

 などと言いつつ、机のスペースを空けてくれる。このツンデレめと思いながらも口にせず、前の席の人から許可を貰い、椅子に座る。

 

「ところでミカよ」

 

「食べながら喋るのも行儀悪くね? 」

 

「細かい事はいいんだよ。それより、今回は追加キャラであるミカの話なんだけど、本人的にはどう思う? 」

 

「そうだな。まずメタ発言をやめろと思う」

 

「ボク的には『もはや原作関係無くない?』と思ったけど、そこを突っ込むのは野暮だと考え直したんだよね。そもそも予定してたし」

 

「話を広げなくていいからな? 」

 

「確かに急な登場な上に、久しぶりの更新。ついてこれる人も限られてくる。ただボクは言いたい。やったんですよ、必死に。その結果がこれな───あいたぁ! 」

 

「それ以上は言わせねーよ」

 

 デコピンにより台詞を遮られ、(ひたい)を擦りながらミカのスマホへと視線を向ける。ゲームのガチャ画面が表情されており、そこから操作しようとしていない。引くかどうか悩んでるといったところだろう。

 

 だから、奏は11連ガチャの項目を連続タップしたのだった。

 

「ちょおまっ、かな、おまっ!何してんだぁ!!? 」

 

「引かないで後悔するより、引いて後悔した方がいい!でも1番は、引いて後悔しない事だ!!だからボクは引いたっ!! 」

 

「このっ、おまっ、バーロー!それはお前のデータでやれ!!俺の2ヶ月分の石返せ!返せよっ!! 」

 

ひひや(いいや)っ!ひぇんかいだ(限界だ)おふね(押すね)っ!!」

 

 胸ぐらを掴んで揺らしてくるため呂律が回らず、帝は急な出来事に語彙力が飛んでいる。そんな状況でも、無情にガチャは回っていく。

 

はれ(あれ)ふぁんまふぁんま(タンマタンマ)にゃんかにふぃかてぇんひてない(なんか虹回転してない)? 」

 

「マジでっ!!? 」

 

 手を離され、2人して画面に食い入るように見届ける。演出が終わり、引いたキャラはビックアップされているものだった。その結果に信じられないという表情の帝に対し、凄いドヤ顔を見せつける。

 

「ふっふっふっ………さあ、褒めたまえ。称えたまえ。感謝に涙したまえ。これが施しの英雄である、秋月 奏の力である」

 

「これで爆死だったら全力でプララヤってたけど、特別免除してやる。むしろ感謝しろ」

 

「なんでさ!?せっかく当てたのに!? 」

 

「お前自分のデータで爆死しまくってんの知ってんだからなっ!?そんな運が悪い奴に引かせたくないわ! 」

 

「言ったな!?運ゲー最弱と自負してるけど、言ってはいけない事を言ったなっ!?よろしい、ならばクリークだ! 」

 

「情勢的に使いづらいネタはやめろ」

 

 ごもっともな意見に、流石に使うネタを間違えたと反省する。すまんかった。

 

「コホン。それより、何で勝負する?今度の小テストとか? 」

 

「それお前の得意教科だからやらんわ。そうだな………」

 

 考える素振りをしつつ、帝はこちらを見つめてくる。そして何か閃いたのか、口の端を僅かに釣り上げた。あっ、見たら分かるぅ!これ絶対馬鹿な事考えてるやつや!

 

 帝からの提案を聞き、その内容に呆れながらも承諾した。時間は放課後、場所は公園で行うことになった。

 

「それで今一度聞くけど、何でボク達は大量のお手玉を持ってるの? 」

 

「勝負内容に使うからだろ? 」

 

 ルールは実にシンプル。投げる側と避ける側に分かれ、お手玉を相手に当てた数を競うだけのものだ。お手玉なのは当たっても比較的痛くないためだ。

 

「何でそんなドラゴン○ールの修行みたいな内容にしたの? 」

 

「俺の反射神経も鍛えられるしで一石二鳥だから」

 

 家庭部所属である帝の言葉に、スーッと目を閉じる。絶対鍛える必要ないよね?跳ね返った油でも避けるの?やっぱり馬鹿だ。まともっぽいけど、やっぱり馬鹿だ。

 

「おい、今馬鹿にしただろ? 」

 

「してないでーす。それよりも、ボクが勝ったらご飯作ってよ。材料費そっち持ちで」

 

「唐突だな。なら罰ゲーム有りでやるか。俺が負けたらお前に飯を作る。勝ったら………まあ、思いついたら言うわ」

 

「よし、タダ飯ゲットだぜっ! 」

 

「既に勝った気でいやがるコイツ……」

 

 勝負開始(デュエルスタート)。まずは奏が投げる側、帝が避ける側だ。女子だからという事で近くから投げてもいいと言われたのだが…………。

 

「本当にこの距離でいいの?流石に近くない? 」

 

「大丈夫だ。いいから思いっきり投げてこい」

 

「試しに1つ投げるけど、考え直してもいいから、ねっ! 」

 

 そう言って全力で投げると、放たれたお手玉は帝の眼前まで迫る。予想外の速度だったのか驚愕の表情を浮かべるも、紙一重で避けられてしまう。

 

「………ちょっとタンマ。やっぱりもう少し離れてやってくれ」

 

「悟飯ちゃん大丈夫だべ? 」

 

「誰が悟飯だ。いや悟飯みたいになりたいけどさ」

 

「ミカじゃ無理だと思うよ」

 

「うっせい」

 

 距離を離し、仕切り直しする。流石に男の子というだけあるのか、連続で投げたり纏めて投げたりしても、同じく紙一重で避けられまくってしまう。

 このままでは勝てる可能性は低い。そう感じ、投げる手を1度止める。

 

「かな?どうしたんだ? 」

 

「………ねえミカ。ボクも悟飯のようになっていいかな?」

 

「は? 」

 

「ボクも、悟飯みたいに金髪になりたいんだよ」

 

「はっはっはっ。なってもいいけど、そいつはかなにはちょっとまだ無理………って、言わせんなバーロー」

 

「ノリツッコミありがとうからのじゃんけん死ねぇっ!! 」

 

「不意打ちフラガ○ックは卑怯だろうがっ!! 」

 

 全てのお手玉を同時に投げ切り、無事数発のヒットを確保した。ありがとう悟飯。ありがとうバ○ットさん。

 感謝の意を込めてガッツポーズを取り、攻守を交替する。

 

「もはや勝ったも当然ですね。風呂行ってくる」

 

「………」

 

「スルーは悲しいからつっこんでくれない? 」

 

 嘆きの言葉は届いてないようで、帝は何か作戦でも考えてるのか、お手玉をじっと見つめていた。

 

「ミカ?どうしたの?いくら悩んでも、W(ホワイト)ボールは投げれないと思うよ? 」

 

「もし投げられたら野球の道に進んでるわ。それより、とっとと始めよう」

 

「よしきた。さあ、どんと来なさい!」

 

「ああ。それと、俺が勝ったらデートするって事でよろしく」

 

「…………………ふえっ? 」

 

 告げれた内容に、情けない声を出して固まる。理解が追いついておらず、追いついた所で、動揺のあまり顔が熱くなり、あたふたと慌てふためく。

 

「じゃあスタートで」

 

「えっ、あっ、ちょっ、待っ、ぎゃああああっ!! 」

 

 当然その隙を逃す訳もなく、大量のお手玉が襲ってくる。回避する余裕もなく、結果は帝の勝利となった。

 

「ノ、ノーカンノーカン!この勝負は未確定!成立していないっ!不成立っ!ノーカウントっ!ノーカウントっ!ノーカウントなんだぁー! 」

 

「それ結局破滅してね? 」

 

「だ、だって!始める前に相手の動揺させるのは卑怯じゃない!? 」

 

「お前が言えた義理じゃないだろ。それに、俺は勝った際の内容を言っただけだし」

 

「だ、だとしても。デ、デデデ、デートって………」

 

 気恥しさに呂律が回っておらず、視線も泳ぎまくっている。いやでも、急に言われたら動揺するって。誰だってビックリするって。

 

「それはまあ冗談として、詳しく言うなら飯作ってやるから買い物に付き合え、半額負担しろって事だ」

 

「…………ボクが動揺した姿を見て楽しかったかーーっ!? 」

 

「いやー、面白いもん見れたわ」

 

 お手玉をひたすら帝に投げつけるも、荷物入れとして持ってきたダンボールで片付けついでに防がれる。

 

「満足したか?それで、何かリクエストあるか? 」

 

「……………じゃあ唐揚げ」

 

「あいよ。唐揚げメインとなると、他に何作るかなー………」

 

 献立を考えながら、むくれつつも片付けをしている奏を横目で見る。

 

「状況的に、あながち間違ってもないんだけどな」

 

 その手の耐性が0の幼なじみに、小さく溜め息を吐く。片付けを終え、2人で買い物を済ませたあとは、家で唐揚げを沢山揚げたのだった。

 

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