秋月 奏は勇者でない   作:結城 颯

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 今回はこうがさんの作品「鷹月夕矢は想い続ける」とコラボさせて頂くことになりました。知らないという方は、私のお気に入り作品から飛んでいけるので、興味があれば是非読んでみてください。

なお、サブタイはこうがさんのリクでした。確信犯ですねこれは


MELTY BL○○D TYPE ASAHI★

 むかーしむかしあるところに。それはそれは明るく元気な少女がいました。

 

「今日っのごっはんは、かっらあっげ弁っ当〜♪」

 

 スーパーの袋をハヤテ号の籠に入れ、それを駆る元気な少女。珍しく残っていた唐揚げ弁当に、心を踊らせながら帰宅路を走っていました。

 

 少女は公園の道を通ろうとしました。すると、公園の近くの道端に、それはそれは綺麗な青髪ポニテの女性が、どんぶらこっこどんぶらこっこと、這いずる様に流れてきたのです。

 

 

 

「ちょっと待ちなさいっ!どういう状況よそれ!? 」

「どうしたのリンちゃん? 」

「どうしたの、じゃないわよ!どこに持っていきたいのよその話!? 」

「実際這いずって来たんだから仕方ないよ」

「這いずって来ないわよ普通っ!? 」

「いや、確かにあれにはボクもビックリしたよ。警察か救急車を呼ぶか迷ったもん」

「そりゃそうでしょ………え、なに?その話、ついていかなきゃいけないの? 」

「─────ついてこれるか? 」

「…………ちょっと待ちなさない。1回頭の中整理するから」

「スルーされちゃったよー」

「まあまあかなちゃん。それでどうなったの? 」

 

 

 

 少女は戸惑いながらも、大丈夫ですか?と女性に声をかけました。すると、女性はボソボソと何か喋りました。上手く聞き取れなかったですが、意識はあると安心し、なんて言ったか聞き返しました。

 

「お、お腹……減った………」

 

 

 

「行き倒れかいっ! 」

「お腹減って動けなくなる、分かるよその気持ち」

「前にユウちゃんも大変だったもんねー」

 

 

 

 少女は困惑しながらも、空腹で動けなくなったと判断しました。なので、女性を2つに割ると、中から元気な──「割るなーっ!!!」

「─────(数秒の沈黙)」

「スゥ─────

割 る なーーーっ!!!!」

「………少女は言いました。おお、なんて可愛らしい赤ん坊なんだと」

「もういいわよ!そんなべるぜ○ブみたいな展開、誰もついてこれないわよ! 」

「大丈夫大丈夫。割ってもないし、魔王の赤ん坊もいないよ」

「それで、奏ちゃんは実際どうしたのかしら?」

 

 

 

 少女は困惑しながらも、手持ちの唐揚げ弁当を差し出しました。その匂いに気づき、女性は顔を上げてこちらを見てきました。

 

「えっと、良かったら食べます? 」

 

「い、いいの!?今の私、お腹の減り方尋常じゃないし!最悪、その手に持ってる唐揚げ弁当の全てを食い漁ってしまう可能性があるけど(ぐぅぅ〜)……はぅ、ごふ」

 

「全然いいですよ。困ったらお互い様だってばよ! 」

 

「あ、ありがとう〜! 」

 

 公園のベンチに移動し、弁当を食べてもらいました。その間、少女は自販機で飲み物を買い、女性の元へと戻りました。

 

「ご馳走様でした!いやー、助かったわ! 」

 

「もう食べ終わった!? 」

 

 風先輩の如く平らげた事に驚きながらも、女性にお茶を差し出し、隣に座りました。少女はお腹に何か入れておこうと買ったコンポタを飲み、一息つきました。

 

「本当にありがとう、お嬢ちゃん!あのまま行き倒れになるかと思ったわ」

 

「既に行き倒れになってたと思うんですけど………えっと」

 

「朝緋よ。お嬢ちゃんは? 」

 

「秋月 奏────探偵さ」

 

「あっ、確かコ○ンの台詞ね。平成のシャーロック・ホームズになれなかったやつ」

 

「やめて朝緋さん!新○のライフはもう0よ! 」

 

「年号が変わったのが行けなかったわねー」

 

 

 

「本題に入るかと思ったら、脱線していってるじゃない! 」

「これが意外と盛り上がっちゃったんだよ」

「ツッコミが不在だから、そのまま伸びていったのね」

「それで、その人は何で倒れてたの? 」

「それがねー」

 

 

 

「暇だから少し遠出して買い物しつつお昼も食べようと思ったけど、電車の中にバッグを忘れてしまい、しかもそれに気づいたのがさっきだから、空腹に見舞われ力が入らず倒れてたと? 」

 

「そうなの。うっかりしてたとはいえ、危うく死ぬところだったわ。おかげで帰りもどうしたものか」

 

「うーん………もしかしたら忘れ物センターにバックが届けられてるかもしれませんし、1度駅に戻るのはどうです? 」

 

「あっ、それもそうね。それじゃあ、早速行こうかしら。お世話になったわね奏ちゃん」

 

「いえ。せっかくだから、最後まで付き合いますよ。なんか心配なので………

 

「そう?なら道中のお話し相手になって貰おうかしら。実はうろ覚えでしか道が分かってないのよ」

 

 

 

「とまあ、色々ありながらもその人を駅まで送ったんだよね」

「天然にも程があるおっちょこちょいね……」

「でもすっごい綺麗な人だったよ。物腰柔らかというか、お淑やかというか、なんか大人のお姉さんって感じだったなー」

「そうなんだー。その人は無事に帰れたの? 」

「やっぱり駅にバッグが届けられていたから、無事帰れたっぽいよ」

 

 良かった良かったと話が終わるが、奏は道中の話をしていない。いや、しないでおこうと思ったのだ。

 

 ここからは、ただの記憶の振り返り。道中に朝緋と何があったのか、奏はお茶を飲みながら1人思い出すのだった。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

「えっ!?子供がいるんですかっ!? 」

 

 お姉さんだと思ってたら、実は1人の母親という事に驚く。いやだって、滅茶苦茶若いんだもん。大学生と勘違いするぐらい若いんだもん。

 

「そうなの〜。これが頼もしくて可愛い息子で。そうね、ちょうど奏ちゃんと同い年ぐらいよ」

 

「ほへ〜。そしてまさかの同い年ですか」

 

「そうよ〜。それにお嫁さんもいるのよ」

 

「およ、お嫁さんっ!!?既に結婚してるのっ!!? 」

 

「あっ、ごめんごめん。お嫁さんは言葉のアヤね。でも、もうお嫁さんみたいなものよ。小さい頃から仲良しだし、息子もその子の事が超を越えるぐらい大好きだし。私の予想じゃ秒読みよ秒読み」

 

「ええ………」

 

 親バカを遺憾無く発揮している朝緋さんに困惑しながらも、本当に嬉しそうに話している姿に、釣られて笑みを浮かべる。

 

 実際相手はどうなんだろう?と思うが、振り回されたりして大変そうな姿が想像出来る。でも、この様子じゃ満更でもなさそうな気もしなくもない。

 

「ところで、奏ちゃんは好きな人とかいないの? 」

 

「っい、いませんよ! 」

 

 不意を突くような急な質問に、慌てふためきながら答える。しかし、その反応がいけなかった。朝緋は新しい玩具を見つけた子供のように、目を輝かせていた。

 

「あら〜。可愛い反応ね。ねね?実際の所どうなの?好きとまではいかなくても、気になる子とかいないの? 」

 

「いませんいませんっ! 」

 

「じゃあ好みのタイプとかは?優しい人〜とか、たくましい人〜とか」

 

「無いです無いですっ! 」

 

「じゃあじゃあ、理想な人とかは?こんな感じの人がいればいいな〜とか」

 

「無いですって!そういう話はボクにはよく分からないので、この辺にしてくださいっ! 」

 

「あらあらまあまあ。照れちゃって可愛いわね〜」

 

「からかわらないでください……! 」

 

 恥ずかしさでむくれる奏に、朝緋はごめんごめんと謝る。

 

「でも、恋は良いわよ〜。いつか奏ちゃんにも、素敵な人が現れるといいわね」

 

「うー………」

 

 人の恋愛話を聞いたり話したりするのは好きだが、縁が無いためか、その手の話題を自分に振られるのはだいぶ………いや、滅茶苦茶気恥しい。

 

「もうっ。いいから行きますよ」

 

 逃げるように自然と早歩きすると、余所見してたせいで誰かと顔面からぶつかる。

 

「おうっ、ごめんなさ──」

 

「……なんだぁ?このチビは」

 

 地味に痛い鼻を抑えながら見上げると、いかつい顔をしたお兄さ……おじさん?どっちだろう、多分おじさんとぶつかちゃったヨ。いや素直にやばいかも。

 

 それにしてもなんだろう、この2人。なーんか似てるキャラをどっかでみた気が………なんだったっけかなぁ。

 

「兄貴にぶつかるなんて、いい度胸してんなぁ、ガキ」

 

「あ、いや、そのですね」

 

「言い訳は結構、この俺様にぶつかった事、後悔させてやるぜ?ガキンチョ」

 

 屈強な大男さんが、こちらに殴りかかってくる。あ、これ……死ぬ………(ジャガー感)

 

「ちょーっと待った」

 

「あ?」

 

「オイタが過ぎるわよ、お兄さん方。こんなに可愛い美少女捕まえて……暴力でもふろうってんなら、私が相手になるけど?」

 

 そこに割って入ったのは、朝緋さん。明らかに重そうな一撃を片手で難なく受け止める姿が目に入る。

 

「どいとけ、姉ちゃん。それ以上邪魔するなら怪我するぜ?」

 

「どうぞどうぞ。私は反撃する気一切ないから、お好きにかかってきていいわよ?」

 

「……後悔するんじゃねえぞ」

 

 大男さんの目つきが変わる。後ろにいた取り巻きみたいなやつもニヤニヤしてるし、あれは、うん、ちょっとやばい………本気で手加減しない気だ。

 

「あ、朝緋さん!?流石に危な───」

 

「大丈夫大丈夫、私、最強だから」

 

「五○先生っ!? 」

 

 ニヤッと口の端を釣り上げ、そう言った朝緋さん。それが合図かのように、大男は動き出す。

 

 結論から言いますと言葉通り、そのお姉さんは『最強』でした。すごい勢いで殴り掛かってくる大男さんの攻撃を、全部捌き切り、挙げ句の果てには「もっと本気でやって欲しいなぁ〜」と煽る始末。頭に血が上った大男さんは取り巻きも呼んで、殴り掛かったものの結果は………。

 

「ふぁ〜、もういい?そろそろ帰りたいんだけど」

 

「まだ……ぜぇ…ふぅ…やれ、おぇ…」

 

「兄、き…、もう、む…むりぃです、俺」

 

 意気消沈としているお兄さん方を見つつ、考える。似ていたキャラ……うーん。

 

「あっ! 」

 

「急にどしたの、奏ちゃん?」

 

「思い出した!ドラゴン○ールのヤ○ーとスポポ○ッチだ!いやー、これでモヤモヤが晴れる……スッキリした〜」

 

「…?あ、あーなるほど分かる分かる。こう、いい感じの小物感とかそっくりよね」

 

 緊張感、そんなものボク達には必要ない!というより、朝緋さんが一緒にいるお陰かもしれない。この人ならなんとかしてくれる、という謎の安心感が出ている。

 

「…な、なんだ、この女の強さ…化け物じゃねえか…一体何もんだ、あんた」

 

「あ、兄貴!もしかして、この姐さん…噂の青髪の壊し屋じゃ…!?」

 

「何その、色んな星に神聖樹の実を植え付けては回ってる軍団のボスの異名っぽいやつ」

 

 初耳なんですけど?と困ったような表情を浮かべる朝緋さん。………朝緋さんはター○スだった?

 

「私の名は朝緋、お兄さん達、私と一緒に来る気はないか?」

 

 さっきまで困ってた割には楽しんでるよね、朝緋さん。わざわざ声のトーンまで落として真似てるし。

 

「四国を気ままにさすらって、つるやのうどんを食べ、可愛い息子の笑顔を見る…こんなに楽しい生活はないぜぇ?」

 

「「いや、普通に遠慮しときます」」

 

「あっそう?じゃあ、まぁ…とりあえず、全力で奏ちゃんに謝ってもらってもいい?(修羅)」

 

 手をバキバキ鳴らしつつ鬼の形相を向けてくる朝緋さんに対して、何も出来なくなったお兄さん達はボクに対して土下座をした。

 

 なんというか……うん、逆にごめんね、お兄さん達。

 

「二度と悪さするんじゃないわよー!今度やったら破壊っ!するからねぇ〜」

 

「落ち着いてください、朝緋様」

 

「ふふん、だんだん私の事わかってきたわね?奏ちゃん」

 

 さてとっ、と腕を伸ばし、もう大丈夫と安心させるように、微笑みかけてくる。

 

「一悶着あったけど、行きましょうか。駅はこっちよね? 」

 

「えっ、あ、はい!じゃあ、行きましょう! 」

 

 どこか懐かしさを感じながら、朝緋さんと駅に向かう。何故そう感じたのかは分からなかったが、思い出すように理由が分かった。

 1人暮らしをしてからあまり見なくなった、両親の笑顔。その笑顔と、同じ感じだったのだ。落ち着くような、安心するような、そんな感じの微笑み。

 

 駅に向かう最中、色んな話をした。朝緋さんの息子さんの事、そのお嫁さん………もといお相手さんの話。趣味の話や、何でそんなに強いのか、何か武道でもやってたのか。

 良かったら軽く稽古でもしてみる?と言われて公園に寄り道したが、馬鹿みたいに強い。すぐにぶん投げられて地面に転がっていた。しかも、奏が怪我をしないように投げられていたらしい。凄い(小並感)

 

 区切りをついた所で、砂埃や汚れを落として再び駅に向かう。今日は何を買いに来ていたのか。好きな物、苦手な物はなにか………ちょくちょく奏の好みの話に戻されるが、その度に反応する奏を見て、朝緋さんは楽しそうに笑っていた。

 

 そして、話題として勿論────

 

「へ〜勇者部、そこには奏ちゃんのお友達がいるの?」

 

「はい、皆とっても良い子達で……一緒にいていつも楽しいし、心が……その、ほっこりするというか」

 

「……」

 

 さっきまで横に歩いていた筈の朝緋さんが立ち止まった。気になって振り返ると、その目はボクの顔をジッと見つめている。

 

「…朝緋さん?」

 

「あ、ごめんね。奏ちゃんがあんまりにも良い顔してるもんだから見惚れちゃって」

 

「おっと、その手は食いませんよ。ボクを照れさせようとしたってそうは」

 

 その言葉に、朝緋さんは首を振る。

 

「ううん、からかってないよ。これは本心。勇者部の子達の事を話してる時の奏ちゃん、本当に良い顔してるわ」

 

 こちらに歩み寄り、優しく頭を撫でてくれる。その姿は、まるで……。

 

「貴女はそのまま真っ直ぐ生きなさい。いつまでも、その気持ちを、その顔を…忘れないように。それを忘れない限り、きっと貴女は今まで以上に素敵な女の子になるから」

 

 どこまでも優しい表情を浮かべながら、朝緋さんは微笑んだ。

 

 どうしてか目頭が熱くなるのを感じたが、それを打ち消すように、釣られて微笑んだ。

 

「ありゃ、いつの間にか駅まで着いちゃってたわね」

 

「本当だ……それじゃあ、ここでお別れですね」

 

「そうね、うん!ありがと、奏ちゃん!すっごい楽しかったわ! 」

 

「ボクもですよ、朝緋さん。こちらこそありがとうございました」

 

 いいのいいの、とニコニコ笑いながら言う朝緋さん。直後、何かを思い出したかのようにバッグを開け始めた。

 

「忘れ物があったわ、ごめんね奏ちゃん……コホン……この中に三つのポ○モンボールがあるじゃろう?」

 

「え、急なポケ○ンネタ!? 」

 

「この中には私の電話番号と私の電話番号、そして私の電話番号が入っておる。さぁ、どれか一つを選ぶが良い」

 

「実質一択!?!? 」

 

 良い話で終わりそうだったのにやっぱり終わらなかった!流石、朝緋さんと言った所か……。

 

「もし困った事とかあったらいつでも私に電話してね。例え、火の中でも水の中でも、一万と二千年先の未来であっても、駆けつけるからさ」

 

 そう言って、青髪を靡かせながら朝緋さんはまた笑った。ちょっと変だけど、やっぱり優しい良い人………ん?

 

 あれ?なんで、急に体操し始めて……あれ?

 

「朝緋さん?あの、電車出ちゃったけど…?」

 

「あー、知ってる知ってる。だってあえて乗らなかったのもの」

 

「……それは、なぜ?」

 

「いやー、なんか体あったまっちゃてるし走って帰ろうかなって!」

 

「えっ!?走るって!?え?」

 

「よーし!行っちゃうわよー!」

 

 戸惑っている奏を他所に、朝緋さんはマジで走り出した。しかも、電車といい勝負してる。

 

「…あはは、本当にすごい人だったな」

 

 それが、ボクと鷹月 朝緋さんの最初の出会い。ちょっと不思議で変だけど、どこか優しくて温かい…とっても強い女性との出会いのお話だったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わりよければ全て良しってね。また、会いましょう。秋月 奏ちゃん」




 交換し合いながら書いたのですが、書きたいものが書けたという感じで、お互い満足いくものでした。
 改めて、この場をお借りして感謝の意を伝えさせて貰います。こうがさん、コラボして頂きありがとうございました。
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