『いいかい奏?男には守らなければならない約束ってものがあるんだよ』
「ばっちゃん、ボクは女の子なんだけど」
『だから、ばっちゃんと男の約束しておくれ』
「え、スルー?ゲ〇スルーなの? 」
『ちゃんとした飯を食うんだ、そんなんじゃ大きくなれんよ』
「急にお説教!?文脈がおかしいよ!? 」
『奏─────最後に言わせておくれ』
「えぇ………どうしたの? 」
『レモン1個に含まれるビタミンCは………レモン1個分だよ』
そこで視界は急に暗転。意識が戻ると、見慣れた天井と、耳障りのベルの音が鳴り響いていた。
「夢にしては滅茶苦茶だよ………ばっちゃん」
呆れながら目覚まし時計へと視線を向けると、時刻は7時半を指していた。やれやれだぜと溜息を吐き、目を擦って何回も見直すが、現実は非常。残酷に時を刻むだけだった。
「2話連続で同じスタートとか、お話としてどうなのかなぁ!? 」
涙目になりながら着替えと支度を済ませ、躍動を感じながら走り出したのだ。その理由が、例えどんなにくだらなくても────。
「それで、今日の原因はなんなのかしら? 」
「今回は違うんだよ東郷さん。ゲームをしていたとか昼寝をしていたとかじゃない。健全な理由。変な夢を見たせいで遅れたんだよ」
「寝坊の時点で健全じゃないと思うのだけど」
「へー、どんな夢だったの? 」
「よく聞いてくれたユウちゃんよ。それがカクカクシカジカ四角いムーヴで……」
説明をするも、首を傾げてハテナを浮かべている。分かるよその気持ち。ボクも何言ってるか分からないもの。
「それはまた奇妙な夢ね……」
「レモン1個に含まれるビタミンCって、レモン1個分だったの!? 」
「いや、実の所、それにはいくつかの説があるんだよ。ある説では5個分とも言われてるし、1個分とも言われてる。一概に何個分と言っていいか分からないんだ。ただ、食品業界の基準20mgから何個分って算出してるのは確かだよ」
「おおー、詳しいねかなちゃん!レモン博士だ! 」
「ガオー、レモン博士だー!喰らえ、レモンビーム! 」
「きゃー!目に染みるー! 」
腕を十字にしてウル〇ラマンの光線みたいに叫ぶと、ユウちゃんは両目を抑える仕草をしながら東郷さんの後ろへと逃げていく。
突然の遊びでも、こうして乗ってくれるユウちゃんだが、東郷さんはというと………。
「助けて、東郷さーん! 」
「友奈ちゃん………ええ、任せて!
ユウちゃんが絡むと、結構乗ってくれる。しかもやるからには徹底的に。役者魂を───いや、国防魂を感じるよ。
「出たな国防の戦士!積年の恨み、ここで晴らさせてもらうぞ!喰らうがいい!レモンビーム! 」
「なんの!牛乳防壁! 」
「ダ、ダニィ!?ビームが通らないどころか、防壁で固まっていくだと!? 」
α波でも出そうな謎の動きで防がれ、驚愕する。
「甘いわね。牛乳に含まれる成分は、檸檬の成分を凝固するものが含まれているのよ!反撃主砲、凝固弾、撃ぇーーーっ! 」
「そ、そんな………ぶるぁぁぁぁぁっ! 」
カルシウムとペクチンにより凝固した砲弾を喰らい、レモン博士は地に伏したのだった。
「国防、完了っ! 」
「流石東郷さん!かっこいー! 」
手を組み合い、2人はキャッキャッキャッキャッと微笑ましい光景を繰り広げていた。
制服に付いた埃を払いながら立ち上がり、その様子を見ていた奏は2人に抱き着く。一瞬困惑されるが、ユウちゃんもギューっと抱きつき返し、東郷さんも満更どころか満面の笑みを浮かべていた。
出来るなら、このまま楽しい時間が、ずっと続きますように。心の底からそう願いながら、強く抱き締めるのだった。
何を書いてるんだこの作者は?と思う方が居るかもしれませんが、私も何を書いてるんだこの作者は?と思っています