青い空。白い雲。そして輝く太陽。そんな絶好な天気日和の下、自宅の中庭で軍手を着けている、元気な白髪の少女は誰でしょう?
「そう、ボクです! 」
「かなちゃーん。これ何処に置いとけばいいの? 」
「あっ、そこに置いといてー」
ベランダから声をかけるユウちゃんは、同じく軍手を着けて段ボールを運んでいた。
ホワイダニット。何故ユウちゃんが掃除をしているのか。単純明快。勇者部の活動で、中庭にある物置と家の中の物置部屋の整理整頓を手伝って貰っているのだ。
東郷さんも来ているのだが、車椅子では限界もあるのでユウちゃんのサポートをお願いしている。
「物置部屋、工具や部品や機械とかでいっぱいだね」
「もはや物置部屋でなく、工作室みたいになってたけどね。奏ちゃん、備品とかの細かいものを仕分けしておくけど、大丈夫? 」
「お願いするよ。こっちも物置の整理が終わったら、そっちの方に行くから」
「ラジャー!かなちゃんも気をつけてね」
「ユウちゃんも東郷さんも気をつけてね。ノコギリとか刃物関係もあるから」
「本当に工作室みたいね……」
2人が物置部屋へと向かった所で、覚悟と気合いを入れる様に、手に拳を打ち付ける。
前回物置を開けた瞬間、地震か何かでバランスを崩していたのか、大量のガラクタが奏を呑み込んだのだ。もはや1種の魔境である。
「今回はヘルメットも被ったし、多分大丈夫なはず………安全防具、ヨシっ! 」
某猫の指差呼称をし、いざ参らんと扉を勢いよく開ける。そう、勢いよく開けてしまったのだ。衝撃で揺れたガラクタは崩れ落ち、そのまま奏を呑み込んでいったのだった。
「ぎゃあああああああああっ!!! 」
よくよく考えたら、ヘルメットの意味を成さない事に呑み込まれながら気づく。いったい何を見てヨシって言ったんですか!?
「凄い音と声が聞こえたけど、かなちゃん大丈夫っ!? 」
「こ、これは………!さながら雪崩に呑まれた遭難者ね」
駆けつけてきた2人は、あまりの惨状に驚愕する。奏はガラクタの下敷きになり、辛うじて頭と両腕が出ている状態だった。
「待っててかなちゃん!今助けるからっ! 」
「私は救急箱を取ってくるわ。気をつけてね友奈ちゃん」
「お、お願いぃ………」
ガラクタの重さでまともに身動きが取れず、涙目になりながら救助を懇願する。
「まずはこれをどかさないとね。かなちゃん、ちょっと時間がかかるけど、もう少しの辛抱だからね」
「ありがとうぅ……ユウちゃんも気をつけてね」
二次災害にならないように、上から少しずつ運んでいく。戻ってきた東郷さんも加勢しようとしたが、車椅子だと危ないから私がやるよと、ユウちゃん1人で受け持つ事になった。
「それにしても、見た事あるものや変わった物があるわね」
「何かの像にコケシ、大量の鉄パイプや、美術の授業で見た気がする絨毯とかもあったよー」
「親から物置に置いてと頼まれた物や失敗作とか置いてるんだけど、中に何があるかはボクも把握してないんだ」
「だから整理整頓を手伝って欲しいって言ってたんだ。重たい物を運ぶなら私にお任せあれっ、だよ! 」
「でも、既にボクの救助で運んで貰ってるけどねー」
何気なく会話をしているが、奏は未だ下敷きで、ユウちゃんは運搬作業をし続けている。その事に対し、確かにーと2人は声に出して笑う。
「笑ってる場合じゃないわよ。何故こうなったのか、あとで説明して貰うからね? 」
「はい」
それから暫くして身動きが取れるようになり、ガラクタの山から抜け出す。身体の軽さと自由に動ける喜びに、頭上に両手を掲げる。
「日本人よっ!!ボクは帰ってきたっ!! 」
「反逆でもするのかしら……」
「それよりかなちゃん、怪我とか大丈夫? 」
「大丈夫!そしてありがとう、心の友よっ!! 」
「どういたしまして! 」
ボケをスルーされたのか伝わってないのか分からないが、ユウちゃんも親愛のハグをする。背中から悪寒と怖い視線を感じたので、すぐに離れたけど。
「それで奏ちゃん。いったいどうしてこうなったのかしら? 」
「………カクカクシカジカ四角いムーヴでして」
震え声で返事をして説明をすると、呆れた様に大きな溜め息を吐かれる。
「魔境というのはこの惨状で見て分かるけど、奏ちゃんは少し落ち着いて行動したら?また今回みたいに怪我をするわよ? 」
「はーい。でも、運良く今回も怪我してないよ?」
「あらそう? 」
意味深な笑みを浮かべて指を鳴らすと、ユウちゃんが失礼と体をまさぐってくる。
「えっ、ひゃあ!?ちょっユウちゃん!?まさか、乱暴するつもり!?漫画みたいに!漫画みた────痛っ! 」
抵抗していると、脚の至る所から痛みを感じる。さっきまでは気にしなかったのだが、意識し始めた途端、どんどん痛みが増してくる。アドレナリン分泌って凄い。
「隊長っ!脚に痣が出来ておりますっ! 」
「やはりね。では怪我人を至急リビングへ運ぶべし! 」
「ラジャー! 」
おんぶではなくお姫様抱っこで持ち上げられ、驚きのあまり硬直する。
「大丈夫。あとは私達に任せて、ゆっくり休んでてね」
「やだ………優しかっこいい……」
リビングの椅子に座らされ、冷却材で痣になっている所を冷やす。絶対安静にしなさいと釘を刺され、東郷さんは物置部屋。ユウちゃんは物置への分かれて作業する事になった。
「ユウちゃん。怪我だけは本当に気をつけてね? 」
「うん、分かったよ!でもどうする? 」
「ひとまず段ボールに入りそうな物は段ボールに入れて、入らない物はリビングの端に置いてもらってもいい? 」
怪我をした為、物置の整理整頓は諦める。外に流れたガラクタをへたに物置に戻したら、次の時に、今回の二の舞になるかもしれない。一時的にリビングに纏めた方がいいだろう。
既に二の舞で怪我をしてないかって?
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/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
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/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
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/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
「えっほ、えっほ」
纏めた段ボールや大きい荷物を運搬しているユウちゃんを見守っていると、流石に何か出来る事はないかと考える。
加勢すると東郷さんの雷が落ちるし、かと言って東郷さんの所に行くと、ユウちゃん1人だと分からない物もいっぱいあるし………。
「そうだ、アレがあった!ユウちゃん!動きっぱなしだし、戻って来るまで休憩してて! 」
「えっ!?かなちゃん!? 」
部屋の奥へと消えた奏に、困惑しながらも作業の手を止める。今度はユウちゃんがどうしようかなと、温かいお日様で日向ぼっこをしていると、家の中から甘い匂いがしてきた。
「いい匂い………」
空腹感を感じ、匂いに釣られて台所へと向かう。そこにはエプロン姿の奏が料理をしていた。
「わあ!パンケーキだっ! 」
「何か匂いがすると思ったら、洋菓子を焼いていたのね」
「よく来たね2人共。お昼もまだだったし、疲労には甘い物!秋月 奏特製のパンケーキをご馳走するよっ! 」
「わーい!じゃあ手を洗ってくるねー! 」
「絶対安静と言ったのに………でも、お言葉に甘えるわ。手伝いとかいる? 」
「大丈夫!東郷さんも手を洗ってきていいよ。もうすぐ出来上がるから」
「了解。じゃあ行ってくるわ」
2人が手を洗いに行ってる間にパンケーキを焼き終え、チョコにマヨネーズに蜂蜜、餡子に生クリームにバターに苺とかを用意する。アイスは溶ける為、直前まで冷凍庫に入れたままだ。
「結城 友奈、東郷さんと共に戻ってきましたー! 」
「本当にすぐに焼き終わってるわね。ところで、なんでマヨネーズ? 」
「意外といけるんだよね」
「戻してきなさい」
「はーい。あっ、アイスいるー? 」
「いるー! 」
マヨネーズと入れ替わるようにアイスを運び、食卓に座る。
「それじゃあ、全ての食材に感謝を込めて───」
「「「いただきます」」」
合掌し、食事につく。食べ終えたあとは洗い物を済まし、作業の再開をするのだった。
秋月 奏特製パンケーキ
・市販のホットケーキミックス
・カルピスゼリー(カルピスでも可能だと思うが、作者はゼリーでやった)
作り方
1.ホットケーキミックスの生地を作る際、牛乳や水でなく、カルピスで代用する(出来上がりがふわふわする)
2.焼き目は通常のものより色素が薄いので、焼き過ぎに注意する
3.お好みでトッピングして完成
友達に食べさせたら、滅茶苦茶好評でした