秋月 奏は勇者でない   作:結城 颯

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今回は「結城友奈は勇者部所属」に出てくる人物が出てきますが、読んでない方にも分かる仕様でございます。

なぜなら、名前が無いのである。無いのだが、2巻3巻と出てくるのである。


6.勇者部はうどんである

「秋月 奏っ!ここに復活(リ・ボーン)っ! 」

 

 早朝学校にて、扉を勢いよく開けて教室に入る。寝坊しなければ来るのは早いのだ。寝坊しなければ。

 

「おはよう奏ちゃん。朝から元気ね」

 

「おっはよー。脚はもう大丈夫なの? 」

 

「おはよー。おかげさまで痛みは引いたよ。そっちも、保育園の人形劇はどうだった? 」

 

「大成功だったよ!子供達も喜んでくれたし、大盛り上がりっ! 」

 

「友奈ちゃんのアドリブもよかったわ。園児達も喜んでくれたもの」

 

「アドリブかー………でも、楽しそうで良かったよ」

 

 アドリブに翻弄される風先輩の姿を想像し、心の中でお疲れ様ですと合掌する。何故かホント大変だったわよと返答が返ってきた気がした。

 

「うん、楽しかったよ」

 

「そうね。次も成功させなきゃ」

 

「その時はボクも見学に行こうかなー。どんな内容か気になるし」

 

 新聞部の記事作りも落ち着いた所だが、またネタ集めをしなければならない。そういう意味では、勇者部は面白い事ばかりでユニークな人達の集まりだ。見ても聞いても飽きはしない。

 

 いや、奇人と変人が巣窟する美術部もいいなと考えていると、始業のチャイムが鳴る。結局予定が決まる事は無く、そのまま平穏な1日を過ごすのだった。

 

 そして放課後。やる事も思いつかなかったので、新聞部の部室の前に訪れる。

 

「待ちに待った時が来たのだ!多くの英霊が無駄死にで無かったことの証の為に………再びジ○ンの理想を掲げる為に!星の屑成就のために!ソロモンよっ!!ボクは帰ってきたっ!!! 」

 

 前口上を言いながら、いつものように扉を勢いよく開ける。しかし、扉がぶつかる音は聞こえず、代わりにちょうど1人分入れるぐらいの隙間で扉は止まる。

 

「甘いよかなやーん。せめてソロモンの所から始めるべきや」

 

「部長、ツッコむ所が違うっす」

 

「くっ!ではテイク2をやってきますね! 」

 

「やんなくていいっすよ」

 

 新聞部部長と副部長に招かれ、部室へと入る。何かの集計をしてたのか、机の上には山ほどのプリントが置かれていた。

 

「この前配られたアンケートのやつですね。手伝いますよ」

 

「ありがとうねー。かなやんも記事の方はどう? 」

 

「ほぼほぼ終わった所です。今回は勇者部関連ですよ」

 

「風やんの所はおもろいし、かなやんの記事も良く出来てるからなー。期待してるで」

 

「えへへー。でも部長達には敵いませんよー」

 

 だってこのアンケート。内容が「勇者部といえば?」で、回答がうどん、うどん、女子力、うどん、ボランティア、うどん。うどんばっかりだもん。

 

「勇者部といえば、うどんみたいな所があるからなぁ」

 

「もはやうどん部でいいんじゃないっすか? 」

 

「部長!副部長!うどんが食べたくなってきましたっ!」

 

 うどんの話題ばかりで、お腹が空いてきた。仕方ないよ、香川県民だもん。みんなそうだもん。

 

「ほなさっさと片付けて、うどんでも食べに行くかー。奢ったるわ」

 

「わーい!部長大好きー! 」

 

「ゴチになりまーす! 」

 

「現金やなぁ君ら………」

 

 集計はほぼ9割がうどんという、驚異の結果を出して終了した。勇者部から何か言われそうだが、間違ってはない。間違ってはないから、ボクは何も考えず、部長に奢ってもらったうどんを啜ったのだった。




新聞部の部長と副部長の名前が決まらなかったので、決まったら今後出てくる際に出します。結城友奈は勇者部所属1〜3巻、好評発売中です

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