なぜなら、名前が無いのである。無いのだが、2巻3巻と出てくるのである。
「秋月 奏っ!ここに
早朝学校にて、扉を勢いよく開けて教室に入る。寝坊しなければ来るのは早いのだ。寝坊しなければ。
「おはよう奏ちゃん。朝から元気ね」
「おっはよー。脚はもう大丈夫なの? 」
「おはよー。おかげさまで痛みは引いたよ。そっちも、保育園の人形劇はどうだった? 」
「大成功だったよ!子供達も喜んでくれたし、大盛り上がりっ! 」
「友奈ちゃんのアドリブもよかったわ。園児達も喜んでくれたもの」
「アドリブかー………でも、楽しそうで良かったよ」
アドリブに翻弄される風先輩の姿を想像し、心の中でお疲れ様ですと合掌する。何故かホント大変だったわよと返答が返ってきた気がした。
「うん、楽しかったよ」
「そうね。次も成功させなきゃ」
「その時はボクも見学に行こうかなー。どんな内容か気になるし」
新聞部の記事作りも落ち着いた所だが、またネタ集めをしなければならない。そういう意味では、勇者部は面白い事ばかりでユニークな人達の集まりだ。見ても聞いても飽きはしない。
いや、奇人と変人が巣窟する美術部もいいなと考えていると、始業のチャイムが鳴る。結局予定が決まる事は無く、そのまま平穏な1日を過ごすのだった。
そして放課後。やる事も思いつかなかったので、新聞部の部室の前に訪れる。
「待ちに待った時が来たのだ!多くの英霊が無駄死にで無かったことの証の為に………再びジ○ンの理想を掲げる為に!星の屑成就のために!ソロモンよっ!!ボクは帰ってきたっ!!! 」
前口上を言いながら、いつものように扉を勢いよく開ける。しかし、扉がぶつかる音は聞こえず、代わりにちょうど1人分入れるぐらいの隙間で扉は止まる。
「甘いよかなやーん。せめてソロモンの所から始めるべきや」
「部長、ツッコむ所が違うっす」
「くっ!ではテイク2をやってきますね! 」
「やんなくていいっすよ」
新聞部部長と副部長に招かれ、部室へと入る。何かの集計をしてたのか、机の上には山ほどのプリントが置かれていた。
「この前配られたアンケートのやつですね。手伝いますよ」
「ありがとうねー。かなやんも記事の方はどう? 」
「ほぼほぼ終わった所です。今回は勇者部関連ですよ」
「風やんの所はおもろいし、かなやんの記事も良く出来てるからなー。期待してるで」
「えへへー。でも部長達には敵いませんよー」
だってこのアンケート。内容が「勇者部といえば?」で、回答がうどん、うどん、女子力、うどん、ボランティア、うどん。うどんばっかりだもん。
「勇者部といえば、うどんみたいな所があるからなぁ」
「もはやうどん部でいいんじゃないっすか? 」
「部長!副部長!うどんが食べたくなってきましたっ!」
うどんの話題ばかりで、お腹が空いてきた。仕方ないよ、香川県民だもん。みんなそうだもん。
「ほなさっさと片付けて、うどんでも食べに行くかー。奢ったるわ」
「わーい!部長大好きー! 」
「ゴチになりまーす! 」
「現金やなぁ君ら………」
集計はほぼ9割がうどんという、驚異の結果を出して終了した。勇者部から何か言われそうだが、間違ってはない。間違ってはないから、ボクは何も考えず、部長に奢ってもらったうどんを啜ったのだった。
新聞部の部長と副部長の名前が決まらなかったので、決まったら今後出てくる際に出します。結城友奈は勇者部所属1〜3巻、好評発売中です