秋月 奏は勇者でない   作:結城 颯

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 期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。締切に追われてて立て込んでいたのです(言い訳)

一応一段落落ち着いたので、投稿頻度が下がり過ぎないように頑張っていきます

あっ、アニメ本編突入です


7.日常をおくるもの★

 それは、唐突に起きた事だった。授業中にユウちゃんと東郷さんのスマホが鳴り、先生に注意されている時だ。

 珍しいなーと思いながら笑っていると、神隠しに会ったかのように、2人の姿が消えたのだ。

 

 突然の事でみんなざわめき、先生も狼狽えてる様子。ボクも例に漏れず、思わず席から立ち上がる。

 

 2人はどこに消えたのか?何故あの2人なのか?様々な疑問が思い浮かぶが、まずは探さないといけない。

 

 どこを?いや、とにかく当てずっぽうでもいい。そう思い教室を出ようとすると、誰かにぶつかり、尻もちをつく。誰だと顔を上げると、見た事のあるマークが目に入る。

 

「大、赦………」

 

 神樹様を奉っている、四国最大の組織。その神官が、目の前に立っていた。

 

「事情を説明します。皆様、お静かに願います」

 

 こちらを気にしてないような、無機質な声。それどころではない為イラつきを感じるが、何かを知っている様子なら話は早い。大人しく席に戻り、神官の話を聞く。

 

 神樹様のお役目。それに、ユウちゃんと東郷さん、勇者部のメンバーが選ばれたようだ。それは大切なお役目であり、大変名誉な事だと言われた。

 だが、肝心のお役目の内容については、語られる事はなかった。質問を投げかける者もいたが、具体的に語る事も、聞く事も出来ないそうだ。無論、勇者部からもらしい。

 

 ただ、今の奏は、それよりも聞きたい事がある。

 

「ユウちゃんや東郷さん、勇者部のみんなは無事なんですか?今、どこにいるんですか? 」

 

「無事のようです。学校内にいますので、後ほど戻ってくるでしょう」

 

 神官の言葉に、よかったと安堵のため息を吐く。

 

「説明は以上です。これにて失礼します」

 

 神官が退出すると同時に、終業のチャイムが鳴り響く。戻ってきたユウちゃんと東郷さんは、クラスメイトから話を聞かれるが、神官の言った通り、秘密のため話す事は出来ないそうだ。

 

 その中、東郷さんの表情が少しだけ暗いことに気づく。多分、いやきっと。お役目で何かあったんだ。どうしたか、大丈夫か聞きたいが、お役目絡みだから真面目な東郷さんは、ボクにも話さないだろう。なら。

 

「ユウちゃん。ちょっといい? 」

 

 人混みや東郷さんから少し離れた所に、ユウちゃんを手招きする。

 

「なに、かなちゃん? 」

 

「あのね。お役目については、やっぱり話せないのかな? 」

 

「あー、うん………ごめんね。風先輩にも口止めされてるんだ」

 

「そっか………でもいいよ。いつか話せる時が、話してもいいと思った時が来たら、話して」

 

「うん。その時は、私達の活躍を聞かせてあげるね! 」

 

「楽しみにしてるよ。それと、東郷さんの事なんだけど………任せてもいいかな? 」

 

 奏の言葉に、ユウちゃんは一瞬キョトンとする。だが、すぐに何の事か察したのか、強く頷いてきた。

 

「怖い事や、辛い事、苦しい事があるかもしれない。お役目に関しては、ボクは何にも力になれないかもしれない。だから、ユウちゃんが東郷さんを支えてあげて」

 

「………うん、任せて。大丈夫、東郷さんは、私が守るから。かなちゃんの気持ちと一緒にね」

 

「ありがとう。でも、ユウちゃんも弱音を吐いてもいいんだからね。ボクにも、それを聞く事ぐらいは出来るから。だから、1人であまり抱えないでね」

 

「それは大丈夫!勇者部五箇条、悩んだら相談があるからね! 」

 

 勇者部五箇条。勇者部で作ったモットーみたいなものだ。初めて聞いた時は、少しふわふわした内容。けど、なんか勇者部らしいなと笑った。

 

「それでも、無理しないでね」

 

「ありがとうね、かなちゃん」

 

 これで話は終わりと告げるように、ぐーっと身体を伸ばす。東郷さんの元に戻るユウちゃんの後ろ姿を、それでも心配そうに見つめる。

 

 誰かの為にいつも頑張り過ぎる、友達の背中を。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 翌日。東郷さんの様子は昨日変わらず、どこか浮かない様子だ。表面上は取り繕っているが、お役目について悩んでいるのだろう。

 

「ユウちゃん、東郷さん!大変だ!大変な事になったよっ! 」

 

「どうしたのかなちゃん!? 」

 

「いったい何があったの? 」

 

 しかし、奏は普段通りに行動する。だって、ボクに出来るのは応援と心配。そして、いつもの日常を送って貰う事だけだから。

 

「あ、ありのまま昨日起こった事を話すぜ!

紙パックのプリンを器に移して湯煎して溶かそうとしたら、いつの間にかプリンが半分無くなっていたんだ!

な、何を言っているのか分からないと思うが、ボクも何が起きたのか分からなかった………頭がどうにかなりそうだった………。

湯煎で溶けて無くなったとか、零したとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」

 

「は、半分もプリンが無くなっていたの!? 」

 

「もしかして、つまみ食いとかして無くなったんじゃないの? 」

 

「片鱗を味わっただけに? 」

 

 言った瞬間、ハリセンが脳天を突き抜けていった。腕が上がったのか、段々反応速度が上がってないかな?

 

「いやいや東郷さん。プリン溶けたかなーと、スプーンで掬ってちょくちょく確認してただけだよ。そしたら半分も無くなっていたとは、これにはポル○レフもビックリ仰天ニュース」

 

「完全に自業自得じゃないの………つまみ食いはいけません」

 

「はーい。と言うわけで、2人の分のプリンを作ってきたので、デザートに食べよー! 」

 

「わーい!かなちゃんありがとうー! 」

 

「全くもう………でも、ありがとう奏ちゃん」

 

 漸く笑った東郷さんに、奏はよかったと笑みを浮かべる。どうか、これからも笑っていけるようにと、切に願う。

 

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