放課後。勇者部は昨日の事についてミーティングがある為、奏は何処に行こうかなとさまよっていた。
「ん? 」
美術部の部室が目に入り、足を止める。入口の外観がいつもと違く、部屋の中が暗いからだ。好奇心で扉まで行くと、近くの机の上に同意書が置かれていた。
内容は、簡潔に言えば何があっても自己責任で、こちらは責任を負えないというものだ。いったい何をやっているんだ美術部はと呆れながらも、同意書に嬉々として記入する。
「我が名は秋月 奏っ!2年3組より同意書に記入しこの地へ来たっ!そなたたちは美術部に住むと聞く、奇人変人かっ!? 」
いつもの様に扉を勢いよく開けると、思った通り中は薄暗く、ホラー要素満載。完全にお化け屋敷と化していた。
「よくあるクラスの出し物みたいな感じかな?とりあえず進んでみよ」
そう思って前に踏み出した瞬間、地面に足が沈み、バランスを崩す。一瞬落ちていく感覚になり、肝が冷える。足元を確認すると、どうやら床にスポンジを敷いていたらしい。
前の方もよく見ると同じく仕掛けがあり、気をつけて進まないと行けないようだ。抜け出してまた1歩前に進むと、今度は顔面にヌルっとした物がぶつかり、うひゃっと声を上げる。
「今度は上から濡れたスポンジ………だと……!?見事な
どうやら、頭上と足元に注意しながら進まなければならない。また前に足を踏み出すと、今度は左右から手が飛び出し、驚きのあまり尻もちをつく。
「これ、風先輩だったらガチ泣きするやつだよ………」
そしてことごとく引っ掛かっている奏に、美術部員はさぞ喜んでいるだろう。既に帰りたい気持ちが芽生えてきている。
突き当たりまで進むと、目の前の扉に入るか、曲がって進むかの道に別れた。ただ、扉にはリタイア用と記されており、途中棄権が出来るようだ。
「進むなら今度ユウちゃん達を連れてからにしようかな。うんそうしよう。1人より2人、2人より3人。オールフォーワン、ワンフォーオール」
理由をでっち上げたところで、奏はリタイア用の扉を開けた。開けた先は、死屍累々の屍に囲まれながら、笑顔を浮かべている美術部部長が居た。
安心しきった瞬間に地獄に落とされたようなもので、流石の奏も、恐怖のあまり全力で叫んだのだった。
のちに、奏を保護した美術部部長はこう語った。
恐怖というものには鮮度があります。怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。
真の意味での恐怖とは、静的な状態ではなく変化の動態。希望から絶望へと切り替わる、その瞬間のことを言う。如何でしたか?瑞々しく新鮮な恐怖の味は………と。
奏は答えた。エク○カリバーで焼き払いたくなったと。かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと。