シエスタ。それはビーチが有名なテラ有数の観光都市。
雲1つもない快晴な青空で眩く輝く太陽。その陽射しがこの都市の名所でもある巨大な湖の水面や白い砂浜を煌めかせながら照りつけていく。安全整備された浜辺では水着を着た観光客達が泳いだり砂遊びなどではしゃいでる姿がそこら中で見受けられる。
「ん~! このBBQおいしいわね! 絶妙な焼き加減で味がしっかりついてる!」
「確かに美味いですよね。あの豪快な炎で焼いたとは思えないくらいに無駄な焦げも無くて、炎で食材の旨味をぎゅっと閉じ込めたかのようです」
そんなシエスタの砂浜にて、ビーチパラソルの下でチェアに座り水着とパーカーを羽織った紫髪の女性と銀髪の少年が、こんがりと焼けた串刺しの肉と野菜を頬張りながら舌鼓を打ち、目の前の海を眺めていた。美味しさの余りか少年の方は朗らかな笑みを浮かべ、女性の方は扇のような特徴的な耳を震わせ、先端が厚手の布で巻かれた紫色の甲殻を持つ尻尾を左右に振っている。
「やっぱり来て良かったわシエスタ! 来て早々当たりの店を見つけられたのはラッキーだったわ~」
「ですがバサスロさんが身体の関係上で普通の食事が出来ないのは残念です。せっかくこんな美味しいのを一緒に食べたかったのですが……」
「はぐりんが気にすることじゃないわよ。アイツは毒じゃなきゃ何でも良いってくらい食に無頓着らしいし、あの身体のおかげで普段は源石をエネルギー源に出来て補給が楽って考えてるわ。それに──」
紫色髪の女性_モシャスで人化したガルルガネキが銀髪の少年_同じくモシャスで人化したはぐりんに目配せして目の前に広がる海に指を指す。
『Aaaaaaaasaaaaaaa!!』
「な、何だあの鎧野郎!? 滅茶苦茶サーフィン上手ぇ!!」
「あんな力強くも華麗なターン初めて見た……」
「かっこいい……」
「何言ってるかわかんねーけど、良いぞぉ鎧野郎!!」
「あんなイベントパンフレットに乗ってあったか? どこにも書いてないんだけど?」
「フリーのサーファーによるパフォーマンスじゃね? 何であんな鎧を着てやってるのか知らねーけど上手すぎてワロタww」
「おい野郎共、あのよそもんにばっかいい格好をさせる気か!? シエスタのサーファー魂を見せてやるぞ!!」
「「「応っ!!!」」」
そこでは全身鎧の黒騎士_バサスロニキが水上で豪快かつ繊細なボード捌きを披露し注目の的と化していた。風貌が目立つだけではなく、彼の卓越したサーフテクニックに一般人や現地のサーファーが目を奪われていく。バサスロのサーフパフォーマンスにイベントかと勘違いした現地人や観光客が彼の近くにいる砂浜へと集まっていき、現地のサーファー達は彼のサーフィンに対し血が騒いで乱入しようと海に駆け出していくなど、ビーチに熱い歓声が響き渡っていた。
「アイツもああやって楽しんでるからはぐりんも気にせずしっかり楽しみなさい。無駄な心配はせっかくの休暇が損になるだけよ」
「はぁ……。にしてもすごいですねバサスロさん、まさかサーフィン出来るなんて……」
「意外とアイツ色んなことが出来るのよね。機械いじりや絵描きなど、アタシと同じ戦闘狂とは思えないくらいに器用万能なの。……ただ料理はそこまで上手いわけじゃなかったけど」
「人は見かけによらないってことですかね。あっ、そういえばデザート食べます? さっきBBQ屋の近くで美味しそうなジェラートの屋台がありましたし行ってきますよ?」
「じゃあお願いしようかしら、フレーバーはチョコで。それとデザート食べ終わったらあっちもキリの良い時間になるだろうし、そうしたら目的の一つでもある火山の秘湯に行きましょう」
「分かりました、では行ってきまーす!」
バサスロの様子を眺めながら談笑し、そしてデザートを買いに行こうとはぐりんはジェラート店に向かい、ガルルガネキはそんなを見送る。
『Aaaaasaaaa!』
「嘘だろ……あんなエグイトリックまで出来んのかよ。人間やめてんだろ……」
「……ん!? おい鎧野郎! そこから離れろ! デカい鮫獣(サメのような生物)が狙ってきてんぞ!」
「いや待て、何で鮫獣がこんなとこにいるんだよ!? ここは安全なはずだろうが!?」
「知るかよそんなの! って鎧の、鮫獣が飛びかかって──」
『Vaaaaa!! (飛び出た鮫獣の鼻先に目掛けて裏拳かます)』
「──殴ったぁぁぁ!?」
「……何だあれ、鮫獣が拳で思いっ切り吹っ飛んだんだけど。あっ、沖の方へと逃げてった」
「てか鎧のSUGEEEE!!? あんた一体何もんなんだよ!?」
『Fuuuu(特別意訳:通りすがりの一般観光客だ)』
「「「いや、アンタのような観光客がいてたまるかっ!!!」」」
そして海ではバサスロニキが乱入してきた現地のサーファー相手に圧勝し、ついで感覚でビーチに侵入してきた鮫獣を撃退していた。
御覧の通りはぐりんにガルルガネキ、そしてバサスロニキはスレを抜けた後、すぐさまシエスタに向かいバカンスを満喫していた。普段は足を踏み入れない平和な場所でグルメや観光、レクリエーションを思う存分に楽しもうと彼らは浮足立っていながらも、のんびりと時を過ごしていた。
ちょうどスレで言ってたオブシディアン・フェスティバルがシエスタで開催していたことには彼らは驚きはしていたが、流石に都合よく原作イベが起きないだろうと戦闘狂の二名は少し用心する程度で今の状況を深く気にせずにいた。心配症なはぐりんはこの状況に不安がってたが二人の能天気さから考え過ぎかなと思い、あとでスレ板で聞いておくことだけはしておこうと頭の片隅に留めておくだけであった。
──だが運命が異質な存在である彼らを見逃すはずも無く、難儀なことに巻き込まれることをこの時の彼らはまだ知る由も無かった。
シエスタのビーチを一旦満喫し終えた三人はその後火山にある秘湯へと向かっていた。その秘湯が眠る火山の道のりは普通の人であればまず通り越せないような岩石地帯を超えた先にあるのだが、身体的なポテンシャルの高い彼らはたとえ人の姿であっても衰えることは無く、余裕綽々と乗り超えていった。
なおこの時ガルルガネキの本来の姿で飛び越えようかと考えていたが、人の目がないと限らないのと姿を見られて要らぬ諍いを生まないようにとはぐりんに説得され、人の姿で地道に山を越えることになった。
そうして辿り着いた秘湯ではあるが──、
『Fuuuuu……?』
「あら、おかしいわね?」
「どうかしたんですか?」
「えぇ、お湯が熱すぎるの。以前来た時はここまで激しく沸騰なんかしていなかったわ」
辿り着いた矢先で秘湯の様子を見たガルルガネキとバサスロニキは首を傾げる。ガルルガネキの言う通り目の前にある温泉のお湯はゴボゴボと音を立てながら熱せられていて、少なくとも普通の人がそのまま入れば全身火傷になるのは間違いなしであることが窺える。
『Aaaaaaa』
「そうねぇ、最悪はぐりんの魔法で氷を出して温度を調節すれば入れなくはないけど、流石にこれは異常としか言えないわね。それにアタシ達は平気だからいいけど、前に来たよりも火山周辺の気温が熱すぎるわ」
「一体何が起きてるんでしょうか? まさか火山が噴火するなんてことは無いですよね……?」
「そこまではわかんないけど仮に噴火と関係してるなら私達じゃどうにもならないわよ。流石に天災みたいな自然災害に太刀打ちできるわけでもないし」
今起きている異常事態にガルルガネキはやれやれと言わんばかりにジェスチャーする。イャンガルルガに転生したとはいえただの鳥竜種が自然災害に勝てるわけがないことを彼女は理解しているのだ。
なぜこんなことが起きてるのか三人は知る由も無い。しかしこんな異常事態が起きていては温泉を落ち着いて楽しむことが出来ないのもまた事実であった。
「ですがこれだと温泉を楽しむどころじゃありませんよ。それにもし噴火するのでしたら不味いことになりますし。とりあえず一度シエスタに戻ってこの異変を市役所とかに伝えて──」
『……ッ! Vaaaaa!』
「──えっ、やめておいた方が良い?」
「バサスロの言うとおりね。あれくらいの規模の都市なら火山の観測センターがあるはず。だったらこの異常事態に気づかない方がおかしい──いえ、そもそもこうなるまでシエスタの行政が何もせず暢気にお祭りなんかしてる時点でキナ臭いわ」
「……待ってください、それってつまり何者かが火山噴火の予兆を見て見ぬふりをして、シエスタの住民や観光客を噴火で見殺しにしようとしてることじゃないですか!?」
「予想だけど当事者の目的自体はシエスタの壊滅の方かもね。どちらにしても住民や観光客を見殺しにするつもりだろうけど………ちっ、バカンスに来たのに胸糞悪い事が起きるなんてついてないわね。これじゃ折角のバカンスが台無しにされるじゃない」
『Fuuuuu……!』
火山の異変から陰謀の匂いをかぎ取ったガルルガネキはこの悪質な計画を企てた当事者に対し舌打ちをする。臨界寸前な火山の状況をまるでシエスタの一大イベントに合わせるようにして隠し通し、噴火による天災でシエスタに被害をもたらそうとしているのだ。もしそんなことが起きれば都市は火砕流に呑まれ壊滅し、どれほどの死傷者が出るなんて想像は難くない。
そして話を聞いたバサスロニキも普段以上に低く唸り声を上げ、兜の目の部分にあたる赤いラインがより一層激しく輝く。
そんな二人を様子を見たはぐりんは、まだ短い付き合いではあるが彼らがかなりご立腹だと察していた。多少の良心からの正義感もあるのだろうが彼らの怒れる主な理由としては、知らない所で自分達を危険な状況に巻き込んで害を為そうとしていることが判明したからであろう。
もちろん相手はこちらの邪魔をするのが目的ではないしまだ被害を受けたわけでもないが、彼らにとってこのままでは久しぶりのバカンスが台無しになってしまうのは間違いないのは事実だ。
「でもどうすれば……。市の行政も当てにならないし、かといってまさか首謀者に殴り込むとか言わないですよね?一体誰なのかわかりませんし、流石にそれだと不要な諍いを起こして平和なバカンスから本末転倒な気がします」
『Fuuuu』
「火山を調べてみる……ですか?」
「悪くないわね。大体のことは原因を調べれば何とかなるし、下手に荒事を立てないで犯人に一泡吹かせるくらいにはやる価値は十分にあると思うわ」
「あっ、でしたらスレで今回のこと聞いてみましょう! もしかしたら噴火のことでどうにかする方法もあるかもしれませんし!」
「そうね、じゃあスレの連絡は任せていいかしら? ……それじゃあやることの確認をするわよ。第一目標は火山の異変の調査及び可能なら異変の解決。けれど今回は依頼でも何でもない
『Aaaaaaa!!』
「わ、分かりました!!」
「よし……では作戦を開始するわよ!」
◇◆◇◆◇◆
(は:──というわけでもしかしたら火山の噴火が起きるかもしれないんです。どうか噴火を止める方法を知っていれば教えていただきたいのですが……)
聖:オウフ……
ダ:これまた見事なフラグが立ったな
ラ:聖霊王ニキ、分かる? (フラグを立てた)この罪の重さ?
フ:バカンスに来たら火山噴火の危機に巻き込まれるとか不運すぎて草も生えない
モ:もう許せるぞオイ!
悪:ひとまず全員無事なのだな? それと話からしておそらく原作イベはほぼ発生しているかもしれないな
α:だけどそれなら原因が分かっていて、噴火を止めるのはともかく遅らせる方法ならあるんだ
秘湯での異変の後、三人は一旦荷物と装備を整えてから再び火山に赴いて適当な入り口に入り、火山内部へと突入していた。内部は外の空気よりも一層増した熱気で包まれており、熱さ対策してなければすぐさま熱中症で倒れてしまいかねないほどだ。
洞窟内ではガルルガネキとバサスロニキは周囲の調査と敵の迎撃、はぐりんはスレ板に連絡をしながらLIVE機能を使ってスレ民と視覚共有しながら火山の奥へと進んでいく。
はぐりんからの経緯を聞いたスレ民達は思わぬ状況に絶句したい気持ちを抑えながらもはぐりん達の状況を聞き、今回の件は原作イベが関わっている可能性が高いと睨んでいるバロムニキとアルファニキははぐりんに噴火の原因を伝えていた。
(は:──それで、噴火の原因は生態系の変化……ですか?)
悪:ああ、その火山に住むオリジムシの餌となる黒曜石があるんだが、欲をかいた者がそれの採掘を続けた結果によって引き起こされたツケだ。
α:そのせいで餌が少なくなったことでオリジムシは餌を求め火山開拓を猛烈に進めていったんだ。それが火山に異常を引き起こし、噴火の原因なんだよ。
悪:採掘や開拓の結果で火山内部がスカスカで不安定となれば自然は補填しようとマグマが溢れ出る。森だって完全に燃やし尽くされても土に眠る種が無事なら再び芽吹き、時間をかけて再生させるものだろう?
ラ:はぇ~、例えの説明がすっごい分かりやすい
「言われてみれば途中で遭遇するオリジムシも妙な動きしてるわね。前に来た時はこんな活発に活動してなかったし」
『Fuuuu……』
進路上で見境なく襲い掛かるオリジムシをバッタバッタと薙ぎ倒していくガルルガネキとバサスロニキ。普段であれば格上の相手には本能的に逃げるか隠れてやり過ごすオリジムシが如何にも気性が荒いことに二人は違和感を感じ取り、はぐりんからのスレ民の説明にどこか納得していた。
悪:それで噴火の阻止についてだが、俺達の時は単純な力技だ。放出された溶岩を火山が安定するまでせき止め、内部を溶岩で充填させたことで噴火を止めただけだ。
聖:けど流石にその案はそっちからすれば非現実な作戦だね。そもそも溶岩を止めることの出来る奴とか転生者とか関係無く少ないし
ダ:まずそんなこと普通は出来ねぇよ
フ:ゾイドでもマグマで機体が溶解するのがオチだ
モ:俺はともかくアダマンなら魔法でワンチャン行けるか……?
(は:僕も魔法が使えるとは言え、流石に溶岩をせき止められる程の力のある魔法は……)
α:だからもう一つの方法として、この火山のオリジムシの活動を落ち着かせることなんだ。彼らの暴走した開拓活動を止めれば噴火を遅らせることは出来るはず
悪:最も、根本的な解決になる訳でも無いのだがな……少なくとも噴火を遅らせることは出来るだろう
(は:オリジムシを落ち着かせるって、具体的にどうすればいいのですか?)
α:簡単に言えば彼らの生態系の頂点、女王をどうにかすればいいんだ。
悪:その女王、名はポンペイと言うんだが簡単に言えば火山を背負ったデカいカタツムリタイプのオリジムシだ。手荒な方法だがそいつを痛めつけて巣に戻ってもらえば群れも彼女の後に続いて開拓の進行が収まるはずだ
「──なるほど、要はアタシ達が依頼でいつもやってることをすればいいわけね。怪物の撃退はいつものことよ」
「でもなんか複雑な気持ちですね。人間の都合に振り回されて、彼らはただ生きようとしていただけなのに……」
「はぐりんの考えは分からなくないけど、自然相手にそんな甘いことなんて言ってられないわよ」
「……わかっています、不本意だけどやらないと大変なことが起きるのは僕も理解してますし、覚悟は決めてます」
「それならいいわ。なら一つアドバイスとして言うけど、あまり気負わないことよ。はぐりんは真面目過ぎるから難しいでしょうけど、本来ならこんなのアタシ達がやることじゃないわ。もし都市の役人とかが今回のことで文句垂れてきたら一緒にガツンと言い返してあげましょ?」
「……! はい!」
ラ:結構奥深くまで進んだんじゃね?
モ:最奥まであとちょっとか?
ダ:…………
フ:ん? どうしたダークライニキ?
ダ:いや、オリジムシを見て思ったんだが……なんかこいつら
ラ:マ?
(は:
聖:なんか思うとこあるなら言うんだ。もうフラグは勘弁だ
ダ:なんていうかさ、このオリジムシの様子って以前見たドスグロちゃんの行動に近いんだよ
ラ:ドwスwグwロwちゃんww
フ:ダークライニキはロトムだけじゃ飽き足らずオリジムシまで飼ってんの?
ダ:違うわい。ロドスに派遣されてる外部の民間軍事企業の子がオリジムシを飼ってるんだよ。その名前がドスグロちゃんだ
ダ:んで話を戻すが、そのドスグロちゃんがワイを初めて見た時に取った行動となんとなく今のオリジムシと似ているんだよ。
モ:てか、何でそんなことになってるんだよダークライニキ
ダ:初めて会った時ドスグロちゃんはお昼寝してたんだよ。そこにワイがやって来て……あとは分かるな?
ラ:あっ(察し)
α:それは……ご愁傷さまで……
悪:ダークライが持つ特性のナイトメアか……
フ:本能的に原因として認識しちゃったんだろうなぁ……
モ:これは悪い事聞いてしまったな、すまない
ダ:気にするな。こればかりはどうしようもないし不運として割り切るしかない。そのおかげでドスグロちゃんからはいつも警戒されている(´・ω・`)
聖:お労しやダークライ上……
「怯えている……。何か他の要因があるんでしょうか?」
「何か嫌な予感がするわね……全員、何が起きてもいい様に気を引き締めなさい」
『Aaaaa!』
「そろそろ最奥ね。さて、そのポンペイとやらはこの先にいるのかしら──」
◇◆◇◆◇◆
命あるものを全て焦がさんと灼熱が支配するシエスタの火山最奥部にて、異変が起きていた。
『──────ッ!? ────────ッ!!!』
そこには小火山と見間違わんとするほどの巨体を誇るオリジムシ、ポンペイが声なき唸りを上げる。
しかしその巨体を纏う溶岩石の甲殻と殻は
『グルゥゥゥ……!』
傷ついた女王の前に対峙しているのは、彼女とは一回り小さいものの人間から見れば十分な巨体を持つ竜であった。美しい群青が映える黒曜石のような甲殻に全身覆われ、逞しく発達した後脚で二足歩行する奇妙な姿をした竜だ。
その竜の風貌で最も目に引く特徴は、メイスのような先端の尾に頑強で殴るために発達した前腕、そしてミサイルのような形に発達した甲殻を持つ頭部が備わっていた。特に頭部と前腕には蛍光色に輝く緑色の粘性物質が纏わりついている。
竜の身体にも傷はあるものの女王のと比べれば軽傷どころかほぼ無傷と言える状態であり、この時点で二頭の力の差は歴然であった。
対峙する二頭の周囲を見渡せば、そこには夥しい数のオリジムシの死骸が転がっている。殆どが原型を留めていないこれらは全て女王の忠実なる配下であったが、突如現れた目の前にいる竜によって殲滅された。
殴る、嚙み砕く、踏み潰す、尾で薙ぎ払われる。
例え単純な行動でもあの巨体から繰り出される膂力であれば大抵の相手にとって致命傷を負わせることが可能だ。
だが女王はそれらの攻撃以上に──あの発光している粘性物質に最大の警戒を取っていた。忌々しい
『……ガアァァァ!!!』
睨み合いに痺れを切らしたのか、咆哮を上げて竜は女王に迫ろうと急接近をしかけた。女王は接近されれば圧倒的にこちらの不利であると理解し、少しずつ後退しながら距離を取る。そして重傷な体を鞭打ちながら残った力で灼熱の溶岩弾を雨霰のように竜に向けて降り注いでいく。
『ッ! ……ガアァァ!!!』
女王の決死の攻撃に対し竜はその巨体からは想像できないほどに軽やかなフットワークで溶岩弾を躱していく。中には躱しきれない攻撃もあったが、それらは全て発達した前脚で叩き落とされていく。女王の攻撃も空しく竜は徐々に距離を詰めていった。
『──────ッ!? …………────────ッ!!!』
『ガゥッ!!?』
追い詰められ絶体絶命な状況に意を決したのか、女王は捨て身の覚悟でその巨体を活かして竜に圧し掛かっていった。思わぬ反撃に竜はたじろぎ、その隙を突かれ女王に覆い被されていき身体は押し倒されていく。
竜は女王を押しのけ脱出を図ろうにも、巨体の差とあまりにも相手が重いのか上手く引きはがすことが出来ない。女王は竜の抵抗で身体に粘性物質が纏わりつくも、決してその場から退かずこのまま押し潰そうと全身に力を込める。
例の粘性物質が身体についた以上、短期決戦で決着をつけるしかない。この火山の頂点に君臨する者として、押し潰している外敵を圧死させんと女王は最後の力を振り絞り、竜の息の根を止めようとする。
このまま息の根を止めようと──―その時だった。
『ガ…………ガアァァァァ!!!!』
『──────ッ!?!!?!?』
女王の身体が宙に浮いていく。
──否、竜が全身に力を込めて自身を潰さんとしていた女王を持ち上げているのだ。体格も重量も明らかに女王の方が上。しかし竜は最早、火事場の馬鹿力と言うべき力でそれを跳ね除けてしまった。目の前に起きた在り得ない現実に女王は驚き、戸惑う。
『グルアァァァァァ!!!!』
『───────ッ!!!』
荒げる咆哮と共に竜は女王を押しのけ突き飛ばす。突き飛ばされた女王は再び竜に圧し掛かろうとするが───。
ボガァァン!!!
『─────────ッ!!!!!!!!』
───突如として女王の身体が、爆ぜた。
正確に言えば先ほどまで女王の身体についていた粘性物質が緑から黄、そして赤へと急激に変色し爆発しだしたのだ。先程まで取っ組み合いしたことで粘性物質は女王の身体に多く纏わりつき、その威力は今まで喰らったのとは比較にならないほどのものとなっていた。
女王はこのことを知ったうえで最後の賭けをし────そして敗北した。決定的な一撃ともいえる爆発は女王の巨体を倒れ伏させ、意識は徐々に霞んでいく。
──あぁ、逃げ延びた我が子達は無事であろうか。そうであれば申し訳ありません、私は王として役目を果たせませんでした。
生き延びるよう逃がした同胞を想いながら薄れゆく意識の中で女王が最期に見たのは───
『────グルゥアアアアアッ!!!』
──咆哮と共に自身の頭部を叩き潰さんと迫る剛鉄拳であった。
『ガァアアアアアアアアッ!!!!!』
火山の主を粉砕した砕く竜は勝者の特権と言わんばかりに亡骸となった女王の肉を喰らい、火山の最奥部で勝利の咆哮を高らかに轟かせた。
ガルルガネキ
シエスタで美味しいグルメを堪能して満足……するはずだったが温泉での異常から陰謀の匂いを嗅ぎ分け、バカンスを台無しにされないよう一仕事する羽目となった。
はぐりん
モシャスで銀髪ショタになった。人になると見目麗しい見た目になり、実はBBQやジェラート買いに行く途中に擦れ違った浜辺のお姉さま方から注目を浴びていた。その時に身の危険を感じたのか、はぐれメタル特有の超スピード!?で無事に難を逃れたとかなんとか。
バサスロニキ
身体の関係上グルメを堪能出来ない代わりに海辺でサーフィンして楽しんでた。意外と何でも出来る器用万能(ただし料理だけは何故か上手く出来ない)。
また、鮫獣を撃退してくれたことに後日サーファーとライフセーバー達から感謝状を受け取ることになった。
スレ民
フラグが立ったことに唖然とするも、何とか三人を生還させて良い結果に持っていけるようアドバイスする良心の集まり。
シエスタ火山
ば く は つ する――!
砕く竜
3Gでハンターにトラウマを植え付けたやべー奴。
ポンペイ
爆☆殺