はっぴいばれんたいん
「うーん・・・」
どうにもうまくまとまらない。
実習室借りられたのはいいとして、湯煎の段階でどうしてもダマになってしまう。最初から琴乃様に聞いてアドバイス受けるべきだったのかなあ・・・。
「明日香ちゃんどう?」
「どうって・・・見ての通り。ぜんっぜんうまくいかない・・・で、なんでみどりがここにいるの・・・」
「いいじゃん別に。減るもんじゃないし」
「いや、どう考えてもおこぼれもらう気満々でしょ・・・」
「しっつれいだなー。あたしが食いしん坊みたいじゃんかー!」
「明日香さんの言う通りですわ。ここは黙って見届けてあげるべきではなくて?」
ベス・・・あんたまで・・・。
「お嬢まであたしに意地悪すんのかよ・・・」
「日頃の行いじゃないかな・・・」
円も同じことを思っているようだ。
「他の実習室も覗いてみましたが・・・他の
「ああっ!もう無理!琴乃様にヘルプ求めるわ・・・」
携帯端末を取り出し、琴乃様を呼び出してみる。
程なくして琴乃様が出た。
『ふふっ、そろそろかかってくるんじゃないかって思ってたのよね』
・・・完全に私の心を読まれてる。
「ひどいですよー。それよりもう限界です。助けてください琴乃様あ・・・」
『ごめんごめん・・・ちょっと準備してから行くね。場所は・・・』
「第3実習室です。咲良ちゃん以外全員いますよ」
『じゃあ昨日クッキー作りすぎちゃって部屋に余ったやつが置いてあるからそれも一緒に持ってくわね』
「お願いします」
ピッ・・・
「う・・・私の行動パターン完全に読まれてた。ショック」
落ち込む私。
「まあまあ明日香ちゃん」
「で、昨日クッキー作りすぎたらしくて余ってるから持ってきてくれるって」
「え?クッキー?やったあ!」
「ホントお子様ですわねみどりは・・・」
「誰がお子様だよー」
むくれるみどりは置いといて、特別寮からここまでは10分以上かかる。それまでは待ちだ。
10数分後。
「お待たせー」
琴乃様がやってきた・・・のはいいのだが。
「あの・・・その大荷物は・・・」
言っていた通り、手には余ったクッキーを持っている、のはいいのだが、背中のリュックが・・・。
「あ、これ?自前のお菓子作りの道具全部持ってきたの。いつもそうよ?」
・・・すごい気合入りすぎなのでは。
「あ、ありがとうございます。で、早速なんですけど・・・湯煎してもダマになっちゃうんですよ・・・」
今の状況を説明する。
「あー」
見るなりすぐに把握したようで、
「えっと・・・チョコがまだ大きいかな。もっと細かくしないと。それと温度が高すぎ・・・熱が入りすぎちゃうとこうなるわ」
・・・やっぱり最初から琴乃様に相談すればよかった。
「でも分離してないからそのまま使えるわね。してるなら最初からやり直しになるかも」
「・・・みどり。もしかしてそれを知っててわざと言わなかったでしょ?」
「そんなん知るかよー!偶然だよ偶然!」
・・・どうやら本当に偶然らしい。
「ごめんごめん冗談だって。もし失敗しちゃったらそのままあげるから」
「え?いいの?やったあ!」
ホントみどりは純粋というか単純○カというか、だ。
そうこうやり取りしているうちに琴乃様は必要なものを取り出して準備していた。すごい手際の良さに関心してしまう。
「あんまり遅いと訓練に遅刻しちゃうしね」
「え、遅刻って・・・もしかして訓練前に仕込みしてたんですか!?」
「ええそうよ。時間かかっちゃうやつは前日に食堂を間借りして事前に下地だけ作っておくんだいけどね」
と、いつものようにニコニコ顔で答える。
「それと───」
私のほうを向き、
「今日のことは京夏ちゃんにはナイショにしてあげるから安心して」
順調に進み。事前に作っておいた型に流し込んだところで、
「お疲れ様。じゃ、休憩にしましょうか」
約束どおり、ダマになって失敗したチョコ(かなり前に作ったやつなので固まっている)はみどりに、私たちは作りすぎた(らしい)クッキーをいただく。
「・・・やっぱり食べたかっただけじゃない」
「いいだろ別に。あたしは面白いことがありそうだなー・・・って思ったから来ただけだよ」
「ホント助かりました。ありがとうございます琴乃様」
「どういたしまして。明日京夏ちゃんがどう反応するか楽しみね」
琴乃様違う意味で策士だ・・・。
「明日香ちゃんもお料理覚えたら?京夏ちゃん喜ぶと思うよ?」
え、私?
「私はそういうの苦手なので・・・」
「将来のこと考えておいてもいいと思うけどなあ」
将来・・・か。いずれは実家(ラーメン屋)を継ぐことも考えないといけないのかもしれないが、今はリリィ生活で手いっぱいなのでそこまで手が回らないと思う。もしかして、琴乃様の言ってる将来って・・・えええええええ!?
考えすぎかな・・・。
「あ、あの・・・」
「なあに?」
「琴乃様って・・・もしかして将来もう決めてる方とかいらっしゃるんですか?」
「え・・・?」
今度は琴乃様が固まってしまった。
「や、やだ明日香ちゃん何言ってるの・・・いるわけないじゃない」
恥ずかしいのか、手をバンバンと私に向かって叩く。やはりリリィと言えど年頃の女子だ。
「それで、渡すタイミングはどうしますの?持ってるのが分かったらすぐバレてしまいますわ」
「控え室しかないでしょ?」
当日。訓練・・・のはずだった。昼過ぎにヒュージの出撃警報が鳴ったが今日は私たちは当番ではないので待機している形だ。
「え・・・どういうことです?」
「だからそのままの意味よ。このところ訓練やりすぎてる気がしてるからたまにはこういうのもアリかなって」
「う・・・」
なんかキツネにつままれた気分になってしまった。
もうヤケだ。強制的に行くしかない。
「あの!京夏お姉様!」
「どうしたの?」
「これから付き合ってもらえませんか?」
ということでLG控え室。当然だが私と京夏お姉様2人しかいない。
「わざわざここに呼び出したりして、どうしたの明日香?」
隠してあった場所に取りに行く。
「はい。お姉様」
と、キレイに包装した包み紙を渡す。
「え・・・」
「え、じゃないですよ。今日何の日か忘れてませんよね?」
「あ・・・」
ようやく思い出してくれたようだ。
「ごめん明日香。すっかり忘れてたわ・・・ありがとう」
「LGのことを考えてくれるのは嬉しいですけど、肝心なことを忘れるなんて・・・お姉様らしくないですよ」
いつかのように背後から抱きしめる。
「そうね・・・でもホントはちゃんとサプライズしたかったんでしょ?これだけでも私にとっては十分サプライズよ」
抱きしめている手をそっと握ってくれた。
「早速食べて見てください。特に仕掛けとかしてあるわけじゃないですけど・・・」
京夏お姉様が包み紙を開ける。
「あ・・・CHARMの形」
実はチョコの形は正直悩んだのだが、一番無難だろうと思うCHARM───ダインスレイフ・カービン───の(大体の)形に落ち着いた。
「カエルでもよかったんですけど、それだと私の趣味になっちゃうので・・・」
「それも明日香らしくて見たかったけどね」
「それじゃ面白くないですし・・・誰かとかぶってる気もしますけどね」
工廠科の誰とは言わないが、今頃どこかでクシャミをしてそうである。
などと言っている間に割って一口食べてくれた。
「うん、おいしい」
そう言って、口を付けた食べかけのチョコを私に・・・え?食べかけ?
「あの・・・え?」
今度は私が固まってしまった。それってもしかしなくても・・・。
みるみるうちに私の顔が真っ赤になっていく。
「ダメですよ!せ、せっかく私がお姉様のために作ったのに・・・」
「・・・なーんてね。冗談よ」
「もう!からかうのはやめてください」
一度お約束ネタを書いてみたかったのでやっただけです(笑。ラスバレのメイド・イン・シルト(イベント)やった後なのでネタを引っ張られているところはありますが、気にしたら負けですよ(´・ω・`)