アサルトリリィ~もうひとつの物語   作:武士道の犬

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CHARM持ち替え

 

「うわあ・・・派手にやってくれたわねー・・・二振り目のオーバーヒートなんて・・・」

 

 工廠科の乃莉子さんの工房にて。

 グングニルの現状を見ての一言。もちろんみどりも同伴だ。

 

「けど今回は完全な不可抗力よ。まさかノインヴェルトのマギスフィアを2回受け取ってさらにマギ注入するなんて思わなかったから・・・」

 

「あ・・・あの時はとにかく必死だったんだよ!ギガント級倒せたんだからいいじゃんか・・・」

 

「で、みどりさん。使いたいCHARMの希望なんてある?」

 

 みどりは少し考えて、

 

「んー・・・なんかカッコイイやつがいいな」

 

 みどり・・・抽象的すぎる・・・。

 

「ちょっと待ってね・・・」

 

 乃莉子さんは工房の後ろへ。

 

「これと・・・これと・・・後これと・・・これか」

 

 戻ってきた・・・と思ったら机の上に四振りのCHARMを並べだした。

 グルヴェイブ、ティルフィング、ブリューナク、もうひとつは・・・ボルソルン・・・か?

 

「あれ・・・ボルソルン・・・これ新品?」

 

 ボルソルン───今年から量産されている、ユグドラシルの第3世代目のCHARMだ。グングニルの使いやすさを継承しつつ、ブレードのデザインや銃芯など見直しが図られている。

 

「新品だけど、今度新入生のCHARMはこれも選択肢に入るからーって、そのサンプルで来たやつね。他は部品取り用に入れた状態のいい中古。で、この中でどれがいい?」

 

「んー・・・」

 

 顎に手を当てて悩むみどり。

 まあみどりのことだ、直感で「これ!」とか言い出しそう。

 

「これ・・・かな」

 

 ・・・ホントにそうだった。

 指差したのはティルフィング、か。椿組の安藤鶴紗さんと色違いだ。

 

「オッケー。じゃ1週間ぐらい待っててね。一度バラして状態見ないとなんともだから」

 

「じゃ、後は任せた」

 

 と言ってみどりは工房を後に。

 

「で、明日香さんも一緒に来てるってことは・・・」

 

「察しがいいのね。その通り。みどりにナイショでバランスウエイト仕込んでほしいの。ただし」

 

「ただし?」

 

「仕込むだけで動作はさせないで。いろいろ考えてることがあるから」

 

「りょーかい。後はノーマルでいい?」

 

「そうね。ブレードの強化をギリギリ限界まで、かな。ティルフィングって弾速度いくつ?」

 

「確か秒1500・・・だったかな」

 

 1500かあ・・・結構威力あるほうだ。

 そこはまあ・・・いじらなくてもいっか。

 

「で、私のタングズニルだけど・・・」

 

 百合ヶ丘に戻ってきて真っ先に工房に出しにきたのは私だ。

 

「一通りチェックしたけど特に問題なかったわね。念の為ブレードと銃芯は新品にしてあるわよ」

 

「ありがとう。今回ちょっと数多いけどまあがんばって」

 

 

 

 

 

 

 1週間後。

 

「おおー!」

 

 珍しくみどりのテンションが高い。

 

「いやー見たら結構ガタ来てたわ・・・完全にオーバーホール状態だから新品に近いわよ」

 

 あえてバランスウエイトのことは伏せてもらった。

 

 早速右手をかざして起動させる。

 

 フォン・・・

 

「こら。室内でCHARM振り回すんじゃないの」

 

 軽く小突く。

 

「なんだよー!試し振りぐらいいじゃんかー」

 

 話を聞くとどうやらみどりのクラスメイトで仲のいい子たちの大半はグングニルを使っているらしく、テンションが上がるのも無理はないか。

 

「んじゃあ・・・私と手合わせする?」

 

「・・・は?明日香とやって勝てっこないじゃんかよー!」

 

「そんなのやってみなきゃわかんないでしょ・・・今週いっぱい訓練ないし、私も暇なの。それに少しでも使い慣れてないCHARMに慣れたほうが後々楽よ」

 

 実のところ、みどりとマトモに手合わせをしたことがない。なので真の実力は未知数だと思っている。

 

「・・・明日香がそう・・・言うなら」

 

 

 

 

 

 

「で、どういう経緯で突然手合わせなんてことになりましたの?」

 

「私からよ。乃莉子さんの工房で突然振りはじめたから、やるなら・・って」

 

「なるほど・・・」

 

 判定人はベスにお願いすることにした。

 

「それではよろしくて?」

 

「オッケー」

 

「早くしろよー」

 

「時間は無制限、レアスキルは使用禁止ですわ。危険な攻撃、行動は見つけ次第わたくしが止めます。かまえて」

 

 お互い構える。

 ティルフィングのほうがグングニルよりブレードが短いのでどう対処するか。

 

「あれ、エリューズニルの尾上さんと周防さんよね?」

 

「どうして手合わせしてるの?」

 

「さあ?」

 

 にわかにリリィ達が集まってきた。ま、別にいいんだけど。

 

「明日香ちゃんと・・・みどりちゃん?あ・・・CHARMティルフィングにしたんだー」

 

 誰かから聞きつけたのか、円も混じっていた。

 しばしの静寂。

 

「はじめ!」

 

 お互い不動の状態でしばらく睨んでいる。

 

(みどり、どう動く?)

 

 先に動いたのはみどりだ。

 ・・・横移動?

 

 ブンッ!

 

 ティルフィングの空振りする音。

 

「うわっ!」

 

 その空振った風が私に当たる。

 

 ブンッ!

 

 もう一度来た。今度は当たらないように避ける。

 

「おりゃ!」

 

 ・・・え?

 私の後ろに・・・いた。

 

(うそ!?)

 

 ルール上サブスキルも禁止のはずだが・・・。

 

 キンッ!

 

「おおっと!」

 

 後ろから振りかざされるも上から防ぐ。

 

「はっ!」

 

 振り返り左脇から入れるも、

 

「よっと・・・」

 

 避けられた。反応が早い。みどりはほぼ初心者に近い。ただし、スピードの速さと要領の良さでカヴァーしている。おそらく私より動体視力はいいのだろう。

 

「明日香ちゃん・・・みどりちゃんに遊ばれてる?」

 

「ようにも見えますが・・・違いますわ」

 

 ベスたちにはそういうふうに見えてるのか。一旦離れる。

 

「んーなんか違うんだよなあ・・・」

 

 みどりがぼやいている。

 

「デザインで選ぶからよ。機能性も見ない・・・とっ!」

 

 足にマギを入れ、つま先を合図に軽くジャンプ。

 

「ちょ・・・おま・・・それズルいだろ!」

 

「ズルくないわ。飛んじゃいけないってルールはない」

 

 そして、上から下に振り下ろす・・・と見せかけて、ブレードを支えに一旦降りてみどりの背後へ。

 

「はっ!」

 

 そして背中から突き。

 

「うわっ!あっぶね・・・」

 

 さすがはみどり。避けられた。

 

「だからあたしじゃ勝負になんないんだって!」

 

「なーんて言ってる割についてきてるじゃない・・・!はあっ!」

 

 キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

 

 上から左、右、左、下、斜め左から右上、左から右下・・・といった具合に高速攻め!

 

「とととととと・・・」

 

 これも全部避けられた。

 テクニック上では私のほうが上だ。けど、速度と動体視力とかではみどりのほうが圧倒的に早い。

 一旦距離を取る。

 

(最近琴乃様に教えてもらったばかりだけど・・・上手く出来るかな・・・)

 

 そこからみどりの右脛めがけて寸止め!

 ちなみに本来はその状態から相手を押して突く「掠め突き」という技だ。

 

「そこまで!」

 

 

 

 

 

 

「だからあたしはヤだって言ったんだよ・・・絶対かなうわけないじゃん・・・」

 

 終わってから。

 

「けど、確実に強くなってるわ。で、ティルフィングの使い勝手はどう?」

 

「んー・・・灯音様のブリューナクに近いのかなあ・・・グングニルよか短いからなんか違和感・・・」

 

 みどりの素直な感想だろう。

 

「すぐ慣れるわよ。それとも・・・またタングズニル使う?」

 

「ヤだ」

 

 即答・・・。

 

「あんた・・・タングズニルになんか恨みでもあるの?」

 

「べっつにい・・・」

 

 はぐらかされた・・・。

 まあみどりらしいといえばらしいのだが。あのときバランスウエイトをいじらずにそのままCHARMを入れ替えて使ったからなんだとは思うが。

 今後私たちがどうなるかはまったくわからない。けど、どうにかなる気がする。どうにかなりそう・・・とか言ったら京夏お姉様に怒られそうだけど。

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