幼なじみの新入生
1年前───私は自分の過去を清算するためにここ、百合ヶ丘女学院に編入してきた。
そんな、もうすぐ学年が変わる直前のある日。それは突然言い渡された。
「来月、新学年になるけど・・・私たちはスーパーサブに回ることにしたわ。隊長権限も、明日香に譲るわ」
スーパーサブとは、LGから離れフリーランスで臨時に入る要員のことを指す。例えば人数足りなくなったり、増員要請があったときに入ったりするわけだ。
「待ってください京夏お姉様!じゃあ・・・エリューズニルはどうなるんですか?」
「心配しなくても大丈夫よ明日香。一応籍は置いたままになるわ。解散になるわけじゃない。新入生の受け皿がどこかにないと困るでしょ?」
聞くところによると一柳隊、ことラーズグリーズはメンバー増員はしないらしい。となれば自主結成するか、どこかが門徒を開かなければLGに入ることができない。
京夏お姉様曰く、その受け入れ先になってほしい、ということだろう。
「それはそうなんですけど・・・私たち、ほとんど元外部生でLGに入ってくれそうな知り合いなんて・・・」
「いるわけない?だったらどうしなきゃいけないの?」
「う・・・」
痛いところを突かれるなあ・・・。つまりは甘えるな!ということだ。
「困りましたわね・・・」
入学式翌日のLG控え室にて。
先月末に言われた衝撃的な出来事を今だ受け入れきれない私をよそに、すでにみんなは悩みモードだ。
「ねえ咲良ちゃん?中等部の下級生で知り合いって誰かいないの?」
「すみません・・・交友関係はあまり広くないので・・・一応1人いますけど、あの子は・・・」
何やら言いづらそうにしている。何か理由ありな予感がする。
仕方ないか・・・
「うーん・・・実は私も・・・と、言いたいところなんだけど、実はいないことはないの」
「なんでそれを早くおっしゃってくれませんの!そうならそうと・・・」
「いやね・・・それが・・・ちょっと・・・ねえ・・・」
「明日香ちゃん・・・なにか隠してる?」
う・・・
トントン・・・
控え室のドアをノックする音。
訪ね人の正体は予想がついている。が、まさかこんなに早く来るとは・・・。
「空いてます・・・」
ガチャ・・・
ベスが言い終わる前にドアが開き、満面の笑みで私に駆け寄ってきた。
「・・・ってちょっと!?」
うーん・・・言いづらいなあ。まさか私を追って百合ヶ丘にまで来るとは・・・。私以上に無鉄砲、腕は悪くない。ただひとつの欠点を除いては・・・。薄い紫色で私と同じショートボブのリリィ。制服は真新しい。
開口一番に言った台詞───
「約束どおり来たよ明日香姉様!」
そして私に抱きついてきた。
「姉・・・様・・・?」
全員が目が点になっている。
「あ、こら!離れなさい!」
「嫌です!離れません!約束、果たしてもらうまではぜーったい離れません!」
「ちょっと!そこのあなた!いきなり入ってきてなんですの!?」
ベスが怒るのも当然なわけで。仕方ない。少々強引な手段だが、
「ゴメンみどり。頼んだわ」
「あいよ!」
みどりのレアスキルが発動。
その場から離す。
「え?なんで?」
「なんで、じゃないでしょまったく・・・ここをどこだと思ってるの?御台場じゃないんだから、最低限の挨拶と礼儀はしっかりしなさい」
まるで私が京夏お姉様になったかのような台詞を言うことになるとは・・・。
「なんだかこの2人を見てると」
「守護天使と妹みたいですわね・・・」
ああ、やっぱり・・・。言われてしまった。
「違うから・・・断じて違うから!」
みんながニヤニヤしている。ああっもう!
「ああそうだ・・・挨拶挨拶・・・大変失礼しました!ごきげんよう!私、御台場女学校から来た瀬能
一礼。
「・・・私は如來をLGに入れるとは一言も言ってないわよ?それと、守護天使もね」
正式な契約をしていない以上今はただの先輩後輩関係でしかない。
「明日香ちゃん。如來ちゃん・・・だっけ?とはどういう関係なの?」
「如來は・・・私の一つ下の後輩なの。出身も同じ、レアスキルも同じ。唯一欠点があるとすれば・・・私にベッタリなのよ」
「えー!ひどいー!」
「ひどい、じゃありません。とにかくこの通りの子なのよ・・・。私が百合ヶ丘に来た時点で大方予想はしてたんだけどね」
と苦笑い。
「でもよかったですわ。さっそくメンバーが・・・」
「見つかってません」
ベスの言葉を一蹴する。
「どうしてですの?明日香さんの知り合いなら文句ないじゃありませんか」
「それだけじゃないわ。あの頃と変わってなければ、如來には重大な欠点がある」
「そんなこと・・・ないもん!」
膨れ顔の如來。
「それはどうかしらね・・・」
言いながら円のほうを見て、
「じゃあこれからLG入隊のための手合わせをするわ。そんなわけで円、悪いけど如來の相手をお願い」
さて、修練場だ。今日は誰も使っていないらしい。
「え・・・あの・・・明日香姉様?」
「今はその呼び方禁止ね。守護天使でもなんでもないでしょ・・・」
とにかく誰かに見られて誤解されては困るので釘を刺しておく。
「ここ・・・訓練室・・・だよね?」
「そうね。それがどうかした?」
「なにも・・・ない・・・」
御台場の感覚ではそう感じるだろう。
「百合ヶ丘って、もっと進んでるのかと思ってた・・・」
「むしろ逆よ。私たちが知恵を絞って、どうやってチームワークを強化してヒュージと戦っていくか・・・おかげさまで随分と鍛えられたわ」
「おまたせー」
円がCHARMを持ってきた。
「・・・アステリオン?」
如來の悪い癖───CHARMで相手の実力を判断しようとする。
判定人は私がすることに。
「それじゃ、構えて」
如來が右手の指輪をかざし、CHARMケースから取り出す。え?
「如來、CHARM持ち替えたの!?」
御台場にいた時はクルッジを使ってたと思ったが・・・どこまで如來は私にべったりなんだ?色違いではあるが、私と同じタングズニルではないか。
「うん!百合ヶ丘に来るときに絶対同じにしようって決めてたから!」
おそらく彼女のことだ。バランスウエイトも仕込んでいるだろう。
「姉妹愛・・・ですわね・・・」
「あのね・・・あの子が勝手にやってることであって私は無関係よ」
咳払いをして、
「時間は無制限。レアスキル使用禁止。危険だと判断したら止めに入るわ。準備はいい?」
「いいよ明日香ちゃん」
「はい!」
「それじゃ、はじめ!」
「やあああああああああああっ!」
真っ先に如來が突っ込む。そして───
上から振り下ろす・・・と見せかけて左から斜めに行こうとする。
キンッ!
「・・・相変わらずの戦い方か」
「如來さんの戦い方、少し独特ですわね・・・」
「対人戦はね。さっき聞いてて分かったと思うけど、あの子CHARMを見て判断するところがあるのよ。相手にいい印象与えないからやめなさいって言ってるんだけど・・・」
ただ円は少し圧されている。うちのLGにこういうフェイントを使うリリィがいなかったというのもあると思うが。
「うっ・・・」
今見ている限りではアックスモードのないアステリオンだからか、殴りたい衝動にかられているようにも見える。
「あれー?円様もしかして・・・私より弱い?」
円が弱いわけではなく、対リリィ戦としての経験が浅いだけなのだが、如來はそれに気づいていない。
「それは・・・どうかな?」
この時点で円があれをやるとは思わなかった。
円が「わざと」背中を向く。
「あの技・・・鬼龍院流薙刀術奥義・・・」
思わず口にする私。それを見た如來が円に向かって突っ込んでいく。そして───
その体勢からジャンプ!如來の背後に回った円はアステリオンを振り下ろし、
「そこまで!」
結果、如來は普通に負けになった。
手合わせが終わった頃には他所のLGのメンバーも見学に来ていた。
「新入生惜しかったわね。残念・・・」
「太刀筋はいいのにね・・・」
という声が聞こえてくる。
「ううっ・・・なんで・・・」
悔しがっている如來。
「お疲れ様如來。結果を言うわ」
言おうとしたときだった。
「あら・・・終わっちゃったのね・・・残念」
私はここに呼んだ覚えはないのだが・・・そこには私の守護天使である京夏お姉様が来ていた。
「京夏お姉様?どうしてここに?」
「ごめんなさい明日香さん。私が呼んだの・・・」
咲良ちゃんの仕業か・・・。
「明日香姉・・・明日香様。この方は・・・」
私の言うことはちゃんと聞いてくれているようだ。
「私の守護天使で先代隊長よ」
と、京夏お姉様を紹介する。
「はじめまして如來ちゃん。夏目京夏よ。LGエリューズニルの先代隊長です。よろしくね」
私が出会ったときと同じようにニコニコ笑顔で答える。
「あの・・・京夏お姉様・・・?この子をLGに入れるって決めたわけじゃないですよ?」
「あら、そうなの?」
「それを決めるのに今手合わせをさせたところなんです」
「それで?明日香はどう判断したの?」
「如來・・・あなたは円とやってみてどう思った?」
逆に質問をする。
「え?」
「最初のうちは・・・私のほうが・・・とか思ってた。けど途中から動きとか読まれてる気がして・・・最後は動きが全く読めなかった・・・悔しい!」
「そう。じゃあどうして負けたと思う?」
「え・・・?」
「私が中等部時代に如來に言ったこと覚えてる?」
「あ・・・」
私が中等部時代、如來に言ったこと───『如來、戦法、戦略は常に鍛えて進化させなきゃダメ。ヒュージも日々それに対応していっているわ。臨機応変に戦えるようになりなさい』と。
「そっか・・・私・・・」
「昔教えたことを全く守れてない。もしかしてわざとやってる?」
「そんなわけ・・・」
如來は言いよどむも、
「だって、明日香姉・・・明日香様に近づきたくて・・・射撃練習ばかりしてたから・・・」
まったく・・・。気持ちはわからなくもないが、この子はどこまで私にべったりなんだか・・・。
「・・・ホントは甘やかすつもりはなかったんだけど、もういいわ。LGへの参加を認めます」
「ありがとう明日香姉・・・明日香様!」
如來が私に抱きつく。
「あら・・・これは近いうちに守護天使かしらね・・・」
「もう・・・京夏お姉様までやめてくださいよー!」
「けど、そうなると私としては嬉しいわ。百合ヶ丘にノルンってほとんどいないのよね」
「ノルン?」
「初耳ですわ」
守護天使は有名だが、ノルンは聞き馴染みの薄い言葉だろう。
「世代を継いで守護天使になることね。例えばだけど・・・京夏お姉様と私、私と如來・・・って感じ。あくまでも例えだからね?」
「へえ・・・」
ノルンかあ・・・。確かに百合ヶ丘でも数えるぐらいしかいないと聞く。
「あ、そうだ。如來」
「なに?」
デコピン。
「いたっ!」
「呼び捨て?如來には敬語もみっちり教える必要がありそうね?」
「ううっ・・・なんでしょう明日香様?」
「如來が負けた要因まず一つ目。如來がガッカリするお知らせよ。円はリリィになってまだ1年しか経ってないわ」
「え・・・!?」
如來・・・あんたは円のこと何だと思ったの、というぐらいビックリしている。
「なんでそんなに強いんです円様?」
「強いっていうか・・・鍛えられたから?」
全うに答えればそれしか出てこない。まあ太刀に関しては鍛えたのは私ではなく京夏お姉様なのだが。
「御台場にいたときに教えたこと覚えてる?」
「えっと・・・『戦法、戦略は常に鍛えて進化させろ』だったかな・・・」
「全然出来てない。私が教え始めたときのままじゃない。あんた御台場で何やってきたの・・・」
「うっ・・・」
正論をつかれ、何も言い返せない如來。
「二つ目。如來、相変わらず対戦相手をCHARMで見るクセ・・・いい加減やめなさい。相手にいい印象与えないわよ?」
「だって・・・」
「だって、じゃない。わかった?」
「・・・はい」
ということでLG契約書にサインをし、指輪をかざしてルーンの捺印。
「あれ?守護天使・・・」
「如來、しつこいわよ?守護天使の契りは結びません」
「うううう・・・いじわるぅ・・・・」
泣きそうな顔になるも、
「泣き落とししようとしても無駄よ。私の気が変わらない限りはね」
翌日。
講義棟の私とベス。
「明日香さん・・・これじゃわたくしたちストーカーじゃありません?」
「まあ・・・怪しい上級生リリィにしか見えないでしょうね」
ついこの間まで教わっていた1年の教室前にいる。
取れる単位と講義は1年のうちに取ってしまった私たち。ただラウンジでぼーっとしているなら・・・と新入生を勧誘しに来たわけだ。
周囲からはひそひそ声。もしかしたら別の意味で目立っているのかもしれないが。
「ならこんな・・・悪目立ちすることおやめになりません?」
「そう何日もやらないわよ・・・生徒会に目付けられたくないし」
待つこと1時間。
悪目立ちの影響か、誰も私たちのところに近づこうとはしない。
「誰もこないね・・・」
「ですわね・・・」
翌日も。
教室前で待機はしたがやはり誰も来ず。
「・・・戻ろっか」
「どうしたらいいと思う?」
急遽2年生組だけ集まって会議。
「どうしたらいいって言われてもなあ・・・」
「うちは特段目立ってるLGじゃないですから・・・」
「そうなのよね・・・」
実績がないわけではない。ただ、厄介な討伐などは格付けが上なLGに任される事が多い。要は実力不足、というわけだ。
「で、ベスいないけど、どうしたの?」
「えっとね、それが用事あるから今日は無理って・・・」
まあいいか。珍しいこともあるもんだ。
次の日。
私は李組の教室に来ていた。もちろんLGメンバー探しという大事な目的はある。が、その他に気になった子がいたからだった。
講義が全て終わり、皆寮に戻るか移動しよう、というタイミング。その中でただ1人、いつまでも残っている子がいた。
(あの子・・・まるで昔の私みたい・・・)
誰とも会話せず、言葉は必要最低限のみ。
次の日も。その翌日も。窓の外をじっと見つめている。
1週間もずーっと見ている私もどうかと思うが。
今日も窓の外をじっと見ている子を見に来ていた。が、今日は違った。
スッ・・・
「あなた・・・先輩ですよね?なんなんですか。私のこと・・・じっと見て」
気配なしに私の側に来たのだ。この子ユーバーザイン持ち?いやサブスキルのステルスかもしれない。
しかし、この誰も居ない状況では『なんでもありませんわ』とは返せない。
「ごめんなさいね。なんだか・・・あなたを見ていると中等部時代のわたくしを見ているようで・・・」
「・・・だったら、なんだっていうんですか。私に付きまとわないでください」
まるで誰とも関わりたくない、という感じで突き放そうとしている。一匹狼のつもりだろうか?
スッ・・・
そして彼女はレアスキルを使ったであろう、その場からいなくなっていた。
「ベスちゃん最近1年の講義棟でなにやってるの?」
突然円が言い出した。
「え?なんのこと?」
私にはなんのことだかさっぱりだ。
「如來ちゃんがね・・・ベスちゃんが李組の教室の前に毎日いるとかなんとか・・・」
ホント、なにやってんだか。私が1年の教室にいたのは最初の何日かだけで、悪目立ちするだろう、という理由から早々に撤退したのだが。
「まったく・・・」
やれやれと言った感じだが、ベスも何か考えがあってのことだろう。何もなければいいのだが・・・。
ピピピ・・・
携帯端末が鳴る。
見ると如來からだった。
『櫻子様と李組の子が言い争いのケンカしてる!私じゃ止められない!なんとかして ><』
「ゴメン円。ちょっと1年の講義棟行ってくる」
「どうしたの?
「ベスと1年生が言い争ってるって・・・」
「ええ!?」
「・・・しつこいです。来ないで!」
李組の教室に来てみたのだが・・・この状況は何?
ベスと黒髪セミストレートロングの下級生リリィが言い争っている。しかも背中にはCHARMケース。
「ちょっと!あんたなにやってんの!」
ベスの腕を掴む。
「明日香さん。ちょうどよかったですわ。この聞き分けのよくない子をしかってやってくださいまし!」
「・・・あんた。まさか強引にLGに誘おうとしてないわよね?」
「違いますわ!大体、わたくしの話を一切聞こうとしないこの子が悪いんですわ!」
ベスの言っている意味がよくわからなかったが、大方レギオン勧誘話を切り出してそれ以前に断られたパターンなのだろう、と思っていた。
「とにかく私にかまわないで!」
黒髪の子の前に立つ。そしてその子の腕を掴み、
「何があったかわからないけど、話を聞かないっていうのはちょっと違うんじゃない?」
「あなたもなんなんですか!人のことを寄ってたかって・・・」
「私はあなたとうちのメンバーとのケンカを止めに来ただけよ。何か特別な理由がありそうだけど、話す気はない?」
「・・・あなたには関係ない」
「そう。ならいいわ。ベスもほら、さっさと謝る!」
当のベスは納得していないようで、
「どうしてですの?わたくしは納得いきませんわ!」
「はい、いいから戻るわよ。ごめんなさいね・・・なにかあったら私のところに来て」
「あんた・・・相変わらず人との接し方が下手よね・・・」
「仕方ありませんわ。みなさんと違って人と触れ合う機会が少なかったですもの・・・」
LG控え室までベスを連れ戻したのだが、
「どうして何も話してくれませんの?どうして・・・」
と、ぶつぶつ言っている。
「・・・あのね。ああいうときは無理やり聞き出そうとしても話してくれるわけないでしょ。逆効果よ」
「なら、逆にお尋ねしますが、明日香さんはどうやってあの子から聞き出そうと思ってますの?」
「私からは聞かないな。本人が言う気になるまで待つ。ああいう子は過去になんかあって・・・それで自分の殻に閉じこもっちゃってることが多いからね」
トントン・・・
控え室をノックする音。
「ほら、ウワサをすれば、ね」
「あ、あの!」
如來から場所を聞いたのであろう、さっきのリリィだ。
「どうしたの?」
「えっと・・・先程はすみませんでした!あの・・・ご相談したいことが・・・」
「おっ・・・2人目ゲット?」
みどりが話に乗ってきた。
「残念ながら違うわよ。ただの相談」
「ちぇっ・・・なーんだ・・・」
「私は・・・
「ごめんね。さっきは気を悪くさせてしまって。私は尾上明日香。エリューズニルの隊長、2年生よ」
名前を聞いた途端、目を丸くさせた。
「天の秤目リリィ・・・」
どうやら私のレアスキルなしの射撃の実力は中等部でも有名なようだ。
「その呼ばれ方はあまり嬉しくないかな。ははは・・・」
できれば実力で通り名が付いてほしいところだ。
「で、蘆乃さん。相談って何?」
「私を・・・ここのLGに入れてくれませんか?」
え?
「それは・・・願ったりで嬉しいんだけど、けどいきなりどうして?」
「私・・・LGに入るつもりはありませんでした。ソロでもやっていける、そう思ってました」
「どうしてここに来ようと思ったの?如來から何か言われた?」
私が如來の名前を出した途端、表情を変える。
「如來のこと・・・知ってるんですか?」
「知ってるもなにも・・・私の前学園からの後輩だからね」
「そう・・・なんですね」
しばらく何も言わずうつむいていたが、
「・・・」
小さい声で何か言っている気がしたが良く聞き取れない。
どうしてこう、うちのLGに来る子達はみんな似たりよったりなんだろう?
「明日香隊長。私を入れてくれますか?」
しばし考えた後、
「ちょっと待ってもらえる?そうしたら如來経由であなたに伝えるわ」
「わかりま・・・」
蘆乃さんが立ち上がろうとしたときだった。
トントン・・・
控え室のドアをノックする音。
「どうぞ」
ガチャ・・・
「失礼しま・・・あれ・・・蘆乃・・・?」
そのリリィの顔を見た途端。
ダッ!
この場から走り去ってしまった。
「え、ちょっと!」
私は追いかけようともせずただ黙って見ているだけだった。それよりも───
咲良ちゃんと一緒のこの子のほうが気になった、というのもあるのだが。
「ごきげんよう。1年櫻組の
バツの悪い顔をしてから、
「知り合いっていうか・・・ちょっと話を・・・ね」
明日香さんと因悦さんとで話をしている間。私は蘆乃さんを追いかけることにした。
百合ヶ丘で一人になれそうな場所の心当たりはあそこしかない。
案の定、いた。
「因悦・・・そっか・・・みんなLG入るよ・・・ね・・・」
しばらくうつむいていたが、
「私・・・どうしたらいい・・・?」
そのまま泣き出してしまった。
このタイミングで卑怯だと思う。けど、こうでもしないと話は出来ないだろうと思った。
「隣・・・よろしくて?」
蘆乃さんの隣に座るも、
「・・・しつこいっ!」
こともあろう、私に向けてCHARMを抜いてきた
「・・・っ!」
ブラダマンテ・アイ───私のブラダマンテを元にブラッシュアップした新鋭CHARMだ。しかしまだ一般リリィには一振りも作られないはず。
この子・・・グランギニョルの関係者?
「せっかく高等部に来て懲罰だなんて・・・生徒会に連絡すればすぐですわ。それと───」
「我がグランギニョルのCHARMをそんな使い方だなんて、わたくしが許しませんわ!・・・と楓さんならおっしゃるでしょうね」
「楓・・・さん?あなた一体・・・」
「櫻子・S・エリザベス。グランギニョル関連CHARMマテリアルのエリザベート・ファクトリーの娘ですわ」
「櫻・・・子?」
名前を聞いた途端、私に手をあげようとする。
が、私はそれを止める。
「あんたのせいでっ・・・!私は・・・!」」
私に対しての怒りだろう、敵対心むき出しの表情。目には涙を浮かべている。
「何をわたくしに向けて怒ってるのか皆目検討がつきませんが、手を上げていい理由にはなりませんわ」
「・・・覚えてませんか?」
私には何のことだかさっぱりだ。
「あの子・・・もしかして、あの事故のことをまだ・・・」
「・・・事故?」
「はい・・・私と蘆乃は同じ予備隊だったんです。野良ヒュージ討伐のときに、もう1人も一緒だったんですけど・・・彼女は崖から落ちて・・・そのことを蘆乃は自分のせいだと思いこんでるんです」
そういうことか。さて、蘆乃さん問題は片付いて・・・はいないが、本題のほうに戻らくては。
「えっと・・・ありがとう。で、本当に私たちのLGでいいのね?」
「はい」
よっしゃ!心の中でガッツポーズ。
「じゃあ・・・実力をみたいからベス・・・ってあれ?」
私の隣にいたはずのベスの姿がない。どこ行った?
「咲良ちゃん。ベスどこ行ったかわかる?」
「それが・・・」
「まったく・・・」
因悦さんには控え室で待ってもらい、ベスの捜索をすることに。みどりならともかく、まさかベスを探しに行くことになるとは・・・。
学園中のあらゆるところを歩き回る。工廠科にはしばらく用がないのでそこ以外だ。
そして私たちがよく行く場所に彼女は、いた。
「ううっ・・・うわああああああああああああん!」
蘆乃さんが大泣きしている?どういうことだろう?
しばらく遠目で様子を見ていることにする。
「我慢する必要はありませんわ・・・自分に素直になればいいんです」
さて、どうしますか・・・。蘆乃さんが泣き止んで落ち着いたところで、
「ベスは何ここで油売ってるのかなー?」
私の声で一瞬動きが止まった。
「あ、明日香さん!?ご、ごきげんよう・・・ですわ」
「ごきげんよう、じゃないでしょ!なーんて・・・ホントはあんたを叱りに来たんだけど・・・今の見てたらそんな気分じゃなくなったわ」
「い、今の・・・って・・・見てましたの!?」
「途中から・・・だけどね。けど、よかったじゃない・・・良い守護天使になれそうね」
「言ってる意味がわかりませんわ。そっくり明日香さんにお返ししますっ!」
「素直じゃないなあ・・・ホント。で、悪いけどベスはこれから因悦さんと手合わせしてもらうわ。蘆乃さんは私とね」
修練場へ。判定人は円だ。
まずは私からだ。CHARMを構える。琴乃様と同じ構え方。
「え・・・構え方が違う・・・」
如來が私を見て一言。
「鬼龍院流薙刀術の構えですわ」
とはベスだ。
「鬼龍・・・え?」
名前を聞いたが覚えられず固まっている如來。
「明日香さんは・・・百合ヶ丘に来てからもっと強くなりたいから、と元LGメンバーのリリィから薙刀を教わっているんですわ」
「そ、そうなんだ・・・」
「えっと・・・なんだっけ?」
そっか、円は判定人初めてなのを忘れていた。訓練以外で手合わせはしたことがないからだが。
「いつも私が言ってること思い出せば・・・」
「制限時間はなし・・・レアスキル使用禁止、危険って判断したら止めます。構えて」
お互いCHARMを構える。
ブラダマンテ?確かユニーク機だったはず。ベス曰く、生産の手間の都合で量産がむずかしい、とか聞いた記憶があるが・・・。
とするとグランギニョルの関係者、ということになるが・・・蘆乃さん本人から聞かないとなんともなのだが。
「はじめ!」
無言で私目掛けて走ってくる。正攻法か?
ここで一旦しゃがむ。円は気づいたらしい。本来は地面に対して行うのだが、修練場の床を地面に見立て、持ったまま宙返り。
「えっ!?」
蘆乃さんが驚いている。だが、すぐに我に帰り、ブラダマンテ(と思われるCHARM)を上から下へ振り下ろす。
ブンッ!
すかさず下から突き刺すような形で「わざと」離して入れる。
「明日香相変わらずすげーな・・・」
とはみどりだ。
だが、如來よりは太刀ち筋はいい。
からせり合いとなる。
キンッ!キンッ!
元のポテンシャルは高そうだ。半分気合だけで乗り切ってきたような如來とは違う。
「それに付いていってる蘆乃ちゃんもなかなかですよ」
咲良ちゃんの声。
蘆乃さんならAZでやっていっても問題はないだろう。さて、そろそろか。
一旦蘆乃さんから離れる。
足元にマギを入れ、右足つま先を合図にジャンプ。
「え・・・」
見ている一同唖然としているが、ルール上飛んではいけないとは言っていない。過去何回も飛んでいる。
(あ・・・マギの加減間違えた!)
少し飛びすぎだがまあいい。蘆乃さんのすぐ近くへ。
頭から振り下ろす。
「ストップ!」
円からの声。
当の蘆乃さんは納得行っていない様子だが。
「・・・やり直しを要求します」
予想通りの答え。
「蘆乃さん。これは手合わせだけど、手合わせじゃないわ。そこは勘違いしちゃダメ」
「その通りですわ。明日香さんはどの程度の実力かを見るために手合わせしてますわ。LGのポジションも」
「さて次は───」
ベスがブラダマンテを取り出す。
「さ。準備なさって?」
因悦さんがケースから取り出す。
・・・因悦さんはボルソルンか。ユグドラシル製CHARMの中ではグングニルの扱いやすさをさらに追求した、と言われている。いずれ百合ヶ丘でも初心者向けはボルソルンになるのでは、という話さえある。
「・・・ボルソルンかー。まだ百合ヶ丘には数振りしかないって聞くけどね」
「うきゃあっ!」
如來が突拍子もない声を上げる。
「ごっきげんよう。気分転換に見に来たんだけど・・・この子たちね。今度LGに入った子たちは」
気配を消して突然出てくるな、と言いたくなってしまった。
「あの・・・この方は・・・」
「どもー初めまして。私は工廠科2年の我妻乃莉子でーす。これからヨロシク」
軽いノリで挨拶する乃莉子さん。
「乃莉子さんはうちのほぼ専属のアーセナルよ。CHARMのメンテ出すときは乃莉子さんにお願いしてね。で、うちの子たちを驚かして・・・何したいの?」
乃莉子さんを睨むも、
「ほぼってなによ・・・ほぼって。特になにもないわ。この時期って工房にいてもやることなくてつまんないし・・・」
「気持ちはわかるけど・・・今度やったらメンテ出し全部止めるわよ?」
「え!?それはやめて・・・」
乃莉子さんにはこの台詞が一番効果がある。
「ま、私的には、初めて会った時よりはだいぶ丸くなってくれたからありがたいんだけどね」
「丸くなった・・・とは?」
「この子・・・CHARMオタクなのよ・・・だから下手にCHARMの話題降ると2時間は捕まるわよ?」
と軽く脅しをかける。
「え・・・」
「ただし、腕はいいわ。私もシューティングモードの射撃出力限界より少し上げてもらってるし。あ、如來」
「何・・・じゃなくて、なんでしょう?明日香様?」
「後で乃莉子さんのところ持ってってね」
「え?いきなり!?百合ヶ丘来る前にメンテと調整してもらったばっかりだよ?」
「・・・乃莉子さん」
小声で耳打ち。
「え、なになに?」
「この子のタングズニル、バラして中見てもらっていい?もし同じ機構が載ってたら私に連絡してほしいの」
「なになに、御台場で疑似姉妹の契約でもしてたのかな?」
「なんで如來のこと知ってんの?」
「咲良からバッチリ聞いちゃった」
咲良ちゃんか・・・。乃莉子さんに誇張して話してる気がしてきたが、今はいい。
「いや、御台場にも似たような制度あるけど、百合ヶ丘と違ってちょっと・・・じゃなくて!とにかくそういうことだからヨロシク。何もすることなくて暇だったんでしょ?それと、今年も例のアレやるから百由様に話通しといて」
ベスと因悦さんは結果としてベスの勝ちだが、全体的に因悦さんが押し気味だったこと、対応の早さなど評価する点が多かった。ただ、なんとなくぎこちないところもなくはなかった。因悦さん何か隠してる?
「く、くやしい・・・」
「因悦さん。さっきも言ったけどこの手合わせは勝敗を求めてないわ。どの程度やれるかを見るため。けど合格よ」
「あ、ありがとうございます!」
深々とお礼。
「後1人かあ・・・ところで因悦さん。レアスキルは?」
「私は・・・ブレイブです」
よっしゃ!
またしても心の中でガッツポーズ。琴乃様をサブで入れられるのは大助かりだ。
「ブレイブ?」
「精神安定系のスキルです。
「けど狂酔の月持ちなんてLGにいるんですか?」
「なあに?私の話?」
「ごきげんよう琴乃様。今日はみんなでビックリさせる日ですか?やだなあもう・・・」
「あの・・・」
如來が訪ねる。
「ごきげんよう如來ちゃんとみんな。で、狂酔の月がどうかした?」
相変わらずニコニコしている。
「出撃命令出ても琴乃様は心置きなく大暴れ出来ますって話を」
「まさかカリスマ!?」
「残念ブレイブです。カリスマだったら他所のLGから引き抜かれちゃいますよ・・・多分」
と、因悦さんのほうを見て苦笑い。
「ですよねー・・・でも予備隊では狂酔の月の子と組んでたのでそこはバッチリです!」
それは心強い。
「それじゃ───」
LG契約書にサインをしてもらい、指輪をかざしルーンの捺印。
「これで後1人ですわね」
「はあ・・・立ち上げの時より苦労してる・・・」
ポンポンと琴乃様に肩を叩かれ、
「そんな弱気じゃだめでしょ?新隊長の明日香ちゃん」
琴乃様と言い、京夏お姉様といい、みんな厳しい・・・。
「そういえばちゃんとした自己紹介がまだだったわね。私は尾上明日香。今はこのLGエリューズニルの隊長よ。レアスキルはゼノンパラドキサ。先代隊長とは守護天使と
リレー形式で自己紹介させることにする。
「えっと・・・瀬能如來です。前は御台場女学校にいました。レアスキルは同じくゼノンパラドキサ、昨日明日香隊長と守護天使の契りを結びました。これからよろしくおねがいします」
如來珠が一礼。
「次は円ね」
「はーい。敷井円です。明日香ちゃ・・・明日香隊長とは百合ヶ丘に入ってから知り合いました。一般編入からの新米リリィです。レアスキルは天の秤目。リリィ歴はみんなより浅くてまだまだだけどよろしくね。はい、次はベスちゃんね」
あからさまに嫌そうな顔をするベス。
「こら。何そのあからさまに嫌そうにしてんの」
「別にそういうわけでは・・・まあいいですわ。ごきげんよう。櫻子・
「へえ・・・名前呼び嫌なんじゃなかったっけ?」
わざといじるも、
「もう過ぎたことですわ。レアスキルはテスタメント。つい先日、蘆乃さんとは守護天使の契りを結びましたわ」
「なにそれ聞いてないわよ・・・そんなの・・・」
「へえ・・・お嬢がねえ・・・」
みどりがベスを小突く。
「別に、誰が何をしようと勝手ですっ!次は蘆乃、あなたの番ですわ」
と、蘆乃さんがポンっと肩を叩かれる。
「・・・榛原蘆乃です。中等部の予備隊のときは
軽く会釈をする蘆乃さん。なんかそっけないというか。そのうちLGに馴染むだろう。
「斯波因悦です。蘆乃からもあったとおり、中等部では同じ予備隊でした。レアスキルはブレイブ、これからよろしくおねがいします」
「斯波・・・斯波・・・燈様?」
「こーら。それは御台場のリリィでしょ」
痛くない程度に軽く如來珠を小突く。それはLGロネスネスのカリスマ持ちの強化リリィだ。
「よく聞かれるんですけど・・・同性なだけで無関係です」
「ごめん・・・」
「いいのいいの。中等部でも同じこと言われて慣れっこだから」
ポジティブ思考だなあ。
「はい次はみどり」
「周防みどり。あたしも円と同じで高等部の一般編入。レアスキルは縮地。なんか知らないけどやたら明日香があたしのこと目の敵にすることあるけど気にすんな、ってことでヨロシク」
まあいいか。昔に比べたら大分マシな自己紹介なので多目に見ることにする。
「で、最後は咲良ちゃんね」
「はい・・・紫衣原咲良です。同学年メンバーの中では唯一中等部からのリリィです。あまり目立ちませんでしたけどね。レアスキルはレジスタ。最近書籍棟の司書になったので訓練以外ではあまり見ないかも・・・よろしく」
「書籍棟の司書?」
咲良ちゃんいつの間に・・・。
「リリィに関する書籍ならここに来ればいつでも勉強できるよ」
「へえ・・・戦術理論の教本よりもっと解説してる本とかある?今度借りに行くかも」
私が乗ってしまった。
「明日香ちゃん勉強熱心だなあ・・・」
「誰かさんと違って私はLG背負ってますから」
「誰かさんって誰のことだよ・・・」
「はいはい。で、明日香ちゃん私は?」
「ああ忘れてたわけじゃないですよ?紹介しないわけないじゃないですか。みんなちょっとまってて。元メンバーの先輩方呼ぶから」
携帯端末を取り出し連絡を入れる。
しばらくして、
「メンバー揃ったの?」
「すみません突然呼んでしまって。メンバーは後1人集まってません」
「後1人なのね」
「ごきげんよう」
京夏お姉様はともかく、初花様と灯音様は初顔合わせになると思うので紹介しておく。
「改めて紹介するわ。左から先代隊長の夏目京夏お姉様。私の守護天使よ、その隣が佐野重初花様。2人は幼なじみよ。で、最後は桃乃灯音様。灯音様は・・・」
やはり灯音様の
「いいよ明日香・・・ありのまま・・・話して。いずれ・・・知られるだろうし・・・」
「灯音様がそれでいいならかまいませんけど・・・」
私自身が納得言っていないが、本人がいいと言っているのでそういうことにする。
「灯音様はね・・・中等部時代に特型ヒュージの被害に遭って・・・こういう喋り方しか出来なくなったの」
「え・・・」
1年生が皆驚いている。無理もないか。
「外征とか行ってよく言われちゃうのよ。その度に説明が大変で・・・」
「明日香。私に・・・気を使わなくて・・・いいよ・・・慣れっこ・・・だから・・・」
「心して聞いてほしいんだけど、私たちリリィは常に危険と隣合わせなの。過去に私も命を何回も落としかけてるわ。命に変えてでもヒュージから守りましょう。初心忘れるべからずね」
琴乃様をえらい待たせてしまっている気もするが・・・。
「明日香ちゃん演説は終わった?」
「・・・すみませんお待たせしてしまって。最後に京夏お姉様から順に簡単な自己紹介とレアスキルを」
「わかったわ。明日香からもあったと思うけど、先代隊長の夏目京夏です。このエリューズニルは二代目なの。長くなるから割愛するけど解散なんて絶対ダメよ?レアスキルはゼノンパラドキサ。よろしくね」
「佐野重初花よ。明日香からもあったけど、京夏とは初等科からの幼なじみなの。レアスキルはユーバーザイン。よろしく」
「あの!」
蘆乃さんが声を出す。
「榛原蘆乃、です。初花様は・・・ゴーストを操るときにマギの配分とかどうしてるんですか?」
なんか具体的な質問だな。まあ先輩に聞くことは悪くないが。
「蘆乃さん、同じレアスキル持ち少ないのはわかるけど、そういう質問は後でね」
釘を刺してしまった。さすがに流れを止めるのは・・・と思ったからだ。
言われてハッとしたのか、顔を赤くして、
「す、すみません・・・後で個人的にお伺いしてもいいでしょうか?」
「かまわないわよ」
とりあえず一安心。
「
「鬼龍院琴乃です。名前を聞いて知ってる人もいるかもしれないけど、私よりはCHARMのほうが有名かな?鬼龍院流薙刀術第152代当主よ。レアスキルは狂酔の月。LGにいたときは私が控え室のお菓子とか作ってたのよ?」
「そうそう。琴乃様のクッキーまた食べたいなあ・・・」
「あのLGのお菓子って買ってきたんじゃないんですか?」
「私がいたときはね。今は誰が作ってるのかしらね」
とはぐらかした。私が作ってるんだけどな。そのうち誰か気がついてくれるだろう。
結成当初ほどすんなりは行ってないが・・・私の代で無くさないようにしなければ。
第二章です。
明日香たちが二年生になってからのお話が中心になります。後半かなり度肝な展開になるので驚かないよう・・・。