ピピピ・・・
携帯端末に通話。ベスからだ。
『みなさん部屋で待機してますわ。この後どうなさいますの?』
・・・みんな置いてきぼりにしてしまったのは事実なので後日謝ろう。
「今日のところはそのまま解散で。遺品整理は初花様と琴乃様にお任せするって伝えておいて。お別れの立ち会い如何はその前に連絡する、ともね」
『わかりましたわ。で、如來さんとは合流しましたの?』
「合流した後、言い合いのケンカして仲直りした途端気を失ったわ。今部屋に送って帰る途中」
『そういえば如來さんの部屋って・・・』
「私が使ってたB棟45室。ここまで偶然が重なると、ちょっと・・・ね・・・ううっ・・・」
端末の前でつい泣いてしまう。
『ちょっと!?大丈夫ですの?』
「ごめん・・・と、とにかくそういうことだから伝えておいて」
『わかりましたわ』
ピッ・・・
あぶないあぶない。感傷に浸るのは部屋に戻ってからだ。戻ったら戻ったで円と気まずくなりそうだけど・・・。
ガチャ・・・
部屋に戻る。
「・・・」
お互い何も会話がないのははじめてかもしれない。
「・・・」
「・・・」
・・・気まずい。何か喋らなきゃ、と思っていても何も出てこない。
結局。消灯時間まで何も会話なし。
横にはなっているものの、落ち着くはずがなく。泣きそうになる。
「はあ・・・」
感情を抑えながら制服に着替えて外へ。
気持ちなんてすぐに整理がつくはずがない。ましてや私の恩師だった人だ。
「・・・明日香さん?」
櫻子・・・。
「こんな時間にどうしたの・・・って聞くまでもないか」
「ええ・・・ところで、もう大丈夫なんですの?」
「大丈夫なわけ・・・な・・・い・・・うううっ・・・」
「うわああああああああああああああああああああああん!」
我慢しきれなくなったのか、私の前で泣き出してしまった。
共に戦ってきた仲間との別れ。しかも自分の
「バカッ!そんなのっ!私だって同じよ!平然としていられるほうがおかしいのよ・・・」
最後のほうは涙声になってしまった。
しばらく2人して声を上げて泣いた後。
気がついたら朝になってしまっていた。
「・・・朝になってしまいましたわね」
「・・・そうね」
お互い目が真っ赤だ。明日香さんの表情は夜中よりも意気消沈していた。
私はそのまま食堂へ。そこに明日香さんの姿はなかった。
もちろん講義や演習にも姿は見えず。
(昨日の今日で平然といられるわけ・・・ないよね・・・)
「エリザベスさん・・・」
咲良さんだ。
「どうなさいました?」
「あの・・・明日香さんは・・・」
「今日は見ておりませんわ。昨晩一緒にはいましたが・・・」
「そう・・・ですか・・・」
なにか用事でもあったのだろうか?そのまま李組の教室に戻っていってしまった。
その数分後、
「あ。櫻子様ごきげんよう。明日ねえいます?」
如來さんだ。
「ええ。朝まで一緒でしたが・・・食事のときに別れて以降お会いしていませんわ」
「え?いないんです?」
会っていないのは事実なのでそのままを述べる。
「・・・部屋に行っても円様しかいなかったし、携帯端末も位置情報切っちゃっててどこにいるかわからなくて・・・」
「とにかく明日香さんが今どこにいらっしゃるのか皆目検討もつきませんわ」
まさかとは思うが・・・最悪の結果になってなければよいのだけど。
「そうですか・・・」
落ち込み気味にその場を後にする如來さん。
「・・・」
それに対して円さんは何も答えようとしなかった。普段なら何かおっしゃるはずなのに。
「すみません!」
「うわああああっ!なんだ・・・如來か・・・どした?・・・って聞くまでもないか。明日香なら今日見てないぞ?」
李組の教室。丁度みどり様がいた。
「・・・ですよねー。さっき櫻組の教室でも聞いたんですけど、誰も見てないって言われちゃったので・・・」
「そっか・・・あたしも見たらすぐ連絡してやるから」
「ありがとうございます」
みどり様もみてないのか・・・。明日ねえどこ行っちゃったんだろう?こうなったら自分の足で探すしかない。
まずは山
(こんなわかりやすいところにいるわけないよね・・・)
次。足湯。
(ここもいない・・・)
まさかとは思うけど・・・。
昨日出没多発地域で言い争ったけど、また・・・行ってないよね?
念のためタングズニルを持っていく。
(うーん・・・)
ここにもいない・・・生徒会の人に聞いてみるか。祀様に連絡を取る。
「突然すみません。LGエリューズニル副隊長瀬能如來です。うちの隊長・・・なにか申請出してたりしますか?」
『あら如來さん・・・そうね・・・特には聞いてないわ。あなたも
と、すぐに返事が返ってきた。え?知らなかった・・・そんな制度あったんだ・・・。
「じゃあ明日ね・・・隊長が今どこで何してるかもご存知ないと?」
『ええ・・・力になれなくてごめんなさいね』
うーん・・・どこ行っちゃったんだろう??
百合ヶ丘を離れ、私は海岸をボーッと眺めていた。
小波の音が心地よい。
ピピピピ・・・
携帯端末が鳴るが、無視する。
数分後、
ピピピピ・・・
再び携帯端末が鳴る。おそらく如來からだろう。もう1度無視。
その数分後、
ピピピピ・・・
ピピピピ・・・
ピピピピ・・・
・・・如來のやつ、何回メッセージ入れてくるんだ?
(ああっ!もうっ!)
頭に来た私はとうとう端末の電源を切ってしまった。
「・・・」
・・・なにやってんだ私。ただのわがままなリリィじゃないか。
昨日もそうだったけど、如來に八つ当たりして・・・困らせて・・・姉として振る舞わなくちゃいけないはずなのに・・・。
「あ・・・いた!こんなとこにいたのか・・・如來が心配してたぞ?」
みどり・・・。
「・・・」
私は
「おーい・・・明日香ー?」
みどりが私の前に手をやる。それでもボーッとしているフリ。
「うーん・・・そっとしといてやるか・・・」
頭をかきながらそのまま行ってしまった。
「明日香見つけたぞ?」
如來に連絡すると言った手前、一応してやらないとな。
『ホントですか!?で、どこに・・・』
「海岸でボーッとしてた。ただ、あたしが声かけても反応しなかったらそっとしといてやった。心ここにあらずだな」
『そう・・・ですか』
「如來は知らないと思うけど、京夏様は百合ヶ丘の中でも3本の指に入るぐらいマギ保有量多かったんだぞ?」
『え、そうなんですか!?』
だろうな。外部生ならそういう反応になると思う。
「アールヴヘイムの天葉様、ローエングリンの紗癒、で・・・京夏様、と。そんなスゲー人の妹だった明日香なんだから、ショックを受けないはずがない。如來も知ってるだろ?」
『はい・・・昨日の狼狽ぶりを見れば・・・』
「だから今日ぐらいはそっとしといてやれ。いつまでも金魚のフンじゃあいつもつらいだろうよ」
と返信して以降、如來からの反応はなかった。
(ちょっとキツかったかな・・・)
あたしもそのものズバリを言ってよく明日香に怒られているが、今回ばかりはこれが正解なのかなと思う。
口にはしないが、もちろんあたしだってつらい。人目を気にしなかったら大声を上げて泣いているだろう。けど、それはあたしがあたしじゃなくなると思っている。唯一のこだわりでもありアイデンティティだからだ。
さて───やることはやったし、あたしも
GYAAAAAAAA!!
・・・野良かよ。しかもCHARM持ってないときに、だ。ていうかどっから出てきた?、まあ幼体のスモール級だから大したことはないのだが。
どうするあたし?縮地使って百合ヶ丘に戻ってティルフィング持ってくるか?そこまでする価値あるか?と問われると・・・なんだよな・・・。
パンッ!
GYAAAAAAA・・・
マギ弾の音?
見たときはすでに駆逐されていた。
「みどり様!」
撃ったのは因悦か。
「大丈夫ですか?」
「あたしは大丈夫だよ。縮地で離れたってよかったけどな」
と言ってハッとしたのか、因悦は少しうつむき気味に、
「ですよねー・・・」
「でも判断は正解だぞ。ちょっと先に明日香いるしな」
「え・・・明日香隊長いるんですか!?如來に・・・」
「もうあたしが言ってあるよ。そっとしといてやれ、ともな・・・」
そう言った途端に因悦も黙ってしまった。
おそらく如來に言われたから動いたんだろうが、因悦も否定的だったんだろうな・・・。
そっとしといてやれ・・・か。
みどり様の言いたいことも分かる。けど私は明日ねえの妹だ。妹は姉の支えになるべき、と。
昨日も言い争いになったばかりだが、知った仲だからこそ本気でぶつかりあえると思っている。
(よし!)
パンッ!
自分の頬を叩き、いざ海岸へ。みどり様はもういなくなっていた。
明日ねえは・・・いた。確かにボーッとはしている。けど様子がおかしい。
「うっ・・・ううっ・・・」
・・・泣いてる?
「明日香ちゃん?」
あれ・・・琴乃様だ。
「え・・・うそ・・・なんで!?」
明日ねえが驚いている。ちょっと待って!?もしかして・・・琴乃様・・・京夏様に見えてる?
慌てて明日ねえの元に駆け寄る私。
「明日ねえ!」
「あら如來ちゃん」
琴乃様は私にすぐ気づいてくれた。
「明日ねえ・・・もしかして・・・琴乃様のこと・・・京夏様だと思って接してます?」
「そうなのよね・・・ショックなのは分かってるんだけど・・・私もどうしていいか分からないの・・・」
琴乃様完全に困ってるじゃん・・・。昨日と同じだけど仕方ない。
パンッ!
明日ねえに向かい思いっきり平手打ち。
「・・・」
しかし無反応だ。
・・・無反応?
「・・・明日ねえ?」
顔を覗き込むも、
「・・・」
ピクりとも動かない。え?明日ねえ壊れちゃった?
しばらく動かない・・・と思っていたときだ。
「うっ・・・ううっ・・・うわあああああああああああああああああああああああん!」
今度は大声で泣き出してしまった。
泣きたいのはこっちだよ・・・。どう接していいかわかんないんだから。
「う・・・ううっ・・・」
え・・・今度は何?明日ねえの動向を静かに見守るしかできない私。
「うわあああああああああああああああああああっ!」
藍ちゃんが
けど、そのときのほんの一瞬だけで、その後は特に何もなかった。
・・・今の一体何?
私にはわけがわからなかった。
(後で医務棟行ってこよう・・・)
内容に納得いかなかったため、追加で執筆した都合で一瞬不定期投稿になりました。次回の投稿はいつもどおりになります。