アサルトリリィ~もうひとつの物語   作:武士道の犬

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レギオン

「ホントですか?京夏様」

 

「私もびっくりしたわ。LG(レギオン)としてこんなに早く生徒会から承認されるとはね・・・」

 

 京夏様から連絡をもらったときは驚きだった。LGの承認基準は学園(ガーデン)ごとに異なると思うが、申請してわずか一週間かからずして承認されるとは。

 

 連絡を受けてやってきたのは講義棟にあるLGの控え室が集められた別館だ。

 

「ごきげんよ・・・あれ?」

 

 どうやら私たちが一番乗りのようでまだ誰も来ていないらしい。

 

「誰も来てないね・・・」

 

「部屋、間違えてない・・・よね?」

 

「と思うよ?」

 

 一旦部屋を出てもう一度京夏様から連絡が来た番号と照らし合わせる。

 

 

(LG-38・・・うん、合ってる)

 

「ごきげんよう。早いわね」

 

「京夏様ごきげんよう」

 

「工芸同好会にルームプレート作ってもらってたらちょっと遅くなっちゃった」

 

 と言って手に持っているプレートを部屋の入口に貼り付ける。

 

 

『Region:Eljudnir』

 

 

 と大きく筆記体で書かれたプレート。私たちのレギオン名───エリューズニルだ。京夏様曰く二代目ということだが・・・詳細は分からない。琴乃様か初花様にでも聞けばわかるのだろうが、話しても教えてはくれないだろう。

 

「明日香ー、京夏様おーっす」

 

「・・・ごきげんようでしょみどりちゃん。指導官いたら怒られてるよ?」

 

「その・・・ちゃん付けなんかヤだなぁ・・・」

 

「なんでよ。咲良ちゃんは普通に呼んでるじゃない?」

 

「ヤなものはヤなの!ってことでヨロシク」

 

 はあ・・・とため息をついてから、

 

「じゃあみどり。講義とか終わっても縮地を使って移動しない。いいわね?」

 

「えー!なんでー?」

 

「えーじゃないでしょ?いい、もし普段から使って万一ヒュージ退治の出動要請が出て、戦闘中にマギが枯渇したらどうするつもり?あんたの命に関わるわよ?ま、早死にしたければ止めはしないけど?」

 

「明日香ちゃん言い過ぎ・・・」

 

「明日香ちゃんの言う通りね。LG隊長の私からも言っておくわ。これは『命令』ね」

 

 さすがに命令と言われてしまえばみどりも反論はできないだろう。

 

「う・・・わかったよ京夏様・・・」

 

 マギの使用量はわずかかもしれないが、日頃から温存するというクセを付けていかないと後々痛い目を見てしまう。過去の私のように。

 

「ごきげんようみんな。来るの早いのね」

 

 まるで気配を感じないように背後から声が。

 

「うわっ!?ご、ごきげんよう初花様。私たちが一番乗りだったんですよ。ははは・・・」

 

 周りは気にしていない(というか気がついてない)ようだが、もしかすると初花様も普段からレアスキル───を使っているのでは・・・と思ってしまうほど感じなかった。

 

「・・・ごきげんよう。まだ・・・全員来てないんだ?」

 

 灯音様もやってきた。

 

「琴乃はいつものやつで遅れるって。千香瑠みたいに上手く焼けなーいって叫んでた」

 

 いつもの?

 

「えっと千香瑠っていうのは?」

 

「ああ、琴乃の同い年の友達ね。百合ヶ丘じゃなくて他所の学園(ガーデン)だけど」

 

 京夏様によればお台場からもほど近いエレンスゲ女学園のリリィだそう。エレンスゲ?

 もしかしたら私も会ったことがあるかもしれない。

 

「あら?もうお揃いですのね。ごきげんよう」

 

「・・・ベスおそーい。何やってたの?今日は用事ないんじゃなかったっけ?」

 

「ないはずでしたが・・・なぜか工廠科の・・・乃莉子(のりこ)さん呼び止められてしまいまして、時間を取られましたわ・・・あの方わたくしにしつこく迫ってきましたの・・・皆さんも気をつけてくださいな。一度捕まったが最後、私にCHARMいじられろー!ってきますわ」

 

 真っ青な顔で怯えながら語るベス。昨日咲良ちゃんの言っていた友達の犠牲者第一号になってしまったらしい。

 

「すみませーん遅くなりましたー。友達を手伝ってたら違う用事に付き合わされて・・・琴乃様は?」

 

「琴乃は食堂にいるわ。さて、琴乃がいないけどはじめちゃうわね」

 

 部屋は椅子とテーブル。壺に生けられた花とホワイトボードがある程度で特にこれといったものは置いてない。

 

「で、早速だけど食器類はこれから琴乃が持ってくるからいいとして・・・」

 

「京夏。アレが最初でしょ?」

 

 と、初花様。

 

「そうね・・・」

 

 軽く咳払い。

 

「昨日も明日香ちゃん達には言ったと思うけど、このエリューズニルは二代目なの。水基(みずき)様たちのためにも私たちが意思を引き継いでいかなくちゃいけないわ」

 

「あの・・・失礼ですが・・・水基様たちって・・・」

 

「ああ・・・ごめんね。先代の先輩リリィ達のことよ」

 

 琴乃様はそれ以上のことは言わなかった。

 

「それと、ノインヴェルト戦術もしっかり練習していかないとね」

 

 ノインヴェルト戦術────マギスフィアを9人一組のLGメンバーでパスを回し、力を増大させて最終的にヒュージに叩き込むやり方のことだ。もちろん相応に技術も必要だが、同時にマギをかなり消費するため、対ヒュージへの最終手段としての役目が大きい。

 

「ノインヴェルト・・・ってなに?」

 

「9つの世界・・・って意味。ノインヴェルト戦術自体は習ったでしょ?それと、5人でやるときも総称で言うこともあるけど、正式にはフンフヴェルト戦術になるわ」

 

 京夏様がみんなにノインヴェルトの特殊弾を見せる。

 

「もしやるときは私から誰って指示出すから。しばらくは訓練弾で練習かな」

 

 訓練弾とはいえマギの消費量は通常ノインヴェルトほどではないしてもかなりのものだ。慣れない円ちゃんたちは1日でへばりそうである。

 

「みんなごめんなさいね。遅くなっちゃって・・・」

 

「琴乃様。ごきげんよう。その大荷物は・・・?」

 

 背中には大きめのリュック、手には何かが入った容器をもっている。

 

「ああ、これ?みんなの分のお皿とかよ」

 

 お皿?

 

「あの・・・ここって控え室・・・ですよね?」

 

「ええ、だから必要なの。控え室って言ってもここはみんなの憩いの場だからね」

 

 とニッコリしながら手際よくお皿にティーカップ、紅茶を用意していく。

 

「わーうまそう・・・」

 

 みどりが手を出そうとするが、

 

「みどりちゃん。みんなに配り終わるまでは食べちゃだめよ」

 

「へーい・・・」

 

 全員分並べ終わったところニコニコしながら一言。

 

「今日は訓練前だけど、これからミーティングとか終わった後に食べられるようにクッキー焼いて作っておくね」

 

「あの・・・これって訓練に必要なことでしょうか?私にはそうは思えないんですけど・・・」

 

「ごめん明日香ちゃん。私から言わせてもらうわ」

 

「京夏様・・・」

 

「私はありだと思ってるわ。他所のLGの話をここで出すのもアレだけど・・・百合ヶ丘のLG控え室って結構自由なのよね」

 

「それとこれと何の関係が・・・」

 

「あるでしょ?明日香ちゃん。御台場のとき控え室でどうしてたの?」

 

 京夏様に言われ、御台場にいたときに所属していた───東雲予備隊のことを思い出す。あの控え室は椅子とテーブルこそあったものの、それ以外に特になかったと記憶している。

 

「特になにも・・・ただ、椅子とテーブルがあるだけでした・・・」

 

「LGって結束力が大事だと思うの。ただ訓練しておしまい!じゃなくて、その後の反省会とか今後の課題とかを話し合う場かな」

 

「明日香さん。もう答えは出ているじゃあありませんか。京夏様のおっしゃることがお分かりになりません?」

 

「ベス・・・」

 

「そ。ただ話し合うだけじゃなくて、心の休息が必要、ってこと。ただ対ヒュージのためにいくら訓練して、作戦とか立ててもみんなとのコミュニケーションが取れなかったら意味はない。そうでしょ?」

 

 確かにそうだった。なんでこんな当たり前のことに気づいてなかったんだろう・・・。穴があったら入りたいとはこのことか・・・。

 

「すみません。質問した私が変でしたね・・・なんでこんな当たり前のこと・・・」

 

「はーい。終わったところでみんなでいただきましょうか。ささ、食べてみて?」

 

 空いてるソファに座り、盛り付けられた皿にあるクッキーひとつを手に取り一口。

 

「・・・おいしい」

 

 これはお世辞でもなんでもなかった。小麦粉と卵のバランスが絶妙で、ちょっと焼きが・・・なところはあるけど、それを差し引いてもお店とかで買えるものとクオリティに差はないと思った。

 

「おいしいです琴乃様。もしかしてお菓子作りがお好きなんですか?」

 

「お菓子だけじゃないわ。普通に料理もするかな。時々食堂の厨房を借りて京夏ちゃんたちに作ってたべてもらってるんだけど、すごい好評で・・・」

 

「琴乃、その話はほどほどにね。早速だけどこの後の訓練の話をするわね」

 

 と控え室備え付けのホワイトボードに今日の流れを書き出す京夏様。模擬戦?

 

「円ちゃん、咲良ちゃん、みどりは見学ね。明日香ちゃんとエリザベスさんはこの後模擬戦をしてもらいます」

 

「わかりましたわ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 昨日に引き続き訓練棟の修錬場へきた私たち。

 

「ちょっと待っててね。今声かけてくるから」

 

 到着するなり京夏様はいなくなってしまった。

 

「・・・うちの・・・通過儀礼みたいなものだから・・・心配しなくて・・・大丈夫」

 

 灯音様はこう言うが、

 

「・・・と言いたいところだけど、そのときの担当次第なのよね。私のときは百由(もゆ)さんだったから、ついムキになっちゃって壊しちゃったのよね」

 

 壊しちゃた・・・?

 現時点では何を言っているか分からなかった。

 

 10分後。

 

「ごめんね。もうそろそろ来るから」

 

 ガシャン!ガシャン!

 

 えっ!?ヒュージ!?と思ったがよく見ると少し様子が違った。

 

「ごっきげんよう!あれー?エリザベスさんもいるじゃない!これは熱いわ!」

 

「乃莉子ちゃん?」

 

「あれー?咲良じゃん。ここのLGだったんだー」

 

 乃莉子さんだ。工廠科は制服が違うので見ればひと目でわかる。

 

 紫髪でロングヘアー、この前CHARMの定期メンテを依頼しに行ったときは座っていて分からなかったが、身長は私と同じぐらいか。

 

「ごきげんよう乃莉子さん・・・へぇ・・・メカヒュージかぁ・・・」

 

「京夏様に頼まれてメカルンベルを1つ隣の工房から借りてきたけど、なるほどねえ・・・」

 

 ふむふむと頷きながら乃莉子さんはこちらのほうを見ている。

 

「ユグドラシルのタングズニルにグランギニョルのブラダマンテ・・・どれも実戦特化・・・」

 

 すでに目が怪しい。

 

「ちょっとごめんなさい」

 

 これはダメだと思ったのだろう。咲良ちゃんが慌てて乃莉子さんのほうへ駆け寄り、

 

「ダメだよ乃莉子ちゃん。これから訓練なんだから・・・」

 

「わかってるわよ、もう・・・」

 

「それにしてもよくこの子に声かけましたね・・・」

 

「あはは・・・ホントは百由さんに声かけたかったんだけどね・・・ちょうどCHARMブレードの硬化処理してたから邪魔しちゃ悪いなーって・・・」

 

 なるほど。で、ベスはというと・・・。

 

「あの・・・わたくし少々気分が・・・」

 

 少し青ざめていた。

 

「今は咲良ちゃんがいるから大丈夫でしょ・・・何ビビってんの」

 

「あの・・・百由様って・・・」

 

 円ちゃんが京夏様に尋ねる。

 

「ああそっか・・・真島百由・・・百合ヶ丘にいれば誰もが知ってる有名人よ。まあいなくても有名なんだけど・・・」

 

「そうそう。CHARMの開発に携わってるとか、ヒュージの研究論文とか、ほぼ毎週のように発表があるから『週間百由』とか言われてるわ。愛称なのか揶揄なのかわからないけど」

 

「さて、これから2人には模擬実戦をやってもらうわ。円ちゃんとみどりちゃんの見本って意味合いも兼ねてるから慎重にね。ところで───」

 

 京夏様が乃莉子さんのほうへ向き、

 

「このメカルンベルの設定ってどうなってるの?」

 

「あー・・・」

 

 乃莉子さんは頭をかきながら、

 

「実は借りてきただけでどうなってるかまでは・・・」

 

 ・・・どうやら知らないらしい。どの程度のヒュージ設定になっているのだろう?ミドルクラス程度だったらデュエルでも1人でなんとかなると思うが。

 

「じゃあ壊しちゃっても特段問題はないんですね?」

 

「多分・・・」

 

 乃莉子さんの許可が出たところで普通に戦ってもいいということになった。

 

「明日香ちゃん、エリザベスさん。()()()()いいけど、あくまでも()()()()のが前提だからね」

 

「わかってます」

 

「了解ですわ」

 

「あのメカヒュージって・・・」

 

「例の暴走するやつよね?」

 

「新入生にアレと戦わせて大丈夫なの?」

 

 別LGと思われるリリィたちの声が聞こえてきた。

 暴走とか不吉なワードが聞こえたが、大丈夫だろうか。

 

「とりあえずどうする?」

 

 ベスに耳打ち。

 

「それはあなたが決めてくださいな。わたくしはあなたに従いますわ」

 

 珍しいこともあるものだ。ベスが素直だと返って何か起きるのではないか、と余計な勘ぐりを入れてしまいそうだ。

 

「じゃあ、始めたら私が正面から間合い取って入るから、ベスは後ろで待機、もし暴走してきたらテスタメントお願い」

 

「あら、わたくしと対戦したときと随分違いませんこと?」

 

「それはお互い様でしょ。今は言い争うよりどう効率よくメカヒュージを倒すかよ」

 

 フォン!

 

 CHARMを起動し、マギを込めて構える。

 

 ヒュージ独特の動きを完全再現してるのか・・・。

 御台場にいたときは画面上の仮想空間のヒュージが相手だったが、ここまで実戦さながらとは。

 間合いを取りつつ少しずつメカルンベルに近づいていく。

 

 音とも叫びとも呼べないヒュージ独特の音まで再現されている。

 触手が伸びてきた。

 

 キンッ!

 

 とりあえずは払う。

 すかさず違う触手が飛んでくる。実際のヒュージと戦っているような感覚だ。

 

 キンッ!

 

「くっ・・・」

 

 受けたものの衝撃が想像より重かった。

 

「はあっ!」

 

 ベス!?人の話を聞いていたのだろうか。私より前に来た。

 メカルンベルに近づこうとする。

 

「ちょっと!?人の話聞いてたの?前に出るなって・・・」

 

「あっちゃー・・・もう始まっちゃったかー」

 

「あ、百由さん。ごきげんよう。間に合わなかったって・・・琴乃ちゃんのときと同じ?」

 

 真島百由───幼稚舎から百合ヶ丘にいる生粋のリリィ・・・のはずだが、本人はアーセナルを希望した。隣の工房の新入生と意気投合した、ようなことを聞いたがさて・・・。

 

「ごきげんよう・・・って挨拶してる場合じゃなかった。気を付けて!その子突然凶暴化するから!」

 

「ええっ!?凶暴化って・・・うわっ!?」

 

 キンッ!

 

 直接メカルンベルからの攻撃。受け流しつつ、タイミングを見計らって腹を狙って攻撃する。

 今の所平気みたいだが、出方次第ではレアスキルも使う必要がありそうだ。

 

(どうする・・・)

 

 本人がいる手前壊してしまうかも・・・と思い半分、でもそれじゃ訓練にならない、と思っている自分。

 ヒュージ独特の(再現された)動きと音がさらに激しくなってきた。

 

(こういうことか・・・)

 

 一旦メカルンベルから下がり構える。ベスはまだメカルンベルの側にいるがお構いなしだ。

 

「あっ・・・」

 

 ベスが少し離れた!よし!

 

「はああああああっ!」

 

 レアスキル発動。近づいたと当時にブレードによりマギを込め、正面から左に向かってCHARMを降り下ろす。いや、横からだから下ろすとは言わないか。

 

 メカルンベルは真っニつになる。そこへ、

 

「やあああああああああ!」

 

 ベスが上からCHARMを降り下ろす。いいとこ取りか。

 メカルンベルは見事4つ切りとなった。

 

 

 

 

 

 

「あーあ・・・やっちゃったわね・・・」

 

 口ではそう言ったものの、私自身は彼女のことを確信した。

 

(やっぱり私が思った通りだわ。この子なら・・・)

 

「あああああああああああやっぱりいいいいいい・・・・」

 

 当の百由さんは変わり果てたメカルンベルをみて落ち込んでいた。

 

「これが・・・実戦訓練・・・」

 

「ええそうよ。といっても今回はお試しみたいな感じだったけどね。実際のヒュージはこんなもんじゃ済まないから」




 戦闘描写が笑えないぐらい下手くそになってますね・・・←

 これはどうしたらいいでしょう(笑。
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