過酷な世界で生き抜くために   作:フドル

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第10話です、どうぞ!


10話

 突き刺さった角を引き抜き、数歩距離をとって相手を見る。相手は少し呻くような、何かを話すような様子で口を動かしてからゆっくりと眠るような体勢で地面に倒れ、そのまま絶命した。

 

 ーー何とか勝てた。相手が死にかけじゃ無かったら今頃どうなっていたことやら……

 

 倒れた相手を見るととても穏やかな表情にも見えて実はまだ死んでいなくて寝ているだけなのではないか?と疑問に思ってしまう。

 

 ーー本当に死んでるよな?すごく穏やかな顔なんだけど、足元の血溜まりがなかったら死に真似にしか見えないな。それにしても、あー、腹が痛い。

 

 火球をくらってから腹がジンジンと痛む、各口から出ていた血は既に止まっているのは流石モンハン界のモンスターというべきか。

 それでも直撃した胸口は損傷が大きく、胸口から鉱石槍などの生成をしようとすると酷く痛む。

 

 ーーこれ放っておいても治るかなぁ?自然治癒に任せるしかないかぁ……それにさっきから何か空に飛んでるし……

 

 リオレウスにトドメを刺す少し前から頭頂部の眼は空を飛ぶ飛竜を視認していた。

 途中で乱入してくるかと警戒していたがそんな事はなく、トドメを刺した今でも様子を見るように上空で旋回しているだけだ。

 

 ーー流石に連戦は嫌だなぁ、来たら迎え撃つけど。

 

 来ないなら先に補充を済ませようと亡骸になったリオレウスに近づくが、それを見た飛竜は急降下、こちらの頭に蹴りを放ってくる。

 こちらはそれを見ていたので頭に当たる直前で顔を傾け回避、更に顔口で突き出された脚に噛みつき地面に叩きつける。

 数回地面に叩きつけた後、相手を亡骸の方にぶん投げる。投げられた相手は地面を転がり亡骸に衝突、停止する。

 ここで相手の容姿を確認するがそれはついさっきまで戦っていた個体の本来の姿であるリオレウスだったがこいつも少し容姿が異なる。

 身体には嵐に揉まれた様な傷跡があり、特に顔にある大きな傷跡が印象的だ。それよりもこちらが気になるのはその背中にある鞍だ。

 

 ーー何でリオレウスに鞍なんてついている?もしかして近くにこいつを飼い慣らしてるハンターが居るのか?

 

 辺りを見渡すがハンターの姿は見えない。しかしすぐ近くに居る可能性は高い。

 

 ーー合流されたら不味い、すぐにこいつを仕留めないと。

 

 再び鉱玉を活性化、鎧が明るい白色に変色するのを確認する前に目の前の敵を殺すと飛び掛かる。

 相手は少し口を動かす。火球だと思い気にせず突っ込むが撃ち出されたのは火球ではなく玉みたいなもの。

 玉?と疑問に思った途端に弾ける閃光。

 

 「!?グルゥオオオオ」

 

 その玉に意識を向けた時に弾けたので視界が真っ白に染まるが、すかさず反転。後頭部の視界を使い相手を仕留めにかかる。

 こちらに近づいてきていると予想し、尻尾を振り回すが空振る。相手はこちらを無視して亡骸を掴み、空に羽ばたこうとしていた。

 

 ーー何が目的だ?獲物の横取りか?

 

 真っ白に染まっていた視界が元に戻り、相手を見つめるが相手はこちらを気にせず亡骸を運ぶことに意識を向けている。

 鉱石槍で撃ち落とそうかと考えたが、既に相手は空高く羽ばたいており、当たったとしても対して効果は得られないだろう。

 身体中に傷跡があるリオレウスは亡骸を掴んだまま火の海となった森を越えて夜空に消えていった。

 

 ーー森を越えたということはハンターは近くに居ないのか?いたら合流する可能性が高いはずだし、こちらとしたら連戦は勘弁して欲しかったけどその対価が戦利品の損失って割に合わないなぁ。

 

 力を抜き、元の暗い白色に戻る鎧を見つつ地面に伏せる。

 

 ーー流石に疲れた。けどすぐに移動しないと。

 

 辺りに視線を向けると一面が炎で明るくなっている。空は黒煙で覆われており、夜と相まってこの火災は遠くからでも良く見えるだろう。

 恐らくギルドなどもこの事態は把握している。この火災が治まった後に被害状況などを確認に来る可能性は高い。そうなればこちらも見つかる可能性が高くなる。それにこの火災だ。本来の残る理由であった草食竜やそれを追いかけてくる大型モンスターもこっちにくる可能性は低いだろう。

 ここに残るのはデメリットの方が多いので新天地目指して移動することに決めた。

 ある程度の休息は取れたので立ち上がり適当な方向に向かって走り出す。出来れば自然豊かで食料がいっぱいあるところに辿り着きたいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 走り始めて数日、腹の痛みはすっかり治ったが未だに納得のいく土地に辿り着けない。何箇所かはこれは……という土地を見つけれたのだが寝床となる場所がなかったり、主食の鉱石が少ない場所だったりしたので候補として置いておき先に進んだ。

 

 ーー候補といっても当てもなく走り回ってるから今更戻れるわけないんだけどね!何で考えなしに走ってんだよこのお馬鹿!!

 

 四個目の候補地点から走り出し、数時間経ってから気付いたことだが、辺りは平原で方角も見てなかったので今更反転しても戻れるかは分からない。

 自分の間抜けさを自分で罵倒する何も意味がないことをしながら走り回る。

 更に数十分走り続けると遠くに何かが見える。先頭をポポが引いており、屋台のようなものが七つ繋がっている。

 

 ーーあれは確か……キャラバンだったっけ?

 

 モンスターハンター4に出てくる我らの団の最初の移動手段であった筈。パッと見た感じ、見覚えのある形状では無かったので我らの団のキャラバンではないだろう。

 

 ーー我らの団のキャラバンだったら即座に回れ右してるけどね、主人公の乗ってる可能性があるなんて襲うリスクが高すぎる。

 

 けど初期頃の状態なら今のうちに襲うのもありか?と考えながらキャラバンを見ているが動く気配がない。

 

 ーー休憩中かな?こんな見通しのいい平原でよくやれるなぁ。見つけてくれっていってるようなものだぞ?

 いや、逆に見通しの良いところで休憩することでモンスターから奇襲される可能性を下げてるのか?

 奇襲される可能性を下げるなら、森などに隠れて見つかる可能性を下げた方がいいと思うんだけどなぁ……

 

 キャラバンの乗組員達の度胸に驚嘆しつつ眺めていると何やら騒がしい。目を凝らして見るとどうやら休憩ではなくトラブルが起こっていたようだ。

 なにやら三つ目の屋台周りに人が集まっており数人が首を振っている。その少し離れたところにはリーダーらしき人に縋り付く人がいる。

 暫くすると三つ目の屋台から人が離れ、朧げだが様子が見えた。

 

 ーーうーん、車輪が壊れたのかな?それで予備が無いから直そうにも直せないと。リーダーらしき人に縋りついてるのはその屋台の持ち主かな?車輪を分けてくれとか言ってるのかな?

 

 色々予想しながら見つめていると人が動き出した。どうやら三つ目の屋台の連結を外し始めたようだ。

 

 ーーおぉう、捨てていくんだ。それじゃあ、あの縋りついてるのは車輪を分けてくれじゃなくて見捨てないでくれとでもいってるのかな?

 

 未だにリーダーらしき人に縋りついている人を見る。他の屋台に荷物を載せて貰えば良いのに。あ、殴られた。

 地面を転がる持ち主を見てると再連結が終わったようだ。キャラバンがまたゆっくりと動き出す。それをみた殴られた持ち主は慌てて自分の屋台に戻り、暫くすると袋を背負いながら出て来て、一番後ろの屋台に飛び込んでいた。

 さて、自分としてはこのキャラバンを見送る気はない。理由はこちらはお腹が空いており、偶然目の前に食料となるものが通り過ぎている。それだけの理由だ。

 

ーー右、何もいない。ヨシ!左、何もいない。ヨシ!上空、鳥が飛んでいるだけ。ヨシ!地面、見てもわからん。多分何もいない、ヨシ!

 平原だし逃げようとしてもこちらが気づけるから問題なし、ヨシ!行くかぁ!

 

 キャラバンの先頭目掛け走り出す。それと同時に顔口に鉱石槍を生成する。

 ぐんぐんとキャラバンとの距離が近づき、あちらもこちらに気付いたようだ大声で周りに知らせる。

 

 「大型モンスターが出たぞぉぉ!!」

 

 「ここら辺にはいないってギルドが言ってたじゃねぇか!ガセだったのか!?」

 

 「知るかよそんなこと!早く迎撃するぞ!!」

 

 キャラバン内が騒がしくなり、中からアロイ装備をした人が出てくるが気にせず鉱石槍を発射。

 鉱石槍はポポに命中、ポポが倒れるのを気にせずに目の前までに迫った人間を右前脚で踏み潰す。

 周りの人間が動揺するがリーダーっぽい男が声を上げた事で落ち着いたようだ。

 

 「落ち着けぇ!護衛隊は盾を展開しながら前に出ろ!他はこやし玉の準備だ!死にたくなけりゃ死ぬ気で動け!わかったな!?行動開始!」

 

 男の声で相手の動きが変わる。アロイ装備の人達は盾を構え固まり、後ろの人達は慌ただしく動き始める。

 組織だった動きに関心しながら尻尾の鉱石を圧縮し、細く長くしていく。圧縮し終わった尻尾をこちらに近付いていた人達の一人に目掛け突き刺す。

 盾を貫き尻尾が相手の胸に突き刺さる。そのまま貫いた盾ごと持ち上げ周りに盾など無意味と知らしめるように見せつける。

 尻尾を背口に持っていき、そのまま食らう。一人食べた事でアロイ装備の人達に視線を戻すとかなり動揺しているようだ。

 および腰になっている人達をまた一人貫き食らう。それをみた数人は盾を捨て逃げ出すそうとするが鉱石槍で逃げ出した一人を撃ち抜くと逃げ出そうとした人達は動きを止めた。

 次はどいつを食べようかと考えていると後ろで何かをしていた人達がこちらにくる。その手には玉を持っており、それをこちらへと投げてくる。

 閃光玉だと思い、目を瞑る。しかしいつまで経っても閃光が来ることはなく、瞑っていた目を開ける。

 相手はこちらの様子を伺うように見つめている。

 

 ーー何投げて来たんだ?閃光玉じゃないなら他に何だっけ?音は鳴らなかったから音爆弾でも無いし、ペイントもこんな時に投げるものじゃ無いし、あとはこやし玉か、こやし玉かぁ……

 

 この状況で心当たりがありまくる玉の名前を繰り返し呟き、顔を青褪める。恐る恐る自分の身体の匂いを嗅いでみる。

 

 ーーくっっっっせぇ!!!何だこの匂い!!?あいつら俺に糞投げて来やがった!!

 

 あまりの臭さに頭を地面に叩きつける。そのまま地面に頭を擦り付け、匂いをとろうとするがとれる気配がない。

 相手はその様子を見て更にこやし玉をこちらに投げてくるからたまったものではない。

 後ろへとジャンプしこやし玉から逃げる。相手の様子を見てみるとこちらから目を離さずこやし玉を握りしめている。

 

 ーー確かにこの匂いならどのモンスターでも逃げるわ。割に合わない、こんな匂いを身体につけられながら狩った獲物がこんな小ささなんて絶対嫌だもん。襲ってきたのを返り討ちするならまだしも、狩りでこれは逃げる。

 

 幸いこちらにはこの匂いを取る方法があるのでさっさと行動する。

 鎧を破壊し、本来の姿を現す。その状態で匂いを嗅いでみるが匂ってくるのは鎧からなので問題はなさそうだ。

 人間達を見るとこちらの姿を見て狼狽しているようだ。だがこやし玉を離していないことから近づけばまた投げてくるだろう。

 

 ーー方針を変える。一人ずつじゃなくて一気にやる。あのアロイ装備の人達もハンターじゃ無いみたいだし問題はない。

 

 空気を吸引、溜まった空気を保ちながら力を込めて跳躍。着地点は人間達の密集しているところ。

 数人を踏み潰しながら着地、こちらにこやし玉を投げてくる前に大咆哮を行う。

 

 「「「「「「「◼️◾️▪️▪️◾️◼️◼️◼️◼️!!!!」」」」」」」

 

 「ーーーーー!!!!」

 

 人が吹き飛び、至近距離にいた人間は耳から血を流しながら動かなくなった。

 こやし玉を持った人間も全員吹き飛んだので問題はない。

 一人一人踏み潰しながら進む。食べるのは後だ、まずは全員殺す。

 リーダーらしき男はまだ動いていたがその動きは鈍く、こやし玉を手にしようとしたので鉱石槍で貫く。

 動く者がいなくなったので順に胸口に放り込む。その後にポポを食べ、キャラバンに手をつける。

 キャラバンには食料や武器が積み込まれており、こちらから見ると宝の山だった。

 それらを全部食べてから気分良く走り出す。

 

 ーー何処かに届ける予定だったのかもしれないけどもう食べてしまったし、痕跡も消したから後からバレることもないでしょ。

 

 周りを見渡し、何もない平原から走り出す。いい加減、定住できる場所に着きたいなぁ。

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