過酷な世界で生き抜くために   作:フドル

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プラチナに上がって喜んでたらすぐにゴールドに叩き落とされましたが私は元気です。

 13話、どうぞ!


13話

 崩落が始まり、上から大量の岩が降って来るがこちらの動きを制限する代わりに今出来る限りの防御形態に入ったこちらにダメージが来ることはなかった。

 

 ーーよく考えたらこの岩達よりか威力が上の攻撃をバンバンくらってるのにヒビしか入らなかったんだからそこまで心配すること無かったかな。

 いやいや、この油断が致命傷になるかも知れないんだからこれでいいんだ。

 

 少し身構えすぎたか?と考えたがこちらの鎧にヒビを入れた者達を思い出し、この考えを改める。

 今思えば結構この鎧ヒビを入れられてるなぁ……

 

 ーー流石にアイルーなら大丈夫だと思ってたんだけど、巣を丸ごと潰してでもこちらを殺しに来るとは思いたく無かったなぁ。

 この世界覚悟決めるヤツ多くない?

 

 ゲームでは決して瀕死になるまで戦わずに地面に潜ったりして逃げるはずなのにこの世界では道連れにこちらを殺しに来るほど覚悟があると……

 そういえば最初の方、地面に潜ったやつを引き摺り出して殺したような……それで逃げられないって考えたのでは?逃げれないなら道連れにしようってなったのでは?

 ……これ以上は考えないでおこう

 

 ーーどうせ逃げても追いかけて殺すしかないんだけどね。お、終わったか?

 

 鎧越しに感じていた衝撃が止み、崩落が終わったことを知らせる。鎧全体を砕かずに自身の身に付いている部分だけを砕き、身体を動かせる様にする。

 

 ーー早く地上に出てアイルー達を追いかけないと。まだ近くにいてくれたらいいんだけど。

 

 地面を脚で掘りながら徐々に潜っていく。身体全体が地面に入ると横に掘り続けながら進み、ある程度までいくと今度は上を目指し掘り進める。

 暫くすると土の感触が変わり、更に進むと光が差し込み地上へと到達した。

 辺りを見渡し、周りの状況を確認する。周りは森だが一部分だけ大きく陥没しているので恐らくそこがアイルー達の巣だった場所だろう。

 

 ーーこうしてみれば怖い攻撃を貰ったなぁ、他の大型だと生き残っても岩や土の重量で身動きが取れずにそのまま酸欠とかになる可能性があったのか。

 

 陥没した部分を見つめながら今回の戦闘を振り返っていると後ろの茂みから少し音がした。振り返らずに後頭部の眼でそちらを見ると逃げたはずのアイルーがこちらを見ていた。

 自分達の巣の様子が気になったのだろうか?こちらの姿を目にすると目を見開きながら少しずつ後退りし、ここから逃げようとするがこちらはもう視認してしまってるので逃がす気はない。

 尻尾の先端から鉱石を生成、尻尾の先を延長するように生える鉱石がある程度の大きさになると尻尾を振り切りその途中で尻尾の先端部分の鉱石だけを自壊させる。

 すると残った鉱石は尻尾と繋がっていた部分が砕けたため飛んでいき、逃げようとしていたアイルーの右肩を貫きながら通り過ぎる。

 

 ーー初めてやったけど少しそれたかな?後で練習して命中率を上げておこう。

 

 地面に転がり無くなった右肩を抑えながら呻くアイルーを見ながら要練習だなと思考する。自分の前で未だに呻いているアイルーに前脚を振り下ろし、トドメを刺してからアイルーが来た方向へと脚を進める。

 そのまま進んでいると左から微かに音がした。普段なら木の葉などが揺れる音かと気にもしない程度の音だが今はアイルー達を仕留めるために動いているため少しの音でも反応してしまう。

 音がした部分を見てみるとそれはパッと見ただの茂みであったが注意深くみるとそれは茂みに見せかけた何かだ。

 もしかしてと思い、尻尾を振り切り茂みに見せかけた何かの上部を斬り裂く、その後に中を覗き込むと中には逃げたアイルー達が隠れていた。

 

 ーーみーつけたー。仲間が自分をどうにかしてくれると思ってここで待ってたのかな?自分からしたら逃げないでいてくれたから助かったんだけどな。

 老猫とその護衛のアイルーはいないがあの老猫を抱えて逃げるとしたらそこまで遠く逃げれないだろう。多分。まずはこのアイルー達を仕留めていこう。

 

 眼下のアイルー達はこちらを見上げているだけなので早く仕留めようと脚を振り下ろそうとするが奥にいたアイルーが地面に何かを叩きつける。

 辺りが煙幕で包まれ、アイルー達を覆い隠すがそこに居たのは間違いないのでそのまま脚を振り下ろす。何かを潰す感触がしたのでちゃんと仕留めれただろう。

 煙が晴れ、辺りが見えるようになったので潰したアイルーを数えてみるが数が合わない。煙幕の間に逃げたのだろう。

 地面をみると足跡が四方に散っている。バラバラに逃げて少しでも生存率を上げるためだろう。一つの足跡を狙い、走り出す。そんなに煙幕がはられていた時間は長くないのであまり遠くには逃げれないだろう。

 走り始めてすぐに一匹目を見つけたので飛び掛かり、そのまま踏み潰す。すぐさま最初の位置に戻り、二匹目を追いかけ始める。二匹目は少しさっきより走った位置で見つけた。子供のアイルーを抱えたまま逃げていたが構わず踏み潰す。子供くらいならと思うが下手に復讐とか誓われても嫌なので気にせず潰す。

 三匹目は木の下で見つけた。何かを掘っていたので尻尾で貫く。絶命したアイルーを背口に放り込み、アイルーが掘っていた穴に目を向けるがそこには穴など空いてなかった。

 

 ーー潜って逃げようとしたんじゃないのか?何をしていたんだ?

 

 そのまま掘っていた部分を見つめているとすこし土が動く。これは掘っていたのではなく埋めていたんじゃないか?

 疑問を確かめるべく動いた土の部分に尻尾を突き刺し、引き抜く。尻尾の先端には血が付いていたので恐らくアイルーが隠れていたのだろう。地面を掘り隠れていたアイルーを掘り出す。出てきたアイルーは子供だったのでさっきのアイルーは親だったのだろうか?

 

 ーー子供だけでも隠そうとしたのかな?まぁ、食ってしまったから確かめようがないんだけどね。

 

 子供アイルーを胸口に放り込み、四匹目を追いかけるがなかなか見つからない。流石に最初の足跡を追いかけるだけでは見つけることは難しくなってきた。森の中を走り回って探すが見つかる気配が無いので一旦諦めて森の外に逃げたアイルーを追いかけることにした。

 森を飛び出て追いかけてるとアイルーはすぐに見つかった。何処から持ってきたが分からないがアイルーからしたら巨大な葉に乗って川を渡っている最中だったので鉱石弾で仕留めようとするがすぐにやめる。

 

 ーーそういえば今日のアイツは川に移動してたんだったな。

 

 川の向こうからアイルーに近づく影を見つめながら森へと戻る。水飛沫とアイルーの悲鳴が後ろから聞こえるが気にしない。

 再び森に入りアイルー達を見つけた者から仕留めていく。大半がこちらに見つかったら逃げるのだが数匹は一か八かでこちらに向かって来る者もいた。

 

 ーーみんな森の中にいるな。てっきり数匹ぐらいは森を出て遠く離れた所まで逃げると思ってたのにやっぱり数匹で遠い土地に移動するにはリスクが高いのか?それとも巣に残ったアイルー達の強さを信用していたのか?

 

 何故か森の中で隠れているアイルー達を疑問に思いつつ更に一匹を踏み潰す。これで残りは三匹、老猫と護衛と子供のアイルーだな。老猫と護衛は多分一緒だと思うし、あまり動き回れるとは思えないので隠れやすそうな所をしらみ潰しに探せば見つかるだろう。子供のアイルーは相当隠れるのが上手いらしくここまで動き回っているのに全然見つからないがそのうち見つかるだろう。先に老猫達を探そう。

 子供アイルーがこの土地から逃げる可能性も考えたが他のアイルーがここに残っていたのと子供一匹で違う土地まで逃げれるとは思えないという理由で一旦探すのを中断する。

 さて、ここにいるわけないだろと思い後回しにしていた場所を今度は重点的に探していこう。出来れば早く見つけたい所だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「村長、やはり別のアイルー達のところに逃げるべきですニャ、移動ならボクが背負います。さぁ、お早くニャ」

 

 「無茶をいうニャ、ここから他のアイルー達が村を作っているところまでどれだけ距離があると思ってるニャ?それにこの脚ニャ、動くに動けないニャ」

 

 逃げてる最中に挫いてしまった脚を触る、他の者達は逃げ切れたのか?村に襲来したモンスターから逃げるために散々になった仲間達を思う。みんな村が好きなアイルーだらけだ、村を捨て遠くまで逃げる事は無いだろう。恐らく森の中にいくつか作っていた隠れ蓑に隠れて事を見守っているはずだ。

 だから恐ろしい。逃げてる最中の轟音、村の方から聞こえてきたそれは一部の者達しか知らない最終手段だ。村と引き換えに襲来してきたモンスターを生き埋めにする。そうする事で村の者達を生存させる。念の為と自分の代で仕掛けた無用の代物だと思っていたが、まさか使うことになるとは思わなかった。

 

 (これで仕留めれたらいいのだが……恐らく落石とその後の生き埋めで死ぬはずニャ。けどもしあのモンスターが地中を潜ったり出来る個体だったら……)

 

 村は地下にあった。そこに辿り着いたという事は相手は少なくとも地面を潜ることが出来るはずだ。もし崩落までの間に地中に潜り逃げられたりしたら……

 嫌な予感が止まらない。そしてそれは現実となった。

 

 

 足音と同時にパキ……パキ……と独特な何かが砕ける音がする。これはついさっき聞いたばかりの音だ。

 護衛のアイルーに目配せをする。彼はこちらの思いを理解したのか首を振っていたがそのままじっと見つめると少し躊躇う様子を見せたがすぐに頷き、地中に潜っていった。

 段々と音が近づいてくる。脚がかなり痛むが無理して立ち上がり、音の方を見据える。

 音の正体が姿を現したが記憶していた姿と少し違う。身体は少し大きくなり、無いと思っていた口が開いていてそこから白い粒子が吐き出されている。傷一つないその姿だが前脚と口周り、そして尻尾に付いている赤い液体が村で行われた出来事を物語っている。

 

 (そうか……みんなはダメだったかニャ……)

 

 村に残ったアイルー達の末路に少し目を瞑るがすぐに目を開き、自分がするべきことを考える。

 

 (このモンスターの情報を伝えなければ。村に来てまで私達を殺そうとし、逃げた私達を追いかけてくる執着性。これは危険ニャ、この執着性が他の生物全体に向いているならまだしも、一定の種族に対して働くならもっと危険ニャ)

 

 一定の種族にだけ向く執着性は種族を絞る分、更に危険だ。最悪の場合、残り香やそこにいた痕跡でターゲットにされる恐れがあるのだ

 

 (なんとか隙を作るニャ、その間に情報を残すしかないニャ)

 

 全神経をモンスターに向ける。相手は周りをキョロキョロしていたが急にやめ、こちらに爪を振りかざす。

 

 (一撃、それさえ躱せれば!!)

 

 こちらに迫る爪を全力で後ろにジャンプして躱そうとする。脚に激痛が走るが気にしない、爪はこちらの腹を掠り、通り過ぎるが腹からかなりの血が出始める。

 

 (かなり痛いニャ!けどこれで!!)

 

 着地に失敗し、倒れ込むが構わずに叫びながら転げまわる。出鱈目に地面を引っ掻き、さも激痛に苦しんでいる振りをする。

 モンスターは自分の行動を少し眺めていたがこちらを潰すために近づいてくる。

 

 (もう少し、後少しで最低限の情報を残せる!)

 

 地面を引っ掻いている時に少しだけ文字を混ぜる。素直に文字だけを書くのは危険だと本能が囁くのでそれに従った結果だ。

 モンスターがすぐ近くまで来て脚を振り上げる。ここまでかと思ったが上から護衛アイルー……ミシャの叫び声がした。

 

 「村長!やっぱり逃げるなんて無理ニャ!最後までお付き合いするニャ!」

 

 そう叫びながらいつの間に登っていたのか木の上から落ちてくるミシャにモンスターは驚異的な反応を見せる。

 ミシャの声が聞こえた時には上を向きミシャに噛みつこうとするがミシャにも意地があるのか噛み付かれる瞬間に武器を横に振るい口を叩き反動で噛みつきから逃れる。そのままモンスターの首筋に張り付いた。

 

 「村長!こいつはボクに任せてやりたい様にやってくださいニャ!今までありがとうございますニャ!」

 

 転げまわる自分より首筋に取り付いたミシャの対処を優先したのか身体を辺りにぶつけ、振り落とそうとするがなかなか剥がせないようだ。その間にこちらは更に文字を書いていく。必要最低限の情報から身体が大きくなること、地面を潜れること、自分が思いつく限りのことを可能な限り引っ掻きと共に書いていく。

 見た情報を書くと身体を引き摺りながらその場から離れる。モンスターがそこを踏んで文字が消えると困るからだ。腹の出血は止まらず自分が歩いた道は血の跡がついているので追跡は容易だろう。意識が掠れ始め、遂には動けなくなってしまう。

 今までのアイルー生が走馬灯の様に駆け巡る。それらの思い出に激痛を忘れて笑顔になってしまう。その思い出も徐々に消えていき最後に一匹の若いアイルーが思い浮かぶ。

 

 (そういえば近く内にこちらに帰ってくるって手紙が来てたニャ……残した情報に気付いてくれるといいのだけれど、もし気付いてもあの子のことだからモンスターに突撃しちゃいそうニャ……最期のお願いニャ、どうかあの子があのモンスターに出会わず、無事に情報を持ち帰ってくれます様に……ニャ……)

 

 自分の後ろから先程まで聞いていた何かが砕ける音が近づいてくるがそんな事はお構いなしに最期の願いを思い、意識を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ねぇねぇ隊長。これから行くところって隊長の故郷なんだよね?どんな所なのニャ?」

 

 「そうだにゃあ……村のみんなはとってもいいアイルー達で尊敬出来るアイルー達ニャ!しかも村長は凄い特技を持ってるニャ!」

 

 「そうなんだ、それなら行くのが楽しみになるニャ」

 

 「楽しみにしておくニャ!きっとビックリするニャ!……早くみんなに会いたいニャ!」




 次回、別視点からです
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