過酷な世界で生き抜くために   作:フドル

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 気持ちよく展開してたら突然優先権が向こうに移って急に飛んでくる隕石に虚無顔になってます。

 今回は文字数が多くなりました。
 では、第14話目をどうぞー


14話

 「ここまででいいんだな?」

 

 「そうニャ!ありがとうございますニャ!ほらお前達もお礼するニャ」

 

 「「「ありがとうございますニャ!」」」

 

 「おう、またいつでも声をかけてこい。急ぎじゃないなら乗せてやるからよ」

 

 竜車から降り、ここまで乗せてくれた商人にお礼をする。竜車は再び走り出し、暫くすると見えなくなった。

 

 「さて、目的地までもう少しニャ。付き合わせてしまって申し訳ないけどもう少しだけ頑張って欲しいニャ」

 

 「問題ないですニャ、ボク達も隊長の今回のことを聞いた上でついて来ているからニャ」

 

 三匹の内の一匹がそう言ってくれて、後ろの二匹も頷く。このチームになってから数年が経つが皆、気の良い者ばかりだ。

 

 「そう言ってくれると助かるニャ、村に着いたらゆっくりしていってくれニャ」

 

 「今回はそこまで大変じゃなかったし、まだまだ大丈夫ニャよ?何だったら村の困り事を解決しても良いぐらいニャ!」

 

 「なら村で何かあったらバンバン働いて貰うとするニャ」

 

 「「えぇ〜!」」

 

 「何ニャお前ニャ!?困っている者を助けるのはボクらモンニャン隊の誇りじゃないのかニャ!?」

 

 元気いっぱいのアイルーが声を上げてそれならと返事を返すと他の二匹が不満の声を出す。そんなアイルー達の不満が気に入らなかったのか最初の一匹が怒り出した。

 後ろの騒動を聞きながら村のことを考える。長らく帰ってこなかったから色々と変わっているだろう。それにこちらも報告したい事がいっぱいある。何から報告しようかと考えながらここまでの経緯を思い返す。

 

 ハンターとそのオトモというものに憧れて村を出て数年、様々な出来事があり今自分はモンニャン隊の隊長という立場にいる。

 本当は今自分を雇ってくれているハンターさん…旦那さんのオトモとして行動を共にしたいが彼の横には既に相棒というべきアイルーがいるし、案外今の立ち位置も悪くない。それでも最初の方は大変だった。

 オトモアイルーとして教訓を受けてから暫く、旦那さんに雇われて最初の仕事が今の仕事でもあるモンニャン隊のメンバーとして活動してくれというものだった。

 モンニャン隊はオトモアイルーになる前から旅先のアイルーから聞いており、何でもオトモアイルー達だけでガーグァが引く竜車に乗り込み、各地を移動してさまざまな素材を集める仕事だそうだ。

 他にも各地に異常がないかの調査も兼ねているらしい。その話を前もって聞いていたので躊躇いもなく頷いた。

 旦那さんに「頼もしい!」と声をかけられて誇らしい気分になっていたがその後小声で呟かれた「嫌がる子も多いのに」という言葉にみんなやっぱりオトモアイルーとして仕事がしたいのかなと思っていたのだ。

 それが違うと確信したのはモンニャン隊として働く時だ。旦那さんが自分と同じチームのアイルー達と自分を引き連れ気球に乗り込んだ時に疑問が生じた。最初はこれで竜舎にでも行くのかなと思っていたのだが明らかに高度が高い。

 一定の高度に達したら他のアイルー達が準備を始め、完了した者から置物と思っていた大砲に入り込み始めたのだ。え?と疑問に思う間もなく旦那さんが大砲の紐を思いっきり引っ張りアイルーを発射した。

 ポカンとしている間にもドンドンアイルーは発射されていき残りは自分だけになった。そこで悟ったのだ。前に言っていた頼もしいはこれに対する恐怖心が無いことに対して言っていたのだと。

 旦那さんがこちらに向き、「そういえば初めてだからやり方が分からないか……」と言っているがそうじゃない、そうじゃないんだ。

 そう言えたら楽だったのだが、既に頷いてしまっているので湧き上がる恐怖心を押し殺し、旦那さんの説明通りにパラシュートを身につけて発射された。死ぬかと思った。

 少しの空の旅を楽しむ間も無くパラシュートが開き着地する。既に集まっていた他のアイルー達の生暖かい目は未だに忘れられない。

 そんな目にあった経験から戻って来てからは自分でしっかりと情報を集めることにした。まず、自分が経験したから知っているがこの地方のモンニャン隊は予め集めていた情報から素材が多く獲得できる地にアイルー達を文字通り飛ばすらしい。そこで素材を集めギルドから派遣されている配達員に渡す、それから帰還といった流れだ。ちなみに帰りは徒歩である。初めて聞いた時は思わず聞き返した。

 そんなに過酷なのかと戦慄したがそんな事は余程運が無ければの話で大抵は途中で商人の竜車に乗せてもらえるらしい。

 その時にオトモアイルーになった時に貰った紙が必要らしくそれが無ければ商人によっては乗せてくれないこともあるらしい。

 それからはずっとモンニャン隊として働いた。出発、帰還、少しの休息、それからまた出発。何度も繰り返していると慣れてくるもので最初は怖かった大砲出発も今じゃ鼻歌混じりに乗れるほどだ。

 そんなある時に自分の今の立場を動かす出来事が起きた。いつも通りに素材を集め帰還している最中の森の中、突然森全体に轟く咆哮に驚き、何か異変が起きたのではと様子を見に行った時だ。

 そこにいたのは血塗れのハンター達と全身に電気を纏いそれらを見下ろす竜、ジンオウガがいた。

 戦闘してすぐだったからだろうか?ジンオウガは酷く気が立っておりこちらにも襲いかかって来た。仲間が次々と蹴散らされていきこちらも死にたくない一心で抵抗を続ける。こちらが苦し紛れに投げたブーメランがジンオウガの眼を切り裂いたと同時に木へと叩きつけられ意識を失った。

 次に意識を取り戻した時はベットの上で、訳も分からずぼんやりとしていたら様子を見に来た旦那さんに抱き締められて。それから自分が意識を失った後を教えられた。

 自分が意識を失ったと同時に前のハンター達が出していた救援要請を見て駆けつけて来たらしい旦那さんがジンオウガと戦闘を開始、腹に大怪我を負うも討伐出来たらしい。ほらっと自分に大きな爪痕が残った腹を見せて来た。それから他のアイルー達はダメだったらしい。悲しげな旦那さんを見てもいまいち実感が湧かなかった

 身体が良くなり、動けるようになってから自分達のチームがよく集まる所へ向かったがそこには誰も居らず、数日間はそこで何もせずただ座っているだけだった。

 その日も何もせず座っているだけだったが自分の前を他のハンターのモンニャン隊だろうアイルー達が通った時にふと、「あぁ、もう戻ってこないんだ」と考えてしまった。

 そう考えると急に胸がキュッとする感じがして涙が止まらなくなった。そこでやっと自分は実感が湧いたのだろう。それと同時にハンターとそのオトモというものに夢を見過ぎていたのも理解した。

 仲間や旦那さんと共にモンスターを狩る。そこに犠牲は無く、ただただ栄光だけを手にして周りに持て囃される。そんな夢だ。

 泣くだけ泣いた後、旦那さんの所へ行き、自分の覚悟を告げた。それを聞いた旦那さんは嬉しそうな顔をしてBOXから何かを取り出し自分へと渡してきた。それはジンオウガのオトモ装備だった。

 話を聞くとそれはあの時のジンオウガから作った装備だという。最初は仲間の仇で作った装備なんて嫌だろうかと思ったが自分の覚悟を聞いて大丈夫だと判断したらしい。

 装備を受け取り、旦那さんから自分の今後の方針を聞く。自分が立ち直ったのでまたアイルーを雇い、モンニャン隊を再開させるようだ。

 そこで自分に隊長をして欲しいらしい。仲間を失った自分にだから頼みたいとも。それを聞いてすぐに承諾した。

 新たに加入するアイルー達にこの辛さは味わって欲しくないな。自然とそう思えた。

 

 

 

 

 「ふふっ」

 

 「んにゃ!?隊長も笑うかニャ!?」

 

 「いや、シールのことを笑った訳じゃ無いニャ、ルクユとアムタもそろそろ笑うのを辞めてあげるニャ」

 

 「分かったニャ」 「はーいニャ」

 

 「それにそろそろ着くニャよ」

 

 既に森の中に入って結構な距離を歩いている。自分の記憶が正しければこの茂みを抜ければ村への入り口が見えてくるはずだ。

 茂みを抜け、視界が開けるがそこには崩れた入り口があるだけだった。

 

 「ニャ?岩で塞がってるニャ、どういうことかニャ?」

 

 「数年も経ったから崩れたのかも知れないニャ、他の入り口も見てみるニャ」

 

 シールの疑問に答えつつ、自分の内心でそれは違うと言う。入り口はどれも頑丈に補強しており崩れるなんて有り得ないし仮に崩れても村のみんなが撤去作業をしている筈だ。

 嫌な予感がしてくるがそれはまだ早計だと振り払い早足で次の入り口へと向かう。

 

 「ここも崩れてるニャ……って隊長!?」

 

 二つ目の入り口が崩れてるのを見てすぐに村のある所を目指して駆け出す。明らかな異常だ。こんなことあり得ない、みんなは無事なのか?

 茂みを抜けて村のある所に飛び出る。そこには大きく陥没した穴がありその下には自分の村があった筈だ。

 思わず膝から崩れ落ちる。何があった?どうしてこうなっている?

 

 「やっと追いついたニャ!隊長いきなり走り出すなんてどうした……ん……ニャ?」

 

 後ろから追いついてきたシール達が声をかけてくるが途中でこの陥没を目にしたのか途切れ途切れになる。

 

 「追いかけさせて悪いけどニャ、周りの捜索をお願いしてもいいかニャ?何かあれば大声で知らせること。分かったかニャ?」

 

 「それは分かったニャ、隊長はどうするニャ?」

 

 「ボクも探すニャ、きっとみんな何処かに隠れてるはずニャ」

 

 自分の発言からこの場所に何があったのか理解したのだろう。顔を引き締めて自分の指示を受諾し行動を開始する。

 それを見送ってから自分も何とか立ち上がり動き出す。村の周りには何かあった時に隠れられる場所が数個ある。きっとみんなはそこに逃げているだろう。

 順に隠れ場所を確認していくが誰もいない、そのうちの一つは破壊されている跡があり嫌な予感が止まらない。

 

 「みんな何処に行ったニャ?頼むから出てきて欲しいニャ……ん?これは?」

 

 ドンドン膨れ上がってくる嫌な予感を振り払いながら捜索を進めているとあるものが目に入る。それに走り寄り確認するが間違いない。

 

 「やっぱり、これはミシャさんの武器ニャ!」

 

 持ち手が粉々になっており、武器も赤黒くなっているがこれは間違いなくミシャさんが愛用していた武器だ。他にも痕跡がないか探してみると少し開けた広場に大きな引っ掻き後が目についた。

 それに近づき確認してみると何かが書いてある。

 

 「これは……村長の字!?ニャんで……やっぱり村で何かあったニャ……」

 

 必死に何かを残そうとしたのだろう。分かりにくいが所々で赤黒くなっている場所があり、土に欠けた爪が落ちているのも確認した。

 

 「村……壊滅……モンスター……情報……」

 

 残された文字を必死に読み込む、文字は途中で途切れているものや何かの足跡で先が読めないのもあり上手く読めない。

 

 「新種……身体が……くっ、読めないニャ。こっちの文字も口から先が読めないニャ…」

 

 分かったのは村を襲ったのは村長が見たことがないモンスターで身体と口に何かがあることしか分からない。

 

 「隊長!こっちにきて欲しいニャ!!」

 

 これだけしか読み取れない自分に無力感を感じているのをアムタの声が遮る。何かを見つけたのだと急いでそこに向かい、アムタと合流する。そこにいたのは何かに怯えている痩せこけた子供のアイルーだった。

 

 「この子は何処で?」

 

 「この木の穴に隠れてたニャ、けど何かに怯えていて話しかけても反応しないニャ」

 

 視線を子供のアイルーに向ける、地面に座り込みこちらには視線を向けずにずっとキョロキョロと辺りに視線を向けている。

 自分が見たことがない子なので恐らく自分が村を出てから生まれた子だろう。何とか話をしたいと考えていると子供の首から何かがぶら下がっているのに気付き、そういえばと自分も持っているそれを取り出す。

 

 「隊長、それは何ニャ?」

 

 「ボクの村にある一族の証明みたいなもんニャ、他の村だと見たことがないからボクの村だけかも知れないニャね。」

 

 戦闘の邪魔になるからとポーチに仕舞っていたそれを取り出し子供アイルーの前に出す。この間にもずっと辺りをキョロキョロしていた子供アイルーの視線が初めて固定される。

 

 「安心するニャ、ボクも君の村の一員ニャ!村に何があったか教えてってうお!」

 

 「……!………!!」

 

 視線がこちらに向いたので村で起きた出来事を聞こうとするがいきなり抱きつかれた。子供にしてはかなり強い力で抱きつかれ少し戸惑うが子供アイルーの背中に手を回す。すると声を殺しながらも泣き始めた。

 

 

 「落ち着いたかニャ?」

 

 「……うん。」

 

 「無理しなくていいからニャ、村で何があったか教えて欲しいニャ」

 

 子供アイルーが泣き止んでから暫く、落ち着いたと判断し、再び村のことを聞こうとすると子供アイルーの身体が震え始めた。

 やっぱり聞くのが早かったか?それとも一族の証を見せてもこちらは知らないアイルー、落ち着いたからそのことに気づいて怯えているのか?自分の失敗だと思い子供アイルーを下ろそうとしたら強く抱きつかれる。それから少しずつ話し始めた。

 家で寝ていると段々と騒がしくなってきて見たことのない顔をした母が入ってきて急に抱えられたこと。村から出る途中に急に地面が揺れたこと。隠れんぼの場所に入れられて絶対にここから出てはいけないと言われたこと。何かを見に行った母が帰って来なくなったこと。急に大きな何かが隠れんぼの場所を壊して来たこと。母の友達に手を引かれこの木の穴に押し込まれたこと。その間に友達が母親と一緒に大きな何かに潰されたこと。それから時々何かの足音が聞こえてきて怖くてずっとここにいたこと。

 それを聞いて村は壊滅したんだと確信してしまった。この子供アイルーが言っていた大きな何かというのが村を壊滅させたモンスターだろう。

 今すぐにでも仇をとりたいがぐっと堪える。まずはこの子を安全な場所に送らなければ……それからそのモンスターの情報を集めて討伐はそこからだ。

 今後の行動をまとめ立ち上がる。まずはみんなを集めないと。

 

 「撤退するニャ、みんなを集めるニャ。」

 

 「了解ニャ」

 

 短く指示を出し、ポーチから笛を出す。っとその前に

 

 「そういえばお名前を聞いてなかったニャ!なんていうお名前ニャ?」

 

 「……ルゥ。」

 

 「いい名前ニャ!これからこの笛を吹くからちょっと大きい音が出るニャ、だから少し降りて耳を塞いで欲しいニャ。」

 

 「や!!」

 

 「……仕方ないニャ、悪いけどアムタが吹いて欲しいニャ」

 

 「これボクが吹くと変な音が鳴るから嫌なんだけど、今回は仕方ないニャね。」

 

 降りるという言葉に強い抵抗を見せるルゥを見て諦めたようにアムタが笛を受け取る。息を吸い込み、思いっきり笛を吹く。

 

 

 ピュイ〜〜ピョロロ〜ピィー!!

 

 

 辺り一帯を力が抜けるような音が駆け抜ける。間抜けな音のお陰かルゥが目をパチクリとして力が弱まったのである程度リラックス出来たようだ。良くやったとアムタの方を見ると俯きながら小声で「だから嫌なんだニャ」と言っていたので聞こえないふりをした。

 

 「何ニャ何ニャ〜、この間抜けな招集音はニャ〜!何処の誰が吹いたかニャ〜?」

 

 暫くするとニヤニヤ顔をしながらシールが姿を現した。アムタが笛を吹く時は大した事が無い場合が多いので大抵こういう風におちょくりながら出て来るが今回は叱るべきか?

 そう考えているとこちらの姿を見ていつもとは違うと気づいたのだろう顔を引き締めすぐに指示を聞いてくる。

 

 「今回は違うみたいニャね、指示は?」

 

 「ルクユが合流次第撤退するニャ、それまで警戒」

 

 「了解ニャ」

 

 それから更に時間が経つがルクユが来ない、流石にすぐに動けないと困るのでルゥには背中に移ってもらった。いっそのこと二匹に残って貰って自分だけルゥを連れて森の外に出た方がいいのでは無いか?そんなことを考えているとパキっと音がした。

 大きくジャンプし音から距離を取る。周りを見るとシールとアムタも距離を取ったようだ。

 ルゥに捕まっているように声をかけ腰の剣を抜く、警戒は最大に、何がきても対処が出来る様に、茂みが揺れる。そこから音の主が姿を現す。

 

 「遅れてしまってごめんニャ〜!ちょっと遠くまで行って…危な!」

 

 姿を現したルクユに反射的にシールがブーメランを投げる。直前でルクユがしゃがんだので回避出来たようだ。

 

 「何するニャ!シール!!当たってたら大怪我ニャよ!?」

 

 「牽制用ニャ、打撲で済むから回復薬で治せるニャ」

 

 ニャーニャーと二匹が喧嘩をし出す、そんな二匹に呆れながらもルクユが無事だったことに安堵して指示を出す。

 

 「揉めてる場合じゃ無いニャ、揃ったならすぐに撤退ニャ!ルゥももう少し捕まる力を強くしても……ルゥ?」

 

 二匹に軽く叱りつけ、ルゥに声をかけるが何やら様子がおかしい。最初に出会った時のように辺りをキョロキョロし出した。そんなルゥの様子に喧嘩をしていた二匹もこちらを見る。

 

 「ニャ……来るにゃ……、嫌ニャ…死にたくない……死にたくないニャ!!」

 

 「あ!ルゥ!待つニャ!」

 

 背中から飛び降り木の穴に戻ろうとするが直線上にアムタがいたせいか反転しそのまま森の中に入っていく。何で急に錯乱した!?

 

 「急いで追いかけるニャ!」

 

 「何で急に様子がおかしくなったニャ!?」

 

 「知らないニャ!何かトラウマを刺激する事があったかも知れないニャ!」

 

 「あっ!隊長!待って欲しいニャ!伝えないといけない事があるニャ〜!」

 

 後ろからルクユが何かを叫んでいるがそんな事より先にルゥだ、彼女を落ち着かせてから聞けばいい。

 森を出て湖の方にルゥが走っていく。その走りは今の状態だとあり得ないほど速く、なかなか追いつけない。湖の方に走っていたルゥだが突然方向を変えた。その先には大きな岩があり、そこに空いている穴に飛び込んだ。

 岩の前まで走り寄り、息を整える。そうしているうちにシール達も追いついたようだ。

 

 「何かあったんニャね?」

 

 「分からないニャ、取り敢えず落ち着かせるから周りの警戒をお願いするニャ」

 

 シール達に指示を出す、ルクユが何かを言いたげにこちらを見ていたが後で聞くからといい、穴を覗き込む。

 穴の入り口は棘がビッシリと生えていて飛び込まないと怪我をしそうだ。ランタンを取り出し奥を見ると奥の方にルゥが頭を抱えながらうずくまっていた。

 これは近づいて落ち着かせるしかないな。そう判断し、穴に飛び込もうとするが突然の咆哮に動きを止める。

 

 「ギィギャァァァァァァァアアア!!!」

 

 「何でリオレイアがいるニャ!ここらに痕跡なんて無かったはずニャ!!」

 

 かなりの距離を移動していたがその間にリオレイアの痕跡がないことは確認済みだ。なら何でここにいると疑問を漏らせばルクユがソワソワしている。

 そういえば何かを報告したがっていたなと嫌な予感を感じつつ聞いてみる。

 

 「ルクユ、さっきの言いたいことって何ニャ?手短に言うニャ。」

 

 「えっとニャ、リオレイアの巣に間違えて入ってしまったニャ。」

 

 「……何か怒らせるようなことしたニャ?」

 

 「……………卵に石ころを当ててしまったニャ」

 

 ルクユの報告に思わず頭を抱えてしまう。何でもリオレイアの巣に入ったと同時にリオレイアが帰還、見つかってしまったので気を逸らすために石ころを投げたところ、それが卵に当たってしまったようでそれでリオレイアが激怒。何とか撒いてこちらと合流したらしい。

 

 「合流に遅れた理由は分かったニャ、あと報告を聞くのが遅れたのは申し訳ないニャ」

 

 「悪いのはボクの方ニャ!とっとと言っていればこんな状況にはならなかったニャ!」

 

 「まぁ、お互いの反省は後にして先ずはこの状況をどうにかするニャよ!」

 

 リオレイアが地上に降り立ち口から炎を漏らす。何とか撃退をしないといけないが相手は激怒しているため中々退いたりしてくれないだろう。

 長期戦になりそうだと冷や汗が垂れ、それを拭おうとするがリオレイアが撃ち出した火球に回避を余儀なくされる。

 

 「!!岩から離れるニャ、中にはルゥがいるニャよ!」

 

 「そうは言っても離れるに離れられないニャ!」

 

 リオレイアはこちらを焼き殺す気らしくこちらの逃げ場を潰すように火球を撃ち出してくる。何とか躱すが躱した火球が岩に直撃していく。

 岩が壊れると中にいるルゥも岩に押し潰されるため何とか射線を逸らしたい。しかし逃げ場を潰されているためそれも出来ない。

 こうなればあまりやりたくないがシール達に囮を頼み、自分がその間に岩の中のルゥを抱えてここから逃げるしか……

 そこまで考えたところでアムタからの声にハッとする。

 

 「隊長!デカいのが来るニャ!気を付けてニャ!」

 

 慌ててリオレイアに意識を戻すと炎を溜めるような仕草をした後、さっきよりも大きな火球を撃ち出す。

 なりふり構わず地面に飛び込むようにジャンプし、その攻撃を躱す。火球は岩に直撃し、爆音と爆炎を辺りに散らす。

 

 「ルゥ!ルゥは無事かニャ!!」

 

 「隊長!落ち着くニャ!岩は壊れてないからルゥも無事……」

 

 途中で途切れたシールの言葉を疑問に思いシールの方を向くが彼の目線は自分の後ろの岩に向いている。リオレイアも火球攻撃をやめて岩の方を警戒しているようだ。

 疑問を解消するべく岩の方を見ると岩が徐々に大きく……いや、立ち上がろうとしている。

 辺りからパキパキと音が鳴り岩が剥がれていく。そしてどんどんと岩が竜の形へと変化していく。

 更に今度は竜の一部が刺々しく変化していくがそれよりもポッカリと空いた竜の胸にあたる部分に視線が向く。

 

 「いけない!ルゥ!!急いで出てくるニャ!早く!!」

 

 急に穴が動き出したことと自分の大声に流石のルゥも出て来ようとするが入り口近くにある棘……牙によってこちらに出てくる事が出来ないようだ。そうこうしている間に竜が徐々に立ち上がり地上が遠くなる。

 

 「牙を飛び越えて飛び降りるニャ!大丈夫!!必ず受け止めるニャ!!」

 

 必死にルゥへと声をかける。そんな思いが届いたのかルゥが頷き顔を引っ込める。その間にこちらも受け止める体制になる。

 ルゥが目を瞑りながら思いっきり飛び出し、上半身が竜から飛び出した時、入り口が……閉じた。




 名前考えるのが難しいんじゃぁ…特に名前に意味は無いです。だから違う言語で調べて意味があったとしても完全に偶然なので気にしないで許して…
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