というわけで16話をどうぞ〜
振り下ろした脚を上げて踏み潰したアイルーの様子を見る。そこには予想通りに潰れているアイルーがいる筈だが、防具のお陰なのかギリギリペチャンコにはならなかったようだ。
その防具も全体的にヒビが入っており、もう役割を果たせるとは思えないほどに破損していて、今にも壊れそうだ。
ーー完全に死んでるとは思うんだけど、こいつら息さえしてたら生き返る可能性があるからなぁ……
念入りにもう一度潰すか。
上げていた脚をもう一度アイルー目掛け振り下ろす。辺りに振動がはしり、脚と地面の間から血が出てくる。再度脚を上げて確認すると今度こそ防具ごと潰れたアイルーがいた。
ーーこれでよし、と。後は全部食べて証拠隠滅だな。
潰れたアイルーを血がついた地面ごと胸口で掬い上げる様に食べる。その後に食べたお陰で抉れた地面を埋めておく。食べてしまったため完全に埋めることは出来ないが戦闘があった様には見えないぐらいにはしたので良いだろう。ヨシ!
次に他のアイルーの処分を開始する。食い殺したアイルーの残りと斬り殺したアイルーは先程と同じように処分する。
ーー問題はこいつか、流石にこれは食べたくないなぁ。
下にある身体の大半が燃やされて真っ黒になっているアイルーを見下ろしながら処分法を考えるが、良いのが出てこない。食べた物を全て鉱石に変換する性質上、食べても問題は無いと思うが心象的に食べたくない。コゲは体に悪いのだ。知らんけど。
なら埋めてはどうか、と考えたが大体そういう処分の仕方は何やかんやあってこの死体が地表に出てきてタイミング良くハンター側に見つかるのだ。よってボツ。
ーーやっぱり食べるしかないのかな?あ、そうだ。別に自分が食わなくてもいいや。
諦めて食べる方向に考えが向いていたのだがここでふと思いついたことを実行する。コゲアイルーの防具を中身ごと咥えて湖の方へと投げる。防具は放物線を描きながら綺麗に湖の方に落ちた。
ーーうん、多分湖の生物が食ってくれるだろう、多分。
そのまま落ちた衝撃でバラバラになっている他の部位も咥えて次々と湖に投げる。
ーーほら、魚達、餌だぞ〜、中に火が通り過ぎてるから苦いと思うけどな。
投げ終わった後で気づいたが別にあのアイルーに限っては処分しなくてもよかったのでは無いか?殺したのは自分じゃなくてリオレイアだし、もしかしたらアイルーの雇い主があいつらを探しに来た時にあのコゲアイルーを見れば他の消えたアイルー達はリオレイアに食われたと勘違いするかもしれない。
そう考えたが死体は全部湖に投げてしまっているためどうしようもない。なので諦めて次に行こう。
大きくしていた鎧の部分を砕いて元の姿に戻り、その後にブーメランが刺さっている部分を身体側から鉱石を生成していくことで押し出して抜く。
全てのブーメランを抜き終えたので処分するために食い砕いていくがジンオウガ素材で出来たブーメランで手が止まる。
ーーこれ大丈夫だよな?電気出たりしないよな?
恐る恐るブーメランを触るが電気が出ることはなかった。何回か触っても出てこないため意を決して掴む。それでも電気が出ないので安心して顔口に放り込み噛んだ。電気が出た。
ーー痛ってぇ!出るじゃん電気!!何で!?触った時は何も無かったのに。
思わず口からブーメランの残骸を吐き出す。血は出なかったが少し弱い部分なのか他の部位よりか少し痛む。
顔口がヒリヒリするのを感じながら砕けたブーメランをまた触るが何とも無い。
ーー触っても問題ないのに何で噛んだら電気が出たんだ?何か電気が出るには条件があるのか?
ブーメランを見つめながら思考する。触った時と噛んだ時の違い……衝撃か?
確かめるべくブーメランを前脚で叩き潰すと一瞬だけ電気を撒き散らして沈黙した。
ーーうん、一定以上の衝撃が来ると武器の電気っていうか属性が出るって仕組みかな、それとある程度潰れるとその機能も失うと。
潰れたブーメランをもう一回叩いてみるが電気が出る気配はない。恐る恐る顔口に入れて噛んでみるが電気が出ることは無かったのでそのまま食べる。
先程の経験を活かして他のブーメランも潰していく。潰すたびにチクッと痛むので少し躊躇してしまうが何とか全て処分することができた。
ーーこれで全部の処分は完了だな。次は反省会。取り敢えずこれからはハンターとアイルーは出来る限り即死の攻撃を狙うべきだな。部位欠損を狙う攻撃をする場合も基本コンボ的な感じにして最後はトドメを刺すって感じにしないと一度逃すと回復されて帰ってくる可能性の方が高いよなぁ。
後は広範囲攻撃も考えないと。今回は逃げなかったけどバラバラに逃げられると追いきれないかも知れないし足止めとかされると確実に逃げられそう。それと突進も見直さないとハンターなら普通に対処しそうだし、モンスターなら逆にカウンターを貰いそう。
最後はこれからの敵は絶対に絶命するって状態になっても動けなくなったら追撃入れて殺した方がいいのかな?ブラキディオスみたいな感じで……こう、ズガンと。モンスターはともかくハンターとアイルーはそうした方がいいかも知れないな。死んだと思って目を離したら実は生きてて超回復アイテム使った後に逃げましたとかあり得そうだし。ひとまずはこれくらいかな?ヨシ!
今回の戦闘の反省を纏めてから動き出す。適当に飯を食べたら今日は寝床でゆっくりしよう。
ーーそういえば何か忘れてるような……?まぁいいか、そのうち思い出すでしょ。
あれから恐らく数週間、特に何か大きな出来事はなく強いて言うならこの世界に来てから数回あった雨の中でも一番の大雨で湖が増水してガノトトスが喜んでいただけだろう。
日差しの良いなか、最早お気に入りといえる場所になりつつある所でいつものように擬態している。
さて、雨が止んでから更に数日で色々と変化したことを纏めようか、といっても二つしか無いのだが。数週間は平和だったのになぁ。
まず一つ、リオレイアが狩場を変えた。
これは恐らく自分に負けたからだろう。リオレイアは自分の擬態姿も見ているので前まではこの湖地帯に住んでいるアプトノス達を狩っていたのだが近くに自分がいると気付いてからは近づかなくなった。別に攻撃してこなければこちらから襲うことは無いのだがそんなこと向こうは分からないだろうから仕方ない。問題はリオレイアが狩ってくる新たな獲物だ。
人です。思いっきり人です。なんならアプトノスやガーグァを竜車ごと運んでるところも見ました。近くに街道があることは確定だがリオレイアが狩ってくる人の頻度からよく使用されているのだろう。そのうちハンターが来るのは確定したのが一つ目。
二つ目は一つ目を裏付けるように飛行船がこの辺りに飛来するようになったことだ。下の部分辺りに望遠鏡が付いており、その方角的にリオレイアの様子を見に来ているようだが、時折他の場所も観測しているのでこちらとしては行動制限が課せられていてかなりイラつく。
救いは連日来るような物ではなく、更にリオレイアとガノトトス以外は見どころもないため数時間程度で退散することだろう。一度アオアシラも見ていたようだがすぐに見るのを辞めたためそんなに興味は無かったのかな。
そんな感じで数日に数時間は拘束されることが確定している現在で自分が何をしているかといえば。
ーーいる?いないよね?多分ヨシ!んじゃあ、お邪魔します。
リオレイアと飛行船がいない時を見計らってリオレイアの巣に侵入しています。巣の中は意外と広く、奥の方には孵って数日は経ったであろう雛達が眠っているが自分の目的の物は雛ではないため無視して巣の端の方にあるガラクタに歩み寄る。
ーー今日はご馳走はあるかな〜と。………あった!
リオレイアは恐らく人を雛の餌とし、竜車を牽いているアプトノスなどは自身が食べているのだろう。それ以外の食べれない物はこのように巣の端に捨てていることが多く、自分にとってそれはご馳走なのだ。
ーーこれはマカライト鉱石かな?最近は味が薄いものしか食べていないから余計に美味しく感じるな。他にも何かあるかな?
商人が乗っていたであろう竜車からマカライト鉱石の積荷を見つけて丸ごと顔口に放り込み味わう。しっかりと味がする鉱石に感動しながら一発目にこれを見つけれたことから次の物にも期待が高まる。
ーーこれはハンターのポーチかな?中身は……、しけてんな、鉱石を入れとけよ鉱石を。回復薬とか別に要らない。次は〜と、これは骨かな?なんの骨だろこれ?色々と混ざってて分かんないや。最後は……武器だね、鉱石派生の武器は大歓迎。
適当に漁りながら自分の食べ物を探していく。暫く漁ると見覚えのある物しか出てこなくてなったので今回の分はこれぐらいだろう。
ーーうん、今回は結構当たりかな。リオレイアが人を狩り始めたのにこんなメリットがあるのは嬉しいな。
見つけた武器を食べながら巣を出る。あまりのんびりしているとリオレイアが帰ってくるし、飛行船も来ると下手に身動きが出来なくなるからだ。
因みにこの巣漁りを行ってから数日はリオレイアが巣の近くから離れなくなる。まぁ雛を守るため当たり前なのだが。肝心の雛は最初の頃はこちらの姿を見て母に助けを求める声を出していたのだが五回目あたりからは慣れたのか警戒は続けるものの声を上げることはなくなった。それでも一定の距離まで近づくと声を出すので注意が必要だ。
ーー好奇心で近づいてみた時は凄かったなぁ。
ギリギリ認識外に逃げれたがあの雛の形相と叫び声、その後に口から炎を漏らしながら巣へと帰還するリオレイアの姿は迫力があり、子を守る母はやっぱり凄いなと思いつつ巣があった高台から飛び降りた。
翌日、いつもの時間から数時間経ってもリオレイアが空を飛んで狩りに行っていないことから、やはりというか巣の侵入はバレたようだ。漁った跡を隠そうともしていないので当たり前といえば当たり前なのだが。
いつものように犯人……犯竜は自分だとは気付かれていないみたいだが、今頃かなり気が立っているだろう。
ーーふぅ、そろそろ昨日のことより今起こった現象を認識しようか。
飛行船がいることによる行動制限からのストレスでどうやって墜とそうかと真剣に考え始めた時にそれは飛んできた。
自分の真横に落ちてきて勢いそのまま湖に突っ込んでいった者に視線を向ける。ちょうどその者も湖から出て来たようだ。
「ハァ、ハァ、あいつ……帰ったら絶対しばく!」
声からして若い男性、武器は双剣、防具はリオレウス。だけどそれより突っ込みたいことがある。
ーーハンターって空からも来るんだなぁ、しかも無傷。ゲームならまだしも現実でこれはやっぱりこいつらも普通にモンスターだろ。流石に引くわぁ……
次はまた他者視点です。