過酷な世界で生き抜くために   作:フドル

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誤字報告ありがとうございます!
長年友人が生暖かい目をこちらに向けてた理由がやっと分かったんだ……

という訳で22話をどうぞ!途中で少し他者視点入るよ!


22話

 村の襲撃を決めてから数日後、ある程度の情報が集まったので纏めていこう。

 この村にはギルドは無い。これは朗報だ。村人達はみんな何かあると男性ハンターを頼りに行くことからハンターも彼しかいないのかもしれない。

 次に昼は村人達はそれぞれの仕事に向かうのでバラバラになる。村から少し離れた所で作業する人もいるので襲うには不適切。夜もその日の作業量によっては夜遅くまで作業している人もいるが深夜には家に戻っているので大丈夫そうだ。

 村の真ん中辺りには櫓があり、常にここに一人が常駐している。櫓の中には鐘があり、モンスターが近づいてきたら鐘を鳴らして村人達に危機を知らせている。

 そして運良く一度だけ鐘を鳴らしている所を目撃出来た。村人達は鐘の音を聞いたら来れる人は村にある大きな家に集まり、扉を閉める。その扉の前に防具を着た村人が陣取るって感じだ。最初は防具を着た村人もハンターだと思っていたが、この事態になる以外は鍛冶屋で働いているので違うだろう。それと村の外や外周辺りにいる村人が鐘の音を聞いた時は人によっては間に合わないと判断したのか大きな家には集まらずに自分の家に引きこもったり、村の外に逃げ出す人もいた。

 村の外に逃げるのは逆に危険だと思うのだが村人には村人なりの考えがあるのだろう。暫くしたら帰って来ることから何処か村の状況を見れる所に隠れてるのだろう。

 最後に村人が誰か居なくなれば捜索は村の中と外周までならするがそこから先は行わないし、村の警戒度も上がるみたいだ。何故そんなことを知ったのかというと。

 

ーー食べちゃったんだよな、子ども……

 

 寝起きであくびをした時に背口の中に何かが落ちたような感触がして確認したら中に子どもがいたのだ。何故こんな所にいるとか色々疑問が湧いてきたが子どもが泣きそうな顔になった時に黙らそうとしてつい口を閉じてしまった。

 牙のある口を閉じたら中がどうなるかは明白な訳で、結局食うことになった。村人達を逃す気は無いので遅かれ早かれこうなることになっていたが襲撃前に余計なことをしてしまったと反省している。

 そのせいで襲撃を数日遅らせることになったし、そもそも人が来る可能性のある場所で何を呑気にあくびなんてしてるんだとか自分を責めたりとか色々あったがそのお陰で村の対応を見ることが出来たので良しとしよう。

 この騒ぎは男性ハンターが何処からか狩ってきたジャギィを子どもを襲った竜としたことで収まった。周りに群れがいなかったので、はぐれ個体だったのかな?

 

ーーある程度、村の対応は見れたしあのハンターがジャギィを狩ってきてから状態も少し落ち着いた。よし、行くか。

 

 

 

 

 日が沈み、夜空に綺麗な満月が浮かぶ。この世界は前の世界に比べると夜でも明るいので慎重に村へと進む。自身が歩く際に鳴る鎧が砕ける音は周囲の虫が奏でる音で掻き消してくれている。

 

ーーよし、ここまで来たら届くかな?

 

 村の近くまで近づき頭を上げる。櫓の様子を見ると今回は不真面目な奴が担当しているのか櫓にもたれかかり、頭を上下させている。

 これは都合がいいなと顔口に鉱石弾を生成、ゆっくりと見張りに狙いを定めて、発射、命中。

 見張りは喉に突き刺さった鉱石弾を押さえながら櫓から落下、頭から落ちたので生きてはいない筈。

 落ちた時の音で周りが気付かないかとヒヤヒヤしたが静かなままなので気付かれてはいないだろう。一番邪魔な者を排除したので村へと侵入する。

 改めて村を見渡すが地味に広い、全て排除するには時間がかかりそうだ。

 

ーーえーと、確かこの家だったよな?あのハンターの住んでた場所。

 

 孤立している民家の前まで来て、慎重に扉を開けようとしたが力加減が分からず壊してしまう。辺りに小さな破壊音がなり、民家の奥から人が来る音がする。

 

ーーミスった……いや、これはチャンスか?

 

 少し距離をとり、家の中からだとこちらの姿が見えない所に移動する。暫く待っていると中の人が玄関まで近づいて来た。

 

「何で扉が壊れてるんだ?誰かの悪戯か?」

 

 男性が玄関から外を覗き込む。その姿を確認すると同時に首目掛けて尻尾を突き刺す。

 突き刺した男性を引き摺り出し、眼前まで持ってくる。声を出せなくしているのでマジマジと観察する。

 

ーーこんな顔だったか?もしかして別人?けどあのハンターがこの家に入ったのは見たんだけどなぁ……

 

 絶命した男性を背口に放り込んでから考え込む。家のサイズ的に一人用だしハンターが居候しているとしたらこちらの撃退のために出て来てるはずだ。

 

ーー様子見をするために家に隠れてる?だとしたら手出しできないなぁ、家を壊すと周りにバレるし。

 

 家の中を覗きこめればいいのだがサイズ的に無理だ。頭を玄関に突っ込むと家が潰れる。

 

ーー出て来ないなら先に周りを逃げにくくするか、その後に家ごと攻撃する。

 

 背口に両側を棘みたいな鋭い刃をつけて真ん中よりか少し先端寄りに重りをつけた鉱石を生成し、重ね合わせ一つの鉱石塊にする。それを空へ角度をつけて発射。空中で鉱石塊は分離し、村の外周へと突き刺さる。これを数度行い村の外周全てに突き刺した。お手軽なマキビシみたいなものだ。用途は少し違うけど。

 

ーーこれで村から外へ出るには時間がかかるし無理に出ようとすれば傷付いて出血する。仮に逃げられてもそれを目印に追えばいい。

 

 この攻撃の主な役割は対象を傷付けること。それで出血させ、地面に血痕を残させて後からそれを追いかける。殺傷力も勿論あるがそれはオマケだ。一番大きな背口から発射するのでかなりの広範囲を攻撃出来る。一度空へと撃ち出すので攻撃力は落下速度に頼っているのが問題点だが先端寄りに重りを付けているので刃は確実に下に向いて落ちるし木の板程度なら貫通出来るはず。

 

ーーけどこれってハンターやアイルーが遠くまで逃亡しても追いかけられる様にって考えたけど、普通に考えたらあいつら回復道具を絶対に持ってるし防具もつけてるから意味ないんだよなぁ。気付いた時は完成してからだったし、戦闘中に頭上から硬質な物体が落ちてくるっていうのはこちらには有利になるから使うけどさぁ。

 

 本来の目的が本来の標的には何の意味もないことに気付いた時は落ち込んだが別の用途があることに気付いたので立ち直った。

 この攻撃はシンプルに鉱石雨とした。矢の方が分かりやすいかと思ったが雨の方がしっくり来たのでこちらを採用。

 外周への準備は済んだので今度は村の中だ。再び鉱石雨を生成し、発射。降り注いだ鉱石雨は民家へと突き刺さっていく。一部は家の屋根を突き破り、家の中に落ちていったが当たってる可能性は低いだろう。

 降り注いだ位置を確認して角度を少し調整すれば問題ないと判断したので再び生成、準備が出来たら順次擊ち上げていく。

 村人達も屋根に刺さる音や屋根を突き破る音で何かが起きていると気付いたのか少し騒がしくなってきているが気にせず擊ち上げる。

 

ーー思ったより屋根を潰すまで時間がかかるな。面での攻撃だから効率が悪いのかなぁ。

 

 そんなことを考えていると鈍い鐘の音が聞こえた。音の方角を見てみると屋根を突き破った鉱石雨が鐘と接触して鳴った様だ。

 

ーーうわ、今ので完全に何か起きてるってバレたな。とっととこの民家を潰すか。

 

 後脚だけで立ち上がり、目の前の民家に向かって倒れ込む。木で出来た民家はそれに耐え切れずに倒壊する。

 

ーーあれ?いない?数日前に確認した時はこの家に入って朝まで出て来なかったんだけどなぁ。

 

 朝まで出て来なかったし、出てきてからすぐに仕事に入ってたので、この家をハンターのものだと確定させてその後は見てなかったのが今回は裏目に出たらしい。

 

ーーまぁ、そのうち出てくるでしょ。それまでは村から人が出ないようにしないとね。

 

 周りから叫び声や泣き声が聞こえ始めた。恐らく誰かに鉱石雨が当たったのだろう。さて、ハンターはいつ来るのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かぁ〜、うめぇ!この酒は最高だなぁ!」

 

 机に置いてあるつまみを口にしてまた酒を流し込む。シュワシュワとした喉を焼くような感覚が堪らなく好きだ。

 

「有り金叩いて買い込んだ甲斐があったぜ。このつまみも最高だ。」

 

 少し前に一気に金を稼ぐことが出来たのでその金で買った酒だ。つまみは数日前に村の者に頼み込んで買ったものだがこの美味しさなら朝まで家に居座った甲斐がある。

 

「この村の俺の立ち位置は決まったようなもんだ。前にいた奴らの評判は地に落とせた。鉱石も数日前に商人が買い取ってくれたし最近は運が良い。」

 

 この村に帰ってきた時に少し演技をして一台だけあいつらに竜車を盗られたと言っただけで村人達は前からずっと一緒にいたハンター達を見限った。少し考えれば分かるはずなのに大半の村人達は俺の機嫌を損ねないように必死なようだ。ギルドから目をつけられかけて町から逃げてきたがこうなるのならもっと早く町を出ればよかったな。適当に見栄えのいい装備を着てランクを上位と偽装してギルドから信頼されていると嘘をつくだけでこんなにも待遇が良くなるのだから。

 

「後は帰って来たあいつらを盗人扱いすれば終わりだな。いや、あの女は手元に置くか?」

 

 村に帰ってきたあいつらに居場所なんて無い。今回のことで完全に見捨てられたからだ。俺が仕組んだことと騒いでも村人達の信用は完全に俺に向いているので無駄だ。今まで使っていた店もあいつらにはもう何も売らないだろう。村を出ていこうとも金が無いので必ず何処かで野垂れ死ぬ。そうやって困ってる時に俺が女に優しく声をかけてやればいい。

 あの女はこちらの要求を嫌がるだろうが他の二人も援助してやると言えば頷くしかない筈だ。後は適当に楽しんでから捨てればいい。

 

「あー、早くあいつら帰ってこねぇかな。数日じゃなくてきちんと日時を指定すればよかったか?」

 

 女の体つきを思い出して舌舐めずりをする。そんな時だ。

 

「?何か外が騒がしいな。何かあったか?」

 

 酒でふわふわした思考が外の異変を察知する。そのまま意識を外へと向け状況把握を行う。

 

(叫び声か?こんな夜中に?それに屋根に何か当たってるな。てっきり雨だと思っていたがこの間隔は雨じゃねぇ。攻撃か!?」

 

 思考の途中からの予測に思わず声が出る。それを裏付けるように鈍い鐘の音が鳴り響き、村人のものであろう叫び声や泣き声がはっきりと聞こえてくる。

 

「冗談じゃねぇぞ!見張りは何をやってやがんだ!!」

 

 瞬時に酔いを飛ばし壁に立てかけてあったランスを手に持つ。ヘルムを被り、蹴り飛ばすように扉を開ければ村の惨状が目に飛び込んでくる。

 

「何だこれは……どうなってやがる。」

 

 しゃがみ込み、地面に突き刺さっているものを引き抜く。手のひらより大きい石のようなものは先端に棘のようなものがビッシリと生えている。辺りに目を配るとそれが道いっぱいに突き刺さっていた。

 

「屋根に当たっていたのはこれだったか。どうしたもんか。」

 

「ボルペオさん!助けて下さい!」

 

 対処法を考えていると横から声が聞こえてくる。そちらに目をやると脚が切り傷だらけの女性が子どもを抱えながらこちらへ脚を引き摺りながら駆け寄ってくる。

 

「無事だったか。早く集会所へ行け。」

 

「その前にボルペオさん、この子に回復薬を譲って欲しいのです。お願いします!」

 

 よく子どもを見てみると肩あたりに石が突き刺さっており、必死に声を押し殺していた。

 

「道具屋には行かないのか?そこにも回復薬はあるはずだ。」

 

「もう潰れていました。だからどうか、どうかお譲り下さい!」

 

 言外に譲る気はないと言ったが女性は食い下がってくる。めんどくさくなってきたので突き飛ばそうと考え始めた時に上から石が降ってくる。

 

「チィ!危ねぇな!」

 

 盾を頭上に掲げて石を防ぐが目の前にいた女性は地面に倒れ込んだ。頭頂部に飛んできた石が突き刺さっている。即死だ。

 

「あー、死んだか。仕方ねぇ、おい坊主。早く集会所に逃げろ。……聞こえてんのか?早く集会所に逃げろって言ってんだよ。」

 

 女性が倒れたことで一緒に倒れ込んだ子どもに声をかけるが返事がない。起こすぐらいならしてやるかと思い手を伸ばしたところで頭から血を流していることに気付く。

 

「こいつも死んでんじゃねぇか。倒れ込んだ時に地面に刺さってたやつにやられたか。」

 

 この間にも石は降り続いているが徐々に落ちてくる数が減ってきている。横を見ると石がまだ降り続いているので着弾点がずれてきているだけのようだ。

 

「この石を撃ち出している奴がいるはずだ。そいつを叩けば解決するはず……何処にいるんだ?」

 

 こんな攻撃しか出来ないやつだ。遠距離主体だろうし、きっと近づけば何とかなる筈だ。恐らく村の外からだろうと視線を外に向けようとするがその途中で村の中から空へと石の塊が撃ち上がるのを目にして固まる。石の塊は空中で分裂し、落下。地面に突き刺さる。

 視線を撃ち上げられた所に向ける。民家の裏に何かがいる。身を低くし、隠れて行動しているようだが巨体を隠し切れていない。

 

「大型モンスターじゃねぇか。しかも村に入り込まれてる。これは俺には無理だな、逃げるか。」

 

 思い入れも何も無いので素早く村を切り捨て行動を開始する。家に戻り金品が入った袋を手にして大型とは別の方向へ移動する。道中は石や、村人の遺体がゴロゴロ転がっていて歩きにくい。時々瀕死の村人がこちらに手を伸ばしてくるが無視して進む。

 

「チッ、これだったら酒を大量に買い込むんじゃなかったな。まだ少ししか飲んでいねぇってんのに。お陰で金が少ねぇ。」

 

 これだと逃げてもひもじい思いをする。ここ数日で贅沢な暮らしに慣れてしまったのでもう少し金が欲しい。

 

「仕方ねぇ、適当な家から盗むか。どうせ住んでる奴も死んでるだろうし俺が有効活用してやるよ。」

 

 横にある家の扉を壊して中に入る。家の中はガランとしていて静かだ。念の為辺りを見渡し、人がいないことを確認してから物漁りを始める。

 

「これだけか。もう少し欲しいな。」

 

 また隣の家に入り漁る。金を手に入れたらまた隣へ。漁っているうちに欲が出てまた隣へ。それを繰り返す。

 

「よし、これだけ貯まれば十分だろう。結構真ん中の方に来てしまったし、早くこんな村からおさらばするか。」

 

 金品を纏め、家から出る。駆け足気味で道を進み曲がり角を曲がったところで硬直する。

 

「この!どけ!どけよ!!」

 

「グルルルルル」

 

 防具を着込んだ鍛治師が石の竜に押さえつけられていた。大型のナイフのようなもので石の竜の脚を斬りつけているが効果があるようには見えない。

 

「くそ……!おぉ!ボルペオ殿!ちょうど良い所に!早くこの化け物を討伐してくだされ!」

 

(こっちを向くんじゃねぇ!気付かれたじゃねぇか!)

 

 鍛治師の顔がこちらに向く。声が喜色に染まっていることからヘルムで顔が見えないが、きっと笑顔だろう。その声を聞いて石の竜の顔がこちらへ向く。

 

「ははは!この人の力があれば貴様なんざすぐに討伐してくれペェ

 

 高笑いしていた鍛治師の声がグチャっという音がなると同時に途絶える。石の竜が彼を踏み潰したからだ。彼が頑丈さを売りにしていた鎧は紙屑のように踏み潰され、顔の見えないヘルムの隙間から血が流れ出ている。

 石の竜が彼を退けてこちらへ向く。じっとこちらを見つめているだけなのに口角が上がっているように見えた。

 見ーつけたー。そんな幻聴が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーやっと見つけた。全く見つからないから逃げたかもって焦りかけてたよ。

 

 あまりにも見つからないので片っ端から家を潰していこうかと考え始めた時にやっとハンターが現れた。その手には大きな袋を握っており、大量のアイテムをかき集めてきたのかも知れない。

 これは長期戦になるか?と身構えたがハンターが反転して逃亡を始めた。

 

ーーいやいや、やっと見つけたのに逃がさないよ。

 

 ハンターはまだアイテムを集め足りないのだろうか?だったらアイテムを集め終わる前に捕まえたほうがいいかもしれない。

 必死に逃げるハンターだが歩幅が違いすぎるためこちらがぐんぐんと距離を詰める。それを横目で確認したハンターが隣の民家に飛び込んだ。

 こちらも民家を破壊してハンターを追いかけるが一度民家で身を隠されたことで姿を見失い、再補足する間に距離を取られる。

 

ーーならこれはどうだ?

 

 背口を開き鉱石雨をハンターを中心点として放つ。分裂した石の雨は彼が左手につけている大きな盾を頭上に掲げることで全て弾かれる。

 

ーー盾も傷付いてはいるんだけど表面だけかぁ。流石に突き抜けるのは無理だよなぁ。

 

 そんな事を考えている間にまたハンターは民家に飛び込んだ。同じように破壊して進むがこのままだと同じことの繰り返しになる。

 走りながらハンターに向かって鉱石槍で狙い撃ちをする。彼も盾でそれを防ぐがさっきの攻撃より威力が全然違うため辛そうな声を出す。

 少しずつハンターとの距離が近づいていく。彼も先程と同じように民家に飛び込もうとするがそのタイミングで鉱石槍を撃つことによって失敗することも増えてきた。

 

「畜生!どうとでもなりやがれ!」

 

 ハンターが走りながら手に持っていた袋を投げ捨ててランスを展開、ゲームなどでよく見る突進の構えをとる。

 こちらへ猛進して来るのでタイミングを合わせて尻尾を頭に目掛けて薙ぎ払う。尻尾が頭に当たる直前でハンターがしゃがみ込み、回避する。からぶった尻尾はそのまま民家を破壊して止まる。

 強引に家を破壊したので辺りに砂埃が舞い、ハンターの姿を覆い隠す。

 

ーー見失った。また追いかけないと。ていうか袋を投げ捨ててたけどアイテムじゃなかったのか?

 

 砂埃が晴れてから辺りを見渡しハンターを探すが見当たらない。この辺りは見晴らしが良くハンターが逃げようとするなら必ず見つけられる筈だ。

 

ーー何でいない?隠れた?

 

 なら手当たり次第この辺りを踏み潰していくかと考えていた時、目の前の藁が揺れた。

 

「へっ!油断したな!くらいやがれ!!」

 

 藁を吹き飛ばしながらハンターが飛び出しこちらへ猛進する。瓦礫を足場に飛び上がりランスを突き出した。こちらの胸に。

 

ーーいやぁ、探す前に自分から出てきてくれて嬉しいよ。

 

「は?何だよそれ!離しやがれ!」

 

 突き刺さる直前に胸口を開けてランスを受け入れる。胸口の中にランスを持つ手まで入ったところで胸口を閉じ、彼を捕まえる。

 彼もこちらから逃げ出そうと盾を胸に叩きつけ抵抗しているが全く痛くない。しかし鬱陶しくなったので顔口で盾を咥えて持ち上げる。

 

ーーしまった。このまま顔口で頭を噛み千切ればよかったな。けどこれで抵抗も出来ないしアイテムも使えないな。さて、どうしようか。

 

 つま先だけで立っているハンターが叫びながらこちらを蹴ってくるので前脚で彼のガラ空きの胴体を叩く。変な体勢で威力が出ないため、念の為に数度叩くとハンターが大人しくなるが変わりにオゴォという音の後にヘルムの隙間からゲロが出てくる。

 

ーーうわぁ、虹色加工しないといけないもの出すなよなぁ。ヘルムの中が凄いことになってそう。

 

 ハンターの様子を見ると何やら震えている。痙攣なのかな?注意深く見てみると何やらぶつぶつと呟いている。

 

ふざけやがって、ふざけやがって、ふざけやがってぇぇぇえええ!!

 

 ハンターが叫び、再び暴れ始める。盾の方の籠手を器用に外し、腰につけている剥ぎ取りナイフを取り出し咥えられている右腕に突き刺し斬り離した。

 

ーー凄い事するなぁ。自分の腕を斬るって勇気がいるぞ。

 

 こちらから脱出し、数歩後ろに下がったハンターがポーチを漁っている。その間に胸口に入っていたランスと彼の手、顔口で咥えていた盾と盾に括り付けていた籠手を食べる。

 

「へへっ、化け物がよぉ……。これさえあればどれだけ傷付けられても怖きゃねぇ……。」

 

 片手でヘルムを脱ぎ捨てたハンターがポーチから赤い袋を取り出す。秘薬の袋と似たような模様などがついてることから、いにしえの秘薬だろうか?

 

ーーまたそれか、秘薬より効果が強いだろうし腕でも生えてくるのかな?

 

 ハンターがいにしえの秘薬を飲み込むが、効果を見たいのでそれを見守る。飲み込んで暫く経つが効果が出てるようには見えない。

 ハンターが怪訝そうな顔をしながら袋の中身を全て飲み込むが何も起きない。

 

「何故だ?何故効果が出ない!?……もしかしてあの商人、俺に偽物を掴ませたな!!ならあの鉱石の山も買い叩きしたってことか!!」

 

 ハンターが叫び、腕の血を辺りに振り撒きながら暴れる。何処かで見たことあるのでまた偽物のパターンだろう。

 

ーー結構この世界って偽物もあるのかな?ギルドとかが取り締まってそうだけど。

 

 偽物なら見たいものは何もない。トドメを刺すべくハンターに近づいていく。

 

「はぁ、はぁ、んぐっ、はぁ、ふふっ、舐めんじゃねぇぞ!化け物がぁあ!ヒャハハハ!」

 

 ポーチから回復薬らしきものを飲んで狂ったような笑い声をあげながら剥ぎ取りナイフをこちらに向け、凶悪な笑顔を見せながら突っ込んでくる。目は血走っており、正気を保ってるようには見えない。

 

ーー何か急におかしくなったなぁ。まぁ突っ込んでくるならありがたいけどね。サヨナラ。

 

 タイミングを合わせて前脚を振り下ろす。彼は回避する素振りを一切見せずに踏み潰された。

 辺りがまた虫の奏でる音だけになる。真っ赤になった脚の鉱石を砕き、再び纏い直す。

 

ーーそういや閃光玉とか何も来なかったな……。あとは村人だけか。

 

 鉱石雨を再び撃ち始めて村の中心に向かう。もう撃つ必要もないと思うが念の為だ。暫くすると村の中心部にある大きな家に辿り着く。扉の前から道まで血痕がついてることから鉱石雨はしっかり効果を発揮しているようだ。そしてここに血痕がついているということはこの家に人が数人は集まっているはず。

 尻尾の鉱石からお馴染みになっているハンマーを生成。家の真ん中辺りに狙いを定める。

 

ーーバラバラに逃がしたら追いかけるのが面倒だから纏めて潰す。

 

 尻尾を振り下ろす。家の真ん中が潰れるが結果を見ずに尻尾を振り上げ、無事な部分にまた振り下ろす。これを繰り返し家を完全に潰す。

 

ーーこれでよし、これで生きてたら逆に凄いわ。

 

 潰れた家の隙間から赤い液体が流れているから大丈夫だろう。今度は村の外周に向かい村から出たものがいないか確認する。

 

ーーここは大丈夫、ここも、ここは……多分一人逃げたな。

 

 確認中に一箇所だけ血痕が続いている場所があったので追いかける。暫く追いかけていると脚を引き摺っている男性がいたので後ろから鉱石弾を後頭部に撃ち込み絶命させる。

 

ーーこれでよし。後は村の処理かぁ。

 

 村に戻り辺りを見渡す。壊れた民家。倒れ伏す村人。地面に刺さりまくっている鉱石雨。

 

ーー………これ全部処理するの?民家に隠れてるかもしれない村人の捜索を含めて?本気で言ってる?

 

 その後、黙々と処理し続けて全部終わった時には朝が来てました。はい。

 

ーーしかも自分の鉱石が何処にも無いじゃねぇか!畜生め!!




実際、村の外に逃げようとしたら鋭利な棘の様なものが飛び越えられない程大量に地面に突き刺さってて、村の中に優秀(だと思ってる)ハンターがいるって知ってたら逃げる人ってなかなかいないと思うよね。
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