過酷な世界で生き抜くために   作:フドル

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今回はハンターサイドです

 それでは第6話をどうぞ!


6話

 「ジャギィの討伐……ですか?」

 

 「そう、南西の森から増加傾向があるみたいで被害が増える前に討伐して欲しいって依頼よ」

 

 朝、私は受付嬢から依頼を推薦されていた。

 

 「でも私に勧めるんですか?いくら人手不足でも私より適任な人は数人居たはずですけど……」

 

 「今回の依頼は少しギルドからの依頼も混じってるの、だから上位ハンターである貴方に頼むの。それにいつものやつもお願いしたいし……ね?」

 

 「またですか?なんでいつも私なんですか?」

 

 「あなたは人気だしなんだかんだで面倒見がいいから安心して任せれるのよね、報酬に色をつけるからお願い!」

 

 手を合わせ、首を傾げながらお願いしてくる受付嬢にため息がでる。どうせ嫌だと言ってもなんだかんだで受けるハメになるんだろうと諦め依頼の説明をさせる

 

 「それで?何をすればいいのですか?」

 

 「ギルドからの追加依頼は生態調査、ジャギィの大量発生で生態系に影響が出ていないかの確認ね。それとあなた個人のお願いは新人ハンターの引率よ」

 

 やっぱりか。何故か私は新人からの人気が高く、ギルドが新人ハンターに勧める引率の話が出ると高確率で私を選択するのだ。

 

 「生態系調査は分かりました。それで新人ハンターは何処にいていつ頃から出発すればいいのかしら?」

 

 「出発は明日、新人くんはあなたの後ろにいるわよ?」

 

 受付嬢の言葉を聞き、後ろに振り返る。そこにはボーン装備を着た青年が立っていた。

 

 「君が今回の新人くんか、よろしくね」

 

 「はい!よろしくお願いします!先輩!」

 

 元気のいい青年だなと感じつつも話を進める。

 

 「出発は明日よ、しっかり準備をすることね。」

 

 「分かりました!」

 

 大声を出しながら去っていく青年に少しため息がでる。

 

 「今回は疲れそうね。」

 

 「おう!また新人の引率か?精が出るな!」

 

 「あ、ギルバドさん。おはようございます。今日も依頼ですか?」

 

 声をかけられて振り返るとそこにはレイア装備をした大柄の男性が立っていた。

 

 「おう、俺もお前達のクエスト地点の近くでだな!途中までは一緒だからよろしく頼む!」

 

 「ええ、よろしくお願いしますね。どうせなら道中の会話も任せます。」

 

 「いいぞ!俺の武勇伝を聞かせてやるよ!」

 

 「それって小型のリオレイアの話ですよね?他には無いんですか?」

 

 「無い!俺にはあれほど熾烈な戦いは無かったからな!」

 

 話をお願いした手前、いつもと同じ話は流石に疲れる。他の話もお願いしてみるが、彼にはあの話が一番の自慢らしくそれ以外は話したがらないのだ。

 

 「まぁ今回の依頼が終わったら一杯やろうか!奢ってやるぞ!」

 

 「それは嬉しいですね、ご馳走になります」

 

 それを聞いて少し明日の依頼に対するやる気を向上させる。店の指定もされてないし、高級店でも指定してやろうか。

 

 「それじゃあ、私も準備があるのでこの辺りで。」

 

 「そうか、準備はしっかりしろよ!」

 

 家までの帰宅道で明日の依頼に対する動き方を考える。取り敢えず新人くんには最初は後ろで見てもらって、後は一緒に戦おうか。生態調査はジャギィを探す合間にやればいいだろう。新人がどんな動きをするのか分からないため少し鬱憤とするがそのあとの一杯を考えると気分が良くなる。

 高級店を指定して慌てるギルバドがそれでも奢ってくれる姿を思い描き、頬を緩める。こうなったら早く依頼を終わらせるしかないな。当時はそう思ったのだ。思っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中、道中で粉のような何かを辿り、森の空けたところに"それ"はいた。全身が岩のようなもので構成されており、眼はなく、口のようなものも見当たらない、更に立ち上がったからこそわかるその大きさ。

 

 (何このモンスター!?見たことないわよ!)

 

 自分の中の記憶を何度見直してもこんなモンスターは知らない。自分が知らないだけの可能性はあるが自分が活動する範囲で生息するモンスターぐらいは頭に叩き込んでいる。

 つまり流れてきたか、見たことのない新種の可能性がある。それは不味い。何をしてくるかが分からず、新人を庇いながら動けるとは到底思えない。

 

 「うわ、デカいっすね。これ」

 

 その新人は随分とアホなことを話してる。これだから想定外のことが起きた時の新人は嫌なのだ。

 

 「撤退よ、私も見たことないモンスターだから何をしてくるか分からない」

 

 「何でっすか!?なら尚更狩りましょうよ!先輩が見たことないってことは新種の可能性があるんすよね!有名になりますよ!!」

 

 ……この新人を今すぐ殴りたい。しかし今目を逸らすのは不味い。目の前の新種は殺気などは一切放っていないがそれが怖い。何故なら殺気がないならさっきのような攻撃はせずに身じろぎをするなどして追い返すのが普通なのだ。だがあの攻撃は完全に新人を殺す気だった。

 更に新種は構えをとっている。これもおかしい。構えを取るということは戦闘の意思があること。なのにこの新種からは何も感じない。殺意も戦意も何も感じないのだ。

 

 「いいから言うことを聞きなさい。死にたいのですか?」

 

 「こんなに何も感じないんですから大丈夫ですって!先輩は新種だからって警戒し過ぎっすよ」

 

 新人は英雄願望を持ってるものが多く、恐らくこの新人もその類なのだろう。そういった者は大型モンスターに無謀は攻撃をし、死ぬものが多い。ハンターが大型モンスターに挑むのは大変なのだ。力が自慢の相手なら攻撃が少しでも腕などに当たると折れる、最悪は飛んでいく。それほどに差があるのだ。それを防具と武器と技術でなんとか均等にしているだけで、それも相手の特徴を把握していて初めて戦闘が成り立つのであり、初見で相手を殺せるのはそれこそ英雄と呼ばれる人間であるといえる。

 

 「いい加減にしなさい!あなたの下らない英雄願望で仲間を危険に晒す気ですか!!」

 

 「下らな!!?……分かったっす」

 

 下らないのくだりで怒りを露わにしたが、そのあとの仲間で冷静になったようだ。少なくとも分別することは出来るらしい。なら多少教育すればこの先も生きていけるだろう。新人に次の行動を話す。

 

 「私が気を引きます。あなたは新種の気を引かずに静かに後退、撤退しなさい。」

 

 「先輩はどうするんすか?大型モンスター相手に一人は無謀っすよ?」

 

 「避けるのは得意分野です。見切り斬りなどの超人技術は使えませんが、逸らすぐらいなら出来ます。出来ないと生き残れませんから。」

 

 見切り斬りは相手の筋肉の収縮などから次の行動を未来予知レベルで予想し、相手の攻撃を躱しながら攻撃する技術だ。少しでも予測を間違えると死に直結する危険な技術だが、習得出来ればその恩恵は計り知れない。しかしそんなことを出来るのは英雄か長年ハンターを続けているハンターだけだ。

 

 「分かりました。御武運を」

 

 新人が徐々に後ろへと後退する。それに合わせて私は前に出るが、新種は私に目をかけずに新人へと飛びかかった。

 

 「!?そちらへ行きました!」

 

 「分かってるっす!!そりゃあ!」

 

 飛びかかってくる新種に新人は操虫棍を地面につけて跳躍、新種を飛び越える形で回避した。

 

 「これは逃す気は無いってことっすかね?」

 

 「そうみたいですね。こうなると痛手を与えて怯んだ隙に撤退するしかありません。」

 

 太刀を構え、新種の動向を見る。新種はこちらを逃す気は無いのか新人の方に顔を向け、その動向を見ている。

 

 「突撃します。援護を」

 

 「分かったっす。正面から見ると大きさのせいで距離感が少し分かりずらいっす。お気をつけて」

 

 「情報感謝します。」

 

 相手に向かって疾走する。新人がそれを見て新種に猟虫を飛ばす。新種は猟虫に視線を向けたのを見てこちらも太刀を突き刺す。太刀が相手の表皮に当たるが火花を散らし弾かれる。

 それでこちらに意識を移したのか右前脚をこちらに振り落としてくるが即座に後退し、回避する。それを見た新種は爪による爪撃を繰り出してくるのを太刀を添えて攻撃をなんとか逸らす。

 

 「グゥ!なんて重さですか!」

 

 「先輩!大丈夫ですか!?」

 

 後ろからの新人からの声に問題ないと声をあげるが状況は悪い。新種はあの巨体から想像していた通り、パワータイプのようだ。手を見ると少し痺れていてそう何度も攻撃を受け流すことは出来ないと判断する。

 なんとか痛手を与えたいが新種の表皮の硬さは相当なもので私の武器だとダメージを与えられない。

 

 「どうにかしてダメージを与えたいのですが、難しいですね。」

 

 「そうっすね。猟虫も表皮が硬いせいでエキスが取れないみたいです」

 

 新人の猟虫を見ると新種に張り付いているがエキスが取れないのか所在なさげにオロオロしている。仕方ない。

 

 「救援を呼びます。少し逃げていてください。」

 

 「そこは任せたとか言ってほしかったっす……」

 

 新人のボヤキは無視してアイテムポーチからとある球を取り出し、点火する。腰に差してあった特殊な銃に装填し、空へと撃ち出す。

 

 (気づいてくださいよ、ギルバドさん)

 

 まだ近くで依頼をこなしていることを祈りながら新種に目を戻す、新人は必死に攻撃をしているが新種はそちらには視線を向けておらず、その視線は私に向いていた。

 

 (新人は脅威なり得ないと判断したの?それともいつでも殺せると判断したのでしょうか?)

 

 後者だと少し不味いなと考えつつ新種に突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘開始から数十分経過したが、状況は変わっていない。こちらが攻撃し新種が反撃する。新種からの攻撃はこちらが逃亡しようとした時だけであり、それ以外はこちらが攻撃しない限り何もしない。

 逃す気が無いのに積極的に攻撃をしてくる気配もない。こちらが観察されているような気分がし、気味が悪い。

 

 「先輩、少し提案があるっす」

 

 「何でしょう?手早くお願いします」

 

 新種が手を出してこないことをいいことに話し合う。新人は真剣な顔をしながら自身の提案を話し始める。

 

 「悔しいっすが、自分はあの新種から相手にされていません。自分の武器は弾かれるし猟虫も少し気を引くだけで役に立ってるとは言えません。」

 

 「それは……そうですね」

 

 「ですのでそれを利用してあの新種に乗ります。ナイフが刺さるかは分かりませんが相手はこちらを振り落とそうとするはずっす。」

 

 「危険です。相手は様子見をしているだけで何をしてくるか全然分かっていません。」

 

 「それは承知の上っす。けどこのままだといずれ倒れるのはこっちっす。」

 

 新人の強い瞳をみてため息を出す。これは否定しても無視して勝手に実行する眼だ。ならこちらのタイミングでやって欲しいと指示を出す。

 

 「はぁ……分かりました。ならこちらが気を引くので後ろからお願いします。」

 

 「分かったっす!」

 

 新人が離れたのを見てこちらも新種に突進する。新種の攻撃をなんとか躱しながら注意をこちらに引く。こちらの攻撃は全て弾かれるが新種の攻撃も前脚を振り落とすか爪撃しか行わないので慣れた今では完全に躱せる。

 暫く攻防を繰り返していると後ろから新人の姿が見えたのでこちらも後ろに下がる。そしてそのまま逃げる体勢をとる。

 

 (さっきまでの行動から逃げる体勢になれば追いかけるために少し身を屈めるはず)

 

 そうなれば新人が乗りやすくなる筈だと考えていると新種の様子がおかしい。少し屈むだけで追いかけてくる意思がない。まるで何かを待ってるような……

 

 「どりゃゃああっす!!」

 

 「!?待ちなさい!」

 

 後ろから飛び出す新人の姿に嫌な予感がし、大声を出し呼び止めるが止まる様子がない。新人が跳躍し新種の背中に飛びつこうとした時に新人が顔色を変えた。

 

 「!??先p

 

 何かを叫ぼうとした新人の姿が消えた。

 

 「どうしたんですか!?レクレくん!!返事をして下さい!」

 

 新人に声をかけるが返事が返ってこない。何度も声をかけるが新種がこちらに攻勢を仕掛けてきたことでそれも中断される。

 

 「くぅ!!レクレくんをどこにやったんですか!!?」

 

 この新種が何かをしたのだがそれが何か分からない。相手の攻撃を躱しながらも思考を重ねるが答えが出ない。

 そんな思考を重ねたのがいけなかったのか新種の攻撃が腕に掠る。

 

 「!!!」

 

 激痛に顔を顰める。新種の尻尾の薙ぎ払いが来るが、利き腕をやられたので太刀をしっかり握れず逸らすことも出来ずに直撃する。

 

 「ごほ!!ゲホ!か、回復を」

 

 地面を転がり勢いが止まったところで回復しようとポーチに手を伸ばすが見つからない。視線を動かしポーチを探すと転がった時に外れたみたいで遠くに転がっていた。

 

 (ははっ、万事休すですか……)

 

 新種がこちらへとゆっくりと歩いてくる。それに対しこちらは動くことが出来ず、それを見つめ続けるしか出来ない。

 

 (私が居なくなると少なくともこの地域に捜索は入る筈。この新種は危険です……人里に行ったら被害が分からない。早めに見つけてくれると助かるのですが……)

 

 ボンヤリと思考を続け、新種が前脚を振り上げるのを見つめる。

 

 (あぁ、高級店に行くの楽しみにしてたんだけどなぁ……)

 

 新種の脚が振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おい!まだ諦めてんじゃねぇよ!!」

 

 振り下ろされた新種の一撃は森から飛び出してきた人間の持っていた大剣に逸らされ私の真横に落ちる。

 新種は後方にジャンプし現れた新手に警戒をしているようだ。それに対し私には安堵と少しの罪悪感。

 

 「ギルバド……さん。」

 

 「おう!無事か!!」

 

 呼んだ救援が駆けつけてくれた。




 新人くんは一体どこに消えたんだー(棒読み
 次はオリ主視点で続きます。

 人の名前って考えるの大変ですよね。
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