あと、主人公の記憶がちょこっと甦ります。
そして、今回も千冬視点です。
では、第三話はじまります。
千冬SIDE
――――篠ノ之束隠れ研究所 内部ー―――
「束、今帰ったぞ。」
「・・・。」
ガシャン!ガシャン!・・・キュイィィィィン!!
いつもだったら私が入れば「ちぃーーーちゃぁーーーん!!!!」って突っ込んでくるはずなのだが。
というか奥から聞こえる音はなんだ。
「・・・」
ギュッ・・・
「ん?」
突然、研究所で助けた少女がすこし怯えた顔でスーツの袖を掴んでいた。
うん、一発殴ろう。こんな小さな子を怯えさせおって・・・。
私はこの子が安心するようにできる限り優しい声で言い聞かせる。
「大丈夫、ここはなにも危険なものもないから安心しろ」
すると、怯えていた表情がすこし和らいだ・・・ように見えた。
私はこういうことは苦手なんだがな。こういうことは一夏の得意ことだからすこし心配だったが、大丈夫そうだ。
「・・・はぃ・・・」
小さく返事をする。
さてと、そろそろうるさいから黙らせるか。
ガンガンガンガンガン!!!チュイィィィィィィィン!!!!
「・・・ちょっと、ここで待っててくれないか?」
「・・・コク・・・」
私はこの子の頭を優しく撫で、奥の部屋のドアを・・・
「・・・フン!」
バキャァン!!
「・・・ビクッ!!」
すこし驚かせてしまったか。
まあ、あいつが悪いということにしておくとして。
「おい、束・・・どこにいる。」
奥の部屋は薄暗く、周りがよく見ない。
すると、さらに奥のほうから声が聞こえた。
「ああ、ちぃちゃんおかえり~。ちょっと手が離せないからこっちにきて~~。」
はぁ・・・なにかに集中すると手が離せなくなる癖はいまだ健全か。
まあ、私や一夏、こいつの妹である箒以外には心を開かずただの背景にしか見ない癖―といっていいのかわからないが―よりはましか。
「・・・あ、の・・・」
うしろから声が聞こえる。
振り向くと、あの子が心配そうに見ていた。
そうだった。本来の目的を忘れるところだった。
「すまない。心配かけたか?」
「ううん・・・だいじょう、ぶ。」
「あれれ~、誰かいるの~?」
と、あちらも気づいてようだ。
とりあえず、報告しておくか。
「お前に頼まれた研究所で保護してきた少女だ。」
「ん~?やっぱりなにかの人体実験をしていたのかな~。」
なっ!あの馬鹿者は!!
「人体・・・あ、あぁぁぁ・・・!!」
隣にいた女の子が突然自分の体を抱きかかえるような姿勢になり震えだす。
私は急いでそばに駆け寄り話しかけようと顔をこちらに向かせる。
そこに私の目に映ったのは・・・
「いや・・・・いや・・・もう、殺したく・・・・なぃ・・・!」
赤かった両目が金色に変わっていた。
だが、これは。
「
私が一年ドイツで鍛えてきた部隊と同じ目の色・・・まさか、この子も戦争のためだけに生み出された存在だというのか・・・。
「・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・何も心配する必要はない。」
私は優しく抱きしめる。
「・・・あっ・・・。」
「ここにはお前にひどいことをするものはいないから・・・怖がらなくてもいい・・・。」
すると、だんだん震えが治まってくる。
そこへ。
「ありゃりゃ・・・怖がっちゃったか・・・。」
「束・・・。」
私は地面に落ちているガラクタを退かしながらこちらに近づく束を睨み付ける。
「ちょっと、そんな怖い顔しないでよ~。わたしだってわからなかったんだから。」
「それでも、言葉を考えろ。」
「あははは、ごめんごめん。・・・で、そのこが保護して・・き、た・・・。」
ん、なんだ?
いきなり束の言葉が途切れる。
「・・・まさか・・・・。」
「おい束、どうしたんだ。」
「・・・えっ・・・あ、なんでもないよ。」
「そうか?・・・ん、どうかしたのか?」
「・・・・の・・・は・・・?」
”のは”?
いったい何のことだろうか・・・もしかして誰かの名前?
・・・いや、ありえないか。
「・・・・?」
・・・そこまで気にしていないようだが・・・。
まあ、今はおいておこう。
「・・・でも、どうするの?さすがに、わたしのところは難しいよ?」
たしかに、束は追われている身。そんなところにこの子を預かるのは危険すぎる。
最悪、またつかまってモルモットとして扱われてしまう。
私は保護した子を見る。
「・・・・ん。」
私の袖を強く握ってくる。
表情も少し不安そうだった。
・・・なら。
「なあ・・・私の養子にならないか?」
「・・・えっ。」
安全なところで保護すればいい。
なら、私の保護すればいい・・・私が守ってやれば・・・。
もう、あんなことが起きないように・・・私がしっかり見ればいい・・・。
私が無理でも、一夏がいる。束だっている。
だから。
「どうする?」
私がこの子を、しっかり普通の女の子として育てればいい。
「・・・いいんですか?」
不安そうに聞いてくる。
だから私は、その不安を取り払うように力強くうなずく。
「・・・あぁ!」
「・・・・!」
不安そうな顔から、まだ少しだが笑顔が出てきた。
できれば、この子の表情を満面の笑みにできるように、私が守っていこう。
・・・そうだ、この子に名前をあげないと。
名前がないと不便だからな。
「・・・いまから、お前に名前をやる。」
「名前?」
「ああ・・・お前の名前は・・・」
私とお前が出会えたのは〈運命〉だ・・・だから、それから取って・・・。
「〈運命〉とかいて
こうして、私に・・・私たち織斑家に新たな〈家族〉が出来た。
あっれ~・・・束さんが空気になっちゃったよ・・・。
そして千冬さんがめっちゃくちゃお母さんだよ・・・どうしてこうなった・・・。
そして次回からは時間が飛びます。
ああ、早く鎧武を出したい・・・。
では、この辺で