【カオ転三次】俺が不幸なのはどう考えてもメシア教が悪い!   作:ガイヤ

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話ができたら、見直さずに直ぐ投稿しているけど、これってこの時間に投稿するみたいにした方が良かったりしますかね?


《前編》日本最大の正式な霊的国防組織根願寺(笑)

「ねぇお兄さん、此方においでよ。良い夢見させてあげるからさあ〜」

 

「クソ、あった金を全部擦っちまった!」

 

「おい、あっちにすげぇ美人さんがいるらしいぜ。あそこの店にしよう」

 

 彼方此方で声が飛ぶ、人の行き交う夜の街、欲望を詰めて詰めて詰めて、すいも甘いも楽しむ欲の都。

 豪華に彩られた、江戸の吉原を思い起こさせる数々の建物は夜の中にありながら、黄金の光をギラギラと輝かせながら、道ゆく人々の欲望を喰らう。女の欲望、男の劣情。此処では誰も隠さない。否、隠す必要はないのだ。それがこの街、名を【裏吉原】。

 そこは、裏を知る人間しか知ることは出来ず、入ることも出来ない、日本最大の闇娯楽施設であった。

 

 そして今現在、その知る人ぞ知る遊楽の場、裏吉原のその最奥である【夜の間】にて、とある歓待が開かれていた。

 

 夜の間。それは謎の多い裏吉原の中でも、一際、煙に包まれている存在だった。

 噂では、そこには悪魔も靡く絶世の花魁が抱ける、この世で最高の悦を味わえる、実は青い狸がいて戻りたい過去に戻してくれるなんていうのもある。入ることが出来るのは、この裏吉原の現在の主【夜王】か、日の本最大の霊的国防組織【根願寺】の上位層ぐらいという。

 

 だが、実際に夜の間が開かれている所を見た者は殆どおらず、最後に見たのは戦後のメシア教と日本の友好条約を結ぶ場として利用されたのが最後という話まである。それが今宵、何故か開かれていた。

 

 それもあの、【根願寺】が相手側の為に開いたという話まで出てきている。

 

 根願寺とは、築地に本拠点である寺を構える、裏の存在でありながら日本政府にまで支持されている、国が認める日本最大の、正真正銘の正式な霊的国防組織である。

 その権威は、この業界にいる者なら殆どの者は逆らえないほどで、今でこそ破竹の勢いで、地方の霊的災害、霊地活性化の抑制、重要霊地の維持等を新参の【ガイア連合】に任せているが故に良くない噂が多くなってきているが、それでもなお、陛下からの信頼で日の本の中心である東京守護を任せられている。

 

 そんな根願寺が、一体誰をどんな目的で夜の間に呼んだのか。今宵の裏吉原では、その話が酒のつまみになっていた。

 

 

 

「さあさあ、遠慮せずにお呑みくだされ。此方はかの酒呑童子を屠る為に使われた神便鬼毒酒を酒造した家の者が、長年をかけて作り出した秘蔵の酒でございまするぞ!」

 

「いや、俺未成年なので…………」

 

「おお、それでは、此方の寿司はいかがでしょう。江戸時代から続く老舗の寿司でございまして、それはもう美味でございます」 

 

「それではわっちが、お酒の代わりに何か飲める物を用意させますね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「これこれ、其方もそうせっつかれては困ってしまいますぞ。その方らも落ち着きなさい」

 

「いやいや、面目ない。ワシとしたことがついつい舞い上がってしまいましたぞ!」

 

 代わる代わるに差し出される豪華絢爛な品々。室内の雅さも相まって、まるで自身が王族か何かになった気分になりそうだ。周りには、サキュバスにも劣らぬ美貌の美女が、綺麗で蠱惑的な着物を着崩しながら密着してくる。

 

「いやはやしかし、ガイア連合の長にも感謝しなければいけませぬな。急な申し出だったというのに、まさかあの【氷呪眼】のヒデオ殿を寄越してくださるとは思いませぬゆえ! がはははは!」

 

 何故こうなった。

 陰陽服に身を包み、キョンシーみたいに紙をお面代わりか顔にかけて、愉快そうに笑う根願寺の皆さんを呆然と眺めながら、俺は心底そう思った。此処に俺がいるわけは、今から一週間ほど前まで遡る。きっかけはガイア連合の愉快犯筆頭に捕まったところからだった。

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

「──君にはこれから、築地の根願寺に行ってきてもらう」

 

 ガイア連合の始まりの地。星霊神社の本殿最奥の間にて、陰陽服を纏う小柄な少年らしき人物、ガイア連合の主、通称ショタオジはそういって、ニヤリと俺を見下していた。

 

 あれから俺は、なんとかタマの拘束から逃れて、翌日、本人から直接話を聞いて断ってやろう。そう意気込んで、星霊神社の本殿へカチコミをかけた。そして、今、本殿の床に縄で身体を縛られて、無様に転がされていた。

 俺をこんな姿にした張本人である、年齢詐称の原罪を持つ、ガイア連合でも一二を争う愉快犯はニヤニヤと笑みを浮かべている。クソッ、今回も傷一つつけることが出来ずにあしらわれた。一体俺と彼の間にどれ程の力の差があるのか、数年鍛え上げたがその足元さえ見えてこない。

 

「まあまあ、そんな酷い顔しないでくれよぉ。これは君にしか出来ない仕事なんだ。報酬も弾むし、これが終わったらちゃんと休みあげるからさ」

 

「嫌だ嫌だ! そういって、何度裏切られてきたと思ってるんだ! どうせ今回の仕事が終わっても次が回ってくるんだろ! 折角進級できたのに、また単位が危ぶまれる事態は真っ平御免だね!」

 

「でもトラポートが使えて、日本各地なら何処でも一瞬で行ける人材は中々いないんだよぉ? それに優遇処置だってとってるじゃないか。最新装備の優先配備とかメシア教の動きに対する情報の最速での知らせ、他にも依頼等がごたつかないようにワンオフの事務担当つけたりとかさ」

 

「くっ。し、しかし俺にも他の人との都合があってですね…………」

 

「どうせ付き合ってる彼女とかいないんだし、妹ちゃんとゲームか、ハセガワさんの所でレベリング用の異界を教えてもらういつものでしょ」

 

 沈黙。俺に出来るのはもはやそれだけだった。此処でこれ以上反論しても、俺が周りに友達も彼女も居ないのがどんどんバレていくだけだ。それにショタオジのいうことが図星すぎた。何でこの人、俺のこの後しようとした行動を知っているんだよ。エスパーか何かかこいつ。

 

「よし! もう文句もないようだし、それじゃあ明日にでも頼むね。彼方さんも今回のはだいぶ焦っているらしくて、人を一人でいいから寄越せと煩かったからな」

 

「ちょっ、ちょっと待ってください! せめてどんな仕事かぐらい教えてくださいよ!」

 

「まあ、あっちに行けばすぐにわかると思うけど、ただの異界攻略だよ」

 

「はあ? なら俺一人に言わないでもっと大勢で一気にやれば良いじゃないですか」

 

「それが場所的に僕達じゃ手を出すと面倒なところが異界化しちゃってね。だから今回は普段動かない、あの日本最大の霊的国防組織(笑)が先頭に立ってやらないといけない案件でね。だからガイア連合としては、動かせたとしても多くて三人くらいなんだけど、君以外に都合のつく人がいなくてね」

 

 面倒臭そうにそうぼやいて、ショタオジはため息をついた。何かしら裏の政治的に面倒事でもあったのだろうか。基本そういう面倒事は、ガイア連合員の俺らはショタオジを含めた運営陣に丸投げしている面があって、ショタオジのその姿を見て少しだけ罪悪感が芽生えたりした。

 

「おっ、その顔は少し申し訳ないとか思っているな? でも大丈夫、このくらいなんて事ないさ。これでも連合の長だからね。君達が大破壊を生き抜く為に頑張るなら、僕はそれを全力でサポートするさ」

 

「ショタオジ…………ごめん、俺が我儘でした。任せてください! この仕事はしっかりと終わらせてきますから!」

 

「ありがとう、そういってくれると思っていたよヒデオ君! いや、やっぱり持つものは便利な手駒、いや間違えた、信頼できる仲間だね!」

 

「おい、ちょっと待てお前」

 

「それじゃあね。頑張ってくれたまえよ、若人!」

 

「あっ! おい待て、逃げるな! 縄解いていけこの野郎ぉ!」

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 その後、ショタオジのシキガミ《オンギョウキ》に縄を解いてもらって、準備して根願寺にトラポートしたのだが、根願寺の方々に何故か大いに歓迎され、俺は今、裏吉原という遊郭みたいなレンジャー施設? に来ていた。

 

 此処には色々な物がある。カジノや闘技場、酒場に女郎屋。およそ、人間が欲を露わにする施設はあらかた用意されている。どうやら、此処には日本中の裏の人間が来るらしく、海外のエクソシストらしき人間も見かけたことから、だいぶ人種の坩堝とかしているようだ。

 

 そしてこういう場所は、外に漏らしたくない大切な情報を話す時にはうってつけの場所らしい。わざわざ根願寺から移動して此処に連れてこられた時は、一体俺をどうするつもりなのかと警戒したが、なんてことはなく、仕事内容を話すついでに俺を歓待してくれようとしたらしい。これもガイア連合の名が裏に広がったおかげだと思うと、少しは鼻が高くなるという物である。

 

「それで、今回はどういった用件でウチに人の派遣を頼んできたんですか? 簡単な異界攻略だとは聞いているのですが」

 

「はい。今回の事はまだ大きな騒ぎにならぬよう、内々に処理をしなければいけない異変でございまして、本来なら我々だけで解決しなければならないのですが、遣わしたうちの手の者が誰も帰ってこないので、東京守護に人員を割いている現状、此れは少しばかり手に余るとガイア連合の方々に協力を依頼させていただきました」

 

「その異界はそんなに強力なものなんですか?」

 

「はい。元々の霊地としての核もさることながら、その知名度から人の思念も多く集まる場所でして、今まではこの様な事態になったことが無く、前例もない程に強くなっているはずです。根願寺でも指折りの強者を派遣しましたが、結果は先程の通り、つきましては、どうかガイア連合殿には力を貸していただきたく!」

 

 そういって頭を下げる根願寺の人達。事態をよほど深刻に見ているのか、先程の歓待の時にあった浮かれようはなりを潜め、重い空気を出していた。だが、俺からすると根願寺の精鋭が攻略出来なかったと言われても、それで危険度の判別はできなかった。理由は一つ。根願寺の霊能者達がまあ、控えめにいってもあまり頼りにならないというか、役に立たない。率直にいえばクソザコナメクジだからである。

 

 ショタオジ曰く、元々俺を含める転生者達は霊的才能はガチャでいうSSR相当であるらしく、現地民からすれば化け物レベルの才能持ちばかりだという。では、日本最大の歴史的権威のある、日本政府が唯一認めるほどの正式な霊的国防組織である根願寺はどの程度かというと。何と恐ろしいことに殆ど全員、N、ノーマルレベルの才能しかない。

 

 俺達が重賞確定レベルの名馬なら、あちらはサラブレッドどころかロバである、ロバ。

 

 そんな才能なしの中の強者(笑)が異界で死のうと、その異界がどれだけ危険なのかなんて皆目見当つかない。何の判断材料にもならないからだ。

 

 まあ、しかし、現地民の霊能者があまりにも弱いのには理由があって、第二次世界大戦後にアメリカに根を張っていたメシア教が、敗戦国の日本で幅をきかせて、当時の才能ある霊能力者達を、日本の神様もろとも皆殺しか封印処置にしたからであるらしい。そのせいで、現在はメシア教に放置されるレベルの才能がない落ちこぼれの霊能者か、その血を受け継いだロバしかいないのが真実なのだ。

 何故俺がこんなことを知っているかというと、あの恐山の○○○歳超えの恐怖! 合法ロリババア! である長老からこの話を聞かされたからである。

 

 あの婆さん、里の団子屋で、俺の奢りでルリちゃんやガキ共に一緒に甘味を摂っていたら、まるで世間話でもするかのようにクッソ重い昔話してきやがった。ルリちゃんは涙目になるし、ガキ共は泣き出すし、俺も何か団子が塩味になるしで最悪だった。

 ただ、やはりメシア教はこの世界でもクソの塊であるという事実を生き証人である長老から聞けたことにより、俺の中にあったメシア教へのイメージはより鮮明になった。メシア教、死すべし。因みにこの話はハナヤマさんにはしていない。言ったが最後、必ず憤怒して近くのメシア教教会にカチコミかけに行きそうだからだ。

 

「頭を上げてください。俺はその為に来たんです。是非、協力させてください。歓待ももう十分堪能しました。早速その異界に向かいましょう」

 

「おお、なんと心強いお言葉か。わかりました、それでは直ぐに迎えの準備をさせましょう。ヒデオ殿は、私達の実行部隊のサポートをお願いいたします。既に我々の部隊は現地に行っておりますゆえ」

 

「わかりました。それでその異界化した場所は何という名前なのでしょう」

 

 まあ、そんなにやばい異界ではないだろう。だって俺一人しか派遣されてないし。ショタオジはあれでいてガイア連合員には駄々甘で過保護な所があるから、死ぬ危険性のある場所はそうそう仕事として寄越してこない。どうせ今回も現地民がヤバイヤバイと騒いでいるだけで大した事はないだろう。そう俺は高を括っていた。

 

 だってスライムしか出ないような小さな異界を、世界の危機だ、終末の始まりなんだとかほざいていた所もあるくらいだ。現地民のオーバーリアクションなんてガイア連合員で異界攻略を何度も経験した人間なら大して気に留めない。

 

 しかし俺は失念していた。確か、根願寺の人達はこう言っていた。知名度があると。

 そして異界とは、割と霊地としての格と同じくらい、人からの知名度が影響し、その脅威度を上げることを。歴史的な建造物で霊地も良く、だが知名度はそこそこなものより、大型異界【犬鳴村】のような知名度だけが形作ったような異界の方が案外厄介であることを。

 

「はい、今回異界化した場所はかつての都にあり、世界的価値も認められた建造物。醍醐寺の【五重の塔】でございまする」

 

 

 

 





 登場人物のちょこっと紹介

 ◆【ブスジマ ヒデオ】

 この話の主人公。本人は自身をブサイクだと貶しているが、実際は黒髪天パと鋭い目つき、泥を煮込んだような澱んだ瞳に濃ゆい隈で、ヤバそうな人に見えるだけである。
 身長もあまり高くない。精々、160いかない程度。シスコン。


 ◆【ブスジマ アサ】

 主人公の三歳下の妹。元々ヒデオは転生前の事で生まれてすぐは病んで荒んでいたが、この子が産まれてからは丸くなった。兄と比べて、少し陰気な雰囲気があるだけで、普通に可愛い顔立ちをしている。

 ゲーム大好きなサブカルチャーオタク。学校ではオタクであることを隠しているが、黙っていれば清楚で可愛らしい見た目からモテており、いつ、クラスの連中にオタク趣味がバレるか、割とヒヤヒヤしているらしい。ブラコン。
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