【カオ転三次】俺が不幸なのはどう考えてもメシア教が悪い!   作:ガイヤ

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パロネタが何処まで許されるのか試してみる(死亡フラグ)


《後編》五重の塔、世界遺産やめるってよ

 

【五重の塔】。五層に屋根を積み重ねた形に建てた五階の仏塔で、地・水・火・風・空の五大にかたどったもの。 五重の塔婆。醍醐寺の五重の塔は有名だが、それ以外にもいくつか点在しているそれは、中国から来た文化らしい。仏教を主体とした考えで作られたこれは、日本だけではなく、各国にも名が知れ渡る程度には有名な建造物だ。

 

 その中でも醍醐寺の五重の塔は、世界遺産にも指定された、日本の誇り、守り抜くべきものであり、決して悪魔に乗っ取られたのが世間一般にバレてはいけないものだそうだ。車に乗りながら、俺は隣の席でそれはもう熱く語ってくる、紙を顔に貼り付けたおっさんに適当な相槌をうちながら、そんな話を聞いていた。

 

 根願寺の人的には、今回の事態はとてもおかしなことらしい。何でも、世界遺産にまで登録されるほどの建造物で、知名度も高く、京都という日本六大都市の一つにあり、その上、醍醐寺の厳重な管理と根願寺の結界によって守られた五重の塔が、異界化するまで異変を察知出来ないなど、意味が分からないことなのだそうだ。

 

 まるでほんの一瞬で異界化が完了したと言わんばかりらしい。それは無理なんですかと聞いたら、まずそんな現象はあり得ないと言われた。

 

 例えるなら、朝慌てて仕事へ行こうと家を飛び出して、途中で忘れ物をしたことに気づき家に戻ったら、妻が知らない男と寝ているくらいには有り得ない事なのだそうだ。どうでも良いけど、その話、世の中に割とありそうだよね。というかそれ、紙顔の人の実体験じゃないよね。なんか妙に血気迫る感じで話してたけど、それ実際に会ったことじゃないよね。あり得ないってそれ、こんな事あり得るわけがないっていう現実逃避じゃないよね。

 

 そうこうしているうち、目的の場所である京都の醍醐寺、その五重の塔までやってきた。来る途中に不自然なほど人がいなかった理由は、何でも根願寺の秘術。人払い&認識阻害の結界によるものらしい。それでいつも東京の街中等で悪魔を退治する際に、一般の人々にバレないよう隠蔽しているらしい。

 

 辺りを見渡すと異界の入り口周辺には、なんかテレビで見た偉そうな人がいっぱいいた。特に、強面で奥の方にいる根願寺の人と話しているあの人、後で聞いた話だと京都府警の警視監だった。やっぱり日本政府に支持されるような所は表のコネも凄いんだなと、少しだけ俺の中の根願寺の評価が上がった

 

「紹介します。これらが今回、ヒデオ殿につける部隊の隊長でございます。捨て子の卑しい身分を集めた部隊ですが、全員が退魔士として才は中々のもの。いかように使い潰しても構いませぬので、早急な異界攻略。宜しくお願いしますぞ」

 

 根願寺の人が案内役を紹介してくれた。どう見ても、俺より年下の女の子だった。紫の髪に茶色い瞳。纏っている礼装は他の現地民と比べても中々のもの。ショタオジから貰った、試作段階の五十レベルまで測れるかもしれないになったというアナライズ機械で見てみると、そのレベルは九。

 

 少なくとも、今まで見てきた同年代の子の中じゃ一番強い。しかし、強いということはそれだけ修羅場を潜ってきたという事で。現地民なのに、この歳でこのレベル。そして、この子以外も全員、捨て子であるという先の言葉。更には、卑しい身分とかものたまってた事から、常にそういう扱いなのだということが簡単に想像できる。

 俺の中にあった根願寺の好感度。先ほどのプラス分を振り切ってマイナスです。俺は可哀想な女の子じゃ抜けないんだよ! 

 

「ご紹介に預かりました、ヒデオです。よろしくね」

 

「ツキジ シオンと申します。ヒデオ様、よろしくお願いします」

 

 お互いに自己紹介を終えて、それからシオンちゃんの部隊へ挨拶をしにいく。

 

「紹介します。この子達が私の部下、【ミナシゴ】の全隊員です。ヒトミ、フタバ、ミッコ。この方は今回の異変解決にあたり、ガイア連合から協力に来てくれたヒデオ様です。ほら、自己紹介して」

 

「ヒトミです!」「フタバです!」「ミッコです!」

 

「「「よろしくおねがいします!」」」

 

 根願寺ぃぃぃぃぃ! アウトォ!? これどう見てもアウトだよぉ! 小学生はあかんやろ、小学生は! いくら才能があるからってお前、倫理観ゼロかよ、根願寺ぃ。というか部隊名! さっきは殆ど聞き流してたから、部隊名とか知らなかったけど、【ミナシゴ】ってど直球すぎるだろ。火の玉ストレートだよ、軽く百七十キロは出てるよこれ! 手加減してくれよ、根願寺! 異界云々の前に俺のメンタルボロボロだよ! やめてくれよ。こんな妹より小さな子供を戦わせれるわけないじゃん。そもそも、平均ニレベルくらいしかない。これを異界に突っ込むってもう遠回しな殺人と同じだぞ、根願寺! 東京に引きこもってないで、地方もどうにかしろ根願寺! 

 

 根願寺に対するありとあらゆる文句を心の中で叫びながら、俺はとりあえず、この子達と仲良くすることを選んだ。俺がこの子らを守るんだ。そう意気込んで、俺の五重の塔攻略は始まった。

 

 

 ◆◆◆◆◆

 

 

 攻略は意外なほどスムーズに進んだ。元々、あまり長くは隠し通せないので早急な解決を頼むと言われていたこともあり、俺、ツキジちゃん達、あと根願寺の本隊で、一週間以内を目処に進めていたのだが、出てくる悪魔も然程強くなく、シオンちゃんなら一人でも何体か纏めて倒せるし、ヒトミちゃん達三人も上手いこと連携して、悪魔を倒している。

 

 不甲斐ないのは本隊の方で、この程度の悪魔にも数で囲って漸くといった感じだ。これでは、どの口がこの子達を馬鹿にできるのかと、文句のひとつでもこぼしたくなる。

 

 そして、休憩を挟みながら一層、一層浄化していった結果。三日目で異界の最奥に辿り着いた。そこに居たボスらしき悪魔も倒した。皆、喜んでいたが俺は少し気にかかっていた。この異界のあまりに簡単な難易度に。

 

 俺は最初にこの五重の塔が異界化したと聞いた際、【恐山】クラスの異界になると踏んでいた。だが、結果はそこらの中小異界程度のもの。はっきり言って、シオンちゃん達は苦戦していたが、俺からしたらボス悪魔も何の歯応えもなかった。

 

 そう、歯ごたえがなさすぎるのだ。少なくとも【恐山】クラスなら、出てくるボス悪魔のレベルは最低でも二十は下らないだろう。それが出てきたのは、レベル十五の邪龍【トウビョウ】。肩透かしもいい所だ。何かがおかしい。答えは出なかったが、妙な違和感が頭から拭えない。俺がそうやって頭を捻っていると、答えはあちらの方からやってきた。

 

 床がいきなり裂けて、皆が真下へと真っ逆さまに落ちていく。俺は咄嗟に、近くにいたシオンちゃんを捕まえて異界の奥に飲み込まれた。

 

 気がつくと、そこは洞窟の中だった。どうやらこの異界の主は中々に悪知恵が働くらしい。態と表の異界を緩くして、調子に乗って奥まで来た相手を、本当の異界の中心へ引き摺り込む。こうすることで、簡単に異界から抜け出せないようにしたのだ。俺のようにトラポートが使えるなら話は別だが、こんな形で異界の奥へ飲み込まれたら、普通ならボスを倒さない限り外に出ることは不可能になる。

 まだ、異界の手前入り口の辺りなら逃げることもできたが、あそこまで奥に誘い込んだ上でのこれをされれば、それも叶わない。

 

 とりあえず、意識を失っていたシオンちゃんを起こして、異界の中心は向かった。どうせ出るならボスを倒さないとどうしようもないし、ヒトミちゃん達を探すためにもだ。

 

 そして、表の異界ボス並みの雑魚悪魔どもを蹴散らして、ボス部屋へと辿りついた。そこには想像通り、ヒトミちゃん達がボス悪魔に囚われていた。

 

 ボス悪魔の名前は【ラクシャーサ】。何度か戦ったことのある悪魔だった。レベルは二十五。強さは問題なかったが、人質がいるのが辛い所である。聞けば本隊の連中と前に異界へと突入した根願寺の精鋭は、全員ラクシャーサが食べたらしい。どんだけ大食いなんだこいつ。幼女はデザートとして残したとか言っていた。何故人喰いの悪魔は子供の肉が大好きなのか、これがわからない。柔らかいのが好きとか、歯が弱い老人かこいつら。

 

 人質に取られたヒトミちゃん達がとても大事なのだろう。シオンちゃんは取り乱していた。俺も異界へ入る前に守ると誓った手前、みすみす目の前であの子達が喰われるのを見ているわけにはいかない。出来るだけ早く、こいつを倒そう。

 

 俺は速攻でラクシャーサをボコった後に魔法で脅して、ヒトミちゃん達人質を回収。ラクシャーサには、騙して悪いがこれも仕事なんでなを喰らわして終わらせた。

 

 その後、気絶していた三人は俺が持っていた隠し玉の【トラポート石】でシオンちゃんに三人を任せて、異界から脱出させる。そして俺も後を追うように異界から出ようとしたが、ここでアクシデント発生。

 

 何処から現れたのか。強烈な威圧感を放つ悪魔が俺の逃げ道を異界を再構築することで塞いできた。そのせいでトラポートを使った脱出も不可能に。逃げたかったけど、どうやらそういう訳にもいかないらしく、泣く泣く応戦することに。

 

 そして予想通りというべきか、それはもうボコボコにされる。まだ未熟で、良く異界内でガキパトしそうになっていた中学の頃を思い出すレベルで死にかける俺。フリーザ様にボコられるベジータの気分だ。早くてきてくれ、悟空ー!

 

 だが、いくら呼んだところで悟空さが来てくれるわけもなく、だからといってこのままおめおめと殺されるわけにもいかない。何故なら、こんな所で死んでは、妹のアサちゃんを泣かせてしまうからだ。

 

 妹を泣かせないよう、どんなに強い敵であろうと死んではいけない。そして、この場から離れるためには敵を倒すしかない。『死んではいけない』。『自分より強い敵を倒す』。『両方』やらなきゃいけないのが『お兄ちゃん』の辛いところだな。覚悟はいいか?俺はできてる。

 

 もうここまで来たら、後先考えない徹底抗戦だ。俺は腹を決めて、【隠密特化型アガシオン】による溜め込んだ戦闘用アイテムの大盤振る舞いと、奇策、搦手、根性、異界内でしか使えない【奥の手】を駆使して、悪魔に辛くも勝利した。

 

 しかし、ギリギリの戦いだったせいで、異界を脱出する力はもう残ってなかった。俺の第二の人生もこれまでかと思った矢先、先に避難させていたシオンちゃん達が、戻ってこない俺を心配して連合へ連絡してくれていたおかげで、俺はガイア連合員達によって救助された。

 

 その後、ガイア連合の医療班により集中治療された俺は、治ったはいいが一週間ほど意識不明だったらしく、五重の塔異界事変の、事の顛末はショタオジに聞くことになった。どうやら、何とか異界化自体は鎮まったらしい。まあ、あそこまでやってまだ他に悪魔がいましたなんてなったら最悪だしな。

 

 ちなみに、あの時最後に戦った悪魔は龍王【ゲンブ】。その不完全顕現体と呼ばれる存在でした。何とレベルは驚愕の四十五レベル。

 

 今考えてもよく勝てたな俺。同じ条件でもう一度やってみろと言われても、絶対に無理だと思う。そういえばあいつ最後、黒い神父に利用された云々と言ってたけど、あの言葉の今は何だったのか。というか黒い神父って何だよ。ただの黒人神父さんじゃないのかそれ。

 

 まあ、いい。今はただ寝よう。ショタオジから聞いた話の最後に出てきた、ゲンブとの戦いの余波で、異界の中を貫通して五重の塔の天井部分が吹き飛んだなんていう話は聞いていない。聞いていないといったら、聞いていないのだ。

 

 世間では【五重の塔爆破事件】と呼ばれるそれは、世界遺産である五重の塔が人知れず天井部分を爆弾でも起爆させたかのように破損されているのを複数人が発見したのがきっかけの事件で、現在は日本警察の総力を持って海外のテロリストによるものと判断して捜査されていると、日夜、テレビやネットのニュースはこの話で持ちきりらしいとか知らない。

 

 こういうのは全力で見ないふりをするのが正しいと、俺はこれまでの人生で学んだのである。第一、俺は悪くない。一生懸命やった結果なのだから。俺がテロリストなら、元はといえば杜撰な管理であの場所を異界化させた根願寺が悪いのだ。これで逮捕なんかされないよね? ある日いきなり警察が飛び込んできたりしないよね? あの場所に京都府警のお偉いさんもいたし、事情は伝わっているよね? 

 

 こんな不安に駆られるのも、入院したせいで出席日数が足りなくなるかもしれないのも、この大怪我の理由を家族にどう伝えるのか憂鬱なのも、そう、全ては! 

 

俺がテロリスト予備軍な扱いを受けそうなのはどう考えても根願寺が悪い!

 

 あと何故か、シオンちゃんが俺の高校へ一年生として転入してきた。

 

 





 登場人物のちょこっと紹介

 ◆【ハセガワ レイ】

 敬語系クール美大生転生者。一度、ショタオジの覚醒修行に手を出して心が折れる。その後は非覚醒転生者として、大破壊後を生き抜く為に事務でガイア連合に貢献し、ガイア連合内で大破壊後の上手いポジションを手に入れようと考えていた。

 だがあまりにも危なっかしい眼をした中学生がやってきて、危険な異界の仕事を次々と、大怪我をしながらもこなしていく姿に居た堪れなさと
庇護欲が生まれ、それっきりガイア連合内での出世を捨ててまで、支部でのその子の面倒を見るようになる。その結果、その子の依頼専属受付係
に任命され、本人の預かり知らぬところで良いポストを手に入れた。

 ◆【ルリ】

 イタコの里の、次代長老候補。才能自体はSRでも上の方。常に何を考えているのかわからない。無表情ロリ巫女。広い心で包容力も高く、バブ味性能が高い。色々あって、ヒデオにはとても懐いており、里の女達が彼に夜這いを仕掛けられないのは、全てこの娘が牽制しているからである。

 ヒデオと食べる団子屋のみたらし団子が大好物。以前までは、みたらし団子というだけで美味しかったのだが、今はヒデオが隣にいる時といない時で、何故美味しさが違うのかがわからない。それが最近の悩みであるらしい。
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