宇宙世紀0079年。サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦に宣戦布告するが……? 本当のリアルロボットを求める人へ。

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弾力友機ハロ

宇宙世紀0079。人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀。地球から最も遠い宇宙都市サイド3は、ジオン公国を名乗り地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。ジオン公国は地球に他のスペースコロニーを落下させる攻撃、「コロニー落とし」を成功させ、オーストラリア大陸北東部の都市に大きな被害をもたらした。しかし、スペースコロニーの集合であるサイドには、少々の宇宙ゴミや小規模テロリズムへの対抗システムは備わっているが、多量のミサイル攻撃に耐えるようなことは不可能であった。宣戦布告から5時間後、4度の警告を無視して攻撃を続けた“ジオン公国”ことサイド3は、地球連邦艦隊のミサイル攻撃によって全構成コロニー683器のうち、ジオン国の本拠である首都バンチを含むコロニー65器を消失した。この時点で地球連邦艦隊総司令レビルはジオン軍に降伏を勧告したが、応答したジオン軍旗艦“グワジン”に乗艦していたジオン総帥ギレン・ザビはこれを笑いながら拒絶した。レビルはさらにギレンの抹殺による事態の終結を試みてグワジンを撃墜するが、ギレンの戦死後もなおジオン軍の攻勢はやむことはなく、むしろ強まるばかりであった。もはや交渉の余地なしと判断したレビルは大型ミサイルによるサイド3全体への総攻撃を指示し、その15分後にはサイド3のすべてのコロニーが壊滅。空域の生存者はゼロという壮絶な結果に終わった。一説によると、戦闘用に改造されたジオンの作業機械“ザク”が「コロニー落とし」攻撃にとりかかった時点ですでに、サイド3を構成する大半のコロニーはバラバラになっていたという。その後、ジオン軍の残存艦隊が地球に降下し、現地勢力と合流。戦争行為を行おうとした。しかし、母国の消滅により士気と展望を失ったジオン軍に戦う気力はすでになく、それらの勢力はすべて、地球降下から3日以内に制圧された。

この3日あまりの戦争で地球連邦軍側には25名の死者と75名の傷病者が発生した。ジオン公国以外の民間人の死者は、「コロニー落とし」用のコロニーを奪取する際に殺された3器のコロニーの総計およそ756000名と、宇宙での戦闘に巻き込まれた宇宙船の死者372名、地球での戦闘や占領行動に巻き込まれて死亡した73名とみられている。ジオン軍側の死者は民間人を含め8000万人を越えると見られるが、正確な人数は不明。3器のコロニー落としによって地球には約2年間にわたって大きな気候の異常が発生。小さなものはそれからさらに3年は継続したと見られる。なお、地球に落着物が降下することは宇宙開発の初期から想定されており、落下軌道の予測とそれに基づいた避難の勧告は日常的なものであった。スペースコロニーのような大きな落着物は宇宙世紀0012年の大事故以来67年ぶりのことであったが、その一部がオーストラリア北東部に落下した落着コロニーB(宇宙都市名:イフィッシュ)でも事前の避難と迎撃システムの機能により死者傷者ともに0人。その他の断片と他2器はすべて海中に落下した。3器のコロニーの落着は地震と津波を発生させたが、地球の岩盤エネルギーによるものとは比べようもなく、一瞬の大きめの地震波が発生したのちは、局地的に震度3程度のゆれを観測するにとどまった。この地震による死者は、本棚の整理中であったアメリカ西部の男性1人のみとみられている。津波被害による死者はなかった。この「コロニー落とし」攻撃の最大の被害は気象の異常とそれによる作物の不良であったが、約5年後には正常化したとみられている。

なお、コロニー落としに用いられた3器のスペースコロニーは、すべてサイド2“ハッテ”のものである。このサイド2は政治的にもともとサイド3“ムンゾ”と親和的であり、同盟のような関係を結んでいた。つまりジオン軍は、地球連邦勢力下のコロニーを奪取することが困難であるために、味方のコロニーを騙し討ちのような形で襲撃し、多大な犠牲者を出したことになる。このことから、生き残ったサイド3の避難民とサイド3出身者は、その残りの生涯、サイド2の住民に対して非常に肩身の狭い思いをすることとなった。

実は、この32年前、宇宙世紀0047にも地球連邦に独立戦争を仕掛けた組織が存在した。“KBH”(ノック・バック・ハンマー)を名乗るこの反連邦組織はサイドに拠点を持たず、内部に自給設備を備える宇宙船団による有機的な組織である。表向き地球連邦はこれを対テロ紛争に位置付け戦争ではないとしていたが、実態は連邦劣勢の持久戦、過去最大の宇宙戦争であり、連邦は3ヶ月あまりの紛争期間でかなりの苦戦と出血を強いられた。今なお宇宙市民に紛れてメンバーが潜伏しているほか、連邦の技術力では手が出せない木星周辺には後継船団が連邦に鉄槌を食らわせようと準備を進めているという。このKBH戦争とジオン独立戦争の両方に連邦軍人として参加したパオロ中佐は、ジオンの攻撃を「KBHの狡猾で陰湿な戦い方に比べると、ジオンの戦い方はまるで酒を飲んだ子どもの浮かれ騒ぎのようなもの。まともな戦闘にもならなかったよ。」と評している。

あまりに合理的でないジオン公国のこの奇妙な集団自殺現象は、人々を恐怖とともに困惑させた。これを宇宙生活のストレスが人類の限界を越えたことによる異常行動と結論した地球連邦政府は、過酷な宇宙生活が市民にもたらすストレスから市民を守るため、ストレス緩和政策「V作戦」(バケーション作戦)を開始。その一環として地球連邦が目をつけたのが、サイド7に住む工学少年アムロ・レイが製作した、ゴムボールのような外見をしたコミュニケーション・ロボット“ハロ”であった。アムロ少年がサイド7内の養老院に寄贈したハロが大きな治療効果を発揮したことから、ハロのリラクゼーション効果は宇宙ストレス学研究者たちから高く評価されることとなる。アムロ・レイをコンセプト・リーダーとして迎えた地球連邦ロボット技術庁抗ストレスロボット開発チームの改良の末、「V作戦」始動の3ヶ月後の宇宙世紀0079の4月から試験型のHARO-05-Tの運用が開始された。連邦政府の発見時点でアムロ・レイが自宅で使用していた個体や養老院に寄贈した個体が3世代目のHARO-03であり、このHARO-05はその2世代後、Tはその試験型を表す型式記号である。ハロの無機質ながら愛らしい声とせわしなくとびはねる動作は人々を安心させ、宇宙生活への不満を聞き入れるためのアンケートにも用いられることとなる。この試験から得られたデータはハロの改良に大いに役立てられた。実用レベルに達したと判断した地球連邦政府は、翌年宇宙世紀0080の8月から正式運用機HARO-06-M(Mは量産普及機を表す)を全スペースコロニーの家庭およそ16億戸に対して段階的に無料で配布を開始した。2年後の宇宙世紀0082の3月には全家庭への配布と、昨年までのすでに配布された個体の故障への対応を完了。多くの人々に親しまれることとなった。こうして、“ハロ”の活躍によって宇宙市民の自殺や凶行は大きく抑制され、宇宙に一時の平和が戻ったのであった。(完)

 

 


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