驚いた。それしかなかった。混乱した。大量の出血と生臭い匂い。脳が理解を拒み身体はどうすることもできず震えていた。
突如血の水溜りと頭部が動き出し、地面は何もなかったような更地になった。
「ほら僕って不老不死だからさ。死にたくても死ねないんだよね」
彼は笑顔で言った。
彼は僕とは住む世界が違う。いや、僕もこちら側なのかもしれない。
僕は仰向けになり深呼吸を行った。空気を吸って乱れた心をゆっくり吐き出す。
「驚かせてしまってすまない。これ飲んで」
彼はペットボトルの水を僕に渡した。その水を勢い良く飲んだ。しばらくすると悪夢だったのではと思う。
「君はまだ汚れてないんだね。ごめん。」
「ううん。死ななくて良かったよ。そりゃ驚いたけど、僕と同じように変わった人がいるの知れてすこし安心したというか…」
彼は話し始めた。この世界には様々な能力を持つ者たちがいること。その中には能力を奪う能力や能力無効能力もある可能性があるということ。彼はその人に会い死ぬことを望んでいることを話した。
「自殺なんてしちゃだめだよ!」
僕は叫んだ。
「それは普通の人には通じる理屈さ。僕みたいに何万年と生きてる人にもそんなことを言うのかい?」
「なんも事情も知らない奴がそんなこという権利どこにある!」
大人しく冷静だった彼が急に叫んだのでびっくりした。
「ご、ごめん。…そうだね。あ、あの今この瞬間もつらい?」
「…いや、楽しいさ」
「…じゃあ」
「でも死ぬよ。その道があるなら。もうねこれ以上歩きたくないんだ。…ごめん。辛い話しちゃったね。行こうか。君の学校に…僕は君の学校の転校生としてここにきた。僕はフジよろしく」
彼は手を伸ばした。握手を求めてきた。僕は死体だったその手を握った。その手は暖かく間違えなく人間の手だった。
「…よろしく。僕はむどう とき 夢に導くと時間の時で夢導 時。よろしく。でも僕はフジを死なせたくない。それがエゴや押しつけであっても、だから死なせないくらい楽しい時間を過ごさせたい。それじゃ…だめ?」
「面白いなあ君は。わかったよ。少なくとも死ぬときは報告するよ。君には」
彼は笑顔で答えた。
「その時に止めるよ。僕は必ず」
「うん、それが落とし所だろうね。そんな都合よく能力者が出るわけ無いし、それまで良き理解者としていよう」
「友達でいいだろ」
僕が何気なく言うと彼は驚いたような表情をした。
僕は握ってた左手を離した。時刻は遅刻確定の時間だった。