「補給艦が生きてたのは幸いでしたね」
「生きてた? あれはね、生かされてたっていうんですよ。核で一矢報いたとはいえ、我々は誰とも知らないやつの掌の上で踊らされていたんです」
何気なく発した「GHC」付きである技官の言葉に、村田アズラエルは溜息交じりにそう返す。
好き勝手に暴れていたモヒカンとチンパン共は知ったことじゃないとしても、明らかにファウンデーション軍の動きが緩慢だったのは、作為的なものであるとしか思えない。
やろうと思えばあの「不可視の狙撃」によって補給艦を真っ先に潰すことも可能であっただろう。
だが、やつはそれをしなかった。
戦局を掌握するほどの力と指揮能力を持ちながら、なぜ。
いや、なぜもなにもない。ただあるのは、事実として、自分は敗北したのだ、戦術という戦いの場において。
ぎり、と村田が歯噛みし、その事実に拳を震わせていたときだった。
「やー、お疲れー」
「これはこれは……『モミジ』さんですか。貴女の協力がなければ、狙撃ポイントの特定はできませんでした。感謝します」
「いやいや、謙遜しすぎでしょ。できることやっただけだし……むしろ突然出てきたメイジンをあのハイザックもどきにぶつける発想はなかったしねー」
実際、それが正解だったし。
モミジは肩を竦めてそう語る。
二対一とはいえ、メイジンのアメイジングアッガイという外装を破壊するまでに追い詰めて、その後に現れたザクアメイジングⅡとも渡り合えていたあの二人組、コーチとオズマの底は計り知れなかったのだから。
「とにかく、補給は優先的に手配させていただきますよ、我々も深傷を負っているとはいえ、戦いはまだ終わっていないのですから」
「サンキュー、そんじゃ久々にちびっ子とでも話、してくるかな」
踵を返してパイロット休憩室へと向かっていったモミジを見送りつつ、村田は彼女へ口にした通り、自軍の惨状を顧みる。
万が一のときは「A・BB!」に頼れとはアトミラールの言葉だったが、まさかこの局面で彼女たちという切り札を切らされたのは痛手だった。
加えて、ドミニオン麾下の艦隊はほとんど壊滅状態で、事実上無事なのは村田のドミニオンと補給艦とその護衛艦だけだ。
このままNフィールドに進軍しなければいけないことを考えると、戦力としてはあまりに心許ない。
おまけに、アルテミス要塞内部から帰還してきた「ブラックスクワッド」の証言によれば、ハイレベルネームドNPDのシュラ・サーペンタインがいきなり十二機に分裂したという話だ。
にわかには信じがたいが、それが事実だとすればこのレイドバトルは異常な事態に陥っているのではないだろうか?
悪寒がぞわり、と村田の背に冷たく広がる。
まさか、ただのレイドバトルにそんな陰謀論じみた馬鹿馬鹿しい展開があり得るのだろうかと、疑念を振り払うように首を左右に振っても、こびりつく冷たさは離れてくれない。
おまけにSフィールドでは突如としてなにもない空間からディン-Rが出現したという。
それが本当なら、冗談じゃあない。
村田が溜息をつきながらトリアージをするように修理の優先度を指定していたところ、そんな憂鬱な彼の背中にかかる声があった。
「ハーッハッハ! 今日も実にアトミック日和だなぁ、同志村田!」
「やめてくださいよ、僕はこれでも環境保護団体のトップやってるんです」
「本当は地上で思う様核を撃ちたいところだったが……アルテミス要塞が核の光に包まれる様は実にワンッッッッッダフルだった!」
「だからやめてくださいって言ってるんですがねぇ……まあいいでしょう。貴女がたに助けられたのは事実なのですから」
はぁ、と心と腹の底から溜息を吐き出して、村田は声の主である白衣の少女、レグフィナに感謝の言葉をかける。
核は持ってて嬉しいコレクションじゃないとはムルタ・アズラエルの言葉だが、だからといってスナック感覚でバカスカぶっ放すものでもないのだ。
まあ、それを実際にやって自国を焼いたのが「ガンダムSEED FREEDOM」のファウンデーションなのだが。
「ハーッハッハ、もっと褒めてもいいぞ! ところで我々もさっきのアレで核弾頭を撃ち尽くしてしまってな……補給を要請したいのだが」
「いや貴女がたへの補給はありませんよ」
「えっ」
「えっ」
村田もレグフィナも、お互いになにを言っているんだこいつは、と言わんばかりに首を傾げる。
だが、村田からすればレグフィナたちに出撃してもらったのはあくまでアルテミス要塞を破壊するためであって、この先、乱戦が予想されるNフィールドに彼女たちを連れて行くなど言語道断だった。
絶対に嬉々として味方を巻き込んででも核を撃つという確信があるからだ。
そしてレグフィナもまた、それを期待していたからこそ村田に補給を要請したのだが。
「じょ、冗談はよくないぞ! ちゃんと専用の補給艦を用意して……」
「ないですよ」
「ひぃん……」
無慈悲に一刀両断されたことで、しわしわピカチュ○のような表情を浮かべ、レグフィナは格納庫の床にへたり込む。
彼女がここまでしなしなになるのは核兵器関連の実験をモヒカンたちに阻止されたり、カミオと遭遇したとき以来だ。
つまるところ、割と頻繁に見られる表情だった。
「なんてことだ! リーダーがしわしわになってしまわれたぞ!」
「村田、お前に人の心はないのか!?」
「嬉々として核撃ってる連中に人の心を説かれるとか思いもしませんでしたねぇ!!!」
キリキリと痛み出した胃の辺りを押さえながら、村田はレグフィナを担いでチャルルの元に搬送していく「A・BB!」のメンバーにそう吐き捨てる。
だが悲しいことに、有史以来正論が人を救ったことはない。
様子のおかしい彼らに、村田の言葉が届くことは一生ないのだろう。きっと。
◇◆◇
「レイドバトル『ガンダムSEED RAID BATTLE FREEDOM』について語るスレ part.189」
1.名無しのアコード
このスレッドは現在開催中のレイドバトルイベント、「ガンダムSEED RAID BATTLE FREEDOM」について語るスレです。機体の構築はビルドスレへ、作品について語りたい方は雑談スレまでお願いします。
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265.名無しのアコード
バカみてーなトンチキが始まったと思ったらバカみてーなトンチキで終わった件
266.名無しのアコード
アメイジングアッガイってなんだよ
267.名無しのアコード
アッガイはまだいいんだよ、アッガイに宇宙を飛ばせるんじゃあないよ
268.名無しのアコード
いいだろ、ズゴックが宇宙進出したんだぜ?
269.名無しのアコード
メイジンならああいうの作ると思ってたよ
270.名無しのアコード
だってよ、メイジンなんだぜ?
271.名無しのアコード
中からザクアメがコンニチワしてきたのも予想通りではあったけど予想外というか
272.名無しのアコード
そのザクアメとほぼほぼ互角に戦ってたあのハイザックもどきはなんなんですかね……?
273.名無しのアコード
最終的には機体の方がついていけなくなってオーバーヒート起こしてたけどな
274.名無しのアコード
メイジンもそこはちょっと残念そうにしてたの面白かった
275.名無しのアコード
「なるほど、悪くない機体だ……さながらC.E.のハイザックといったところだろうか? しかし、エース級のファイターが搭乗しても耐えられる設計にしていないのはいささかいただけないな!」
276.名無しのアコード
ハインライン大尉とタメ張れる早口で喋ってそう
277.名無しのアコード
あの人ガンプラのことになると早口になるよな
278.名無しのアコード
通常の三倍の早口
279.名無しのアコード
それはもう舌噛むんよ
280.名無しのアコード
「キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……チッ! なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結! ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築! メタ運動野パラメータ更新! フィードフォワード制御再起動、伝達関数! コリオリ偏差修正! 運動ルーチン接続! システム、オンライン! ブートストラップ起動!」
281.名無しのアコード
声優さんってすごい、心からそう思った
282.名無しのアコード
なに言ってんのかわかんないけどすごいことやってるの伝わるからすごい
283.名無しのアコード
割と気軽にアルテミスの傘破壊されてたけどあれってMSで気軽に破れるものなん?
284.名無しのアコード
原作だとアルミューレ・リュミエールを正面から破れる手段は確かほぼないに等しかった気がする
285.名無しのアコード
その辺はレイドバトル仕様に調節されてたんじゃね?
286.名無しのアコード
いやでも相手は火力の妖精セッちゃんだぜ?
287.名無しのアコード
それに最初に要塞に入ってった「キザシ」って子が担いでたの、あれ小型の陽電子砲だぞ
288.名無しのアコード
はぇーすっごい……
289.名無しのアコード
ローエングリンランチャーを小型化してバズーカサイズにするとか地味にすげーことしてんな……
290.名無しのアコード
そういやなんか知らんけどNPDのシュラが分裂してたのは原作にもあるネタなの? 俺未視聴勢だからわからん
291.名無しのアコード
いや、知らん……
292.名無しのアコード
分身してたのはシンだからなあ
293.名無しのアコード
Sフィールドでのディン-Rが突然スポーンしてきたことといい、割と不可解なことが多いな、今回のレイド
294.名無しのアコード
アルテミス要塞は落とせたけどまだ本丸のレクイエムは落とせてないからなー、この調子だとなにが待ってるかわからん
295.名無しのアコード
結局レクイエムが発射される条件ってなんなん?
296.名無しのアコード
それもわかってねーからなあ
297.名無しのアコード
まあ強制全滅技だからそんな気軽にぶっ放されるもんじゃないとは信じたいが……
298.名無しのアコード
なあ、あのSolaちゃんって子、マジで様子のおかしい人? 見ててめちゃくちゃ怖かったんだけど
299.名無しのアコード
いや……どうだろう……
300.名無しのアコード
あの空間ごと断ち切る技? を初見で見抜いて対応してたナツハルもヤバかったよな
301.名無しのアコード
よく考えたら今をときめくスーパーモデルがガンダムメタバースやってるとか少年の性癖こわるる
302.名無しのアコード
グラビアに限らず全部の写真をハルちゃんが撮ってるという事実で脳破壊されたまえ、少年
303.名無しのアコード
ナツキちゃんは笑顔でフッてきそうなイメージがある
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ハルちゃんは普通にドン引きしそう
305.名無しのアコード
女の子の話題が出た途端に性癖語りになってんの草
306.名無しのアコード
Solaちゃんだって無邪気な女の子だろ!
307.名無しのアコード
無邪気(昆虫の手足を引きちぎる感覚)
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美少女なのには間違いないんだけどそれ以上に怖いんだよ、なにあの蒼くなって雷撃を纏ってる剣
309.名無しのアコード
確かAGE-1ソーディアのレベルタブレードだったような?
310.名無しのアコード
俺ソーディア乗ってるけど折れたレベルタブレードにあんな機能ないぞ
311.名無しのアコード
じゃあなんすか、あの雷の刃は超常現象かなんかってことっすか
312.名無しのアコード
えっ
313.名無しのアコード
そりゃ核で消し飛ばすぐらいしかまともに対抗する手段がないわけだよ
314.名無しのアコード
レグフィナがやけに静かだったと思ったら結局前線でミラコロ待機してただけなのは草
315.名無しのアコード
それでもあのレグフィナが黙ってただけえらいと思うよ
316.名無しのアコード
核をデリバリーするときはいつだってサプライズがいいと相場が決まっているからな、それをレグフィナはよくわかっているんだ
317.名無しのアコード
やだよそんなサプライズ
◇◆◇
「……あのときは助けられた、礼を言う」
格納庫で、ヒョウリの「イルス」、そしてキザシの「ゼラ」、リブラの「ギナ」から残存パーツを組み込まれている自身の「ギロス」を見上げながら、サリエは隣のハンガーで高速修復材を使った補修を受けているガンダムフォーカスのパイロット──ハルに頭を下げる。
「うん、どういたしまして」
「……なぜ、私たちを助けた?」
「なぜって言われても……」
サエリの問いは、ハルからすれば理解が及ばないものであったが、それも無理はない。
お互い初対面でかつ、事情も過去も知らないのだから。
だが、サエリからすればそれは問わずにはいられないことだったのだ。
「あっはは、まあまあ。人を助けるのに理由なんて必要かな?」
「……ナカノ・ナツキか。私は、助けられるに値しないからだ」
そんなハルとサエリの会話にふっと割って入ってきたナツキの言葉もどこか遠く聞こえる程度には、俯いた彼女の瞳は暗い色を帯びていた。
──だが。
「わたしは、誰かを助けるのにも、誰かに助けられるのにも理由なんていらないと思う」
「ハル……」
「わたしも、ナツキに助けてもらうまではあなたと同じような目をしてた。いっつも下向いて、眠そうにして……後悔ばっかりだった」
「……そう、なのか」
「でもね」
くるりとハルは踵を返して、ナツキの腕に自分のそれを絡めつつ、サエリの目を真っ直ぐに見据える。
「未来にいいことが待ってるなんて保証はできないけど……歩き出してみるのも悪くはないってことは、わたしから言えるかな」
「……感謝する」
「ん、どういたしまして」
そうして二人だけの世界に入っていくハルとナツキの背中を見送りながら、サエリは考え込む。
いつか、自分たちもあんな風に誰かと無邪気に笑い合える日が来るのだろうか、と。
いや、違う。
「リーダー」
「ね、姉さん……」
「サっちゃん」
「そうだな……私たちも、前に進まなければな」
苦楽を共にした仲間であり、妹たちと。
例えどこまで高い壁が立ちはだかろうと、剣の山を踏んで歩くことになろうとも。
必ず、そんな未来を捕まえにいくのだと、サエリは改めてそう誓いを立てた。
束の間の休息
【Tips:】
【モミジ/アサカ・アキナ(原案:「二葉ベス」様)】
……元ギャル系スナイパーとしてGBNで名を馳せていたが、その本領は狙撃の腕もだがバトルフィールドを観察し、観測することで即座に戦局を分析するその頭の回転の速さと空間把握能力である。セツとは腐れ縁の仲であり、よき友達同士。
【高速修復材】
課金アイテム。破損した機体の修理時間を大幅に短縮することができる。これの上のグレードの課金アイテムとして即座に機体を修復する「超高速修復材」があるが、レイドバトルでは使用禁止となっている。