作者が消えないように頑張ります。
「ぅ……ぅぉぉぉぉっ!」
「ダメだ! 英二!」
漆黒の何かに包まれた少年が絶望の雄叫びをあげ、腰に装着している何かをがむしゃらに押し込む。
その瞬間、漆黒の何かが翼の様に大きく左右に広がる―――直後、凄まじい勢いで突き進んでいく―――その勢いは全てを破壊する。
―――その勢いは周囲の景色、空間だけではなく少年自身すらも崩壊させながら突き進んでいく。
大地には巨大な裂け目が入り、空間にはブラックホールが生まれ、全ての物が飲みこまれ、一瞬で消滅していく。
どす黒い体液を垂れ流しているさっきまで命だった物は全てそのブラックホールへと吸い込まれ、細胞の一片すら残らない存在の消失を迎える。
そこに一つ―――ついさっきまで命だったものが倒れている。
それは今まで戦い続けてきた友であり、仲間であるとともに愛した存在。
でもその人はもう動くことはない。
名前を呼んでくれることも無ければ共に戦うことも無い。
共に過ごした思い出と共に少年は滅びを迎え、世界とともに消え去る。
「ハハハハハハッ! 目的は達成される!」
歓喜の雄叫びを上げ、滅びの一撃を両手を上げて迎え入れる全ての元凶。
「英二ー!」
滅びの一撃を止めるために走り出す存在。
だがその程度のことをしたところで世界を滅ぼす一撃が止まることは無いし、この世界が滅びる原因が消え去ることはない。
そう―――全てはここで終わる。
世界はもちろん、人類の歴史も―――そしてこの戦い、果てはこの創造され続けてきた物語も。
その全てがこの一撃で破壊され、この物語は続きが創造されることもなく、誰かに読まれることのない永遠の暗闇の中を彷徨い続ける。
決して光が届くことのない闇の中へ全てが呑み込まれる。
「英二ー!」
「だぁぁぁっ!」
こうして物語の幕は閉じた。
――――――☆――――――
「んっ……くぅぅぅっ……また変な夢見た」
少年は目覚めの悪そうな表情をしながらベッドから起き、洗面所へと向かう。
顔を荒らし、朝食を食べ、制服へと着替えて高校へと向かう。
そんな何もない日常が始まる―――それは彼にとってこれまで十何年も続けてきた朝の流れであり、それはこれからも変わらないだろう。
彼にとってはずっと続けてきた一日のほんのの一コマ。
だがそれは別の視点からすれば何千・何万と繰り返されてきた一コマかもしれない。
それに少年が気付くことはないだろう―――物語が正当な終わりを迎えるその時までは。
こうしてまた新たな物語が幕を開ける。