「も、もしもし?俺だが…今中高浜公園にいるんだが、じ、時間大丈夫か?」
「え、どうしたのかしら?さっき解散したばかりでしょう…」
俺は勇気を振り絞り言う。今にも泣きたいくらい緊張してる状態で…
「だ、大事な話がある」
「…!分かったわ」
それだけを言うと、電話を切る。
第1関門は突破したな。
暫くすると雪ノ下が歩いてきた。
「お、お待たせ。あら、本当に元に戻ってる…」
「おう、お陰様でな、あとそんなに待ってないからな」
「嘘よ」クスクス
少しの沈黙…そんな静かな公園の中、俺の心はうるさかった。静かにしてほしいくらいに…
「そ、それで話って何かしら?」
「あぁ、その事なんだがな…」
俺は今までに出たことのない声で…
「雪ノ下…俺はお前が好きだ…そ、そのなんだ?上手く言えんが、つ…付き合ってくれないか?」
「…」
雪ノ下は少しずつ俺に近づき、手をギュッと握りながら…
「遅いのよ…ヒキガエルくん」ポロポロ
「ナチュラルに胸にグサッてくるやつやめてね?緊張して告ったんだからな?」
ゴツ
「私もよ…私だって…ずっと緊張しながら待ってたのだから」ポロポロ
「好きだ。雪ノs…雪乃」
「……!/// えぇ、私もよ…は…八幡…///」ウルウル
暫く雪ノ下が泣き止むことはなかった。だが…彼氏になった今…俺にしてやれることをやるだけだ。
「大丈夫か?」
「え、えぇ…取り乱してしまったわ…」
「お前も号泣するんだな」
「だ、黙ってなさい!…///」
俺は勇気を出して良かったと思っている。これが俺の求める本物ってやつだ。多分な…
「それより…八幡…」
「なんだ」
少し肌寒い中、手の温もりだけが感じるこの状況…俺はビクビクしながら聞く。
「貴方って人は…本当にどこまで優しいのかしら…」
「この方法の方が、誰も傷つかないだろ?だがよく考えてみろ、俺も傷つかない」
そう、まさにwin-winってやつだ。
「今回は許してあげるわ…でも次からは私も…何かあれば手伝うから」ギュ!
「お、おう」ポリポリ
俺達は順調に続いている。雪乃の罵詈雑言は消えないが、相変わらず2人でパンさんの映画観たり、猫カフェに行ったりしている。たまに雪乃の手料理も食ったりしている。「美味い」って言うと顔を赤くする雪乃可愛すぎだろ。
月日は流れ、俺達は高3になり受験生となる。
「あちぃ」
今年の夏は特に暑い。こういう時は家にいたいんだが…何故だろう。
「夏休みなのに何で奉仕部活動してるの?」
っと唐突に疑問に思っていたであろう顔をしながら、由比ヶ浜は喋る。
「確か平塚先生が…」
「平塚先生に言われてたな…」
原因は平塚先生である。
夏休みは課題が出される。高3は少ないが1年と2年は結構な量をこなさなければならない。そして、課題に困った生徒は、奉仕部に依頼をしまくる。
普段は材木座とかしか来ないのに…平塚先生の影響で、PCにわんさか依頼内容が飛んでくる。
「せ〜んぱ〜い!ここわかんないですぅ」
「あ〜はいはい」
よって受験対策との両立をしなければならない。
平塚先生許さんぞ。だから今でも相手が見つからないんだぞ。
職員室
「何か…癪に障る事を言われた気がするぞ…」(殺気)
「何故だ…少し寒いぞ」
「温度下げる?」
「あ、あぁ」
「いや〜小町驚きましたよ」
課題中にシャーペンをカチカチしていた小町がニヤニヤしながら言う。
「何が?」
「お兄ちゃんが雪乃さん…いや雪乃お義姉ちゃんと同じ大学に行くなんてね〜!」
俺は雪乃と同じ大学を第1志望にして、元々第1志望だった私立を第2志望にした。
国立にした理由は、まぁ察してくれ。
「学費安いからな」
「うそつき〜、一緒にいたいからでしょ?」
「ぐ、まぁな」
「八幡…///」
科類は違うがクラスは同じだからら一緒にいれるだろ。
「先輩は相変わらずツンデレですね!」
「ほんとほんと!ヒッキーはもう少し素直になってもいいと思うよ?」
「うっせ」
正直、素直になってるつもりなんだがな…
「話変わるけどお前らは進路決まったのか?」
「えっと、まぁ私立かな」
「私も私立文系にしますかね〜」
「小町は国立受けようかなぁ〜?」
小町は国立の怖さを知らないようだな…
「小町さん、国立を受けるのなら5教科7科目頑張るのよ?」
「私立にしようかなぁ〜」アセアセ
「切り替えはえぇよ」
この何気ない日常もあと7ヶ月ちょいか…
由比ヶ浜達と別れ、小町と雪乃と一緒に歩く。
雪乃は少し照れながらも、俺の方に手を差し伸べてくる。それを俺が握ると少しビクッてするんだ。
俺も自分から握っといて、緊張しまくりである。
「先帰っといてくれ」
「ほーい、ちゃんと送るんだよ?」
「分かってる」
小町にも色々世話になったな。過保護すぎるんだよな。俺もだけど…
小町とも別れ、雪乃を家まで送る。
「八幡…」
「何だ?」
雪乃は俺の手を強く握りながら俺に言う。
「絶対受かろうね」
雪乃は優しく俺に囁く。
俺は首を縦に振り、
「勿論だ」
っと答える。
俺の答えはとっくに決まっていた。
雪乃と一緒に…合格を勝ち取る。
家に帰り飯食って、今日やった内容の復習をする。
やはり数学がムズい。文系科目ならある程度過去問で点数取れるが、配点が低いとはいえ点を取らなければいけない科目だ。
それに、1次試験で足切りしたら話にならん。
「やるしかないもんな」
黙々と問題演習をするしかない。
夏休みが終わり、俺の模試の偏差値は大分上がった。
夏の努力が報われた気がして、正直嬉しかった。
「その様子だと偏差値上がったみたいね」
いつも通り、放課後に部室に寄り、進捗を共有していた時だ。
「あぁ、雪乃のおかげで数学の偏差値上がったんだ」
「それは良かったわ」
雪乃のおかげで上がったようなもんだ。
頑張って目標点に到達するように日々勉強を怠らないようにしよう。
「ヒッキー凄い!」
「由比ヶ浜も大分伸びてんじゃねぇか」
由比ヶ浜も一緒にやっていたからか偏差値が上がっていた。
「結構解けるようになってきてるわよね」
「うん!ゆきのんのおかげだよ!」ギュー
「ゆ、由比ヶ浜さん…暑苦しいのだけれど…///」
眼福ですな〜
「しかしまぁ…俺が小さくなってから、色々変わったよな」
俺が小さくなり、雪乃達と一緒に住んでから、雪乃達も俺自身も、色々変わってきた気がする。まぁ最初の雪乃達には驚いたけど…
「そうね、小さくなってから私達も急変してしまったわね」
「ね!ヒッキー可愛かったから」
「お、おう」
改めて言われると恥ずかしいんだが…
だが実際、小さくならなかったらどうなっていたのだろうと考えると複雑な気持ちになる。
雪乃達が俺に好意を向けている事に気づかなっただろう。そう考えると、雪ノ下さんは俺にチャンスをくれたのだろうか…あの人の考えは全く分からないものだ。
3年生になると結構暇な時間が増えるものだ。家帰っても、部室でも、勉強以外にやることが無い。
依頼もそんなに来ない。
「お兄さん、ここが分からないので教えて欲しいっす」
「お前のお兄さんじゃない、小町はやらんぞ。ここはだな…」
奉仕部には小町と川何とかさんの弟である大志が部員として入っている。
一色もサッカー部のマネージャーを辞め、生徒会長と奉仕部を両立していた。
一色曰く、「葉山先輩より先輩の方が好きになったので」らしい。
「お兄ちゃんのシスコンはいつになったら無くなるのやら…」
「お前もブラコンだろ?」
「ぐうの音も出ません」
小町も高校生になったが…去年と変わらなくてお兄ちゃん安心したぞ。
ガララ
部室に一色が入ってきた。一色の手には資料があった。
「先輩?」
「ん?どうした?」
「ここで作業やってもいいですか?」
そう言いながら、資料を机に置く。
「まぁいいと思うが…」
俺は目線を雪乃の方に向ける。
「…」コク
雪乃から許可を得た。
奉仕部も少し賑やかになってきた。
「あ〜でけた〜」
黙々と勉強やら作業を終えた俺達は息ピッタリ腕を伸ばす。
気づけば下校時間が迫っていた。
「じゃ〜ね!」
「さようなら〜」
俺達は解散し、家へと向かう。
「小町は先に帰るから…2人の時間をお楽しみに〜」ニヤニヤ
小町は小走りで家に帰る。
「俺達はどうする?」
「ご飯でも…どうかしら?」
財布には少し余裕があるっということから、俺達はサイゼに向かう。やっぱりサイゼが安定。
席に着き飯を頼み…少し喋る。
何気ない時間が楽しく思えた。こういう時間を大切にしていきたい。
「八幡が小さくなった時は驚いたわ」
「だよな、俺はもだよ」
俺が小さくなった時の話を掘り返す。
この非現実的な出来事のおかげで今の俺達の関係がある。前にも思っていた事だがな。
「姉さんはよく分からない人よ」
「だよな」
「まるで私達の感情を読み取っていた様な素振りを見せてきたのだから…きっと姉さん本人だって、」
雪ノ下さんは自分より妹や妹の友達を優先したってことになる。正直怖い人だと思っていたが、本当は優しい人だったのだろう。
「でも姉さんのおかげなのかもしれないわね」
「まぁ、俺が小さくなっていなかったら決断なんて出来ないからな…」
「そう、貴方は自分の事より相手の事を考える人、だから自分が傷ついても気にしない、私は嫌よ…貴方に頼ってしまったばかりに…貴方にだけ大変な思いをさせてしまった自分が許せない」
確かに、文化祭や修学旅行のときは大変だった。
だが今更気にする事はない。俺がやりたかったんだ。
誰も巻き込むことをせず、解決する方法を知っていたのは俺だけだ。
「でもまぁ、もう過去の事だ…」
だが、大事な人ができた今、俺はその方法をやろうという思いはない。自分と一緒に協力してきた者たちも傷つくからな。
「俺はもうぼっちじゃなくなっちまった…だからもうやらねぇよ」
「信じる…今の貴方を、私の大事な人を」
その言葉に少し照れてしまった。
雪乃は少し笑い、席を立った。
「そろそろ、行きましょう?」
俺も席を立ち御会計を済ます。
雪乃と手を繋ぎながら…
「あと少しで受験だな」
時間が経つのは早かった。
あっという間の1年だった。
「少し、寄りたい所があるのだけれど…時間大丈夫かしら?」
「あぁ」
そこは公園のベンチ。
俺も少し休みたかったから丁度良かった。
「八幡…」
「ん?」
チュ
「……!?」
その一瞬…数秒の時間、唇に柔らかい感触が残っていた。
「え?」
「ファーストキスよ…冬にはピッタリじゃないかしら?」
季節は冬。この日はクリスマス・イブ。勉強が忙しくて気づかなかった。
「クリスマスにはピッタリだったな」
「そ、そうね…本当はイルミネーションがある所に連れて行きたかったのだけれど、場所が分からなくて…///」
方向音痴を発動させた雪乃の照れ顔は、いつもの照れ顔とはまた違う表情をしていた。
「来年は2人で行こうな」
「そうね」
こうして、高校最後のクリスマスは終わる。
受験当日…
「お互い頑張りましょう!」
「おう!」
何とか1次試験を突破した俺達は、2次試験を今から受ける。今までの努力を今ここで発揮する時だ。
………………
1ヶ月ちょい経った今日。
俺と雪乃は大学のキャンパスに向かう。
「さ、探すぞ」
「えぇ…」
お互いに緊張して、開示された場所へ向かう。
「では…また後で」
「あぁ」
指で数えながら一致する番号を探す。
「あった…」
横を見ると、雪乃も驚いた表情をしていた。
俺に気づくと、小さく丸のサインを出した。
俺達は受かったのだ。
「努力が報われたな」
「そうね」
俺は雪乃を抱きしめていた。
「ちょ、ちょっと…恥ずかしい///」
「ありがとな」
雪乃達と頑張ったおかげだ。
由比ヶ浜達も第1志望の大学に受かっていたらしい。
小町は泣いていた。
「お兄ちゃん…おめでと!」ポロポロ
「泣くほどじゃないだろ…まぁ、ありがとな」ナデナデ
「八幡!すごいね!」
「ハチマーン!貴様小さくなったからリア充になったのか!羨ましい!」
「ありがとな戸塚、お前もおめでとう」
「ありがとう!」
「ハチマーン!我も!我も!」
「はいはいおめ〜」
「適当すぎ!」
たまにはこういうのも悪くは無いな。
「先輩!おめでとうございます!」
「おう、ありがとな」
「僕も頑張るっす」
「小町と同じ大学は受けんなよ…小町はやらん」
「お兄ちゃん…シスコンにも程があるよ」ポロポロ
「千葉の兄妹だからな…ほれティッシュ」
「ありがと」
「八幡」
雪乃に名前を呼ばれたので俺は横を向く。そして感じた事のある柔らかい感触が唇に…
「!!!」
「裏切りものぉぉぉ!!!八幡のバカァァ!!」
「中二うるさい」
俺は咄嗟に顔を隠す。今の俺は赤くなっているだろう。
「これからもよろしくね、八幡」
「おう」ポリポリ
皆んなに見られてるのに、雪乃も大胆になったな。
「ゆきのん羨ましい、でも幸せそうで良かった!」
「私達の負けですかね…お幸せですよ!」
「あぁ…」
雪乃の顔を見ると、雪乃自身も赤面させながら顔を隠す。でも微笑んでる姿を見ることができた。
「八幡を傷つけさせたりはしないわ…根暗で捻くれているけれど…」
「久しぶりに聞いたな、八幡メンタル弱くなってるんだが」
「それでも、貴方が好きよ。八幡」
「おう…俺も、好きだ」
俺はもうぼっちじゃない。周りに仲間ができた。
そして、雪乃は俺のパートナーになった。
ありがとう。こんな俺を好きになってくれて…これからも宜しくな。
雪乃。
誤字脱字などありましたら連絡お願いします!
最近寝れてないので多いかもしれませんです(言い訳)