陰陽の境界者   作:レイノート

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ポケモンのSS見てたら、なんとなく書きたくなったので書いてみました。
多少、自己解釈のあれもあるのでダメなところはどんどん突っ込んでください。


プロローグ「始まりは原点にして頂点」

【ジョウト地方・シロガネ山】

 

 

 

 

 

カントー地方とジョウト地方の境に聳え立つ山。

登山家等が挑戦心を擽られるような山だが、この地を訪れる登山家はいない。

理由は単純。シロガネ山は一般人トレーナーの立入禁止区域と指定されているからだ。

この山はジョウト地方の各地にいる野生ポケモンよりも、強力なポケモンが多く生息しており、過去に知らずに訪れてしまったトレーナーが襲われる事件が多発したため。

ポケモンリーグの上層部もこれ以上の事故が増える事を危惧して、立入禁止区域として指定する。

禁止区域と言っても、チャンピオンや四天王、ポケモンリーグの上層部によって認められた一部のトレーナーのみ、例外とされている。

 

 

私『ヤガミ』はただのポケモンの生態を調査する研究員なので当然入ることは出来ないのだが、今回は上司であるオーキド博士の許可ととある人物が護衛に着くことで特別に入ることを許された。護衛の人物は詳しくは教えられなかったが、強いトレーナーという事だけは伝えられた。

 

期間はたったの一日。研究者としてもう少し期日が欲しいところだが、シロガネ山の危険性を考えれば当然の措置であろう。野生ポケモン以外にも、気候や地形のことも考えなければならない。

私は装備を整えると山の麓にあるポケモンセンターで約束の人物を待っていた。

場所が場所だけに、ポケモンセンターにいる人は私を除けばジョーイさんと医療を補助するハピナスやラッキーといったポケモンしかいない。こんな人が訪れる機会が少ない場所で勤めているジョーイさんも大変だなと思いつつ、ホットコーヒーの余韻に浸る。

その時、入口の自動ドアが開く。

 

 

 

「すみません、たいへん遅くなりました

 

貴方がヤガミさんでお間違いないですか?」

 

 

「え?ええ!?チャチャチャチャチャンピオン!!?」

 

 

 

そこに立っているのは王者。龍の彷彿とさせる紋様が入ったマントを羽織り、圧倒的な覇気を纏い、歴戦の猛者として風格を隠すことなく表に出しているこの人物の名はワタル。

カントー・ジョウト地方に君臨するチャンピオンにして希代のドラゴンマスターだ。

これには私は大きく驚く。ポケモンリーグ所属のトレーナーが来るとは思っていたが、まさかチャンピオンが自ら足を運ぶとは思わなかった。

 

 

 

「す、すみません!突然の事に驚いてしまって!」

 

 

「いえ、こちらこそ手違いで連絡が遅くなってしまい申し訳ない」

 

 

 

互いに軽く謝り、挨拶を交わす。

 

 

 

「改めまして、オーキド研究所で研究員をしていますヤガミと申します

 

本日はよろしくお願いします」

 

 

「これはご丁寧に

 

こちらも改めまして、本日護衛をさせていただきますワタルです」

 

 

 

ワタルは右腕を差し出し、ヤガミも返すように右腕を差し出し握手を交わす。

研究者として生きてる中で、チャンピオンと関われる事になろうと思わなかったヤガミの手は握手をした後も余りの興奮に手が震えていた。

嬉しさの余り叫びたい衝動に駆られるが、心でぐっと堪えそれらを抑える。

 

 

 

「ん、んっ!それでは本日の調査内容とルートについてご説明させていただきます」

 

 

 

ヤガミは機械端末を取り出し、シロガネ山のマップを開く。

調査内容は生息しているポケモンの種類、そして生態調査。

今回は大まかな結果となってしまうのは否めないが、自身が先陣を着る事で後に大規模な調査団が編成されるかもしれないと考え、出来る範囲の事をやるつもりだ。

何よりチャンピオンのバトルが見られるかもしれないと思うとそちらも楽しみになってくる。

 

 

 

「では以上のルートになります

 

ご質問等があれば遠慮なくお願いします」

 

 

「大丈夫です、概ね把握しました

 

護衛はお任せ下さい」

 

 

 

ワタルの心強い言葉に感動しつつ、ポケモンセンターを出る。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「おかしいですねぇ………」

 

 

 

シロガネ山を登り、約2時間程度が経過した。

入口近くの草むらにはポニータやニューラと言った小型のポケモン等が生息しているのを観測できたのだが、現在山の中間地点に当たる山道を登り始めて気づく。

野生ポケモンの姿がほとんど無くなってきたのだ。

最初こそ、山頂に向かうに連れて群れのボスポケモンや一匹狼の強力なポケモンがいると思ったのだが影も形もない。

だが確かに()()()()()()()痕跡は残っている。

 

例えばこのオレンのみが成っている大木。この大木についている爪で深く傷つけた痕。これはリングマが自身の縄張りを示すサインであり、同時に他のポケモンへ対する警告である。

私達が縄張りに入っているので、リングマが匂いを嗅ぎ付けて排除行動を取るはずなのだが、その気配はまるでない。ワタルさんのカイリューが周囲の警戒に当たっているとはいえ、自身の縄張りを簡単に放棄するとは思えずにいる。

 

姿を現さない仮説としては二つある。

一つはより良い環境へと移り住んだ場合。

ポケモンの生態によっては、住処を移動する個体も少ない。リングマも冬場等にきのみなどの餌を求めて移動する生態も確認されているため仮説としてはない訳では無い。

 

もう一つは縄張り争いによって住処を追い出された場合。

これは自然界では日常茶飯事と言っていい現象。より良い環境を求めて移動してきたポケモンが現地のポケモンと衝突する事例は数多く報告されている。特にこのシロガネ山の環境下を考えれば、より強いポケモンが縄張りを奪うことをしていてもおかしくは無い。

以前に誤って遭難したトレーナーがバンギラスを目撃したこともあるため、ヒエラルキーが凄まじいものと思われる。

 

 

 

「もっと調査をする必要があるようですね……」

 

 

 

資料としてリングマの痕跡の写真を撮り、更に上を目指す事にしよう。

そうすればこの不可思議な現象の答えも出るはずだ。

 

 

 

「バゥ!」

 

 

 

突然、ワタルさんのカイリューが声を上げる。何かを感じ取ったのかカイリューは山頂部を見つめている。

ワタルさんも意図を理解したのか、頷いて返事を返す。

 

 

 

「どうやらカイリューが山頂から何かを感じるようです

 

とても大きなプレッシャーを放つ何かがあそこにいるのは間違いない」

 

 

 

チャンピオンのポケモンが圧を感じるほどの何かが山頂にいるという。

ワタルさんの真剣な表情を見れば、事の重大さがひしひしと伝わってくる。

 

 

 

「調査中に申し訳ないと思うのですが、山頂に向かわせて頂きたい

 

今起こっている現象と関係があるかもしれません」

 

 

「もちろんです!研究者としてあらゆる現象を明らかにしていきたい

 

寧ろこちらの方からお願いします」

 

 

 

断る理由などない。

未知に対する恐怖心よりも研究者として好奇心が何より強くある。

ワタルさんも薄らと笑みを浮かべ、返事を返す。

 

 

 

「分かりました

 

ではカイリューの背中に乗ってください」

 

 

 

ワタルさんの指示の元、二人でカイリューの背中へと乗る。

肩にあたる部分にしがみつく。

見た目とは裏腹に、思いのほか筋肉質でありつつ、程よい柔らかさを肌で感じられる。流石はチャンピオンの手持ちポケモンだ。

野生ポケモンとは鍛え方が違う。

 

 

 

「では行きます

 

しっかりと捕まっていてください!!」

 

 

 

瞬間、目の前の景色が変わる。

先程まであった緑で覆われた景色は、一瞬にして灰色の空へと変わる。

カイリューの圧倒的なまで飛行スピードは、瞬間移動だと錯覚させる程速かった。

流石は強力なドラゴンタイプと言える。それでなくてもカイリューはドラゴンタイプの中でも非常に飛行能力に優れている。

過去にカイリューの生態を調査していた研究者の論文の一つで、16時間で地球を一周できるというものが発表された。地球を一周と考えれば凄いと思うが、ポイントはそこでは無い。

注目して欲しいのは半日以上を飛行することが出来る能力の高さだ。

 

通常地方から地方へ渡来するポケモンは、長い距離を飛び続けるのに一定の休息を挟む。

カイリューに関してはそれらの休息を挟ます、飛び続けられるという。その生態に加えて、ワタルさんが育てたとなれば鬼に金棒。

通常の個体よりも遥かな運動能力を備えている。

やはり、この目で新たな発見をできるというのは素晴らしい。研究者冥利に尽きると思っているとカイリューが突然止まる。

 

 

 

「うわぁっと!?」

 

 

 

危うく手を離しそうになる。

流石にこの高さから落ちたらひとたまりもない。

しかし、なぜカイリューは突然止まったのか。

 

 

 

「どうやら原因はあれのようです」

 

 

 

ワタルさんが山頂部の一角を指を指す。

上空から目を凝らしてよく見ると、何かと何かが衝突しているように見えた。カイリューが止まったのは、あれが原因らしい。

しかし流石に遠すぎるので、カメラのズーム機能を使い、件の場所を拡大して見る。

 

 

 

「あ、あれは!!」

 

 

 

目に映ったのは二人の人物と二匹のポケモン。

ポケモンはブラッキーカメックス。激しい一進一退の攻防を繰り広げていた。

恐らくこの戦闘の余波で野生ポケモン達が圧を感じて逃げていたのだろう。

だが、私が驚いたのはトレーナーの片割れの方にあった。

 

 

 

「「レッド(くん)!?」」

 

 

 

赤いキャップがどこまで似合う一人のトレーナー。

かつてカントー地方で大暴れしたマフィア・ロケット団を壊滅させ、ワタルさんを含めた四天王、そしてチャンピオンとなった幼馴染を倒し、ポケモンリーグの頂点に立った一人の少年がいた。

その名はレッド。知る人ぞ知るキングオブレジェンド。

 

無論、私は彼を知っている。

オーキド博士共に旅立ちの日に立ち会ったのだから。

外の世界に好奇心を沸かしている無垢な少年が研究所に来て、大きな声でポケモンをくださいと言ったの今でも覚えている。

今この場にいる彼は、凛々しい顔立ちに背丈も伸びて心身共に成長していることが伺えた。

 

 

 

「(良かった……無事に成長していたんだね)」

 

 

 

レッドくんはポケモンリーグを制覇した後、直ぐに行方をくらましてしまったのだ。行先は誰にも告げず、行方不明となった上チャンピオン不在というちょっとした事件もあったりする。

本人は知る由もないだろうが、グリーンくんが一番激怒していた。

レッドくんよりも早くチャンピオンとなったグリーンくんを僅か数時間足らずでその座を陥落させられた上に、リベンジバトルを挑もうとしたら既に旅だった後。その不完全燃焼の八つ当たりに私に勝負を仕掛けてきたりした。あの時は宥めるのが大変だったよ。

 

その後、チャンピオンの穴埋めの為にポケモンリーグの上層部は、再びグリーンくんをチャンピオンに指名するが、レッドくんを倒して最強を証明するまではチャンピオンになるつもりは無いと辞退。

そして今現在は、さらなり実力をつけたワタルさんがチャンピオンになった事で落ち着いている。

とまあ、彼の話は一旦置いておこう。

 

 

 

「レッドと戦っているトレーナーは何者なんだ?」

 

 

 

特徴は黒色のロングコートに、首からぶら下げている灰色のトイカメラ。中性的な顔立ちをしており、見た目からして男だと思われる。

彼のポケモンと思われるブラッキーは、遠目から見ていてもよく育てられているのが分かる。レッドくんのカメックスと互角の戦いを繰り広げていることを考えれば、相手のトレーナーの実力は少なくともチャンピオンクラスということだ。

しかし、あのトレーナーの顔を私もワタルさんも見覚えがない。

他の地方の四天王にもチャンピオンにも、ましてやバトル施設の管理者にも該当しない。

だとすれば、彼は一体何者なんだ……。

 

 

 

「バトルが終わったようだ」

 

 

 

バトルの結果は両者引き分け。

カメックスのロケットずつきとブラッキーのしっぺ返しのぶつかり合いは互いに大きなダメージを与えたようだ。

モンスターボールに戻した後、バトルが終わったのを確認してから私達は山頂部へと降りる。

 

 

 

「レッドくん!!」

 

 

 

「……!」

 

 

 

私の掛け声に気づき、レッドくんはこちらを振り向く。

 

 

 

「これで俺の役目は終わりってことだな

 

なかなか楽しかっただろ、俺とのバトル」

 

 

 

「…………」

 

 

 

レッドくんは後ろを向きつつも、相手のトレーナーにサムズアップする。正面を見ている私には見えた。薄らと彼が笑顔を浮かべているのを。渇ききった心が再び燃え上がるような、そんな感じがする。

 

 

 

「フッ、照れ隠しが下手な奴だ

 

じゃあな、また何処かで会えたら……その時はまた戦おう」

 

 

 

パシャとカメラで此方を撮ると黒コートのトレーナーは、彼の背後から出現したオーロラのような何かに包まれると、その場から消えていた。

 

 

 

「え?え!?」

 

 

 

まるで夢を見せられていたのかと思うぐらいだ。

何事もなかったのようにその場から消えた黒コートの男。あのオーロラは何なのか。レッドくんに聞いてみても何も分からないが、強かったとしか回答は返ってこなかった。

 

 

 

「彼は一体……何者なんだ……」

 

 

 

結局のところ彼の正体不明なまま、シロガネ山の調査は終わる。

オーキド博士に調査資料を渡し、少しの休暇をいただく。

だが私はあのトレーナーの事が忘れられずにいた。あの不可思議な現象のこともあるが、彼の在り方……何となくだがそれが気になって仕方ない。

いつか会えたら色々聞いてみたい。よく分からないが、また会えそうな気がするから。

 

 

 


 

 

世界の渡航者

 

 

後にあのトレーナーが呼ばれる名だとヤガミは知る由もない。

 

 

 

 

 




後半ワタルさんがすげぇ空気になってしまったので、次話はそういうのを無くしていきたいと思います。
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