Gundam Build×Acting 作:11時30分26秒ガンプラ兵器開発局
ガバい部分もあると思いますが何卒
『イチノセ機よりニジヒサ機、地形データの集積完了。…まぁ、ド近所だし特に言うことは無いわね。』
「ニジヒサ機、了解。まぁ見ての通り、そんでいつも通りだものね。敵情報は拾えた?」
通信を介してさほど広くはないコックピット内へ、あまり中身のない報告と対照的に詳細なマップデータが届く。
声は女性のもので、声色から互いに随分慣れ親しんだ間柄であることがわかる。
それを片手間に聞きつつシートに腰を据える彼女────【ニジヒサ・ロクロ】は伸びをして身体をほぐしている。
『バッチリ。南東の市街地エリアに3機スポーン。推定だけど機種は地上型のティエレン、他は今の所なし。』
「OK。それじゃあ早速始めよっか、イチノセ機は信号弾を射出後に狙撃ポイントへよろしくね。何かあったら頼りにしてる。」
『任せちゃって。それじゃ、信号弾行くよ。』
「了解。ニジヒサ・ロクロより、これより新型機種【ガンダムウヴァルD3 ソルバイト】の実戦テストを始める!」
報告を行うはつらつとした声と共にリアクターの鼓動は次第に強くなる。
そして上空では狼煙となる眩い閃光が、真昼の曇り空に唯一星を灯していた────
[01.撃鉄]
遠方で炸裂した信号弾に勘付き3機のティエレンが動き出す。市街地跡の合間を縫い、光のあった方向を建物の陰から探る。
再び閃光、そして小爆発のようなものが起こる。今度は地上、蒼く灼けた残光が残る、と─────
その一瞬後、凄まじい速度で迫る蒼い影が一番先行していたティエレンの頭部を砕いた。
露出した両腕のフレーム、肉厚で大雑把な脚部の装甲と巨大なノズル、背面には銃火器のようなものと少々風変わりなブレードを背負っている。
「〜〜〜っんぐぁ!」
目まぐるしい加速と減速、コックピットで慣性に叩きつけられロクロの意識が飛びかける。
「ッぶな…!」
どうにか意識を保った彼女は両の頬を叩く。バチン、と派手な音を立て、短く切った濃紫の髪を揺らすほどの勢いだった。
そして活力そのもののような金色の瞳は───そしてソルバイトの紅い眼光は既に獲物を睨んでいた。
「へへ、まずはアイツ!」
滑腔砲が向けられる。もぎ取ったティエレンの頭部を放ると市街地跡へ進入する。背中から二振りのブレードを取ると、先程弾き飛ばしたティエレンの胴体を串刺しにした。
「一つ!おっと…」
すかさず滑腔砲の嵐となる。仕留めたティエレンを盾につつ建物の陰に入ると、ソルバイトはブレードを仕舞い、おもむろにティエレンを担ぎ上げる。
「ブーストキャノン、ファイア!」
合図と共に蒼い閃光、蒼い爆炎を撒きながら一瞬で飛び上がる。そして担いでいた残骸を一機へと投げ下ろした。
残骸の下敷きとなり倒れるそれを横目に、別の一機へと走り迫ってゆく。鋭い足捌きは滑腔砲の弾丸を容易く躱し、ブレードの切っ先を再びティエレンの胴へと押し込んだ。
「残すは一つ。」
振り返ると最後の一機がカーボンブレードを構えている。投げ落とされた残骸のものを含めた二振りを手に、ソルバイトへ迫る。
「いいね、受けて立つ。」
ティエレンが右手のカーボンブレードを振り下ろす。かなりのパワーだがソルバイトのツインリアクターも飾りではない。カーボンブレードを受け止め、弾き返す。
駄目押しに左手のカーボンブレードを小突き、構えを崩す。そして───
「もらったよ!」
ティエレンの丁度目の前、目と鼻の先にソルバイトのブレードが上から胴へと突き刺さる。そのまま機能を停止し、膝から崩れ落ちた。
「ふー、いっちょあがりと。」
慌ただしい戦場は程なくして静寂に包まれる。聞こえるのは僅かな環境音と、無線からの声。
『状況終了。なるべく手出ししないようにって言ってたけど、本当に手出ししなくていいとはね。』
「索敵で充分ってね。増援は来てる?」
『無いみたい、機体の回収は?』
「どうしよう、増援無さそうなら全部拾ってくるけど。」
『今のところは付近に反応無し。一応見張りは続けるわね。』
「助かる、こっちもなるべくさっさと済ませるよ。」
ロクロが腰ほどの位置に据え付けられた小型端末を取り外して操作する。シャットダウンの表示と共にモニターが暗転すると、僅かな浮遊感が足元から伝わり始めた。
先程まで外景を映していたコックピットがワイヤーフレーム状に透過し、唯一残された狭い足場が少しずつ高度を下げていく。
「よっ…と」
完全に地上に降りきる前に足場から飛び降りると、彼女は今しがた撃墜したティエレンの元へと向かう。暫しの後に足場が降下を止め、消える。
『ところでロクロ、ひょっとしてさっき結構危なかったでしょ。』
「やばかったなぁ、失神するかと思ったよ。まさかガンプラバトルでこんな事になるなんて、最初は想像しなかったよね。」
ガンプラバトルは年月を重ねると共に変化を重ねてきた。外観を読み込むのみだった初期の頃から、ユーザーの要望によってモビルスーツに乗る臨場感の再現が試みられた。
そんな中、データ上の世界と現実、その二つを実際に行き来する画期的な技術が誕生する。バトルシステムの開発チームもこの技術に注目し、飛びついた。
“仮想現実が第二の現実そのものとなる”という事実はこれまで推し進められてきた臨場感の追求を一気に加速させたのだった。
そして今、その第二の現実と呼べる場所に彼女達は居る。
『今は想像出来てるみたいに言うけど、あんた全然調整マイルドにしないじゃん。』
「痛いとこ突くなぁ、その内ちゃんと使いこなすから。」
『はいはい。』
鼻であしらわれたロクロは引き続き回収作業を進める。端末を横たわるティエレンに向けて操作すると、先程ソルバイトがそうなったようにワイヤーフレーム状に透過して消滅する。
端末の画面には回収した物資がデータとして保存されていた。別のスロットにはソルバイトの物と思しきデータが名前付きで保存されている。ほんの僅かだが蓄積したダメージが表示されていた。
「これで全部!今から戻るよ。」
『お疲れ様、帰りも気をつけて。』
「分かってるよ。それじゃまた後で。」
それだけ言って端末からソルバイトのデータを呼び出すと先程と同じ足場が現れる。
そして背後には降りるときとは逆にワイヤーフレーム状に構築され、そして実体を持ったソルバイトの姿があった。
「いい顔してる。これからもよろしくね、ソルバイト。」
『これで全部!今から戻るよ。』
「お疲れ様、帰りも気をつけて。」
『分かってるよ。それじゃまた後で。』
「───まぁ、そこを一番気をつけておくのは私が引き受けた役目だけどね。」
一通りの報告の後、通信が閉じられたコックピットで【イチノセ・ヒトミ】おびただしい数のデータタブを睨みながら誰に言うでもなく言った。
索敵に特化したこの機体はとにかく様々な情報を集めることが出来る。それ故にモニターは開けた外景だけではなく、様々なデータ群で散らかる事が多い。
「流体観測センサも異常なし、もう来ないかな。」
鷹の眼が周囲に脅威が無い事を知らせる。その時────
「─────!!」
突如機影が現れる。観測圏の内側、更にソルバイトとの距離もそれなりに近い。だがそれよりも。
「どういうこと…?見たことない反応だけど…〈Unknown〉…?」
敵機体でも他プレイヤーの機体でもない反応、当然だが僚機ではない。不明な機体、という事になる。本来はありえないはずだが現に今まさに現れたのだ。
「ロクロ!気づいてるとは思うけど」
『あぁ見えてる!なにあれ〈Unknown〉って!』
「今調べてる!」
無線越しのロクロから促されるより前にデータを整理し、機影を拡大する。それは
大型の大腿、背中から伸びる長大な砲と思しきもの、そして額当ての隙間から覗く青白い眼。
それは文字通りの未知なるものだった。しかし頭部に伸びる二本の角、そしてその双眸からある一つの答えが導かれる。
「ガンダム…」
呼んでいただきありがとうございます。
細かい設定とかはぼちぼち置いていけたらと思います(機体とかね)
まぁほぼ身内向けみたいなものなので…((((