月で死んだと思ったら異世界に召喚された 作:鮭のKan2me
「—サーヴァント・ルーラー。召喚に応じ現界した。」
「る、ルーラーだって・・・?」
舞台は月。と言っても月面ではなく、そこに存在するムーンセルから作り出された電脳世界。そのある場所にて一人の魔術師がサーヴァントという使い魔の召喚に成功した。
魔術師の名はクォータル。錬金術師の父と魔術師の母を親に持つ青年である。その特異な生まれもあってか姓はない。そんな彼がここに来るまでの人生は、裕福な暮らしを送れていたこととかなりの素質や才能を持って生まれたことのみ語るとしよう。
「・・・そこの魔術師、お前が私のマスターか?」
「そ、そうだ。」
魔術師はルーラーに左手の甲を見せる。そこには赤い痣がまるで一つの模様にように浮かび上がっており、それらは干渉しないよう三画で描かれていた。その痣こそサーヴァントとマスターとを繋ぎ止める楔『令呪』。どんな命令でも一画使えば強制的に実行させることのできる膨大な魔力リソースである。これを用いて自害を命じられれば、それだけでサーヴァントは死に追いやられてしまうため、一画でも残していれば反逆される心配はないということだ。
「・・・フン、そうか。契約を結んだ以上はマスターとして認めてやる。此度の聖杯戦争、このルーラーが制してみせよう。」
月の聖杯戦争、その方式は一対一のトーナメント制。マスターかサーヴァント、そのどちらかが致命傷を負った時点で勝敗が決まる。そんなルールのため次の戦いまでの期間が設けられており、その間生活することになるのが—。
「ふむふむ、集団で学ぶとなればこうなるのか。だが、こんな環境で個々の才能を活かし切れるのか・・・?」
人生で必ずと言っていい程経験するであろう学生生活。その舞台である校舎こそが、聖杯戦争の参加者に与えられた安息の地である。
ちなみにだが、この魔術師は学校生活を経験していない。例え魔術師であったとしても、正体を隠せば一般の学校に通うことは可能なのだが、彼はそうせず魔術の研鑽にこれまでの人生を捧げた。そんな彼の目にはありふれた教室風景でも物珍しく映るのか、椅子の配置であろうと興味深く観察していた。
「あら、アンタも月の聖杯戦争に参加していたのね。お目当てのサーヴァントは引けたかしら?」
「・・・へぇ、あの遠坂も参戦してるのか。それは来た甲斐があるってものだ。サーヴァントなら良いのを引けた、それも
「へぇ、そう。情報漏洩は期待できそうにないわね。・・・じゃあコレは個人的な疑問なのだけど、『
「ここだったら、地上じゃ迂闊に行使できないような魔術も試せるだろ?魔術の研鑽場としては上出来じゃないか。この機会を逃す手はない。」
「はぁ、どこまで行っても『はぐれもの』ね、アンタ。ま、精々頑張れば。ここに来た以上敵同士なんだから、情け容赦はしないけど。」
「仮にされても困る。本末転倒なんでね。」
ムーンセル内でも昼夜の変化は存在し、暗くなれば殆どのマスターは己に割り振られた部屋で休息を行う。その内の一人である魔術師も部屋に戻っており、部屋に常備されていた机に必要な機材を並べ終えると、部屋の半分以上を占拠した上どこから持ち出したのか玉座のような椅子に座っているルーラーに声をかける。
「ルーラー。妖精眼の調子はどうだ?」
「良いも悪いもない。コレはそういうものだ。NPCとやらにはあまり通用しないようだがな。」
「なるほど、サーヴァントになって格落ちした、なんてことはないと。なら安心だ。」
「仮に使えないとて、さして影響はないがな。我が権限を使えば真名看破など容易いものだ。」
「・・・全くとんでもないサーヴァントを引き当てたものだ。一つ提案だが、今後勝ち進むに当たって真名よりもクラス名が看破される方が危険だと思う。幸い貴女は高名な魔女だ。キャスターと言い張っても誰も疑わないだろう。どうか口裏を合わせてくれ。」
「構わん。私の邪魔をしなければそれでいい。」
「ありがとう。時間を取らせてすまない。今日はもうお互い不干渉でいこう。」
会話を切り上げて机に向かい直した魔術師は、布団に入るその時まで作業に没頭していた。その背中姿を、ルーラーは無表情で見つめる。
モルガンの姿はFGOにてベリルに召喚された時と同じく第三再臨の姿で、その衣装から白い部分が無くなったイメージでお願いします。
クォータルは赤目と水色髪のショートヘア程度の認識で問題ありません。あとは両手に手袋をしているぐらいで(なお右手袋の方が左より分厚い)