月で死んだと思ったら異世界に召喚された 作:鮭のKan2me
さて、今更だがこのブリテンに起こる厄介な現象の説明をしよう。このブリテンは人間ではなく妖精が頂点に位置する世界であるが、そんな妖精にも天敵がいる。その名は『モース』。並の妖精であれば触れただけで侵され死に絶える、形を取った呪いとも言うべき存在である。
「フッ!・・・エクター、そっちは!」
「少々キツイが、これぐらいなら耐えれる。終わったならさっさと別のところに行け!」
と、村へ向かう道中で遭遇することもある。そうでなくとも依頼で駆除することはあるのだが、 妖精でないオレであっても多少の影響はあり、あまりやりたくないというのが本音だ。
「■■■■■■■■ーッ!」
「!また湧いたか。だがこの数なら。」
余裕で倒せる。そう思った次の瞬間、予想外の出来事が起こった。
「「たあぁぁぁぁ!!」」
「むっ!?」
槍を持った人間がモースを後ろから突き刺した。オレのところだけでなく、ライネックやエクター、グリム。果てにはトネリコとトトロットの周りにも人間達が守るように躍り出た。
そして、その人間達のリーダーであろう人物がオレ達に声をかける。
「大丈夫か?牙の士族一人でこの数は辛かっただろう。あとは僕たちに任せてくれ!」
「えっ、あっ、ちょっと!」
トネリコの静止も聞かずに人間達はモースに攻撃を加え始める。そうしてモースの群れは片付き、ようやく落ち着いて話せる状況となった。
「災難だったね。もしかして、旅をしている妖精かい?それにしては様々な士族と一緒みたいだけど・・・。」
「フンッ、余計なコトをしやがって!テメェらの助けなぞ無くともオレ達だけで、いやオマエ達より早く片付けられたぞ!」
「そうだぞ!ボクたち救世主一行がそんな簡単にやられるもんか!」
「二人とも、そこまでに。」
リーダー格の人間にライネックとトトロットが食ってかかる。確かにあのまま戦っていればより早く終わってたのは事実かも知れないが、それでも助けてもらったことに変わりはない。二人を宥めるトネリコを他所に、救世主と聞いたリーダー格の人間が興奮気味に話す。
「救世主・・・?も、もしかしてキミ、いやアナタは救世主トネリコなのか!?」
「は、はい、そうです。」
「おぉ、会えて光栄です・・・!あぁ、失礼。僕はウーサー。アナタに憧れて、困っている者を助けようと活動しています。ここにいる人間達も、同じ信念を掲げた自慢の仲間です。」
「へぇー、では発足してからまだそんなに日は経っていないのですね。」
「は、はい、恥ずかしながら・・・志ばかりが高いままで。」
ウーサーと名乗った人間は自分達が作った村にオレ達を招待し、トネリコはそれを受けて現在ウーサーと談笑している。一見みすぼらしい場所だが、家や塀を作った者の懸命さ・誠実さは伝わってきた。水晶から多くの礼装を作っている以上、物作りに関してはそこそこ精通している。
「いえ、これだけの人間を集めるには目に映る数以上の困難があったでしょう。その頑張りは高く評価します。それと、今更ですが敬語は結構です。」
「あ、ありがとう・・・しかし、やはりアナタほど上手くはいってない。妖精に虐げられる人間だってまだまだいるし、僕たち自身も狙われることだってある。こんな調子じゃ、やれることなんてタカが知れてる。でも、これが少しでもアナタの助けになるならばこの一生、費やす価値がある。」
そう語るウーサーの目は輝やしく、それでいて力強いものだった。これほどまでに強い意思を持った人間はこの数千年の中でもいなかった。この世界でそんな人間が生まれたこと自体に感動すら覚える。
そう感じていると、トネリコがある提案を持ちかけた。それこそ、まるで全チップを賭けに出す様なものを。
「ウーサーくん。アナタの思い、しかと伝わりました。しかし、妖精達の氏族間の争いは収まらず、アナタ達人間も消費されていく一方でしょう。ですが、もしアナタがどんな目にあっても構わないというのなら、このトネリコがたった今思いついた計画に乗ってください。もちろん強要はしません。」
「・・・その計画、聞かせてくれ。」
「いきなりですが、結論から言うとウーサー君。アナタには
『!?』
この話を聞いて驚かない者はいなかっただろう。なにせ、人間より強大な力を持つ妖精の上に人間を立たせる、と言う無理難題のものだったのだから。
「もし妖精達の中で王が立てられても、王となった者の氏族以外から反発されることは間違いないでしょう。そこでどこにも属さない人間であるアナタが王となって妖精達を収め、平和な世界を築くのです。」
「い、言いたいことはわかるが、そう簡単に行くものなのか?それに、ボクよりもトネリコの方が長く生きれるし、上手く収められるんじゃないだろうか・・・。」
「私ではダメです。確かにどの氏族の出身でもありませんが、それ故に妖精達からは根本的な部分で嫌われるので。」
「だったら、僕でも同じなのでは・・・。」
「えぇ、ですからそうならない様に力を示す必要があります。アナタが妖精達の上に相応しいと誇示するために。」
トネリコが言いたいのは、ウーサーに六つの氏族全てを打倒させて王として認めさせるというものだ。だか、それはつまり—。
「・・・六氏族相手に戦争を仕掛ける、ということかい?」
「はい、そんなところです。あ、大丈夫ですよ、私達も全力でサポートさせていただきますから!」
「それは助かるんだが・・・救世主とあろうものが自分から戦争を仕掛けても問題無いのか?」
「ウーサー君、私の目的は今のブリテンをより良くすることです。その大幅な近道が実行できるのであれば、私は躊躇なくやりますよ。」
「そうか・・・皆!今トネリコと話したんだが—。」
「ウーサー!バッチリ聞こえてたぜ!オマエが王になれば、きっとこの世界も良くなるさ!」「そうだ、アンタはオレ達みたいな腕や足を潰れされたヤツだって見捨てず助けてくれた!その恩義に報いる時だ!」
ウーサーが言うまでもなく人間達は活気付き、瞬く間に全体に通達された。ウーサーの今までの善行だけでなく、彼の持つカリスマ性の高さがわかる瞬間であった。
「一人で話進めてくれたな。」
「何か異論でも?」
「あったら言ってるさ・・・ここまで来たら、どんな手を使ってでも成功させるからな。」
「えぇ、頼りにしてますよモードレッド。」
「トネリコ、早速頼まれたいことがあるんだけど、いいかな?」
席を外したウーサーが戻ってきた。他の人間達の様に浮足立っているようにも見えるが、冷静さはそのままだ。こうした凄みを感じさせられる度に、本当にやってのけるかも知れないという思いが強くなってくる。
「その、戦争をするわけだから軍を作ることになるだろう?良い名前が思い浮かばなかったんだけど、折角だからかの救世主様に名付け親になってもらいたいんだ。」
「なるほど、そう来ましたか・・・・・・えぇ、良い名前があります。人間でありながら、弱きを助けたいと願うその信念、騎士という名に相応しい者達が集う場所。『
一気に『秋の戦争』辺りまで進めましたが、もう少しペース上げないとカルデア来るのめちゃくちゃ先になるから是非もないよネ!()