月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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11:盾の騎士と未来の話

 『秋の戦争』終戦後、各氏族の長はウーサーが自分達の王になることを認め、戴冠式を執り行うと宣言した。それ以来、『円卓』が拠点にしていた場所・現ロンディニウムはその準備で慌ただしくなっている。

 —が、そこに救世主トネリコとその仲間の姿は無かった。

 

 

「おいモードレッド、何か収穫はあるか?魔術についてはお前の方が詳しいだろ。」

 

 

「一応はな。ただ痕跡からしてトネリコやトトロットの方に何かがある可能性が高い。急ぐぞ。」

 

 

 戴冠式の日までの間、トネリコはロンディニウムでの準備に参加することなく、救世主としての活動を再開した。ただウーサーが王になることを認めない妖精も一定数いるわけで、それに加担した救世主トネリコもつけ狙われることとなった。代わりにそれ以外の妖精から攻撃されることも少なくはなったが。

 そんなある日の事だった。トネリコが『秋の戦争』で行使した『合わせ鏡』、それと同等以上の魔力反応を感知したのは。

 

 

(妖精は魔術を使わない。そんな手順を踏むことはしない。だからこのブリテンにいる魔術師はトネリコとグリム、オレの三人しかいないハズ。一体何者だ?)

 

 

「海岸まで来たな。見たところどこも異常は無さそうだが。」

 

 

「・・・おかしい、確かにここらが中心点、そうでなくとも近い場所なのには違いない・・・姿を隠している?」

 

 

 魔術が使われたということは、何が起こっていて(・・・・・・・・)もおかしくはない(・・・・・・・・)。周囲の警戒を怠らず、入念に調査を進めることにした。そうしてしばらくすると、トネリコからの念話が入る。

 

 

「エクター、撤収だ。トネリコ達が正体を突き止めた。」

 

 

「ほう、大事はないか?」

 

 

「切羽詰まった状況でないことは確からしい。日が暮れる前に向かうとしよう。」

 

 

 こうしてあらかじめキャンプの準備をしていた場所に向かうと、見張りを任されたのかライネックと鉢合わせた。

 

 

「フン、遅かったな。」

 

 

「悪い。それで、トネリコ達は?」

 

 

「奥で得体の知れん人間と話している。鉄の鎧に大盾など、随分と奇怪なヤツだ。」

 

 

 人間が鉄の鎧に、大盾?『円卓』にもそんなヤツはいないし、鉄が毒となる以上、妖精達の間で噂にならないハズがない。それに、そいつが先程の魔術を扱う魔術師だとしてもそんな格好はありえない。ますますわけがわからなくなった。

 

 

「とりあえず、オレ達も向かうとしよう。引き続き見張りを頼む。」

 

 

「待て、エクターはいいが、モードレッドはオレと見張りだ。」

 

 

「・・・トネリコからか?」

 

 

「それ以外に何がある。」

 

 

 魔術関連とくればこのブリテンでは希少なのもあって気にはなるが、従わないという選択肢は無い。エクターを先に行かせ、ライネックと共に周囲の警戒に当たる・・・のは少しの間だけだった。

 

 

「モードレッド!今から『大穴』に行きますよ!遂にアレを解明できる目処が立ちました!」

 

 

「おい待て急すぎるだろ。ちゃんと一から説明しろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・へぇー、未来から、ときたか・・・。」

 

 

「はい・・・その、妖精騎士モードレッドさん、でしたか?信じてもらえないとは思いますが・・・。」

 

 

 まだ日の昇らない頃、『大穴』に向かう道中にて鉄の鎧と盾を持つ人間との初会偶を果たしたオレは、ここにくるまでの経緯を聞いていた。

 

 

「・・・まぁ、ありえなくはないだろう。問題はそれほどの魔術を使えるヤツが2500年以上先にも存在するということだが・・・。できることなら一目見てみたいかもな・・・そうだ、名前ぐらいなら聞いても良いだろう?」

 

 

 本来であればその魔術を使った者は目の前の人間でなく、その年に起こった『厄災』を送り込むつもりだったというが、それができる程の魔術師ともあれば流石に興味が湧く。その年までにこの霊基が保っていればいいが・・・。

 

 

「そ、それはですね・・・。」

 

 

「モードレッド、その話題はここまでに。事故とはいえ、マシュをこんな目に合わせた人物の話は傷を抉るでしょう。」

 

 

「・・・そうだな。すまない、無遠慮過ぎた。」

 

 

「いえ、大丈夫です!トネリコさんもお気遣いありがとうございます。」

 

 

 不躾な質問をしたにも関わらず、大盾を携えた人間『マシュ・キリエライト』は一切の不快感を見せなかった。過去に飛ばされるなんて事をされたら動揺や不安等で我を失いそうでもあるが、気丈さを損なっているようにも到底思えない。それは、ただの人間として見るのならあまりにも・・・。

 

 

「!トネリコ。」

 

 

「えぇ、モースの群れですね。ちょうど進行方向にもいますし、駆除しておきましょうか。」

 

 

 前方のモースに気づかれる前に接近し、魔術による遠隔攻撃を行う。半数以上はそれで片付いたが、後方へのダメージは浅く、モースはこちら側に向かってきた。迎撃しようと次なる魔術の用意をするが、その前にオレ達とモース間に割り込む影があった。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

「■■■ッ!?」

 

 

「・・・マシュ、何をしている?」

 

 

「は、はいっ!もしかして、邪魔をしてしまいましたか?」

 

 

「いえ、いいタイミングです。ただ、ちょっと左にズレてください。」

 

 

 マシュの盾により弾かれたモースは、再度こちらに進行してきたが、その前にトネリコの魔術が炸裂、今度こそ全滅した。

 

 

「ふぅ、お疲れ様でした。マシュも突発的ではありましたが、助かりましたよ。」

 

 

「あぁ・・・あそこはオレの魔術で妨害するつもりだったんだが、そうするよりも良い防ぎ方だった。手慣れてるな。」

 

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

 賞賛に照れるマシュ。しかし、これである確証が得られたのも確かだ。マシュはただの人間ではなく、サーヴァントとしての力(・・・・・・・・・・・)も有している。ただしグリムのように英霊・神霊が憑依してるようなものではないらしいので、判別がつかなかった。

 ただそうなると、未来のブリテンにはそんな存在が発生するような状況ということだが・・・マシュ曰く争いは起こってないらしいのであまり考えないようにしよう。

 

 

「まぁでも、マシュには『大穴』を調査するという大役がありますから、ほどほどに。では先を目指しましょう!」

 

 

 こうして盾の騎士・マシュを加えたトネリコ一行は、ブリテン島に存在する『大穴』の調査へと向かう。

 ・・・ただ、ここまで乗り気でご機嫌なのはこちらとしても喜ばしく思うが、いつにも増してやたらめったら戦闘起こすのはどうかと思う。おかげでマシュとの連携もそれなりのものとなってしまった。




 Q.なんでマシュ登場させたの?
 A.『二回目』のトトロットがどんな末路迎えるか想像つかなかったから
 はい、そんなわけでこの小説は『二回目+α』ルートを辿らせていただきます。ハベトロットのプロフィール見てると、ますます『二回目』ルートのトトロットがどうなったかわからな・・・いや、想像したくない()
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