月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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14:崩れた願いとはぐれた騎士

「・・・・・・。」

 

 

 妖精達の死体で広がったブリテンの大地、それを踏みしめて妖精騎士は行く。たった一人で(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロンディニウムに火の手が上がる。『円卓』の兵が妖精達に余すことなく殺される。そんな『円卓』の中で真っ先にやられたのはウーサーだ。誰も警戒しない、警戒しようのない、儀式のために用意されたどくのお酒(・・・・・)を飲ませる卑怯な手で。

 

 

「ハァ・・・ハァッ・・・!」

 

 

 無論、妖精達の攻撃の対象は『円卓』だけではない。それに組みした救世主の一行も対象だ。俺は無我夢中で今までにない大きさの水晶の大剣を作り出し、バーサーカーの筋力のまま振り回し続けた。だが、その怒りに任せた行為は共に大きく魔力を消耗する結果となった。

 

 

(トネリコは・・・ッ!?いや、アレは偽物か。バレてないということは、上手く逃げられたか。)

 

 

 視界の端に妖精達に連れていかれるトネリコの姿が映ったが、オレとの魔力パスの繋がりを感じられない。つまり、あのトネリコは偽物だろう。アレの正体はオレ達を売った妖精、トネリコがソイツを捕まえて姿を変え、身代わりにしたものだ。

 

 

(なら・・・あとは脱出するだけか。)

 

 

 ただし、そうは言っても周りは火の海。妖精達はその場に居合わせた『王の氏族』と戦ってはいるが、もうすぐマヴは撤退を命じるだろう。ならば、その前に事を済ませる。

 

 

「『王の氏族』が撤退したぞ!」「扇動者トネリコはどうした!」「無事捕まったらしい!黒騎士も一緒だ!」「あとは氏族長達が裁判する!」「扇動者がどんな刑を受けるか楽しみだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・目先の楽しみを優先して消火を後回しにするとは。そのおかげで逃げおおせたわけだが。」

 

 

 少ない魔力量でオレがやったのは礼装の形状変更。それにより、己の周囲に球状の層を二つ作って真空状態を生み出した。こうすることで熱を通さず、外側の荒れ水晶により周りのガレキにも溶け込めるため、火の中に潜めば見分けはつかない。とはいえ、火を消されれば周りのガレキとの違いは一目瞭然なため一発アウトだったのだが・・・。

 妖精達はあとですぐ消せるからと、先にトネリコ(偽)の連行を行なっていたため、それで手薄になった隙をついた。

 

 

(どうして、こうなった。たった10年、その短い安息ですら彼女には与えられないのか・・・。)

 

 

「いや、何を勝手に落ち込んでいる。そんなの、当の本人が一番ツライに決まっている。」

 

 

 まずは、合流しなくては。魔力パスで繋がっている以上、生死の確認は容易だが、それでも直接会った方が都合が良い。

 

 

(もちろん、手掛かりを残すようなヘマはしてないハズ・・・だが、どちらに方角に向かったかは明白だ。)

 

 

 南に比べれば、北に済む妖精はあまり好戦的ではないし、何よりそこにあるモノ(・・)が違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 —だとすれば、■■■■なら何処に向かうだろうか?

 

 

 妖精騎士は向かう。主の元へ、また彼女に会うために。




 全てが台無しになった。しかし、それでも続けるのだとしても止めはしない。ただ一つ『覚悟』をして欲しい。もうその先に、終わりはないのだから。
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