月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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15:『空想樹』とトネリコ、選ぶ道は—

「—トネリコ。」

 

 

「・・・何故、私がここに来ると?」

 

 

 背を向けたまま問いかけるトネリコ。この場には、マシュもグリムもライネックもトトロットも、もちろんエクターもいない。二人きりだ。

 

 

「正直な話、オマエ(トネリコ)がどこに行くかは検討もつかなかった。やるべきことはまだ残ってたハズだからな。」

 

 

「なるほど、ではもう一つだけ質問をしましょう。

いつから(・・・・)気づいていた(・・・・・・)?」

 

 

 振り向いたトネリコの目は、その声色と同じほどに冷たいものだった。

 

 

最初から(・・・・)、もしかしてとは思った。だが、確証を持てたのは今この瞬間、その発言でだ。・・・やっぱり、そうなんだな。」

 

 

「えぇ、アナタにはモードレッドの霊基も備えましたから、もしもの事態を想定していましたが・・・杞憂だったようですね。」

 

 

 その真名()を隠していたものとして顕著だったのはマシュが来てからだろう。未来の情報を話してはいけない、という制約はあったものの、名前すら隠すのはそれがオレ達・・・いや、オレに何かしらの関係があるという証明に過ぎない。

 

 

「・・・これからオマエがやろうとしている事、その終着点はわかるが方法はサッパリだ。だが、それ以外にたった一つだけ聞きたいことがある。」

 

 

「内容は、聞くまでもありませんね。なぜ(・・)アナタ(・・・)を召喚したかでしょう(・・・・・・・・・・)?」

 

 

 そうだ、それこそ最大の疑問。何故オレをモードレッドの要素を使用してまで召喚したのか。申し訳程度とはいえ縁があるため召喚の難易度は下がっているだろうが、それでもただ優秀な手駒として呼ぶにはあまりにもメリットがない。

 

 

「理由はただ一つ、アナタを評価していたから(・・・・・・・・・・・・)です。」

 

 

「・・・評価、だと?」

 

 

「えぇ、ですがそれはアナタ自身(・・・・・)のことではありません。第一、私がアナタの召喚に踏み切ったのも、強迫観念のようなモノですから。」

 

 

 ありえない、オレの魔術など文字通り指先のみで再現できる程度のものだぞ?それを、評価していた?いや、言い方を考えれば、魔術以外の何かの可能性が高いが・・・オレの人生は魔術のためだけに費やしたもの、それ以外など何もない、ハズだ。

 

 

「・・・私はこれから、この『空想樹』を枯らし、その魔力を持ってこの『異聞帯(ロストベルト)』を異聞世界へと変え、私だけの妖精國を作ります。妖精騎士モードレッド、我がサーヴァントよ。本来であれば問うことすらしませんが、救世主(トネリコ)としての私に長く仕えた功績を持って選択権を与えます。」

 

 

 トネリコの後ろにある世界樹と呼ばれたもの、それが本来どういうものなのかはマシュにより教えられた。アレの名は『空想樹』。このあり得ない異世界を現出させ、汎人類史に縫い付けんとするモノ。しかし、その役目もこれまで。これからのブリテンを存続させるのは目の前にいる人物だ。

 

 

「選択肢は二つ。私の治める妖精國の住人となり、我が右腕として生き永らえるか。もしくは、この異聞帯の終わりと共に消え去るか。どちらが苦となるかは・・・わかりますね?」

 

 

 あぁ、間違いない。どう考えたって後者の方が楽(・・・・・・)()。生か死か、の問いにも見えるが、その生は恐らく永遠を意味する。

 自分がブリテンを治める、ということは女王として君臨し、国を管理し続けるのだろう。他人任せにしない以上、このブリテンが終焉を迎えるまで王の座は誰にも渡さない。そして、コイツがブリテンを終わらせるハズがない。

 だからこそ、後者の選択肢を用意してくれたのだ。

 

 

「答えは、決まってる。」

 

 

「そうですか、では—。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「右腕、というには役者不足ではありますが、この妖精騎士モードレッド、例え永劫の時を過ごすことになろうと、アナタと共に歩みます。」

 

 

 トネリコの目の前で跪いて、そう宣言する。似合わない口調だとは自負しているが、どうせここから先、イヤになるほど使うだろう。

 

 

「モードレッド・・・・・・いえ、なんでもありません。アナタの意志、しかと受け取りました。・・・それはそれとして、騎士口調似合いませんね!」

 

 

「・・・触れてくれるな。」

 

 

「ふ、ふふふっ、ごめんごめん・・・コホン、では妖精騎士モードレッド。この先の対策としてまずは—。」

 

 

 —アナタに着名(ギフト)を与えます。




 妖精暦編はもうちっとだけ続くんじゃ
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