月で死んだと思ったら異世界に召喚された 作:鮭のKan2me
魔術師の目に映っているのは這いつくばるサーヴァントと絶望の表情を浮かべるマスター。そして、薄ら笑いながらそれらを見下す魔女であった。
戦いとも呼べぬほど刹那的で、あまりにも一方的ではあったが月の聖杯戦争の第一回戦はこれにて終了した。が—。
「キャスター、話が違うぞ・・・。」
「違う、とは?私に聖杯を捧げるならば、それを邪魔するものなど叩き潰すが道理だろう。」
「あぁそうだ、確かに聖杯は好きにしていい。だがその交換条件として魔術戦の邪魔はしないと約束したハズだ!!」
「邪魔はしていないだろう。やる間もなく終わってしまったがな。」
苛立ちをぶつける魔術師とそれを軽く流すルーラー。自室にて行われているそのやりとりは、次の一言で更にヒートアップする。
「お前の魔術など、この戦いに於いては何の役にも立たん。そんなものを使うならば
「なっ・・・。見てすらいないのにわかったようなクチしやがって・・・!」
「ならここで見せてみろ。お前が研鑽し続けた魔術とやらを。」
「・・・いいだろう。コレを見れば考えは変わるハズだ。」
—排斥・抽出・統合
その意味合いを持った詠唱がされると、魔術師の両手に二つの礼装が形を成した。父の錬金術、そして母の宝石魔術両方の特性を持つ彼だけの魔術。右手には刺々しく荒い水晶で構成された剣が。左手には滑らかで寸分の曇りもない水晶玉が浮かぶ。用途も構造も違う二種の魔術行使、これを己の魔術回路だけでやってのける才能こそ彼の自信の源である。
得意顔でルーラーの様子を伺う魔術師。しかし、ルーラーは何食わぬ顔で
「・・・・・・は?」
「そのような魔術、真似できないとでも思ったか?こんなものを戦闘に使うなど、二流にも程があろう。」
気がつけば部屋を飛び出していた。まだ20にも満たないとはいえ彼が研究に研究を重ねてきた魔術。別に神代レベルの魔女に敵うと思う程自惚れてはいない。だがそれでも足元にはたどり着いていると、そう思いたかった。
人気のない場所につくと、彼は座り込む。不思議なことに涙は出なかった。ただ胸の中には空虚感だけがあり、乾いた笑いのみが彼の口から溢れでた。
それとはまた別の場所。ある男が一つのデータを閲覧している。そこにはルーラーをマスターに持つあの魔術師の姿があり—。
「・・・間違いない。ヤツのサーヴァントはガウェインの天敵となる可能性が高い。ヤツの魔術の特性上直接は難しいが・・・いや、次にレオと当たらないとも限らん。早急に手を打たねば。」
モルガンのセリフがちょいちょい飛躍してるのは妖精眼込みでセリフ考えているからです。FGO内でも口数が少ない、と言われる理由が理解できた気がする。