月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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24:妖精舞踏会と旅の一行

「・・・よし、これでいいか。」

 

 

 ブリテン各地に点在する工房を訪れたエリドールは、その日の内にそれを作り上げた。ロンディニウムにて敗れ去ったウッドワスの彫像を。

 

 

「モース戦役から陛下に仕えてきた若き勇者。妖精騎士相手でも早々負けないオマエが、まさかこんな結末を迎えるとはな。・・・だが、パーシヴァルの寿命を考えれば『選定の槍』の行使は捨て身で一回切り。陛下に届く可能性を削ったのは良い働きだったぞ。まぁ、そこまで辿り着けるかは別だがな。」

 

 

 作品を作業場に残し、工房から出る。左手には、一通の手紙が握られていた。

 

 

「ムリアンめ、このタイミングで妖精舞踏会(フェアリウム)を開くとは。まぁいい、陛下の株を少しでも上げるチャンスだしな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妖精舞踏会、氏族の長達やムリアンによって招待された妖精のみが参加を許される夜会。その年もっとも輝いた妖精を決めるといったものもあるが、個人的には興味がない。あくまでただの水晶細工師だからな。

 

 

「・・・時間前に着いたはいいが、さて服装はどうするか。必要最低限の格好でなければオレだけでなく陛下のメンツも潰れる。前に来た時にはどういうものだったか。」

 

 

 そう考え込んだのが悪かった。曲がり角で何者かと衝突してしまった。

 

 

「うわっ!?」

 

 

「おっと、すみません。少し考え込んでしまっ—。」

 

 

 その妖精の姿を見て、言葉が詰まった。一方ぶつかった妖精は少しのけぞるも、付き添いの人間の支えられたことで転んだらはしていなかった。

 

 

「大丈夫、アルトリア?」

 

 

「だ、大丈夫です。それより、ぶつかってごめんなさ・・・あ、あの、もしもし?」

 

 

「・・・失礼。その帽子、よく見せて貰えないか?可能なら手に取ってみたい。」

 

 

「えっ、ま、まぁ、それぐらいなら・・・。」

 

 

 差し出された帽子を手に取り、その隅々を確認する。・・・かなり使い込まれているが、アイツ(■■■■)の作品だな。

 

 

「ありがとう、いきなりすまないね。良い職人に作って貰ったんだな。」

 

 

「は、はい!それはもうすごい職人さんでした!」

 

 

 満面の笑みを浮かべながら、そう返してきた。そうか、コイツは—。

 

 

「エリドール、ぶつかっといて帽子見せろとか失礼過ぎないかー?」

 

 

 感傷に浸っていると物凄く聞き馴染みのある声が。

 

 

「ハベトロット?オマエ何故ここに・・・いや、確かに謝罪がまだだったな。すまなかった。」

 

 

「いえ、もう気にしてませんから。それより、エリドールって、まさか・・・。」

 

 

「考えている通りで合ってるよ。水晶工エリドール、ブリテンを旅する女王派の妖精だ。そういう君は、『予言の子』だろう?」

 

 

「あ、あはは、バレバレだぁ・・・。」

 

 

「各地を渡り歩いてる分、情報は多く入ってくるからな。姿を見たのは初めてだけど、すぐわかったよ。」

 

 

 何の因果か。たまたまぶつかった妖精は今話題の『予言の子』であった。確証は十分にある、むしろ間違えようがない。

 

 

「エリドールって確か・・・。」

 

 

「ブリテンを旅して歩く水晶妖精だね。各地に石英で作られた作品があったろう?アレの殆どは彼が手掛けたモノなんだ。」

 

 

 先程『予言の子』を支えた人間が呟くと、翅の生えた妖精が補足を加えた。・・・生えたとはいったが、あの翅、偽物では?

 

 

「水晶工ご本人!?ホントに!?もしかしなくても、妖精舞踏会に呼ばれたんですよね!!?」

 

 

「まぁね、オークションに度々出品してるのもあって、ほぼ毎回招待されてるよ。」

 

 

「じゃ、じゃあ!同行者の枠って開いてたり・・・?」

 

 

「はは、女王派のオレが『予言の子』の連れと一緒に出席とか、外聞悪くなること間違いなしだな。まぁ、キミ達が陛下の元につくなら話は別だけど。」

 

 

「あ、じゃあ遠慮しときますね・・・。」

 

 

「へぇ、じゃあロンディニウムのヤツらに石英の飾りもの作ってたのはいいのかよ?」

 

 

 小柄な犬の様な妖精(牙の氏族ではない)が目に見えて気を落としてると、今度は赤髪の男が話しかけてきた。

 

 

「陛下に反旗を翻す者ではあるが、商売となれば別だ。ちゃんと金も払われてるし、材料だって用意してあった。依頼主に対しては平等なつもりだぞ?」

 

 

「仕事に私情や政治は挟まないってことか。」

 

 

「それがダメだったら、オレはとっくに処分されてるよ。・・・もう少し話しててもいいが、そろそろ会場に行かないとな。キミ達も出るんだろ?早く準備するといい。」

 

 

 話を切り上げて妖精舞踏会の行われる会場に向かおうとした。が、その前に杖を持った幼子が声を上げる。

 

 

「その前に一ついいかな。キミはチェンジリングでこのブリテンにやってきた汎人類史の妖精と聞いたのだけど、それは事実?」

 

 

「・・・あぁ、間違いないよ。オレはその汎人類史(・・・・)()ではある。じゃ、これにて失礼。」

 

 

 今更だが、帽子の下りからは半分素で話してたな。呆気に取られたとはいえ、以後気をつけなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダ・ヴィンチちゃん、なんであんな質問を?」

 

 

「そうだね・・・。藤丸君、キミ、エリドールという名に聞き覚えは?」

 

 

「ない、けど・・・何かしらの妖精の名前じゃないの?」

 

 

「そうだったら気にすることもないし、異聞帯だからで片付けられた問題でもあったんだ。でも、現代に伝わってる妖精の中にエリドールなんて妖精はい(・・・・・・・・・・・・)ない(・・)。そして、そんな妖精をモルガンは好き勝手させている。詳しいことはわからないけど、この二人の間には何かある。十分に警戒する必要があるね。」




 ※わかりづらいと思いますが本作の藤丸立花は男性です。
 エリドールについての設定再度纏めようとネットサーフィンしてたら、ウチの小説ヒットしてビックリしました。
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