月で死んだと思ったら異世界に召喚された 作:鮭のKan2me
『予言の子』がオークニーの鐘を鳴らす数日前、罪都キャメロットの玉座の間に一人の妖精が来訪していた。
「来たか、我が右腕よ。」
開かれた扉の先に視線が集まる。あのモルガンが右腕とまで呼ぶ存在。ウッドワスも妖精騎士も続いて敗れた今、上級妖精達はより期待を膨らませる。
「遅ばせながら馳せ参じました、モルガン陛下。して、此度は何用で?」
「ウッドワス及び妖精騎士の度重なる敗戦は知っての通り。思い切った手は好まないが、オマエにも動いてもらうことにした。」
モルガンとその眼前で跪く妖精。その光景を見ていた周りの妖精達は、ザワザワと騒いでいた。
「な、なぁ、陛下の右腕って、ホントにアイツか?」「でも陛下がそう言ってるし・・・。」「何を言う!妖精騎士を破った相手に、他所から来たただの職人が敵うわけないだろ!」「それもそうだ。バーヴァン・シーの件と良い、陛下は何を考えているのか。」
「動く・・・となると。」
「『予言の子』の追討。これを
その言葉を聞いて官司達のざわめきはより一層大きくなる。それもそのハズ、今モルガンの前に跪いている妖精・エリドールは非戦闘員であることで有名。その水晶細工の腕のみでモルガンに気に入られたのだ。
「モルガン陛下!エリドール様はただの水晶細工師です!それを妖精騎士が敵わないような相手に差し向けるなど・・・!」
「その通り、水晶を作り形取らせることしか脳のないヤツだ。だが、使えない駒ではない。」
上級妖精からの抗議をバッサリ切り捨てる。それと同時に、どこからともなく幾つもの槍がエリドールに向けて放たれた。
「へ、陛下!?」
「喚くな。オマエ達の言う強さを証明させているに過ぎん。」
槍が直撃したことで粉塵が舞い上がる。その粉塵が晴れて見えて来たのは、エリドールを取り囲む水晶の壁であった。
「陛下、合図も無しとは流石に肝を冷やしましたぞ。」
「キサマであれば問題なかろう。全力ではないにせよ、このように我が魔術を防ぎ切った。『予言の子』などにコイツを倒すことはできない。」
おぉ!と感嘆の声を出す妖精達。それを尻目にモルガンは淡々と述べる。
「ではエリドールよ。この依頼の間、オマエには女王騎士と同等の権限を与える。存分にその腕を振るうがいい。」
「かしこまりました。」
「では陛下、エリドール様に鎧と杖を・・・。」
「必要ない。水晶を作り形取るのみ、それしかないがそれこそが最大の武器なのだ。」
書記官である女王騎士が自らが装備している鎧と杖と同じ物を渡そうとしたが、モルガンはそれを制止する。
その次の瞬間、エリドールの身体は水晶に包まれた。水晶はバキバキと音を立てながらも、まるで水の様に唸り曲がって形を成す。それが収まると、女王騎士の鎧と同じ形・色を持つ水晶の鎧が見に纏われていた。
「では行くがよい。成果は期待しないが。」
全身を鎧で覆った水晶の騎士は、モルガンに一礼して玉座の間を後にした。
「・・・アレ?今出てったの誰だっけ?」「思い出せないけどまぁいっか!これで『予言の子』もおしまいさ!なにしろ陛下の右腕なんだから!」
「グッ!?アァ・・・。」
「・・・流石にあの中までは追えないな。ノクナレアはオレの侵入を許しはしないだろうし、鎧のまま行ったとしてもそんな怪しい者通すハズもない。ここは静観するか。」
『予言の子』が王の氏族長・ノクナレアの治めるエディンバラに向かったことを掴んだものの、ノクナレアはモルガンと睨み合いを続けているため、エディンバラ周辺どころか敷地内にいることすら許されないだろう。
故に、こうして襲ってきたノクナレアの手先を右腕の大剣で串刺しにした。その周りにも王の氏族の妖精が力無く倒れている。
「しかし、やはり便利だなこの
鎧を纏ったエリドールは右腕を振るい、刺さったままだったノクナレアの部下を地面に叩きつける。
「マヴとの条約がある以上は手出ししないが、それが反故になるのも時間の問題か。幾ら束になったところで無駄だと言うのに・・・。」
エディンバラ領内を抜け、鎧を解くエリドール。『予言の子』が動くまで、彼は水晶工として妖精國を旅することだろう。
後日、エディンバラからオックスフォードへと向かう道中、馬車の中の一幕。
「それにしても、女王歴になる前にはモードレッドもいたんだね。妖精騎士の。」
「はい、
「モードレッド、ですか・・・。」
「アルトリア、気になる?」
「う、ううん!なんでもない!」
「そういえば、汎人類史ではアーサー王の遺伝子を使ってモルガンが生み出したホムンクルスと・・・。」
「えっ、なにそれ。
談笑する『予言の子』達、赤い踊り子はすぐ近く。
モードレッドというか某アサシンっぽくなってるかも知れない・・・。まぁ全く一緒のスキルにするつもりもないですけども。
ちなみに先日開催された星4交換は、略称が定まらないことで有名なアルトリアオルタ(ランサー)に致しました。ややこしさこの上無いので本小説での出番は絶望的です()