月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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32:最後の反乱と霊基の変調

『妖精騎士モードレッド、アナタに着名(ギフト)を与えます』

 

 

 着名とは何故?すでに妖精騎士モードレッドという名があるだろう。

 

 

『それは空想の中での話(・・・・・・・)。空想樹があるからこそ存在をアナタの存在は許されている。だから、私の妖精國では消えてしまう。』

 

 

 なるほど、確かにこの霊基は本人で無いとしてもモードレッド。汎人類史のサーヴァントとしてある以上、消え去るのは確実か。

 

 

『そのための着名です。私の妖精國にその名を持って繋ぎ止め、劣化することなく永遠を過ごす。もっとも、アナタの精神状態までは保証しませんが・・・問題無いありませんよね?』

 

 

 もちろん、答えは先程の通り。どのような苦難が待ち受けようと、オレはどこまでもついていこう。我が(マスター)よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニュー・ダーリントンの一件から丸三日。円卓軍の本拠地『ロンディニウム』が焼け落ちたり、ノクナレアが宣戦布告したりと色々あったが、遂に円卓軍と北の連合、そして『予言の子』がキャメロットの攻城戦を開始した。

 籠城の構えを取っていた女王軍もそれに対抗するべく兵を挙げ、妖精騎士の内バーゲストと妖精騎士ランスロットの二騎もそれぞれ正門の守護と遊撃に当たっていた。しかし、それはつい先程までの話。正門が抜かれてからはバーゲストは降伏し、妖精騎士ランスロットは上空へと飛び去ったことで女王の軍から離反した。

 この勢いに乗って、城下町に円卓とノクナレアの軍が殺到。着々と罪都キャメロットを攻略していく。

 

 

「仕込んだルーンはまだ機能してるな。これなら城下町への進軍も滞ることなく行けそうだ。」

 

 

 賢人グリムことクー・フーリンは、陽動の役目をこなしたあと師団に合流し、後方支援を主体に戦闘に参加していた。

 

 

「さて、向こう側も上手くやって・・・っ、誰だ!」

 

 

 気配を察知し、正体を現すよう催促するグリム。それに応えるように周りの景色と同化していた水晶の騎士が姿を見せた。その正体はもちろんエリドール、妖精騎士モードレッドである。

 

 

「・・・テメェか。やはりと言うべきか、この場にいたッ!?」

 

 

 言い切る前に水晶の騎士は凄まじいスピードで兵士を無視し、グリムに攻撃を加えるエリドールであった。しかし、その攻撃を加えた右腕の形状は、腕とも剣とも言えず、それらの要素が断片的にあるだけの歪な水晶塊であった。

 流石に杖のみでは防ぎ切れないため、ルーンによって生み出された木の腕でガードした。

 

 

「グリム殿!」

 

 

「来るな!コイツの狙いはオレらしい。オマエらは先に行け!」

 

 

「.・・・は、はっ!聞いたか、先に行くぞ!」

 

 

 隊長格の兵がそう号令すると、兵士達はたちまちこの場を去っていき、グリムと水晶の騎士だけが残された。

 

 

「グ、リム・・・グリム・・・!この、裏切者・・・め・・・。オマエは、行かせぬ・・・生かして、おけぬ・・・!」

 

 

「・・・なるほどな。初代グリムが言ってたバーサーカーってのはオマエのことか。クラス名だけ残すなんざ意地悪だと思ったが、名前を言っちゃ不都合って意味だったとはな。」

 

 

 初代グリムの残した情報、そして水晶の騎士がグリムに向ける憎悪。それらの要素が備われば、もはや『不貞隠しの兜』など無意味。口には出さないものの、二代目グリムはその正体を看破した。

 

 

「で、オレ(二代目グリム)と初代グリムを重ねちまってるってわけだ。前に戦った時はそんな様子じゃなかったと思うんだが・・・狂化のランクでも弄られたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やはりグリムに襲いかかったか。他に居合わせた兵すら見逃すとは・・・。バーヴァン・シーの警護に当てなかったのは正解だったな。)

 

 

 玉座から事の顛末を見届けているモルガン、その視線は今城下町で暴れているエリドールに向けられていた。

 

 

「へ、陛下、あの水晶で出来た歪なモノは一体・・・。」

 

 

「侵入者を駆逐するための殲滅機構だ。もっとも、単体に固執する不良品であったようだがな。」

 

 

 異常が起きたのは二日前、突如としてエリドールがキャメロットを出立。行き着いた先の工房で暴れ狂うエリドールの姿が、モルガンの遠見の魔術に映った。

 そも、妖精騎士モードレッドはその成り立ち故に非常に不安定な部分がある。それが今になって影響を及ぼし出したのだ。

 

 

(・・・ヤツが密かに集めてた魔晶核とやらは、繋ぎ合わせるためのもの。他の妖精騎士とは違い、自ら真名を露わにするにはエリドールという存在に一時的に妖精騎士モードレッドの名を縫い付ける他ない。ただの亜種礼装かと思えば、理論上で裏口を見つけ出していたとは。)

 

 

 妖精騎士モードレッドとエリドールは別の存在。そう定義されていたからこそ、彼自身がエリドール=妖精騎士モードレッドで結びつけてはならなかったのだ。

 彼の狂化ランクが下がった(・・・・)のは、つまりそれを理解してしまったからである。故に同名の存在を同一視してしまうようになったわけだが、モルガンだけはマスターであるからか間違いはしない。

 

 

「いや、むしろこれで完成(・・)に近づいたのかも知れんな。」

 

 

 個人の考えはそれまで。城下町に侵攻するパーシヴァル率いる円卓とノクナレア率いる王の氏族。そして、『予言の子』である『楽園の妖精(同族)』に敗北を与えるために、女王はその玉座を立った。




 エリドール(妖精騎士モードレッド)の身に何が起こったのか。比較的わかりやすく解説
 1.妖精騎士モードレッドの真名を解放したため、『エリドールが妖精騎士モードレッドである』という証明が為される。
 2.両名は完全な別人と定義されていたのだが、それを同一としてしまったため他の者も同一に纏めてしまうようになった(例:初代グリム=二台目グリム、マヴ=ノクナレア)
 2'.当然モルガンも汎人類史の魔女と同一になってしまうのだが、マスターとサーヴァントの関係によって雑ではあるが分別はできている。
 3.悪いことばかりではなく、二つの名が半ば入り混じってることで霊基出力が上がってたり。










 4.ここまで凝った説明してなんだけどこの状態次話で解消されます(軽いネタバレ)
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