月で死んだと思ったら異世界に召喚された   作:鮭のKan2me

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2:目覚めと出会い

 トネリコが眠りについてからというものの、オレとグリムは『棺』のある洞窟付近で生活していた。オレは少しでも力をつけようと魔術の研究に勤しんだが、オレの編み出した魔術は完璧に近い。故に優秀ではあったが、それ以上の改良は意味をなさなかった。一度グリムに教えを乞おうとしたが、「意味がない」と断られてしまった。

 そんなこんなで一年、また一年と過ぎていく。そして、トネリコが眠ってから20年が経った時、左手(・・)の魔術回路が異常を検知した(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「ッ!!」

 

 

 眠りについていた頭を一気に覚醒させる。そのまま飛び起きたオレは、洞窟の最深部へと向かった。実はトネリコが『棺』に入ったあと、そのすぐ側に即席の水晶玉を置いていたのだ。見た目は普段使っているものとほぼ同じだが中心部は曇っており、性能は遥かに劣る。しかしセンサーとして扱うなら充分であり、こうして離れていても動きは感知できる。

 グリムは洞窟の周囲にいたし、トネリコはまだ眠っているハズ。つまり、洞窟の中で活動しているのは第三者に他ならない。噂では救世主トネリコは死亡していることになっていたが、この洞窟の最奥に入られてしまえばその真相は明らかになってしまうだろう。

 急ぐ、急ぐ。洞窟の内部を照らし、侵入者を排除するために剣を構える。そうして進んで行くと、人影が見え—。

 

 

「あれ、モードレッド。どうしたのそんな急いで?」

 

 

「・・・・・・なんでもう起きてるんだ?」

 

 

「え、そりゃあ魔力回復しましたし、次の『厄災』までにもうちょっと修行しないといけないし・・・。あ、そうそう、この水晶玉助かりました。おかげで足元しっかり見えましたよ!」

 

 

 オレの水晶玉が反応したのは、トネリコだったらしい。『厄災』を祓ったあとのトネリコの消耗は激しく、グリムも次の『厄災』まで休ませると言っていたことからてっきり100年前後は眠っているものかと・・・。今度はもっと質の良い水晶玉を作るとしよう。

 ひとまず、目覚めたトネリコと一緒に洞窟を抜け、グリムと合流する。こうして救世主の旅は再開されたが、その矢先。

 

 

「救世主トネリコ、だな?」

 

 

 開けたところに出ると同時に、黒い鎧に身を包んだ妖精と鉢合わせた。

 

 

(誰だ!?何故トネリコの名を?噂では死んだと広まってるハズ・・・!)

 

 

 水晶を浮かべ臨戦態勢を取るモードレッド。一方、トネリコは身構えることなくその妖精の名を呼んだ。

 

 

「・・・エクター?その声、エクターですよね!なんでここに?」

 

 

「ほう、よく気づいたな。一応正体を隠すための鎧だったんだが・・・。」

 

 

 エクター・・・エクター!!?あのいつか会った頑固者の!?他の妖精と比べれば幾分か、いや数百倍はマシなヤツだったが何故トネリコの元に・・・?

 

 

「少々取り返しのつかないヘマをしてしまってな。行くアテもなく彷徨っていたところだが、丁度いい。厄介になるぞ。」

 

 

「—いいんですか?」

 

 

「フン、どうせ他の村に行っても煙たがられるだけだ。なら顔見知りのお前達と共に行くのも悪くはないだろう。」

 

 

 あまりの衝撃に構えたまま固まるオレを他所にどんどん話が進む。しかし、流石に何も意見しないわけにはいかない。

 

 

「・・・そんな簡単に決めていいものなのか?一緒に行くってことはつまり・・・。」

 

 

「承知の上です。それに、人手が多くなれば旅も楽しくなりますよ!」

 

 

 トネリコがそこまで言うなら、もうオレが止める筋合いはない。なんせオレのマスターは彼女だ。なにかあれば全力でサポートすれば良い。

 そんな感じのことを話していたが、それがエクターの気に触れてしまったらしい。

 

 

「おい、なにをひそひそと話している。」

 

 

「あぁ、すまない。少し不安な要素が幾つかあったのでな。・・・妖精騎士モードレッドだ。これからよろしく頼む、エクター。」

 

 

 こうして救世主トネリコ一行に黒騎士エクターが加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁぁぁぁぁぁぁ!クソッたれがっ!!お構いなしに突撃してくるんじゃねぇ!エクター、まだいけるか!」

 

 

「魔猪にやられるほどヤワな体はしてないが・・・流石にキツいな。お前らいつもこんな戦いしてたのか。」

 

 

「ここまでヒドイのはこれが初めてだっ!!」

 

 

 現在オレ達は魔猪の群れと盛大にやり合っている。事の発端は数時間前、いつもの様に困り事を解決して行く内にある依頼が舞い込んだ。それが魔猪の群れに関するものだった。とはいえ、魔猪の群れが起こす被害は間接的な面が大きいため、こうして戦う必要はなかったのだが・・・。

 

 

「魔猪の群れがなんですか!要は全員ぶっ倒せば良(・・・・・・・・)い話ですよね(・・・・・・)!」

 

 

 とまぁ、救世主様がいきなりブッパするもんで残りの群れが襲いかかってきた。それだけならいいのだが、どうやら魔猪の群れは複数グループあったらしく、倒したところで他の魔猪がオレ達の存在に気づいて襲いかかるという悪循環に陥っている。

 こんな状況でイキイキとしてるのはトネリコだけ・・・いやグリム、お前まだ余裕そうだな。もうちょっと頑張ってくれ、頼むホントに。

 

 

「おいモードレッド!また別の群れが来たぞ!」

 

 

「■■■■■■■■■■ーッッ!!!!!」

 

 

 途中から月の聖杯戦争で見かけたバーサーカーのように叫びながら戦ったオレは間違ってないと思う。




 伸びすごいなー、とは思ったけどまさか赤バーつくとは思わないじゃん()
 アヴァロン・ル・フェの話はリアルタイムで進められただけあって思い入れがあり、いつか書こうと思ってましたがこれだけ期待を寄せてくれるのは嬉しいですね!ちなみに自分の推しですが、こういう作品書いてる時点でなんとなく察せられるかと。
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