「私のターン、ドロー」
私は無心でカードを引く。
引いたカードを確認し、それを手札に加える。
「魔法カード《天底の使徒》を発動」
《天底の使徒》
通常魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できない。
①：ＥＸデッキからモンスター１体を墓地へ送る。その後、墓地へ送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、「ドラグマ」モンスターまたは「アルバスの落胤」１体を自分のデッキ・墓地から選んで手札に加える。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はＥＸデッキからモンスターを特殊召喚できない。
「EXデッキから《灰燼竜バスタード》を墓地に送り、墓地に送った《バスタード》の攻撃力以下の《教導の鉄槌テオ》を手札に加え、召喚」
《教導の鉄槌テオ》
効果モンスター
星４/光属性/魔法使い族/攻1800/守1500
このカード名の①③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：ＥＸデッキから特殊召喚されたモンスターがフィールドに存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②：このカードはＥＸデッキから特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない。
③：ＥＸデッキから特殊召喚されたフィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。ターン終了時まで、このカードの攻撃力は６００アップし、対象のモンスターの攻撃力は６００ダウンする。
「《テオ》の③効果発動。《テオ》の攻撃力を600上げ、《ノヴァマスター》の攻撃力を600ダウンさせる」
「その発動に、速攻魔法《禁じられた聖杯》を発動！」
《禁じられた聖杯》
速攻魔法
① 速攻魔法
(1)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が４００アップし、効果は無効化される。
「っ！」
私が《GｅａｔＴＯＲＮＡＤＯ》の効果にチェーンして《ライディーン》の効果発動し、十代の手札を確認した訳があった。
《ライディーン》の効果をバトルフェイズ中に発動すれば、ダメージを抑えることは出来たかもしれない、だけどもし《聖杯》ではなく、あのカードだったら、被害は相当な物になっていた可能性があったのだ。
《テオ》
攻撃力1800→2200
「バトル。《テオ》で《ノヴァマスター》に攻撃。その攻撃時に《フルルドリス》の②効果発動。《ドラグマ》の攻撃力を500アップ」
《エクレシア》
攻撃力1000→1500
《フルルドリス》
攻撃力1500→2000
《テオ》
攻撃力2200→2700
「罠カード《ヒーローバリア》」
《ヒーローバリア》
通常罠
自分フィールド上に「Ｅ・ＨＥＲＯ」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を１度だけ無効にする。
「《テオ》の攻撃を無効にする！」
「……ターン終了時、墓地に送られた《バスタード》の③効果発動。デッキから《アルバスの落胤》を手札に加える」
綾波 零
LP：2500
手札：3
「よし！ 俺のターン、ドロー！」
十代は引いたカードを確認し、どうやらいいカードを引いたみたいだ。
「いくぜ、零！ 《平行世界融合》を発動！」
《平行世界融合》
通常魔法
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを特殊召喚できない。
①：除外されている、「Ｅ・ＨＥＲＯ」融合モンスターカードによって決められた自分の融合素材モンスターをデッキに戻し、その融合モンスター１体をEXデッキから融合召喚する。
「除外されていた《フェザーマン》と《スパークマン》をデッキ戻し、《E・HEROサンライザー》を融合召喚！！」
《E・HEROサンライザー》
融合・効果モンスター
星７/光属性/戦士族/攻2500/守1200
属性が異なる「ＨＥＲＯ」モンスター×２
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカード名の①③の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ミラクル・フュージョン」１枚を手札に加える。
②：自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分フィールドのモンスターの属性の種類×２００アップする。
③：このカード以外の自分の「ＨＥＲＯ」モンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に、フィールドのカード１枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
「《サンライザー》の①効果で、デッキから《ミラクル・フュージョン》を手札に加える！」
「兄貴！ そのまま新しいヒーローを召喚っす！！」
「残念だけど、それは無理よ」
翔の応援に、私は一言付け加える。
「《平行世界融合》は、発動するターンはそれ以上モンスターを特殊召喚できない。そうでしょ？」
「あぁ、その通りだ。だけど、それでも十分！！ 《サンライザー》の②効果により、俺のHERO達は属性×200ポイント、攻撃力アップする！」
《ノヴァマスター》
攻撃力2600→3000
《サンライザー》
攻撃力2500→2900
「っ！」
「いくぜ！ 《サンライザー》で《エクレシア》を攻撃！」
「くっ！」
《サンライザー》攻撃力2900 VS 《エクレシア》攻撃力1500
綾波 零
LP：2500→1100
「《エクレシア》はEXデッキから特殊召喚されたモンスターとの戦闘では破壊されない」
「なら！ 《ノヴァマスター》で《フルルドリス》に攻撃！」
《ノヴァマスター》攻撃力3000 VS 《フルルドリス》攻撃力2000
「っ！」
綾波 零
LP：1100→100
「《ノヴァマスター》の効果でカードをドロー！ カードを1枚伏せ、ターンエンド」
遊城 十代
LP：3200
手札：1枚
「私の……ターン、ドロー」
私のライフは残り100。対して十代のライフは3200。
圧倒的なライフ差に私は絶望する。
「（また、負けるの？）」
カイザーとのデュエル以降、私の中にトラウマが生まれた。敗北へのトラウマが。
嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だ！ 嫌だぁぁぁ！！！
その時、私の中で何が弾けた。
「私は《アルバスの落胤》を召喚！ 手札を1枚コストに効果発動！ 十代の《サンライザー》と《アルバスの落胤》を融合！！」
「なっ！ 俺のモンスターと融合だと！？」
十代は《アルバスの落胤》の効果に驚きを隠せない。
チェーンするカードも無く、効果が処理される。
「融合召喚！！ 現れろ！！ 《氷剣竜ミラジェイド》！！」
《氷剣竜ミラジェイド》
融合・効果モンスター
星８/闇属性/幻竜族/攻3000/守2500
「アルバスの落胤」＋融合・⬛︎・⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎モンスター
①：「氷剣竜ミラジェイド」は自分フィールドに１体しか表側表示で存在できない。
②：自分・相手ターンに１度、「アルバスの落胤」を融合素材とする融合モンスター１体をＥＸデッキから墓地へ送って発動できる。フィールドのモンスター１体を選んで除外する。次のターン、このカードはこの効果を使用できない。
③：融合召喚したこのカードが相手によってフィールドから離れた場合に発動できる。このターンのエンドフェイズに相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
《ミラジェイド》と同時に湖の水が凍り始める。
そして、《ミラジェイド》から出る圧倒的な威圧感がフィールドを支配する。
「《ミラジェイド》の②効果発動！ EXデッキから《烙印竜アルビオン》を墓地に送り、《ノヴァマスター》から除外する！」
「やらせないぜ！ 零！ カウンター罠《無償交換》発動！」
《無償交換》
カウンター罠
①：相手がモンスターの効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。相手はデッキから１枚ドローする
「リバースカードオープン！ カウンター罠《カウンター・カウンター》」
「！？」
《カウンター・カウンター》
カウンター罠
カウンター罠カードの発動を無効にし破壊する。
「《無償交換》の発動は無効！ 次元の彼方へと消えろ！ 《ノヴァマスター》！！」
「《ノヴァマスター》！！」
《ノヴァマスター》が消え、十代の場には伏せカードが1枚あるだけ、対して私の場には攻撃力3000の《ミラジェイド》、攻撃力1500の《エクレシア》、攻撃力2300の《テオ》。総合攻撃力6800のモンスター達が並んでいた。
誰もが勝負があったと確信する。
「《ミラジェイド》！ 十代にダイレクトアタック！！」
バトルフェイズに入り、《ミラジェイド》は攻撃体制に入る。
《ミラジェイド》から放たれたブレスが、十代に迫る。
誰もが、決まったと思っていた。しかし、そのブレスは十代に届いていなかった。
《ミラジェイド》のブレスを一匹のモンスターが十代を守っていたのだ。
「！？ どういう事！？」
「サンキュー相棒。《ミラジェイド》の攻撃に合わせて、俺はこのカードを発動していたのさ」
十代の場に伏せられていたカードが開いていた。
「《クリボーを呼ぶ笛》……」
《クリボーを呼ぶ笛》
速攻魔法
自分のデッキから「クリボー」または「ハネクリボー」１体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
十代の相棒。《ハネクリボー》が特殊召喚され、《ミラジェイド》の攻撃を受け止めたのだ。
「だが、まだ私のバトルフェイズは終了していない！」
「それは叶わないぜ！ 《ハネクリボー》の効果により、このターン俺が受ける戦闘ダメージは0になる」
《ハネクリボー》
効果モンスター
星１/光属性/天使族/攻 300/守 200
①：フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは０になる。
「……っ！ ターン、エンド」
綾波 零
LP：100
手札：2枚
「ワクワクしねか、零」
「……」
「俺の手札は1枚。場には何も無い。このドローが全てをひっくり返す瞬間を！」
十代は笑っていた。
追い込まれているのにも関わらず、子供のようにワクワクしていたのだ。
「行くぜ！ 俺のターン、ドロー！！」
そして、十代が引いたのはーーー
「よっしゃー！ 来たぜ、俺は手札の《E・HEROキャプテン・ゴールド》の効果発動！！」
《E・HEROキャプテン・ゴールド》
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻2100/守 800
このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「摩天楼 －スカイスクレイパー－」１枚を手札に加える。また、フィールド上に「摩天楼 －スカイスクレイパー－」が存在しない場合、このカードを破壊する。
「デッキからフィールド魔法《摩天楼ースカイスクレパーー》を手札に加える。零に見せてやるぜ！ ヒーローにはヒーローに相応しい舞台を！！ フィールド魔法《摩天楼ースカイスクレパーー》を発動！」
《摩天楼ースカイスクレパーー》
フィールド魔法
①：「Ｅ・ＨＥＲＯ」モンスターの攻撃力は、その攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するダメージ計算時のみ１０００アップする。
私の《召喚魔法陣》が破壊され、新たなフィールドが出現する。
高層ビルがあらわれ、ヒーローに相応しい舞台が出現した。
「さらに！ 《ミラクル・フュージョン》を発動！ 墓地にいる《サンライザー》と《キャプテン・ゴールド》、《 ＧｒｅａｔＴＯＲＮＡＤＯ》を融合！」
3体のヒーローが混じり合い、新たなヒーローが降り立つ。
「現れろ！ 《E・HERO Core》！！」
《E・HERO Core》
融合・効果モンスター
星９/地属性/戦士族/攻2700/守2200
「Ｅ・ＨＥＲＯ」モンスター×３
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
①：１ターンに１度、このカードが攻撃対象になった時に発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージステップ終了時まで倍になる。
②：このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
③：このカードが戦闘・効果で破壊された時、自分の墓地のレベル８以下の「Ｅ・ＨＥＲＯ」融合モンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。
「バトル！ いっけぇ！！ 《Core》！！ 《ミラジェイド》に攻撃！！」
《Core》攻撃力2700 VS 《ミラジェイド》攻撃力3000
《Core》の攻撃力は《ミラジェイド》より低い。
自殺行為に見えるこの攻撃だが、十代の場にはフィールド魔法《摩天楼ースカイスクレパーー》があった。
このままでは、《Core》の攻撃力が《ミラジェイド》を上回る。
「嫌だ！ 私は負けたくない！！ 罠カード《決戦融合ーファイナル・フュージョン》発動！！」
「なっ！ そのカードは！！」
《決戦融合ーファイナル・フュージョン》
通常罠
①：自分フィールドの融合モンスターが相手フィールドの融合モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その融合モンスター２体を対象として発動できる。その攻撃を無効にし、お互いのプレイヤーはその融合モンスター２体の攻撃力の合計分のダメージを受ける。
《Core》と《ミラジェイド》がぶつかり合い、その衝撃波で私と十代のライフが削られる。
綾波 零
LP：100→-5600
遊城 十代
LP：3200→-2500
両者引き分けでデュエルは終了する。
デュエルが終了と同時に、私の意識が朦朧し始め、そのまま倒れ込む。
「おい！ 大丈夫か！？」
ボートの上でデュエルしており、私は湖の中に落ちた。
そこから先はーーー何も覚えていない。