ダンジョンに鬼神がいるのは間違っているだろうか。   作:田中ゲリラ

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今年最後の投稿です。
今回は鬼灯様成分マシマシです。


秘密捜査官鬼灯(後編)

 

 歓楽街

 

 そこはオラリオの第四区画に属す、唯一女を買える土地である。

 そこで働いている娼婦はイシュタル・ファミリアの眷属であり、冒険者であるためか、ほとんどが人間(ヒューマン)亜人(デミヒューマン)関係なく美形がそろっている。

 そこにひとり、他の男性冒険者と違う格好の男がいた。

 桃色の着物を着崩し、左手に煙管を持ち、どこかの海賊王を思い出す帽子をかぶった鬼灯である。

 鬼灯はガネーシャが用意した服装に着替え、潜入のためにイシュタル・ファミリアの本拠地(ホーム)女主の神娼殿(ベーレト・バビリ)に来ていた。

 

 「イシュタル様がいるってのはここかい?」

 「お兄さんイシュタル様をご指名かい?悪いがやめておけ。イシュタル様はお前なんかと寝る暇はないんだよ。」

 

 だが扉から顔を出してきた団員は初めて見た男を軽くあしらう。

 そんなやり取りをしていると、奥からもう一人の団員が走ってくる。

 走ってきた団員が息を切らしながらあしらった人物に耳打ちをすると、その団員の顔に驚愕の色が見える。

 

 「こ、これは失礼しました!どうぞ、イシュタル様がお待ちしております!」

 

 鬼灯は疑問に思いながらも、その団員に案内されるがままに入っていく。

 しばらく案内されると、奥には豪華な造りの部屋にたどり着く。

 案内した団員はそそくさと去っていく。

 それを見送った鬼灯はその部屋に入っていく。

 

 「ほう初めて見る顔だね。」

  

 鬼灯はその声が下方向を見ると、そこには少ない布で胸と腰回りだけを隠した女がいた。

 

 「初めましてだな。私の名はイシュタル。見ての通り美の神だ。」

 

 そう自己紹介するイシュタルに鬼灯は距離を詰めドスを突き付ける。

 

 「あんたがイシュタルか。悪戯されたくなかったら闇派閥(イヴィルス)の情報をよこせ。」

 「ハァ!?何だィ急に。どこの組のハロウィンだい!?」

 「役人だ。」

 「嘘つくな!その獲物の扱いはベテランの若頭だよ!」

 

 鬼灯の突然の行動に腰を抜かしながらも突っ込むが鬼灯は半分冗談だとドスをしまう。

 イシュタルは何とか体制を持ち直し、自分の持っている煙管に火をつける。

 

 「しかし闇派閥(イヴィルス)の情報を吐け、か。ふん、貴様みたいなやつは何人も見たな。」

 

 そうイシュタルは煙を吐きながら話すが、鬼灯は顔色を一切変えなかった。

 

 「つまり、闇派閥(イヴィルス)の情報は話さないと。」

 「知ってたら話したいさ。けど知らないものをどう話せと。」

 

 鬼灯の言葉に知らないと通すイシュタル。

 鬼灯は話しても無駄だと思い、懐からある道具を出す。

 その道具は杖に男と女の顔がついた不気味な杖だった。

 

 「な、なんなんだいそれは。」

 「これは人頭杖。この杖は善行悪行を判別し、悪行、嘘にはこう反応します。」

 

 そうすると人頭杖の男の顔から火が吹く。

 

 「善行にはこう。」

 

 女の顔は口から花が咲き、褒めてつかわすと喋った。

 イシュタルはその女の顔が自分までとは言わないが美人なことに若干引いていた

 鬼灯が人頭杖の説明を終わらせると、その頭をイシュタルに近づける。

 

 「ちょ、なんでそれを近づける!?」

 「なんでも下界では、神は人の魂を見て嘘を見抜けるそうなので、それと同じように神の脳と魂に反応するようにレプリカを技術科や焙烙斎様に頼んで作って貰いました。」

 「だからってそんないきなり…」

 「ではいきます。」

 

 そう言うと鬼灯はイシュタルに質問する。

 

 『あなたは闇派閥(イヴィルス)の情報を知っていますか?』

 「し、知らない。」

 

 その瞬間イシュタルの体は炎に包まれる。

 炎に包まれたイシュタルは声にならないほどの叫び声を上げ、床を転がる。

 鬼灯は近くにあった毛布をかぶせ、火を消す。

 火を消してもらったイシュタルは鋭い目つきで睨みつけるが鬼灯は意にも介さない。

 それどころか、鬼灯の方こそどう調理してやろうかと睨み返す。

 

 「お、お前こんなことをしてどうなるかわかってんだろうなぁ!」

 「ほう、どんなことなんですか?」

 「こんなことだよ!」

 

 そう言いながらイシュタルは鬼灯の目を見る。

 そう魅了だ。魅了を発動した。

 しかし鬼灯は効いてないのか首をかしげるだけだった。

 

 「な、なんで効かないんだ!もしかしてスキルか!?」

 「スキル?ああ、すみませんが私は恩恵などは貰っておりません。」 

 「なんだと!?お前、本当に人間か!?」

 「そういえば自己紹介がまだでしたね。」

 

 そういうと鬼灯は自分のかぶっている帽子をぬぐ。

 

 「私、閻魔大王が第一補佐官の鬼灯と申します。」

 「閻魔大王だと。なぜ日本のものがここにいる!一体誰の指示で来た!?」

 「誰の指示って、別に命令されて来たわけじゃありませんよ。」

 

 そう言いながら鬼灯はイシュタルに近づいていく。

 

 「ま、待て。お前もしかして手を出すつもりか?」

 「安心してください。ただ痛い目に遭わせるだけです。」

 「そっちの方が嫌だわ!」

 

 じりじりと近づいていく鬼灯。

 イシュタルは腰が抜けたまま後退りしていく。

 

 「分かった!話す。話すから待ってくれ。」

 「やっとですか。」

 

 イシュタルの返答を承知した鬼灯は懐にから通信系の魔道具を取り出す。

 

 「あ、ガネーシャ様ですか。イシュタル様の言質が取れたのでお願いします。」

 

 そうガネーシャへ連絡した鬼灯は、先ほどの思い出したのかをイシュタルに問う。

 

 「そういえば先ほど、団員の方が焦った様子で私を案内したのですが、何か理由とかありますか。」

 「ん?ああそんなもん、ただの人違いだ。」

 「人違い?」

 

 鬼灯の疑問に答えるイシュタル。

 イシュタルはもうやけになったのかペラペラと喋り始める。

 

 「なんでもお前の顔が私をよく買ってくれる人物に似てるだとか。」

 「顔が似てる、ですか。」

 

 鬼灯は顔が似てるというワードに少し嫌な予感がする。

 

 「あいつは上客でな、よく私や他の娼婦たちを買ってくれるんだ。それに娼婦一人一人に合わせた薬を処方してくれるしね。」

 「薬?処方?」

 

 だんだんと鬼灯に青筋が立ってくる。

 

 「確か名前は白たkドゴォン

 

 イシュタルが名前を言おうとした瞬間、鬼灯の拳が壁にめり込む。

 

 

 ガネーシャに言われて歓楽街に来てみたが未だにガネーシャの言ったことが信じられない。

 

 「なあ姉者、ガネーシャの言ったことは本当なのか。」

 「さあな。けど、ガネーシャが嘘つくようなことはないし、報告があった以上行かなきゃいけない。」

 「だが潜入してるのはあいつなんだろ。急に現れたと思ったら協力するだぁ?そんな怪しいやつ信じれるわけないだろ。」

 

 確かにイルタの言うことは確かだ。しかし、私たちの主神であるガネーシャは群衆の神だ。あいつが人間に害するやつと手を組むはずはないだろう。

 そう自分に言い聞かせているとどこからか、なにやら騒がしい声が聞こえた。

 そこに行ってみるとなにやら野次馬ができていた。おそらく騒ぎの原因はそこだろうと判断し、その野次馬に入り込んでいく。

 

 「すまんが通してくれ。ガネーシャ・ファミリアだ。」

 

 そう野次馬をかき分けていくとその中心には自分の見知った人物がいた。

 

 「鬼…灯…殿?」

 「これはシャクティさん。お疲れ様です。それと、これが件のものです。」

 

 そう鬼灯殿が突き出したのは気絶した女神イシュタルだった。

 自分を含む野次馬たちはその鬼灯殿の異様な雰囲気に息をのんでいた。

 

 「あとはよろしくお願いします。」

 

 そう言いながら女神イシュタルを渡した鬼灯殿はどこかへそそくさと歩いていく。

 

 「待ってくれ!せめて状況の説明をしてくれ!私には何が何だかわからない!」

 「すいません、説明は後程致します。今はちょっと大事な用事がありますので。」

 「しかし!」

 

 鬼灯殿を止めて話を聞こうとするが静止を聞かずに歩いていく。

 何とか止めようとするが放り出された女神イシュタルを放っておくことはできないので鬼灯殿を追うのをやめ、女神イシュタルを我らの本拠地(ホーム)へ連れていく。

 その後、ガネーシャが女神イシュタルを尋問し、何とか闇派閥(イヴィルス)の情報を聞き出すことができた。

 

 ちなみに歓楽街で白衣姿の男が吹っ飛ぶ姿を見たという情報があったがそれはまた別のお話である。




ここまで読んでくださりありがとうございます。
誤字報告などよろしくお願いします。
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