すごく強い魔術師がホグワーツにやってくるので、『ハリーポッター』は賢者の石で完結します。   作:味なしコンフレーク

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–肆章–『ホグワーツ魔法魔術学校』

 『あと五分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、社内に置いていってください』

「車内アナウンス・・・いよいよだな」

敵がこのホグワーツの教員の誰かに潜んでいることが分かった。だが、肝心の「誰なのか?」までは分からない。

辰水は、自他共に認める優秀な魔術師で、今回のように、普通の生徒には要請されない任務に駆り出されることも多々ある。簡単にやられるようならそもそもここにはいない。

(だが、弱体化しているとはいえ、ヴォルデモートも闇祓いから逃げ続けられるだけの実力はある・・・舐めてかかって良い相手ではないのは確かだな)

 

「ようこそ、ホグワーツへ」

列車を降りた辰水を待っていたのは、ローブ姿の梟子さんだった。

「留学生一人の出迎えに副校長先生が出向かなくても良くないです?」

「それだけ、貴方の存在は大きいということです」

梟子さんに連れられて向かったのは馬のいない馬車だった。

「珍しい天馬ですね。」

「・・・見えるんですね、セストラル」

「日本では彼岸種っていうんですけど、縁起が悪いからって人気ないんですよね・・・コイツらだって好きでそう生まれたわけじゃないのに」

辰水はそう言って、セストラルの首をそっと撫でた。セストラルも気持ちいいのか、されるがまましている。

「優しいところもあるんですね」

「ひどいなぁ先生。俺のこと、何だと思っていたんですか?」

「後輩のスカートめくりをするクソ野郎だよ、このド低脳!」

「ッ!?」

「え・・・あれ!?ご、ごめんなさいっ!!私、こんなこというつもりじゃなかったのに、なんで・・・!?」

「・・・なんだ。お前、そんなとこにいたんだな・・・」

「え?」

「・・・何でもない。早く行こうぜ、梟子先生」

「ちょ、ちょっと、いきなり馴れ馴れしくないですか!?」

 

晴海・グレンジャー・阿倍野にとって魔法とは、復讐の道具であり、未だ10年ちょっとしか生きていない中で得た、膨大な知識の一つでもある。

本来の彼女は知識欲が旺盛な性格で、「魔法は復讐の道具なのだ」と割り切っているつもりでも、『知らないことがある』事実には耐えられないのだ。

「あれは・・・星空?」

新入生の歓迎会がある大広間にやって来た晴海たちが見上げた先には、本物と見紛うほどの綺麗な星空が広がっていた。

「本物に見えるように魔法がかけられているのよ」と、晴海の隣にいた少女がそう言った「『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」

「そんなこと分かっているわ。問題は、どういう仕組みであれほどの幻を常時反映(Realize)させ続けているのかってことよ!」

「リア・・・何?」

「・・・ごめんなさい。忘れてちょうだい、パドマ」

「・・・驚いたわ!さっき双子のお姉ちゃんと一回、自己紹介しただけなのにもうどっちがどっちか分かるの!?」

「流れている魔力の質が違うわ」

「・・・そんなこと分かるの?」

「あー、そのー・・・そうよ!私、列車の中で上級生と仲良くなって、やり方教えてもらったの。才能あるわって褒められちゃった!」

「そうなんだ、知らなかった・・・ハーミー。貴方きっと、素晴らしい魔女になるわ!何でも知っている上に、とても勤勉なんですもの」

「あ、ありがとう」

(私ったらオオマヌケ!『魔術師だってことはこの学校の生徒には内緒だからね?』なーんて、大寺辰水に偉そうなこと言っておいて、自分でバラしそうになっているじゃない!!)

「それにしても、新入生歓迎会って結局、どんなことをするのかしらね。赤毛のノッポくんは、すっごく痛いって言っていたけど・・・あの帽子が私たちを痛い目に遭わせるのかしら?」

「そんなことをさせる学校なら、こっちから退学届を叩きつけてやるわ」

上座のテーブルに先生の一人が四本足のスツールを置いた。椅子の上には魔法使いのかぶるとんがり帽子が置かれたのだが、つぎはぎのボロボロでとても汚らしかった。

(何かしら、あの帽子・・・ただの帽子じゃない?)

一瞬、広間は水を打ったように静かになった。すると帽子が動き出し、つばのへりの破れ目を口のように使って歌い出したのだ。

 

『私はきれいじゃないけれど、人は見かけによらぬもの

私をしのぐ賢い帽子 あるなら私は身を引こう』

 

暫くして歌い終えた帽子に拍手喝采が巻き起こる中、晴海は考え込んでいた。

(なるほど。あの帽子をかぶれば、寮が決まるのね。勇猛果敢な『グリフィンドール』に正しく忠実な『ハッフルパフ』、古き賢き『レイブンクロー』に手段を厭わない『スリザリン』・・・さて、どこの寮に行けば『魔術師』として動きやすいのかしら)

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けたまえ・・・アベノ・ハルミ!」

(一番乗りってやつだわ・・・こうなったら、あの帽子に聞いてみるしかなさそうね。見たところ、歌うだけってわけでもなさそうだし)

目が隠れるほど大きな帽子を被せられると・・・意外にも、帽子の方から話しかけてきた。

『(なにゆえ、ホグワーツの門を叩いた、幼き魔術師よ)』

「・・・復讐。」

『(それは、それは。物騒だな。それはどんな手段を使っても叶えたい願いなのかね?)』

「冗談。自分の為に誰かを巻き添えにするなんて、同類ですって言っているようなものじゃない」

『(・・・それが分かっているのなら私からはなにも言わない。だが、これだけは覚えておくといい、魔術師よ。共通の経験をすることで互いを好きになる。人生にはそんな特別な経験もあるものだぞ)』

「グリフィンドール!!」

帽子が叫んだ。拍手喝采が鳴り響く中、私はグリフィンドール寮のテーブルに向かおうとして・・・一瞬だけ立ち止まった。

「そんな経験、とっくにして来ているわ・・・喪ったものが増えただけだったけれどね」

 

「さて、みんなよく食べ、よく飲んだことじゃろう。実は今日はもう一つ。皆にサプライズがある」

ダンブルドア校長が立ち上がると広間が静かになり、必然的に、校長に手招きされて隣に立った俺に視線が集中した。

「今年度、我が校は日本の魔術教育機関・魔法処と交換留学を行うことになった。魔法処へは我が校きっての奇才、ユースタス・コーダーが。そして我が校には、彼、大寺辰水殿が来てくれた。授業は主に各寮の7年生のクラスを受けてもらうつもりじゃ」

そう言って校長は俺に挨拶を促した。壇上に立った俺は広間をグルリと見回して軽く頭を下げた。

「はじめまして。国立魔法処学園高等部・対魔獣科専攻2年、大寺辰水です。1年間という短い間ですが、仲良くしてくれると嬉しいです」

再びの拍手喝采にもう一度だけ一礼し、席に戻ろうとした辰水だったが、それに待ったをかけたのはあるスリザリンの生徒だった。

「冗談ではない!他の寮の奴らがどう考えているかは知らないが、少なくとも我々スリザリンの7年にとっては、この1年は就職に向けた大事な年だ。魔法のレベルが蟻以下の極東の猿に付き合っていたら授業が遅れてしまう!!」

彼の言葉に呼応するようにスリザリンから「その通りだ!」「大人しく帰りなさいよ!」と声が上がった。

「・・・とのことだが、大寺殿。何か言いたいことはあるかな?」

ダンブルドアがこちらをチラッと見た・・・その瞳の奥がとてもキラキラしていた。

「・・・と言いますと?」

「君なら、彼を黙らせることができる・・・違うかね?」

「(このヒゲオヤジ、この状況を楽しんでいやがる!)そんなことをしたら、俺は霧灯理事長の顔に泥を塗ってしまうことになります。そんなことは–––」

 

「どうしたよぅ?日本の乳くせぇババァに怒られるのが怖いんでちゅか〜?」

 

「・・・上等だよ、このやろう」

瞬間、ゾワっとするような気迫を撒き散らしながら、辰水はその生徒に向かってゆっくりと歩きだした。

「な、何だお前!この僕に・・・リアードノ・マッカンジーに楯突くのか!日本人は日本人らしく、米でも漁っておけ・・・ば・・・?」

辰水に威勢の良い罵倒を吐き散らかしていたリアードノは、突然、糸が切れたみたいに腰を抜かして床に座り込んだ。

「へ・・・あれ?からだ、うごかな・・・」

「オイ」

「ヒッ!?」

只の声がリアードノの体に重圧となってのしかかる。先ほどまではひ弱そうなただのチビにしか見えなかったはずなのに、今の彼の目には・・・大寺辰水が巨人に見えた。

『俺は別に自分が何を言われたって構わない。日本人は魔法の扱い方に関してだけで見れば、遅れているのも事実だしな。でもな・・・尊敬している恩人を悪くいう奴だけは我慢がならない・・・分かるか?』

「は、はは?なに、言っているんだよ?英語で、しゃ、喋れよ、ここは、イギリスだぜ?」

I’ll fucking kill you(ブチ殺してやるって言ったんだよ)・・・!」

「–––––––」

勝負は一瞬だった。リアードノはそのまま泡を吹いて仰向けにぶっ倒れて気絶してしまった・・・彼は、大寺辰水は戦わずして、相手を黙らせてしまった。

「・・・これが俺たち日本の魔法使い、『魔術師』が学ぶ『魔力を放出して、コントロールする』技術です」

リアードノに背を向けて壇上に戻った辰水はさっきまでの重圧や恐ろしい表情、何もかもが嘘だったかのように穏やかに喋り出した。最も、目は笑っていなかったが。

「『ただ魔力をションベンみてぇに垂れ流すだけのくそッカスに教えることなんざ何もねぇ。自分の魔力を放出し、色を理解して初めて、お前たちは魔術師と言えるんだ』・・・今は亡き偉大な魔術師、霧灯絶刀の言葉を俺は昨日のことのように覚えています」

辰水の言葉に梟子は少しだけ驚いて・・・少しだけ、悲しそうに笑った。

「俺は天才じゃない。英雄でもなければ、最強でもない・・・だが、もしもこの場に、コソコソと隠れている卑怯者の癖に、俺こそ最強だとふんぞりかえっている井の中の蛙がいるのならば聞け!」

鞘から刀を抜き放ち、天に掲げ・・・大寺辰水は声高らかに宣言した。

 

「来るならかかってこい!殺せる者なら殺してみろ!!俺はお前らのように逃げも隠れもしない・・・お望み通り、いつでも相手になってやる!!」

 

 

 

 

深夜。誰もいない森の中、何者かが独り言をつぶやいていた。

「私は我慢なりません、我が君!極東のクソザルに、我が君をあのように侮辱されたままでは終われません。即刻殺しt・・・」

『落ち着け、我が部下よ』

「しかし・・・!」

『安い挑発に乗るなと言っているのだ、この愚か者!今の我々の目的は賢者の石だ!それを忘れるな』

「!・・・申し訳ございません」

『・・・』

項垂れる部下には目もくれず、我が君と呼ばれた何かは静かに・・・だがメラメラと怒りの炎を燃やしていた。

(よくもこの俺様をコケにしてくれたな・・・大手辰水、貴様は必ず殺してやる。この偉大なる闇の帝王、ヴォルデモートがなぁ!)

 

 

「で、俺は言ってやったわけ。『ヴォルデモート?じゃあヴォルちゃんで良いよね♪』ってwww」

「ぶッフォおおwww(爆笑)」

一方その頃、大寺辰水は同室(ユースタス・コーダーがいた部屋)のルームメイト、レスリー・リュウと意気投合。ヴォルデモートが自分に殺意を向けているのを知っていながら、盛大に話のネタにして笑い転げていたのだった。

 




〈登場人物〉
大寺辰水
 主人公。17歳。魔法処学園高等部対魔獣専攻2年生。立派な魔術師になってほしいという両親の期待に耐えきれず、中学時代は魔術を悪用して、喧嘩ばかりしていた過去がある。

峰狛梟子(ミネルバ・マクゴナガル)
 ヒロイン(誤植にあらず)。ホグワーツ魔法学校副校長。ランダムで誰かの身体と入れ替わる魔法を使う傍迷惑な方法で自殺した少女『峰狛梟子』と身体が入れ替わってしまった。

晴海・グレンジャー・阿倍野
 魔法学校1年生。魔法処をたった4年で卒業した最年少の正魔術師。彼女自身は元々はイギリス人で、歯科医の両親と幸せに暮らしていたのだが・・・。

ハリー・ポッター
 本当の主人公。大寺辰水のことを尊敬しており、彼のようになりたいと思っている。

アルバス・ダンブルドア
 ホグワーツ魔法学校校長。日本の魔法界でも偉大な人物として知られている。魔法処の前理事長・霧灯絶刀とも深い親交があり、諸事情あって葬儀に行けなかったことを深く後悔している。
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