すごく強い魔術師がホグワーツにやってくるので、『ハリーポッター』は賢者の石で完結します。   作:味なしコンフレーク

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–伍章–『学園生活編』

 入学式の翌日。辰水が寮を出て、大広間に向かうと、何やら人だかりができていた。

『見て、見て』

『どこ?』

『赤毛ののっぽの隣』

『メガネをかけているやつ?』

『顔見た?』

『あの傷を見た?』

つま先立ちして何かを見ようとする者もいれば、わざわざ逆戻りする生徒も。

「何事だ?」

「ハリーだろ」とレスリー「なにせ、あの『生き残った男の子』が同じ学校にいるんだ。見たい野次馬が出てきて当然さね」

人だかりの先には、げんなりした顔で朝食を食べているハリーの姿だった。

「すごい人気だな、ハリー」

「辰水・・・に、えっと」

「グリフィンドールの7年生、レスリーだ。お会いできて光栄だぜ、ハリー・ポッター様。ファンクラブ第0号になっても良いかい?」

「やめてくれよ・・・教室を探すだけでも精一杯なのに、ジロジロと見られて迷惑ったらないよ」

「ハハハ、違いない」とレスリー「だがまぁ、そういうことは思っていても口に出すべきじゃない。お前のことを羨ましいって思っている奴もいるからな」

「そうなの?よくわかんないや」

「まぁ、せめて俺らだけでも特別扱いしないようにするよ。あまり意味はないかもしれないけど」

「そうだな。俺もお前と喋ってみて思ったけど、どっからどうみても、どこにでもいる普通のホグワーツ生だぜ、ハリー」

「・・・ありがとう、辰水、レスリー」

 

7年生の最初の授業は『闇の魔術に対する防衛術』だった。ホグワーツでは実戦的な科目だと聞いていたので、少し身構える辰水に対して、レスリーはあまり緊張していないようだった。

「そんな肩肘張るような授業じゃないよ」

「そうなのか?」

「あぁ、なにせ・・・っと、来たな」

カツカツと音がしてドアが開いた瞬間。

 

「・・・・ッ!?」

 

ズワッ!!!!!と怖気が走るような・・・或いは、この世界にある悪いもの全てを瓶に詰めたかのようなドス黒い空気が部屋中を突き刺した。

 

「で、では、じゅ、授業をは、始めます・・・」

教壇に立った男は、ビクビクと何かに怯えているように見せかけており、今にも失神しそうといった風に片目を痙攣させていた。

「・・・」

「ほらな?」とレスリーがヒソヒソ声で囁く「俺も詳しくは知らないんだけど、クィレル先生、吸血鬼に襲われたみたいでさ。生徒を怖がるわ、自分の教えている科目にビクつくわ・・・俺らからしたら、いい迷惑さ」

「お前には・・・あれがそう見えるのか?」

「は?どういう意味だよ?」

「・・・いや、なんでもない」

「きょ、今日は、せせせっかくミスター・オオデラがいるので、彼と・・・み、ミス・オウカ」

「はい」

呼ばれて前に出たのは、7年生にしては小柄な少女だった。

「ミスター・オオデラ。彼女とけけ、決闘をして、いいいいただけますか?」

「・・・はい」

スッと前に出て少女と相対する。

「話すのは初めてね。グリフィンドール7年生・シェルフィ・オートリア・オウカ。よろしくね、オオデラくん?」

「オウカ?」

「オウカっていうのは、私の死んだひいおじいちゃんの苗字なの。もっとも、私は日本語なんて分からないし、行ったこともないけれどね」

スッと杖を取り出してお辞儀をするオウカに対し、辰水も会釈する。

「『Stupefy(麻痺せよ)!!』」

先手必勝と言わんばかりにオウカが失神呪文を仕掛けてきた。

「呪文系は得意じゃないんだが・・・『害するものを弾け』!!

辰水が手を合わせた瞬間、不可視の盾が呪文を弾いた。

「やるね!」

「専門外だけど、基礎的な呪文くらいなら俺でもできるよ」

(だが、あまりここで目立ちたくはないな。手の内はなるべく見せたくない)

「とくれば・・・(オン)!!」

「?・・・え、なに!?重ッ!?」

合わせていた手を握手するように握りしめる。ズンッ!という音がして、オウカが何かに引っ張られるように地面に膝をついた。

「・・・見様見真似の陰陽術。こんなところで役に立つとはな」

「こ、これが見様見真似?・・・あなた、結構すごい魔法使い?」

「どうだかな・・・で、まだやる?」

「・・・まいったわ」

呪文を解いてオウカと握手を交わす辰水。周りからは拍手喝采が鳴り響いた。

ふとクィレルと目が合う辰水。俺の何に驚いたのかは分からないが、先程までの情けなさそうな表情が消えている彼にニッコリと笑いかけるとスッと目を逸らされた。

「た、大変、素晴らしいものを、みみみみさせてもらいました・・・でででは、今日の授業はこれまで」

すぐにいつものどもった口調に戻ったクィレル先生だったが・・・ターバンからは、異様で邪悪な視線が注がれていた。

「(ようやく尻尾を捕まえた・・・とはいえ、敵は思った以上に厄介な相手のようだ)」

 

 「やっぱり・・・私の感じていた違和感は間違いじゃなかったわね」

誰もいない廊下の壁にもたれかかって、大寺辰水から来たメールに目を通した晴海はパタンとモバイルフォンをとじた。

「(ヴォルデモートはホグワーツの教師、クィリナス・クィレルを乗っ取って潜伏中。完全復活の為に、この学校に隠された命の水の源『賢者の石』を狙っている・・・なら今はまだ動き出すべきではないわね。向こうが動き出すっていうのなら、話は別だけど)」

その時、バタバタという音が聞こえてきたので、面倒事を避けるために隠れようとしたが・・・意外にも現れたのは見知った顔だった。

「あれ?グレンジャー?」

「ハリー・ポッター・・・と、えっと、ロニー?」

「ロンだよ。なんで、そっちの呼び方を知っているんだよ・・・」

「二人とも、どうしてここに?夜に寮を勝手に抜け出すのは禁止よ?」

「それは君も同じだろう?」

「私は、マグゴナガル先生に授業のことで用事があって遅くなったの」

「って!そんなことを言っている場合じゃないよ!!急がないとフィルチに捕まっちゃうよ!!」

「あれ?」とハリー「・・・フィルチ来ないね?ポルターガイストのピーブズが大声で叫んでフィルチを呼んだはず・・・」

「心配いらないわ。人避けの陰みょ・・・魔法をかけたから、当分、ここら辺には誰も来ないわ」

「本当?」

「じゃなきゃ、フィルチの飼い猫のミセス・ノリスにとっくに見つかっているわよ、私たち」

「それもそうか・・・おっどろき〜!君、すごいんだね」

「助かったよ、グレンジャー」

「どういたしまして・・・それで?どうしてあなた達はここに?」

「マルフォイとトロフィー室で決闘の約束をしたんだよ」とロン「でもあいつ怖気付いて来なかったんだ」

「・・・ハリー、ロン。あなたたち、マルフォイにはめられたのよ」

ハリーとロンはなんともいえない表情で顔を見合わせた。

「・・・そうか!マルフォイは初めから来る気なんかなかったんだ。フィルチに告げ口して、僕たちを退学させようとしたんだ!!」

Marlin’s beard(チクショウなんてこったい)!!ぼくたち、まんまとマルフォイの罠にひっかかったオオマヌケってことじゃないか!フレッドとジョージに知られたらいい笑い者だ!!」

「二人とも落ち着いて!一回、夜中に抜け出したくらいで退学になんかならないわ。大量に減点されるかもはしれないけれど、それはあなたたちだって覚悟の上で決闘の申し出を受けたんでしょう?」

「それはそうだけど・・・」

「このままやられっぱなしっていうのはイヤだな。せめてマルフォイの鼻を明かすくらいはしないと、気が済まないよ」

「そうね、それは同感・・・なら鼻を明かすとしましょう」

「「できるの!?」」

「え、えぇ・・・できないことはないわ」

口を揃えて晴海に詰め寄るハリーとロンから少し後ずさった。

「ここから減点されずに無事に寮に戻るのよ」

杖を取り出して、ドアを軽く叩いた。

「何をしているの?」

「シッ・・・黙ってみていて」

カチッと鍵が開き、ドアがパッと開いた。ドアの先に広がっていたのは・・・グリフィンドールの談話室だった。

「え!?ここ、グリフィンドールの談話室!?」

「おったまげー・・・ハーミー、君、何をしたんだい!?」

「・・・原理は秘密だけど、要はあの扉を擬似的な移動(ポート)キーにして、グリフィンドールの談話室と繋げたのよ」

「グレンジャー、君、すごいんだね」

「助かったぜ、ハーミー。もう助からないかと思ったや」

「大げさね」クスリと笑う晴海「役に立ったようなら良かったわ。これに懲りたらもう悪さなんかしないことね。じゃあ、おやすみなさい」

ロンはポカンと口をあけて晴海を見送った。

「ハリー・・・僕、おかしくなっちゃったのかな?ハーミーが年上のお姉さんみたいに見えたよ。これが噂に聞く『ジャパニーズ・バブみ』ってやつなのかなぁ?」

 

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