すごく強い魔術師がホグワーツにやってくるので、『ハリーポッター』は賢者の石で完結します。   作:味なしコンフレーク

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–終章PART 1–『ハロウィーンの日に』

 甘い匂いで目が覚めた辰水は、朝の弱いレスリーが珍しく早起きしていたことに驚いた。

「どうしたんだ、早起きなんかして。まだ朝の6時だぞ?」

「どうしたって、今日はハロウィーンだぞ!」

「あぁ・・・そういえば、そうだったな」

「日本にだってハロウィーンはあるだろ?」

「俺は特に何かしたって覚えはないな。実家はお寺だし」

 

「甘い匂いはあまり好きじゃないわ。なんでか、歯が痛くなるのよ」

7年生が進路関係で今日の授業がほとんどない為、1年生の呪文学の授業を見学に行くことになった辰水は居合わせた晴海と教室に向かうことになった。

「そりゃあ大変だ。歯医者に行った方が良い」

「気持ちの問題よ。歯医者だった両親を思い出すのよ・・・助けられなかった自分の無力さも、ね」

授業では浮遊呪文の練習が行われるらしい。

先生が生徒を二人ずつ組ませて練習させた。晴海はどうやら、ハリーの友達のロンと組むことになったようだ。

ハリーはこの日を楽しみにしていたそうだが、中々苦戦しているようで、空中高く浮くはずの羽は机の上にはりついたままだ。相方の生徒がかんしゃくを起こして、杖で羽を小突いて火をつけてしまったので、ハリーは帽子で火を消すはめになった。

「『Wieengadium Leviosaaaaaaaaaaaa』!」

長い腕を風車のように振り回してロンが叫んでいるのをみて、魔法処での初めての授業で同じように呪文学に苦戦していた幼い頃の自分を思い出した。

「ストップ、ロン!」と晴海がヤケクソ気味になっているロンを静止した「そんなに振り回したら危ないわ。貴方もみんなもケガしちゃうでしょう?」

「あ、うん・・・ゴメン」

我にかえったロンは少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめた。

「先生が言っていたでしょ?呪文は正確にって」

晴海はガウンの袖をまくり上げて杖をビューンと振り、呪文を唱えた。

「『Wingardium Leviosa(浮遊せよ)』!」

すると羽は机を離れ、頭上1.2メートルぐらいのところに浮いたではないか。

「オーッ、よくできました!皆さん、アベノさんがやりました!」

先生とみんなに拍手されて、居心地悪そうにしていたものの、少しだけ嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

「お前、魔法の才能もあったんだな」

次の授業に向かいながら、辰水は元の無表情に戻ってしまった晴海にそう声をかけた。

「魔術も魔法も私の前ではみんな等しく復讐のための手段よ。必要ならどれだけ時間がかかってもできるようになってみせる」

「・・・敵さんからすれば、悪夢みたいなヤツだな」

「お褒めに預かり光栄だわ」

「でも・・・みんなに褒められていた時のお前は、復讐とか考えているようには見えなかったけどな」

廊下の人ごみを押し分けながら、辰水は晴海に言った。

「・・・それがどうしたっていうの?」

「復讐なんて生き方、苦しいだけだろ?今日みたいにみんなと楽しい学校生活を送れば良いj「知ったようなこと言わないでよッ!!」

立ち止まった晴海が振り向いた・・・驚いたことに泣いている!

「貴方には分からない・・・親も生きていて、何に怯えることも、苦しむこともなく、呑気に毎日を生きているやつに・・・私の気持ちなんか分かりはしない!!」

「おい、待て、晴m」

教科書を叩きつけ、去っていこうとする晴海を追いかけようとしたが届かない・・・それどころか、石にされたかのように動かない。

斉天封石『(オン)・・・言っておくけど、これ、ただの拘束呪文じゃないから、それ以上動かないことをオススメするわ」

「・・・魔術師だってこと、バレたくなかったんじゃないのか?」

「そうね。少し感情的になりすぎたかもしれないわ・・・でも、私のこれまでを否定されたくもない。やられっぱなしって好きじゃないから」

「どうするつもりだ」

「それこそ、ここで言うわけにはいかないわ・・・魔術協会所属・一級魔術師、阿倍野 晴海が現場監督として命じます。本日付けで留学を終了。貴方は明日、日本に帰るように。逆らったら・・・分かりますね?」

「ッ・・・」

「納得してくれたようで何より。ホグワーツでの最後の夜を楽しんで頂戴」

晴海はそう言って、足早に去っていった。

 

 

 

コンコンとドアをノックする音が聞こえ・・・暗い表情の辰水が私、峰狛梟子の教授部屋に入ってきた時は驚いた。

「・・・何かしましたか?」

「何かしたって分かるのか?」

「こう見えて、私、とってもおばあちゃんです。成功も失敗もたくさんしているので、大体、やらかした人とそうでない人の区別もつきます」

「・・・実は」

結論から言えば、辰水は晴海さんを怒らせてしまったようだ。私も晴海さんの境遇は魔法処の理事長から聞いていた。

両親を死喰い人に理不尽に殺されていて、奴らを率いるヴォルデモートを殺すためだけに魔術を学び、弱冠11歳にして魔術協会総士長の次に偉い「一級魔術師」になった天才なのだと。

「俺は関わった人みんなが幸せになってほしい。そうじゃなきゃ命かけて魔術師やっている意味がないって思うから・・・俺、何か間違っているかな、梟子先生?」

「誰もが幸せに生きる。なるほど、確かに素晴らしいですね」

「だったら・・・」

「ですが残念ながら、それは理想論です。誰かが幸せになれば、誰かが不幸になる。なぜなら誰もが違う悩みを抱えて生きているからです。善人も悪人も晴海さんも貴方も私も・・・死んだ峰狛さんもそうだったのかもしれませんね」

「!・・・俺は、自分の悩みを晴海に押し付けていた?」

「そうなりますね」

「俺、アイツに謝らなきゃ」

その時、ドアが開いてスリザリンの寮監であるスネイプが入ってきた。

「マグゴナガル先生、大変です。トロールが侵入したとクィレル先生が」

「トロールが!?」

「・・・俺がなんとかします」

「辰水・・・ですが貴方は、晴海さんに」

「・・・ヴォルデモートが取り憑いている教師はクィレルだ」

「え!?」

「・・・」

「スネイプ先生は薄々気付いていたようだけど・・・要はそういうことだ。混乱に乗じて賢者の石を手に入れるつもりなんだろう。そうはさせない」

辰水は、たてかけていた刀を掴んで立ち上がった。

「先生方は生徒の避難を・・・俺はトロールを倒します」

「・・・分かりました。ただし、無茶はしないように・・・行きましょう、スネイプ先生」

「・・・承知した」

部屋を飛び出し、生徒の元へ向かう。

「随分と丸くなりましたな、マグゴナガル先生。留学生とはいえ、余所者に校長の許可なく学校の有事を任せるなんて」

「・・・そうね。自分でもどうかしていると思うわ」

「・・・」

「でも、分かるの。この身体が訴えているの。彼ならなんとかしてくれる・・・そう」

 

 

「大寺辰水なら、いまだ闇が漂う私たちの世界を変えてくれるって!」

 

 

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